株主総会議事録の記載例(監査役の選任・解任)

コーポレート・M&A
和氣 礎弁護士 桃尾・松尾・難波法律事務所

 当社(株式会社)では、現任監査役の1名が引退されることに伴い、新たな監査役を選任することとなりました。新任監査役の選任に関する株主総会の議事録作成について注意すべき点はありますか。
 また、監査役の解任の場合についても教えてください。

 監査役の選任・解任を行った株主総会の議事録は、登記手続において必要となります。この登記手続において、株主総会議事録を監査役が「就任を承諾したことを証する書面」として用いる場合には、株主総会議事録に監査役の住所の記載が必要となる場合があることに注意が必要です。
 また、株主総会議事録には、監査役が選任・解任について株主総会で述べた意見の概要も記載する必要があります。

 加えて、選任の場合、同議案の提出について監査役の過半数(または監査役会)の同意を得ていることが必要であり、かかる同意を得ていることも明記しておくべきと考えられます。
 なお、解任の場合、株主総会議事録には、解任の理由についても明記しておくことが望ましいといえます。

解説

目次

  1. 監査役の選任
    1. 登記手続に必要な添付書類
    2. 株主総会議事録の記載例
    3. 就任承諾書の記載例
  2. 監査役の解任と株主総会議事録の記載例

監査役の選任

登記手続に必要な添付書類

 監査役の選任については登記する必要があり、かかる登記申請の添付書類として、①株主総会議事録(商業登記法46条2項)、②選任された監査役が「就任を承諾したことを証する書面」(以下「就任承諾書」といいます。商業登記法54条1項)および③株主リスト(商業登記規則61条3項)(詳細は「株主リストを添付書面とする商業登記規則の改正内容とは?」を参照ください)の3点の提出が最低限必要となります。

監査役の選任において登記手続に必要な添付書類

株主総会議事録の記載例

 監査役の選任は株主総会の普通決議によってなされます(会社法329条1項)。監査役は選任について株主総会で意見を述べることができ、意見が述べられた場合はその概要を議事録に記載する必要があります(会社法345条1項・4項、同法施行規則72条3項3号ニ)。
 なお、選任議案の株主総会への提出の前提として監査役の過半数(または監査役会)の同意が必要とされています(会社法343条1項・3項)。そのため、議事録にはかかる同意を得ていることを記載すべきと考えられます。

株主総会議事録記載例
第●号議案 監査役1名選任の件
 議長から、監査役A1が本総会終結時をもって任期満了となるところ、別添株主総会参考書類記載のとおりA2を新任監査役として選任したい旨及び現任監査役の全員から本議案の提出について同意を得ている旨を説明した。
 議長が本議案を諮ったところ、出席株主の議決権の過半数の賛成をもって、原案どおり可決され、選任されたA2はその場で就任を承諾した。

 上記記載例では、選任された新任監査役A2が就任を承諾した旨を記載していますが、下記1-3のとおり本議事録をA2の就任承諾書として用いるには、議事録の中にA2の住所を記載する必要があります。この場合、上記の「A2を新任監査役として」の部分を「A2(住所:東京都●●区●●町●丁目●番●号)を新任監査役として」とすることが考えられます。  

就任承諾書の記載例

 就任承諾書の典型例は下記例のような書面ですが、株主総会にて監査役が就任を承諾していた場合、その旨を株主総会の議事録に記載することにより、この議事録(①)を就任承諾書(②)として用いることもできます(上記株主総会議事録記載例参照)。

就任承諾書の例

就任承諾書の記載例

 なお、選任された監査役が再任の場合、就任承諾書からは住所の記載を省略することが可能と考えられています。
 しかしながら、選任された監査役が新任の場合、原則として、上記に加えて、就任承諾書「に記載した氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている」本人確認書類(具体的には「住民票の写し」・「戸籍の附票」等)が必要となります(商業登記規則61条7項本文)。

 この場合、「就任承諾書に記載した氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている本人確認書類」という表現から分かるように、就任承諾書自体にも新任監査役の住所の記載が必要となります。株主総会議事録に監査役の住所を記載することは監査役が好まないことも多いため、新任監査役については、株主総会議事録を就任承諾書として用いることが避けられる傾向にあります。

監査役の解任と株主総会議事録の記載例

 監査役の解任は、株主総会の特別決議によってなされます(会社法339条1項、309条2項7号、343条4項)。監査役は、解任について株主総会で意見を述べることができ、その概要を議事録に記載する必要があるのは選任の場合と同様です(会社法345条1項・4項、同法施行規則72条3項3号ニ)。もっとも、選任議案の場合と異なり、解任議案について提出前の監査役の同意権は与えられていません(会社法343条参照)。

 監査役を正当な理由なく解任した場合、その株式会社は、解任によって監査役に生じた損害の賠償をする義務を負います(会社法339条2項)。そのため、事後的に解任の正当性が争われる場合に備え、株主総会議事録にどのような理由で解任するのかを明記しておくことが望ましいといえます。
 監査役の解任についても登記を行う必要があり、その登記申請では、添付書類として解任にかかる株主総会議事録および株主リストが必要となります。

株主総会議事録記載例
第●号議案 監査役1名解任の件
 議長は、監査役A1について、同人が職務中に当社の従業員に対してセクシャル・ハラスメントを行ったとの内部通報があり、本人も同行為を行ったことを認めたことを受け、A1を監査役から解任したい旨説明した。議長より、出席している各監査役に対して、本議案について意見があれば陳述するよう求めたところ、監査役A2より解任には異存がない旨の意見陳述がなされた。
 議長が本議案を諮ったところ、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成をもって、原案どおり可決された。

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