役員とは?会社法上の定義と役割、選任・解任の手順、役員報酬など

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BUSINESS LAWYERS 編集部 弁護士ドットコム株式会社

目次

  1. 会社法上の「役員」とは
    1. 役員と従業員の違い
    2. 他の関連用語との関係
  2. 役員の種類と役割
    1. 取締役
    2. 監査役
    3. 会計参与
    4. 役員と同様に扱われることがある役職
  3. 役員の選任・解任の手続
    1. 選任
    2. 解任
    3. 役員変更登記
  4. 役員報酬・賞与の種類と決め方
    1. 役員の報酬
    2. 役員の賞与
  5. 【事例】役員が関係した近年の不祥事事例

 一般的に、「役員」という言葉は、社長や専務といった経営層を指す言葉として広く使われています。しかし、会社法上で役員として規定されているのは、取締役・監査役・会計参与の三役です。これらの役員は、会社から経営を任された「委任」関係にあり、従業員とは雇用形態や役割などの立場が明確に異なります。


 本記事では、会社法をはじめとする法令上の観点から、役員の種類や役割、選任・解任の手順、報酬・賞与の決め方などの概要を整理します。また、役員が関係した近年の不祥事事例を紹介したうえで、役員の責任が免除・軽減されるケースなどについても解説します。

 なお、特に断り書きがない場合、本記事における「役員」は、会社法上の三役およびそれに準じるもの(代表取締役、業務執行取締役、社外取締役、社外監査役など)を指すこととします。

会社法上の「役員」とは

 会社法329条で明確に「役員」として規定されているのは、取締役・監査役・会計参与の三役です。これら役員の選任・解任の手順、義務や責任などについては、会社法が厳格に規定しています(後述3以降参照)。

会社法上の「役員」とは


 なお、会社法423条1項では、上記の「役員」に執行役および会計監査人を加えて「役員等」と規定しています。この「役員等」という括りは、もし任務を怠って会社に損害を与えた場合の損害賠償を負う範囲を明確にするものです(つまり、執行役および会計監査人は、会社法上の「役員」には該当しないものの、任務怠慢があった場合の損害賠償責任においては役員と同様に扱われます)。

 また、税法、独占禁止法、金融商品取引法、不正競争防止法、割賦販売法といったほかの法令においては、理事や顧問、相談役、執行役、執行役社員といったほかの役職も役員と同様に扱われることがあります(法人税法上の「みなし役員」など。後述2−4(4)参照)。

役員と従業員の違い

 役員と従業員(正社員、契約社員など)は、契約形態が根本的に異なります
 役員は会社法330条に基づく委任」関係であり、会社から経営を任された対等なビジネスパートナーに近い立場です。一方、従業員は「雇用」関係であり、労働契約(雇用契約)の下、会社の指揮命令に従って働く従属的な立場です。

 この契約形態の違いは、以下のような権限と責任、対価、任期と解雇、社会保険の適用といった違いにもつながります。
 つまり、役員は高い裁量と責任を持つ半面、労働者としての法的保護は受けられず、従業員はその逆の立場にあるといえます。

役員 従業員
契約形態
  • 委任契約
経営の委託。善管注意義務を負う。
  • 労働契約(雇用契約)
労働力の提供。
権限と責任
  • 経営責任・賠償責任
経営判断ミスで会社に損害を与えた場合、個人資産で賠償する法的リスクがある。
  • 業務遂行責任
会社の指揮命令に従う。重大な過失がない限り、個人の賠償責任は限定的。
対価
  • 役員報酬
定款や株主総会で決定。原則として1年間額面を固定(定期同額給与)。
  • 給与(賃金)
就業規則や契約で決定。残業代・深夜手当などが法律で保障される。
任期と解雇
  • 任期あり・解任可能
通常2年等の任期があり、株主総会の決議があれば任期途中でも解任できる。
  • 任期なし・解雇制限
原則、定年まで雇用。客観的に合理的な理由がない限り、解雇は極めて困難。
社会保険の適用
  • 雇用保険や労災保険は対象外
失業保険や育児休業給付金などは受け取れない。
  • 社会保険や労働保険の対象
健康保険・厚生年金に加え、雇用保険・労災保険のすべてが適用対象。

他の関連用語との関係

 世間一般で使われる呼称と、会社法上の地位はかならずしも一致しません。たとえば、以下の用語については法令上の明確な定義はなく、各企業が独自に設定している場合もあります。

会長・社長・専務・常務 社内の慣習的な名称で呼ばれる、いわゆる「役付取締役」
CxO
(最高◯◯責任者)
Chief x Officerの略で、特定領域における最高責任者

例:CEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)、CFO(最高財務責任者)、CLO(最高法務責任者)、CTO(最高技術責任者)など

執行役員 会社法上の「執行役」とは異なり、あくまで従業員(労働契約・雇用契約)の立場であることが多い。取締役会の方針に従って業務を遂行する

役員の種類と役割

 下表に、① 会社法上の三役とそれに準じる主な役員、および②会社法における役員ではないが役員と同様に扱われることがある役職の一例をまとめます。それぞれの役割等の詳細は2-1以降を参照ください。

①会社法上の三役とそれに準じる主な役員

三役 概要 選任方法 任期 設置義務 資格要件
(いずれも
欠格事由あり ※1
取締役 業務執行の意思決定、業務の指揮、ほかの取締役の職務執行の監督を行う 株主総会の決議 原則2年 すべての株式会社に1名以上 ※2 特になし
  • 代表取締役
    会社を代表し、契約締結などの法律行為(代表権)および会社の業務遂行(業務執行権)を担う
取締役会の決議 原則2年 取締役会設置会社では必須 取締役であること
  • 業務執行取締役
    取締役会の決議により、会社の業務を執行する(社長、専務、常務など)
取締役会の決議 原則2年 なし 取締役であること
  • 社外取締役
    会社の業務執行に関与せず、経営方針への助言や経営の監督、ガバナンス向上を担う取締役
株主総会の決議 原則2年 監査委員会、指名委員会において設置が必須
また上場会社では、設置しない場合に株主総会における説明義務が発生
会社法上の「社外」の要件を満たすこと
監査役 取締役の職務執行に対する業務監査と、会計に対する会計監査を行う 株主総会の決議 原則4年 資本金5億円以上または公開会社等で義務付けられている 兼職禁止
  • 社外監査役
    会社法上の「社外」の要件を満たす監査役
株主総会の決議 原則4年 監査役会設置会社においては半数以上の設置が必須 会社法上の「社外」の要件を満たすこと
会計参与 取締役と共同して計算書類(決算書など)を作成し、会計の信頼性を担保する 株主総会の決議 原則2年 任意(定款の定めによる) 公認会計士または税理士(もしくは監査法人・税理士法人)の資格

※1 役員には欠格事由が定められており、法人、成年被後見人、特定の犯罪で刑に処せられた者などは役員になることができない(会社法331条1項、335条1項、402条4項)

※2 人数は会社の種類(公開/非公開)や機関設計によって異なる。「取締役会(取締役3人以上)」の設置が義務付けられる場合もある



②役員と同様に扱われることがある役職の一例

概要 選任方法 任期 設置義務 資格要件 備考(会社法との相違など)
会計監査人 会社の計算書類を監査する外部の公認会計士や監査法人 原則として株主総会の決議だが、議案の内容は監査役が決定する 1年以内。
ただし、毎年自動的に更新される
原則任意。
ただし、会社の規模や機関設計による
公認会計士または監査法人であること
欠格事由あり
会社法上の役員には含まれないが、「役員等」として損害賠償責任を負う
執行役 指名委員会等設置会社において業務執行を担う法律上の役職 取締役会の決議 約1年 指名委員会等設置会社 欠格事由と兼任に関する制限あり 会社法上の役員には含まれないが、「役員等」として損害賠償責任を負う
独立役員 上場会社において一般株主と利益相反が生じるおそれのない社外取締役または社外監査役 取締役会決議での指定、および証券取引所への届出 原則2年 上場会社 社外役員であること。また、一般株主と利益相反が生じるおそれがないこと 有価証券上場規程における呼称会社法上の社外役員に相当
みなし役員 法人税法上で役員とみなされる従業員(実態として役員と同等の権限を持ち、会社の経営に従事している者) 会社法上の規定はなく、法人税法独自の定義規定

取締役

 取締役とは、業務執行の意思決定およびほかの取締役の職務執行の監督を担う役員(機関)です。株式会社は1名以上の取締役を置くことが義務付けられています(会社法326条1項)。
 株主総会で選任され、会社の経営方針や事業計画を策定し、それらに基づいて業務を指揮します。善管注意義務や忠実義務、不祥事防止のための内部統制システムを構築する義務を負います。

 取締役の任期は原則2年です(会社法332条1項)。

 なお、取締役の設置義務については、会社の「種類(公開会社か非公開会社か)」と「機関設計(監査役や委員会を置くか)」によってルールが決まっています。上述のとおり、株式会社は最低1人の取締役を置かなければなりませんが、特定の条件を満たすと「取締役会(取締役3人以上)」の設置が義務付けられます(会社法327条)。
 取締役会とは、取締役全員で構成され、業務執行に関する会社の意思決定を行うとともに取締役の職務執行を監督する機関です(会社法362条)。

  • 代表取締役

     代表取締役とは、取締役の中から取締役会の決議によって選定され(会社法362条3項)、会社を代表して契約締結などの法律行為を行う権限(代表権)と、会社の業務を遂行する権限(業務執行権)を併せ持つ取締役です(会社法349条1項)。
     代表取締役は1人である必要はなく、複数名設置することも可能です。
  • 業務執行取締役

     業務執行取締役とは、取締役会の決議により、代表取締役のほかに選任された会社の業務を執行する取締役を指します(会社法363条1項2号)。社長、副社長、専務、常務といった役職名を兼ねていることもあります。

  • 社外取締役

     社外取締役とは、その会社や子会社の業務執行に関与していない取締役のことです(会社法2条15号)。
     指名委員会等設置会社における各委員会(指名委員会、監査委員会、報酬委員会)の委員の過半数は、社外取締役でなければなりません(会社法400条3項)。また、上場会社などの「公開会社かつ大会社」では社外取締役を置くことが強く促されており(会社法327条の2)、設置しない場合は株主総会における説明義務が発生します。

     法的に「社外」と認められるには、主に以下の要件を満たす必要があります(会社法2条15号)。
    会社法上の「社外」の要件
    • 非業務執行: 過去10年間において、その会社や子会社の業務執行取締役、執行役、支配人、そのほかの使用人(従業員)であったことがないこと

    • グループ間の独立性: 現在において、親会社の取締役・執行役・従業員や、兄弟会社の業務執行者等でないこと

    • 親族関係の排除: 会社経営陣の近親者(配偶者や二親等内の親族)でないこと

     社外取締役は、コーポレートガバナンス・コード(CGコード)に基づき、経営方針への助言、経営の監督、会社と経営陣・支配株主等との間の利益相反の監督、ステークホルダーの意見の反映などが期待されます。

監査役

 監査役とは、取締役の職務執行を監督・検査する役員(機関)です(会社法381条1項)。資本金が5億円以上の会社や公開会社では監査役を設置することが義務付けられています(会社法327条2項)。
 監査役の任期は4年です(会社法336条)。

 監査役の役割は、取締役の職務執行が法令や定款に適合しているかを確認する「業務監査」と、決算書類等が適正かを確認する「会計監査」の2本柱で構成されます。事業年度ごとに業務監査と会計監査の結果を記載した監査報告を作成する義務を負っています(会社法381条1項後段)。
 監査役には、取締役や会計参与、使用人に対して事業報告を求める調査権限や、会社の業務および財産の状況を調査する権限が与えられています(会社法381条2項)。また、子会社に対しても同様の調査権限を行使できます(会社法381条3項)。
 一方、強い独立性を担保するために、その会社や子会社の取締役・使用人を兼ねることは禁止されています(兼職禁止)(会社法335条)。

  • 社外監査役

     社外監査役とは、社外取締役と同じく、法的に「社外」と認められた監査役です(「社外」の要件は上述2−1参照)。
     監査役会を置く会社では、3名以上の監査役のうち、「半数以上」が社外監査役でなければなりません(会社法335条3項)。
     社外監査役には、経営陣から独立した客観的な立場から取締役の職務執行を監視・監督することが期待されています。

会計参与

 会計参与とは、取締役と共同して計算書類(決算書など)を作成する役員(機関)です(会社法374条1項)。設置は会社の任意であり、定款の定めによって会計参与を置くことができます(会社法326条2項)。

 就任には公認会計士または税理士(もしくは監査法人・税理士法人)の資格が必要です(会社法333条1項)。任期は原則2年ですが、定款の定めによって短縮することもできます(会社法334条1項、332条1項)。

 取締役と共同して計算書類等を作成するほか、会計帳簿や関連資料の閲覧・謄写権、子会社調査権などを有します(会社法374条2項)。また、株主総会に出席し、説明義務や意見陳述権も有します(会社法314条、377条)。

役員と同様に扱われることがある役職

(1)会計監査人

 会計監査人とは、株式会社の計算書類等の適正さを外部の専門的な立場から監査する機関であり、その資格は公認会計士または監査法人に限定されています(会社法337条)。
 会社法上の「役員」には含まれませんが、損害賠償責任などを定める規定においては「役員等」の一員として位置付けられています。

(2)執行役

 執行役とは、指名委員会等設置会社において、取締役会から委任された業務執行の決定および実際の業務遂行を担う機関です(会社法418条)。
 会社法上の「役員」には含まれませんが、損害賠償責任などを定める規定においては「役員等」の一員として位置付けられています(会社法423条)。

(3)独立役員

 独立役員とは、会社の一般株主と利益相反が生じるおそれがない社外取締役または社外監査役です。これは会社法ではなく、東京証券取引所などの金融商品取引所が定める有価証券上場規程 1 における「企業行動規範に関する規則」の7条に基づくものです。
 CGコードでは、上場会社は独立社外取締役を少なくとも2名以上選任すべきであると規定されています。

 なお、独立役員は社外役員(社外取締役・社外監査役)と混同されがちですが、その根拠が金融商品取引所のルールか会社法上のルールかという点で大きく異なります。

独立役員と社外取締役の違い

役職 根拠となる法律・規則 定義・特徴 上場会社の選任義務
独立役員 金融商品取引所(東証など)の「有価証券上場規程」 社外取締役を含む役員のうち、一般株主と利益相反が生じるおそれがないと取引所に届け出た者 独立社外取締役を2名以上選任すべき(CGコード)
社外役員
(社外取締役・社外監査役)
会社法 会社と利害関係のない外部の取締役。会社法の要件を満たす者 原則として選任義務あり
ただし、監査役会設置会社などで例外あり

(4)みなし役員

 みなし役員とは、法人税法上で役員とみなされる人のことです(法人税法2条15号、法人税法施行令7条)。会社の登記簿上の役員とは異なり、形式上は従業員として扱われます。
 みなし役員は、主に2つの類型に分けられます(法人税法施行令7条1号2号)。

  • 法人の使用人以外の者で、その法人の経営に従事している者:創業者が代表取締役を退任した後、会長、相談役、顧問などの名誉職に就き、経営の重要事項に引き続き関与しているケースなど。
  • 同族会社の使用人のうち、特定の持株要件をすべて満たし、かつ会社の経営に従事している者:特定の株主グループに属し、そのグループの所有割合が10%超であり、かつ自身の所有割合が5%超であるケースなど。

 みなし役員に該当した場合、その者への賞与は原則として税務上の損金(費用)として認められません。役員給与に関する法人税法上の規制の対象となり、定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与のいずれかに該当しない限り、給与が損金算入されないことになります(法人税法34条)。

役員の選任・解任の手続

 会社法は、役員の選任・解任についての手続を厳格に規定しています。また、役員を変更した場合、登記申請が必要です(会社法915条)。

選任

 原則として、役員三役(取締役、監査役、会計参与)および会計監査人は、株主総会の普通決議によって選任されます(会社法329条1項)。
 ただし、三役の選任決議は、定款に普通決議の定足数を排除する規定があったとしても、定足数を3分の1までしか下げられない点が普通決議とは異なります(会社法341条)。また、役員が欠けた場合に備えて、補欠の役員を選任することも可能です(会社法329条3項)。

解任

 役員の退任事由には、任期満了、辞任、死亡、解任、資格喪失などがあります。

 株主総会の普通決議によって、役員をいつでも解任することができます(会社法339条1項)。ただし、解任に正当な理由がない場合、解任された役員は会社に対して、解任によって生じた損害の賠償を請求できます(会社法339条2項)。なお、過去の裁判例等で認められた「正当な理由」は、取締役の職務遂行上の法令・定款違反行為や心身の故障など、比較的限定的であるとされています。

 退任によって会社法や定款で定められた員数を欠くこととなる場合には、後任者が就任するまで退任した役員が引き続き権利義務を有します(会社法346条1項)。この役員は「権利義務取締役」と呼ばれます。

役員変更登記

 役員の退任、新たな就任、重任(再任)、婚姻などによる氏名変更、代表取締役の住所変更があった場合、役員変更登記が必要となります(会社法915条)。「重任」とは、任期満了と同時に同一人が再選されて就任することです。
 役員変更は登記事項であり、変更から2週間以内に登記申請が必要です(会社法915条)。この登記申請を怠ると、会社法976条1号により100万円以下の過料の制裁対象となります。

 登記申請には、株主総会議事録、就任承諾書、株主リスト、委任状などが主な添付書類となります。新たに就任する役員(再任を除く)については、商業登記規則61条7項に基づき、本人確認証明書の添付が義務付けられています。

役員報酬・賞与の種類と決め方

 役員の報酬等は、定款に定めがない限り株主総会の普通決議で定める必要があります(会社法361条1項)。これは、取締役が自身に高額な報酬を与える「お手盛り」を防ぐためのルールともいえます。

役員の報酬

 報酬にはいくつか種類があり、固定給(定期同額給与)のほか、ストック・オプションや株式報酬などのインセンティブが活用されます。
 CGコードの原則3−1では、透明性と公平性を確保するために、取締役会が経営陣幹部や取締役の報酬決定に関する「方針」と「手続」を開示することが求められています。

 株主総会では、金額が確定している報酬はその金額を、確定していない報酬はその算定方法を、金銭ではない報酬はその具体的な内容を決議します(会社法361条1項)。実務上は、取締役全員の報酬総額の上限を株主総会で定め、その枠内で具体的な配分を取締役会に一任することが多いです。

役員の賞与

 賞与についても、報酬と同様の手続が必要となります。
 ただし、役員賞与を損金算入するためには、法人税法34条1項に定める「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業績連動給与」のいずれかに該当する必要があります。役員賞与は「事前確定届出給与」として、事前に支給時期と支給額を納税地の所轄税務署長に届け出ることで損金算入が認められます。

 役員賞与の支給総額は、会社の業績や経営環境の見通しなどを総合的に考慮して決定されます。個人別の配分方式としては、毎月の報酬に比例して配分する「報酬基準方式」や、役位ごとの係数を用いる「役位係数基準方式」があります。

【事例】役員が関係した近年の不祥事事例

 役員が関係した近時の不祥事事例としては、たとえば以下のようなものがあります。

企業名 事件概要
株式会社東芝 2 2015年に発覚した東芝の不正会計事案では、経営トップの関与による組織的な利益水増しが認められた。損害賠償請求訴訟・株主代表訴訟が提起され、現在も係争中。
関西電力株式会社 3 2020年に発覚した関西電力の不祥事事案では、福井県高浜町の元助役から多額の金品を受領し、これを組織的に隠蔽・放置していたガバナンスの欠如が認められた。
会社側は旧経営陣に総額約19億円の賠償を求めて損害賠償請求訴訟を提起した。また、株主代表訴訟も提起されており、株主側は会社側が提訴した5人を含む旧役員計22人に対し、約92億円の賠償を求めている。
スルガ銀行株式会社 4 2018年に発覚したスルガ銀行の不祥事事案では、シェアハウス融資等における審査書類の改ざんや組織的な不正融資が認められた。
会社側は、創業家出身の会長を含む旧経営陣に対し、善管注意義務違反があったとして損害賠償請求訴訟を提起。また、並行して株主代表訴訟も提起された。
オリンパス株式会社 5 2011年に発覚したオリンパスの不祥事事案では、バブル期の投資失敗による1,000億円超の損失を、海外ファンド等を利用して組織的に隠蔽したことが認められた。
会社側は、旧経営陣に対し善管注意義務違反があったとして損害賠償請求訴訟を提起。2020年、最高裁において旧経営陣らに対し、総額約590億円の賠償を命じる判決が確定した。また、株主代表訴訟も提起された。さらに、本事案では旧経営陣の刑事責任も追及され、2013年、元会長ら3人に対して有罪判決(執行猶予付き)が言い渡された。
大王製紙株式会社 6 2011年に発覚した大王製紙の不祥事事案では、創業家出身の会長(当時)がカジノでのギャンブル資金等に充てるため、子会社から計約106億円を無担保で不正に引き出したことが認められた。
会社側は、前会長個人に損害賠償を求め、前会長側が借入金全額を返済することで合意した。また、刑事責任も追及された。
株式会社フジ・メディア・ホールディングス 7 2025年、フジテレビは過去の番組出演タレントをめぐるトラブルへの対応不備により、ブランド価値毀損等の巨額損害を被った。
これを受け、親会社のフジ・メディア・ホールディングスは同年8月、旧経営陣2人に対し善管注意義務違反があったとして計50億円の損害賠償を求めて提訴。さらに同年11月、経営刷新のために就任したばかりの取締役による約60件(約100万円分)の不適切な経費精算が発覚し、当該取締役が引責辞任する事態となった。
関連記事

  1. 日本取引所グループ「有価証券上場規程」 ↩︎

  2. 2015年7月20日付けトムソン・ロイター「東芝第三者委調査報告書(要旨)ポイント」ほか ↩︎

  3. 2019年9月28日付け日本経済新聞「金品受領は関西電力の元原発担当ら 高浜町元助役から」ほか ↩︎

  4. 2019年2月25日付け日本経済新聞「スルガ銀社長を提訴へ 565億円賠償請求 株主代表訴訟」ほか ↩︎

  5. 2020年10月26日付け日本経済新聞「オリンパス粉飾 旧経営陣、594億円の賠償確定」ほか ↩︎

  6. 2011年11月23日付け日本経済新聞「大王製紙前会長、非連結会社からも借り入れ5.3億円」ほか ↩︎

  7. 2025年8月28日付け読売新聞「フジテレビ、元社長の港浩一氏らに50億円の損害賠償求め提訴」ほか ↩︎

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