監査役会・監査委員会・監査等委員会とは

コーポレート・M&A

 監査役会、監査委員会、監査等委員会とはどのような機関で、それぞれ何が異なるのでしょうか。

 監査役会は、監査役会設置会社に設置される機関であり、取締役の職務の執行を監査する監査役全員によって構成される機関です。
 監査委員会は、指名委員会等設置会社に設置される機関であり、執行役および取締役の職務の監査等を行います。
 監査等委員会は、監査等委員会設置会社に設置される機関であり、取締役の職務の執行の監査等を行います。

解説

目次

  1. 監査役会の構成と役割
  2. 指名委員会等設置会社における監査委員会
    1. 指名委員会等設置会社とは
    2. 監査委員会による監査の内容
  3. 監査等委員会設置会社における監査等委員会
  4. まとめ

目次

  1. 監査役会の構成と役割
  2. 指名委員会等設置会社における監査委員会
    1. 指名委員会等設置会社とは
    2. 監査委員会による監査の内容
  3. 監査等委員会設置会社における監査等委員会
  4. まとめ

監査役会の構成と役割

 公開会社かつ大会社では、監査役会設置会社、指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社のいずれかの機関設計のみが認められています。
 このうち、監査役会設置会社では、取締役会、監査役会および会計監査人が設置され、監査役会は、半数以上の社外監査役を含む3名以上の監査役全員で構成されます(会社法335条3項、390条1項)。また、監査役会は、監査役の中から常勤監査役を1名以上選定しなければなりません(会社法390条3項)。

監査役会設置会社

 監査役会は、その決議をもって、監査報告の作成、監査の方針や会社の業務および財産の状況の調査の方法その他の監査役の職務の執行に関する事項を決定することとされていますが(会社法390条2項1号、3号)、監査役会制度の下でも、監査役は各自が単独でその権限を行使できるという独任制が維持されており、監査役会は、その決定により監査役の権限の行使を妨げることはできないとされています(会社法390条2項ただし書)。

 これは、取締役による業務執行は多数決による決定に適していますが、監査役による適法性の判断は多数決にはなじまないとの考えに基づくものです。そのため、監査役は、監査役会監査報告の内容と自己の監査役監査報告の内容とが異なる場合には、監査役会監査報告に自己の監査役監査報告の内容を付記でき、監査役会は監査役が単独で招集できる等とされています。
 もっとも、監査役会の役割として、各監査役の役割分担を容易にし、かつ、情報の共有を可能にすることにより、監査役が単独で行う監査よりも組織的・効率的な監査を可能にすることが期待されていますので、実務上は、各監査役の経験・知識等を考慮して監査役の役割分担を定めているのが通常です。例えば、非常勤監査役の主な役割は取締役会への出席とし、それ以外の重要な会議への出席は常勤監査役の役割とすること等が多く行われていますし、常勤監査役が複数いる場合には、監査計画において、往査や面談が重複しないよう工夫することなども行われています。

指名委員会等設置会社における監査委員会

指名委員会等設置会社とは

 監査役会による監査は我が国独自の制度であるため、国際的な理解を得ることが難しいといった指摘もあり、米国の制度を倣って、平成14年の商法改正で導入された制度が指名委員会等設置会社です。導入当時は「委員会等設置会社」と呼ばれ、平成18年の会社法施行後は「委員会設置会社」と呼ばれていましたが、平成26年会社法改正で「監査等委員会設置会社」が導入されたことから、これと区別するために「指名委員会等設置会社」という名称になりました。
 指名委員会等設置会社では、取締役会の中に、指名委員会、報酬委員会および監査委員会の3委員会が置かれ、各委員会は取締役3人以上の委員で組織され、社外取締役がその過半数を占めます。指名委員会は株主総会に提出する取締役の選任議案を決定し、報酬委員会は執行役・取締役が受ける個人別の報酬等の内容を決定します。また、監査委員会は、執行役等の職務執行を監査します。
 なお、指名委員会と報酬委員会の決定は、取締役会が覆すことはできません。このような点から、指名委員会等設置会社の制度は、少数の社外取締役しかいない場合であっても、社外取締役による監督機能をできるだけ働かせようとした制度であるといえます。

指名委員会等設置会社

監査委員会による監査の内容

 監査委員会による監査は、監査役による監査と異なり、取締役会が設ける内部統制部門を通じて監査を行うことが予定されています。そのため、指名委員会等設置会社では、内部統制システムが適切に構成・運営されているかを監視し、必要に応じて内部統制部門に対して具体的指示を出すことが監査委員会の職務であるとされます。このような監査役会と監査委員会の職務の違いから、指名委員会等設置会社においては、大会社であるか否かとは無関係に内部統制システムの整備が義務づけられ(会社法416条2項)、他方で、監査役会のように常勤の監査委員を置くことは義務付けられていません(ただし、実際には常勤の監査委員を置いている例が多くみられます)。

 また、監査役主に適法性監査のみを職務内容とするのに対し、監査委員取締役であることから適法性監査に加え、妥当性監査をも職務内容とする点も異なります。
 監査委員が有する権限は監査役と類似していますが、その職務執行は監査委員会の決議に従って行われます。この点が、独任制が維持されている監査役会とは異なっており、業務財産調査、子会社調査、指名委員会等設置会社と取締役・執行役との間の訴えの代表は「監査委員会が選定する監査委員」が行うものとされています(会社法405条、408条)。

監査等委員会設置会社における監査等委員会

 指名委員会等設置会社は、執行(執行役)と監督(取締役会)を分離し、取締役会の中に社外取締役を中心とする3つの委員会(指名、報酬、監査)を設けることで取締役会の独立性を高め、監督機能の強化を図った制度ですが、社外者が過半数を占める委員会が、取締役の人事や報酬という重要事項の決定権限を持つことに抵抗感を示す会社も多く、この制度を採用する会社は多くありませんでした。
 そこで、平成26年会社法改正では、監査役会設置会社、指名委員会等設置会社(従来の委員会設置会社)に加え、両者の中間的な位置づけとして、「監査等委員会設置会社」という新たな制度を導入し、これにより公開会社かつ大会社における機関設計として3種類の選択肢が準備されました。

 監査等委員会は、取締役会の中に置かれ、3名以上の「監査等委員である取締役」によって構成され、その過半数は社外取締役である必要があります(会社法331条6項)。自ら業務執行を行わない社外取締役を複数置くことにより、取締役会の内部で業務執行と監督の分離を図るとともに、そのような社外取締役を中心とする監査等委員会が、監査機能を担いつつ、業務執行取締役の選定や解職等の決定に一定程度関与し、監督機能を果たすことを予定した制度です。

監査等委員会設置会社

 監査等委員会による職務も、指名委員会等設置会社における監査委員会の職務と同様、内部統制システムが適切に構成・運営されているかを監視し、必要に応じて内部統制部門に対して具体的指示を出すということにより行うことが予定されています。そのため、監査等委員会設置会社においても、大会社であるか否かとは無関係に内部統制システムの整備が義務づけられ(会社法399条の13第2項)、他方で、監査役会のように常勤の監査委員を置くことは義務付けられていません

 また、監査等委員会は、適法性監査に加え、妥当性監査も職務内容とすること、その職務執行は監査等委員会の決議に従って行われ、業務財産調査、子会社調査、取締役との間の訴えの代表は「監査等委員会が選定する監査等委員」が行うものとされている点(会社法399条の3、399条の7第1項2号)も指名委員会等設置会社における監査委員会と同様です。

まとめ

 以上の監査役会、監査委員会、監査等委員会の相違をまとめると、以下のようになります。

監査役会設置会社 指名委員会等設置会社 監査等委員会設置会社
監査 監査役会 監査委員会 監査等委員会
監督 取締役会 取締役会 取締役会
監査等委員会
監査の範囲 適法性 適法性・妥当性 適法性・妥当性
監査の態様 独任制 組織的監査 組織的監査

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