Legal Update

第39回 4月施行の改正法ほか2025年4月に押さえておくべき企業法務の最新動向

法務部

シリーズ一覧全44件

  1. 第1回 2022年4月施行の改正法を中心とした最新動向と対応のポイント
  2. 第2回 2022年4月・5月施行の改正法を中心とした最新動向と対応のポイント
  3. 第3回 2022年6月施行の改正法を中心とした最新動向と対応のポイント
  4. 第4回 2022年7月以降も注目 企業法務に関する法改正と最新動向・対応のポイント
  5. 第5回 2022年6月公表の「骨太方針」、開示に関する金融庁報告書、および7月のCGSガイドライン再改訂に関する対応のポイント
  6. 第6回 2022年3月〜6月の医薬品・医療に関する法律・指針等に関する日本・中国の最新動向と対応のポイント
  7. 第7回 2022年5月〜6月の人事労務・データ・セキュリティ・危機管理に関する企業法務の最新動向・対応のポイント
  8. 第8回 2022年9月に押さえておくべき企業法務に関する法改正と最新動向・対応のポイント
  9. 第9回 2022年10月施行の改正法を中心とした最新動向と対応のポイント
  10. 第10回 2022年11月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  11. 第11回 2022年12月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  12. 第12回 2023年1月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  13. 第13回 2023年2月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  14. 第14回 4月施行の改正法ほか2023年3月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  15. 第15回 2023年4月施行の改正法を中心とした企業法務の最新動向
  16. 第16回 6月施行の改正法ほか2023年5月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  17. 第17回 2023年6月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  18. 第18回 2023年7月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  19. 第19回 2023年8月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  20. 第20回 2023年9月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  21. 第21回 2023年10月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  22. 第22回 2023年11月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  23. 第23回 2023年12月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  24. 第24回 2024年1月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  25. 第25回 2024年2月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  26. 第26回 2024年3月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  27. 第27回 4月施行の改正法ほか2024年4月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  28. 第28回 2024年5月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  29. 第29回 2024年6月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  30. 第30回 2024年7月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  31. 第31回 2024年8月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  32. 第32回 2024年9月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  33. 第33回 2024年10月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  34. 第34回 2024年11月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  35. 第35回 2024年12月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  36. 第36回 2025年1月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  37. 第37回 2025年2月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  38. 第38回 2025年3月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  39. 第39回 4月施行の改正法ほか2025年4月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  40. 第40回 2025年5月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  41. 第41回 2025年6月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  42. 第42回 2025年7月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  43. 第43回 2025年8月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  44. 第44回 2025年9月に押さえておくべき企業法務の最新動向
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目次

  1. 改正建築基準法・改正建築物省エネ法の全面施行
  2. 改正公益法人法の施行
  3. 2025年4月に施行されたその他の改正法
  4. 2025年薬機法等改正案の国会提出
  5. 個人情報保護委員会「個人情報保護法の制度的課題に対する考え方について」の公表
  6. 経済産業省「産業データの越境データ管理等に関するマニュアル」の公表
  7. 経済産業省「スタートアップの成長に向けたインセンティブ報酬ガイダンス − 人材獲得のためのストックオプション活用術 − 」の公表
  8. 国土交通省「下水道分野におけるウォーターPPPガイドライン 第2.0版(案)」に関する意見募集

本稿で扱う内容一覧

日付 内容
2025年1月27日 経済産業省「産業データの越境データ管理等に関するマニュアル」の公表
2025年2月3日 国土交通省「下水道分野におけるウォーターPPPガイドライン 第2.0版(案)」に関する意見募集
2025年2月10日 経済産業省「スタートアップの成長に向けたインセンティブ報酬ガイダンス − 人材獲得のためのストックオプション活用術 − 」の公表
2025年2月12日 2025年薬機法等改正案の国会提出
2025年3月5日 個人情報保護委員会「個人情報保護法の制度的課題に対する考え方について」の公表
2025年4月1日 改正建築基準法・改正建築物省エネ法の全面施行
2025年4月1日 改正公益法人法の施行

 編集代表:所 悠人弁護士(三浦法律事務所)

改正建築基準法・改正建築物省エネ法の全面施行

 執筆:坂尾 佑平弁護士

 2025年4月1日に、改正建築基準法および改正建築物省エネ法(正式名称:建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)が全面的に施行されました。

 これらの改正法は、2022年6月17日に公布され、様々な制度が段階的に施行されてきました。

 2022年9月1日には住宅の省エネ改修に対する住宅金融支援機構による低利融資制度、2023年4月1日には住宅トップランナー制度の拡充、採光規制等の合理化、省エネ改修や再エネ設備の導入に支障となる高さ制限等の合理化等、2024年4月1日には建築物の販売・賃貸時における省エネ性能表示、再エネ利用促進区域制度、防火規制の合理化等に関する部分が施行されました。

 2025年4月1日には、新たに、「建築確認・検査」・「審査省略制度」(いわゆる4号特例)の見直し、省エネ基準適合義務の対象拡大、構造規制の合理化等に関する部分が施行されました。

 国土交通省のウェブサイト内の「改正建築物省エネ法・建築基準法等に関する解説資料とQ&A」において、説明資料やQ&Aが紹介されていますので、詳細は当該サイトをご参照ください。いずれの改正内容も実務に大きな影響を与え得るものですので、適切に理解したうえで遵守・対応をしていく必要があります。

改正公益法人法の施行

 執筆:坂尾 佑平弁護士

 2025年4月1日、改正公益法人法(正式名称:公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律)が施行されました。

 公益法人法は、民間の団体が自発的に行う公益を目的とする事業を適正に実施し得る公益法人を認定する制度を設けるとともに、公益法人による当該事業の適正な実施を確保するための措置等を定め、もって公益の増進および活力ある社会の実現に資することを目的とする法律であり、2008年に制定・施行されました。

 その後、2023年6月2日付けで「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議 最終報告」が公表され、「公益法人が、より柔軟・迅速な公益的活動を展開していくことが可能となるとともに、より国民からの信頼・協力を得られる存在となることを目的として、公益法人制度全般の抜本的な改革を行うべきである」という提言がなされ、これを踏まえて公益法人法が改正されるに至りました。

 本改正のポイントは、①財務規律の柔軟化・明確化(より自由な資金活用)、②行政手続の簡素化・合理化(より柔軟な事業展開)、③自律的ガバナンスの充実・透明性の向上(さらなる信頼確保)の3点です。

 詳細については、内閣府公益認定等委員会事務局(公益法人行政担当室)が公表した2025年1月10日付け「新しい公益法人制度説明資料」をご参照ください。公益法人のご担当者の方は、本改正を適切に理解したうえで遵守・対応をしていく必要があります。

2025年4月に施行されたその他の改正法

 2025年4月1日に施行された上記以外の改正法のうち、企業法務に関連するものとして、たとえば以下のものが挙げられます。

流通業務総合効率化法・貨物自動車運送事業法
  1. 物流事業者・荷主に対する施策として物流効率化のために取り組むべき措置の努力義務化など
  2. トラック事業者間の取引に対する施策として実運送体制管理簿作成や下請適正化の義務化など
  3. 軽トラック事業者に対する施策として貨物軽自動車安全管理者選任や国交大臣に対する事故報告の義務化など
情報流通プラットフォーム対処法 従来のプロバイダ責任制限法。大規模プラットフォーム事業者に対する侵害情報送信防止措置の義務付けなど
育児・介護休業法(一部) 子の看護休暇の拡充、所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大、介護離職防止のための雇用環境整備など
雇用保険法 出生後休業支援給付の創設、育児時短就業給付の創設など

2025年薬機法等改正案の国会提出

 執筆:松澤 香弁護士、河尻 拓之弁護士、越場 真琴弁護士

 政府は、2025年2月12日に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案」(以下「本改正案」といいます)を閣議決定し、国会に提出しました。

 本改正案は、2019年改正薬機法の附則において施行後5年を目途とする検討規定が置かれていたことを契機として、2024年4月以降、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会で議論された内容を取りまとめた2025年1月10日付け「薬機法等制度改正に関するとりまとめ」の内容を踏まえたものとなっています。

 本改正案の趣旨について、厚生労働省は「不正事案の発生等に伴う医薬品の供給不足や創薬環境の変化等の状況に対応し、引き続き品質の確保された医薬品等を国民に迅速かつ適正に提供していくため、医薬品等の品質及び安全性の確保の強化、医療用医薬品等の安定供給体制の強化等、より活発な創薬が行われる環境の整備、国民への医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化等の必要な措置を講ずる」点にあるとしており、その内容は多岐にわたり医薬品事業の実務上重要な内容を含んでいます。

 本改正案の具体的な内容の項目と施行期日は以下のとおりです。
 本改正案については2025年の通常国会で審議され成立・公布となる見込みです。今後の改正動向を注視して対応を進めていく必要があります。

改正項目 施行予定

① 医薬品の品質および安全性の確保の強化

(1)製造販売業者における医薬品品質保証責任者および医薬品安全管理責任者の設置を法定化する。

公布後2年以内

(2)指定する医薬品の製造販売業者に対して、副作用に係る情報収集等に関する計画の作成、実施を義務付ける。

(3)法令違反等があった場合に、製造販売業者等の薬事に関する業務に責任を有する役員の変更命令を可能とする。

② 医療用医薬品等の安全供給体制の強化等

(1)医療用医薬品の供給体制管理責任者の設置、出荷停止時の届出義務付け、供給不足時の増産等の必要な協力の要請等の法定化および電子処方箋管理サービスのデータを活用し、需給状況のモニタリングを行う。

公布後2年以内(一部)
公布後6月以内(一部)

(2)製造販売承認を一部変更する場合の手続について、変更が中程度である場合の類型等を設ける。

公布後3年以内

(3)品質の確保された後発医薬品の安定供給の確保のための基金を設置する。

公布後6月以内

③ より活発な創薬が行われる環境の整備

(1)条件付き承認制度を見直し、臨床的有効性が合理的に予測可能である場合等の承認を可能とする。

公布後1年以内

(2)医薬品の製造販売業者に対して、小児用医薬品開発の計画策定を努力義務化する。

(3)革新的な新薬の実用化を支援するための基金を設置する。

公布後6月以内

④ 国民への医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化等

(1)薬局の所在地の都道府県知事等の許可により、調剤業務の一部の外部委託を可能とする。

公布後2年以内

(2)濫用のおそれのある医薬品の販売について、販売方法を見直し、若年者に対しては適正量に限って販売すること等を義務付ける。

公布後1年以内

(3)薬剤師等による遠隔での管理の下で、薬剤師等が常駐しない店舗における一般用医薬品の販売を可能とする。

公布後2年以内

個人情報保護委員会「個人情報保護法の制度的課題に対する考え方について」の公表

 執筆:小倉 徹弁護士

 2025年3月5日、個人情報保護委員会は、「個人情報保護法の制度的課題に対する考え方について」(以下「本資料」といいます)を公表しました。

 本資料は、同年1月22日に公表された「『個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討』の今後の検討の進め方について」において整理された、一般法としての個人情報保護法の基本的なあり方の観点から検討すべき制度的な論点について、想定される具体的な規律の方向性に関する考え方等を示すものです。

 本資料は、以下のように一定程度具体性の高い内容も含んでいます。

統計作成等、特定の個人との対応関係が排斥された一般的・汎用的な分析結果の獲得と利用のみを目的とした取扱いを実施する場合の本人の同意の在り方
 統計情報等の作成のために複数の事業者が持つデータを共有し横断的に解析するニーズが高まっていること、特定の個人との対応関係が排斥された統計情報等の作成や利用はこれによって個人の権利利益を侵害するおそれが少ないものであることから、このような統計情報等の作成にのみ利用されることが担保されていること等を条件に、本人同意なき個人データ等の第三者提供及び公開されている要配慮個人情報の取得を可能としてはどうか

 (本人同意なき個人データ等の第三者提供について当該個人データ等が統計情報等の作成にのみ利用されることを担保する方法として、)個人データ等の提供元・提供先における一定の事項(提供元・提供先の氏名・名称、行おうとする統計作成等の内容等)の公表、統計作成等のみを目的とした提供である旨の書面による提供元・提供先間の合意、提供先における目的外利用及び第三者提供の禁止を義務付けることを想定している

 今後、個人情報保護委員会は、本資料の内容も踏まえつつ、ステークホルダーとの議論を続けていくとのことですので、今後も動向を注視する必要があります。

経済産業省「産業データの越境データ管理等に関するマニュアル」の公表

 執筆:小倉 徹弁護士

 2025年1月27日、経済産業省は、「産業データの越境データ管理等に関するマニュアル」(以下「本マニュアル」といいます)を公表しました。

 本マニュアルは、個人情報保護の観点から議論が積み重ねられてきた「パーソナルデータ」に比べ、これまで体系的な検討が限られていた「非パーソナルデータ」の領域に焦点を当てるものであり、データ共有・利活用の促進を通じて、中長期的な産業競争力の強化や、企業横断的なデジタル基盤の確立にも寄与することを目的とするものです。

 本マニュアルでは、越境データ管理等のステップとして、以下の3つを提示しています。

  1. リスクの可視化
    ・データの越境移転が起こるトランザクションの整理
    ・データライフサイクルの段階に応じたリスクシナリオの整理
  2. リスクの評価
    ・対象となるデータやリスクが発生するプロセスの確認
    ・自社にとっての影響の大きさの評価および対応の優先度の整理
  3. 打ち手の実施
    ・優先して対応が必要なリスクに対する「打ち手」の策定・実行(モニタリング・事前対応・事後対応)

 また、想定される代表的なリスクのうち、以下の「政府の行為によるリスク」を中心に、組織的な対応(ガイドライン策定・保管場所選定等)、法的な対応(契約の締結等)および技術的な対応(暗号化・アクセス制限等)の観点から、そのリスクに対し有効と考えられる打ち手の方向性を整理しています。

  • データ移転・事業活動の制限(データローカライゼーション)
  • データの強制的なアクセス(ガバメントアクセス)
  • データの共有・開示の義務化

 本マニュアルを参考に、事業者において、安全・安心な形での産業データの共有・利活用が進むことが期待されます。

経済産業省「スタートアップの成長に向けたインセンティブ報酬ガイダンス − 人材獲得のためのストックオプション活用術 − 」の公表

 執筆:所 悠人弁護士

 2025年2月10日、経済産業省より、「スタートアップの成長に向けたインセンティブ報酬ガイダンス − 人材獲得のためのストックオプション活用術 − 」が公表されました。

 その内容は以下のとおりです。

第1章 インセンティブ報酬制度導入の意義と考え方
・人材獲得戦略としてのインセンティブ報酬制度
・インセンティブ報酬の目的と付与対象者の理解
・インセンティブ報酬の中心となるストックオプション
・税制適格ストックオプションとは?
・成長段階に応じたインセンティブ報酬制度の活用
・ストックオプション活用のモデルケース
・ストックオプションに関する最近の制度改正等

第2章 成長を実現した企業の報酬制度事例紹介

第3章 ストックオプションに関する実務上の論点
・論点1 ストックオプションの発行割合 総発行枠をどう考える?
・論点2 役職員の退職時の取扱い 辞めたら無効?
・論点3 クリフとベスティング
・論点4 M&A時のストックオプションの取扱い
・論点5 上場を見据えて検討すべき制度
・論点6 グローバル人材獲得のための報酬制度
・論点7 海外で勤務する役職員対応

第4章 ストックオプションに関する実務手続
・ストックオプションの諸手続
・ストックオプションの手続で起こりがちな失敗
・ストックオプションの手続に関する留意事項

 本ガイダンスは、税制適格ストックオプションの概要、ストックオプションにまつわる実務手続について端的に解説しているだけではなく、ストックオプションに関する近時の制度改正、実務上の論点(オプションプールや退職時・M&A時の取扱いに関する近時のトレンドを含む)、実務手続における留意点などについても解説がされており、痒い所にも手が届く十分な内容を備えています。また、成長段階に応じたモデルケースや、実在企業における成功例が紹介されているなど、具体的な条件設計についてもイメージができるようになっています。

 スタートアップ向けのストックオプションについて、必要十分なボリュームで解説した文献はこれまであまりなかったため、スタートアップがインセンティブ報酬としてストックオプションの活用を考える際には、必読といえるような非常に有用なガイダンスとなっています。

国土交通省「下水道分野におけるウォーターPPPガイドライン 第2.0版(案)」に関する意見募集

 執筆:岩崎 啓太弁護士

 2025年2月3日、国土交通省の水管理・国土保全局上下水道審議官グループより「下水道分野におけるウォーターPPPガイドライン 第2.0版(案)」(以下「本ガイドライン案」といいます)がパブリックコメントに付され、同月18日まで意見募集が実施されました。

 本ガイドライン案は、「Ⅰ 基礎編」「Ⅱ 実施編」「Ⅲ 資料編(先行事例、パンフレット、上下水道一体ウォーターPPP契約書(例)及び要求水準書(例))」から構成されており、以下のとおり、下水道分野におけるウォーターPPPに関するポイントや実務上の工夫等が詳細に紹介されています。

■ 本ガイドラインの概要
・ウォーターPPPの概要
・レベル3.5の4要件
・導入検討の進め方
・導入可能性調査(FS)、マーケットサウンディング(MS)等の活用
・入札・公募について
・事業実施中・事業終了時について
・導入検討上の留意点・ポイント
・都道府県に期待する役割

 わが国の上下水道事業に関し、地方公共団体は、職員不足、施設の老朽化、水道料金や下水道使用料収入の減少などの様々な課題を抱えています。

 従前、地方公共団体では、上下水道施設の新設や既存施設の運転維持管理・設備更新等の必要が生じた際、PPP/PFIの手法等によって民間事業者のノウハウや技術力を活用してきました。

 ウォーターPPPもこのような官民連携手法の1つであり、以下のようなコンセッション方式(レベル4)と管理・更新一体マネジメント方式(レベル3.5)の総称と捉えられています(概要については、国土交通省 水管理・国土保全局 下水道部「ウォーターPPPについて」(2023年6月)を参照ください)。

コンセッション方式(レベル4)
 利用料金の徴収を行う公共施設について、施設の所有権を公共主体が有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定する方式

管理・更新一体マネジメント方式(レベル3.5)
 コンセッション方式に準ずる官民連携方式として、また水道・下水道・工業用水道分野において、レベル4に段階的に移行するための官民連携方式として、長期契約で管理・更新を一体的にマネジメントする方式

 以上のようなウォーターPPPに関する実務上のポイント等を整理したものが本ガイドライン案であり、今後、パブリックコメントの結果を踏まえ、その改定等が進められていく見込みです。
 このようなガイドラインの作成等を経て、ウォーターPPPが地方公共団体における新たな官民連携の手法として普及し、上記のような上下水道事業の課題解決に資することが期待されています。

シリーズ一覧全44件

  1. 第1回 2022年4月施行の改正法を中心とした最新動向と対応のポイント
  2. 第2回 2022年4月・5月施行の改正法を中心とした最新動向と対応のポイント
  3. 第3回 2022年6月施行の改正法を中心とした最新動向と対応のポイント
  4. 第4回 2022年7月以降も注目 企業法務に関する法改正と最新動向・対応のポイント
  5. 第5回 2022年6月公表の「骨太方針」、開示に関する金融庁報告書、および7月のCGSガイドライン再改訂に関する対応のポイント
  6. 第6回 2022年3月〜6月の医薬品・医療に関する法律・指針等に関する日本・中国の最新動向と対応のポイント
  7. 第7回 2022年5月〜6月の人事労務・データ・セキュリティ・危機管理に関する企業法務の最新動向・対応のポイント
  8. 第8回 2022年9月に押さえておくべき企業法務に関する法改正と最新動向・対応のポイント
  9. 第9回 2022年10月施行の改正法を中心とした最新動向と対応のポイント
  10. 第10回 2022年11月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  11. 第11回 2022年12月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  12. 第12回 2023年1月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  13. 第13回 2023年2月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  14. 第14回 4月施行の改正法ほか2023年3月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  15. 第15回 2023年4月施行の改正法を中心とした企業法務の最新動向
  16. 第16回 6月施行の改正法ほか2023年5月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  17. 第17回 2023年6月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  18. 第18回 2023年7月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  19. 第19回 2023年8月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  20. 第20回 2023年9月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  21. 第21回 2023年10月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  22. 第22回 2023年11月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  23. 第23回 2023年12月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  24. 第24回 2024年1月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  25. 第25回 2024年2月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  26. 第26回 2024年3月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  27. 第27回 4月施行の改正法ほか2024年4月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  28. 第28回 2024年5月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  29. 第29回 2024年6月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  30. 第30回 2024年7月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  31. 第31回 2024年8月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  32. 第32回 2024年9月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  33. 第33回 2024年10月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  34. 第34回 2024年11月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  35. 第35回 2024年12月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  36. 第36回 2025年1月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  37. 第37回 2025年2月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  38. 第38回 2025年3月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  39. 第39回 4月施行の改正法ほか2025年4月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  40. 第40回 2025年5月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  41. 第41回 2025年6月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  42. 第42回 2025年7月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  43. 第43回 2025年8月に押さえておくべき企業法務の最新動向
  44. 第44回 2025年9月に押さえておくべき企業法務の最新動向
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