サステイナビリティ時代に求められる企業の経営戦略

第13回 人権デューデリジェンスの実践(その5)- 国際人権基準や各国国内法の内容理解に基づく人権への負の影響の分析

国際取引・海外進出
渡邉 純子弁護士 西村あさひ法律事務所

シリーズ一覧全14件

  1. 第1回 サステイナビリティと日本企業の海外進出 〜求められる3つのマインドセット〜
  2. 第2回 「ビジネスと人権」の概要と国際的潮流
  3. 第3回 「ビジネスと人権」に関する日本政府の対応状況と日本企業の取り組み動向
  4. 第4回 ビジネスと人権 - コーポレート・デューデリジェンスおよびコーポレート・アカウンタビリティに関するEUの新指令
  5. 第5回 サステイナビリティと気候変動 – 英国のTCFD情報開示の義務化に関する公表
  6. 第6回 英国現代奴隷法の強化と「現代奴隷」
  7. 第7回 世界の人権デューデリジェンス関連法制総まとめ
  8. 第8回 人権デューデリジェンスの実践(その1) - 人権デューデリジェンス全般に関する留意点と5つのステップ
  9. 第9回 国際人権法の成り立ちと実務への適用 - 水に対する権利を題材に
  10. 第10回 人権デューデリジェンスの実践(その2) - スコーピング(調査範囲確定)の必要性と留意点
  11. 第11回 人権デューデリジェンスの実践(その3) - データ収集時におさえておくべき6つの視点と具体的方法、KPI設定のポイント
  12. 第12回 人権デューデリジェンスの実践(その4) - 類型にもとづくリスク分析と企業に求められる対応
  13. 第13回 人権デューデリジェンスの実践(その5)- 国際人権基準や各国国内法の内容理解に基づく人権への負の影響の分析
  14. 第14回 EUの「コーポレート・サステイナビリティ・デューデリジェンスに関する指令案」の概要と今後の見通し
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目次

  1. 「国際人権」の内容理解
    1. 総論
    2. 強制労働の禁止
  2. 各国国内法との関係
  3. 関連法規範を理解したうえでの事実認定
  4. ステップ3(リスク分析)におけるその他の留意点
※本記事は、西村あさひ法律事務所が発行するニューズレターの「サステイナビリティと日本企業の海外進出 - ビジネスと人権(10) 人権デューデリジェンスの実践[その5] -」の内容を元に編集したものです。

 前回に続き、本稿では、企業が関連し得る人権への負の影響の分析(ステップ3)の後半として、負の影響の対象となる「国際的に認められた人権」の具体的な内容と、各国国内法との関係性等について解説します。

「国際人権」の内容理解

総論

 指導原則 1 に従って企業が参照すべき規範(企業が尊重責任を負う人権)は、「国際的に認められた人権」とされています。具体的には、最低限、①「国際人権章典(世界人権宣言、およびこれを条約化した主要文書である自由権規約ならびに社会権規約)」で表明されたもの、および②「労働における基本的原則及び権利に関する国際労働機関(ILO)宣言」であげられている基本的権利に関する原則を指します(指導原則12)。このうち、②は、以下のとおり4つの分野を包含しており、各分野についてさらに8つの個別のILO条約で詳細が規定されています(当該8条約による国際労働基準は、「中核的労働基準」と呼ばれます。)。

 国際人権法は、国家を名宛人として国の法的義務を発生させるものであり 2、企業に対して直接的に法的拘束力を有するわけではありませんが、上記のとおり、指導原則を通じて、企業はこれらの人権条約上の国際人権の内容を参照する必要があります(国際人権法上は、各国際人権条約を締結している国家が当該条約の内容に沿った国内法を制定し、各国企業が当該国内法の適用を受けるという構造が前提となっています。しかし、そもそも中核的な国際人権条約を批准していない国が存在すること、批准していても適切な内容の国内法が制定されていない場合があること、さらには、国内法が制定されていても企業のグローバルな活動に対する域外適用がないことといった制約があるため、指導原則は、企業が上記の中核的な国際人権法上の人権の内容を尊重することを要求するものとなっています)。

 上記のうち国際人権章典は、非常に幅広い種類の国際人権を網羅しているため、留意が必要です(特に最近、日本でも多く報道されている、強制労働などのサプライチェーン上の労働に関する権利のみではありません)。また、各国際人権の内容については、「第9回 国際人権法の成り立ちと実務への適用 - 水に対する権利を題材に」でも解説した国連の各人権条約機関や、特別手続の報告書、国連人権理事会の各国に対する普遍的定期的審査の結果、ILOの監視システム、各国裁判例等のソースを解釈の参考にします。

強制労働の禁止

 上記の枠組みを念頭に、具体的な国際人権の内容を理解していくことが必要ですが、今回は一例として、強制労働の禁止について解説します。中国の少数民族に関する事案を含む、米国税関国境保護局(CBP)による輸入差止事案においても、昨今特に大きな注目を集めている強制労働ですが、これに関して筆者がよく受ける質問の1つに、「『人権』侵害の有無は人によって考え方も異なる部分が大きい気がするが、何か基準は存在するのか」というものがあります。以下で解説するように、国際人権法の条約上の規定(およびこれを具体化する各国国内法の規定)や国際機関の発行文書の中に、各人権の内容や人権侵害を構成する判断要素は存在します。

 まず、強制労働の定義は、1-1で紹介した中核的労働基準の1つである1930年強制労働条約(第29号)によって、「ある者が処罰の脅威の下に強要され、かつ、右の者が自らの自由意思で申し出た者ではない一切の労務を指す」と規定されており(同条約2条1項)、①処罰の脅威、および②自発的に行われない労働または役務、という2つの要素によって特徴付けられます。端的に言えば、ある者が自らの自由な意思に反して労務を提供しており、かつ、処罰や処罰されることの脅威を避けては当該状況から離脱することができない場合が強制労働に該当します。

 ここにいう「処罰」とは、物理的・肉体的な処罰または制約(監禁、暴力による威嚇やその行使、労働者が職場の外に自由に出ることの制限等)に限られず、特定の権利や特権を失うこと(たとえば賃金不払い)や、不法就労者の当局に対する告発等のあらゆる形態を含みます。なお、強制労働の強要は刑法上の罪とされるため(同条約25条)、現時点でも多くの国の国内法において刑罰として規定されています。

 加えて、強制労働は、業界や職業を問わず、また、法令に則った正式な雇用か違法な雇用かを問わず、いかなる形態の労務をも含みます。さらに、対象となる者はすべての自然人であり、成人か未成年かを問わず、強制労働の発生国における国籍の有無も問いません強制労働に該当しない例外としては、以下があげられます(同条約2条2項)。

  • 純粋な軍事的性質の作業に対して強制兵役法により課せられる労務
  • 完全に自治権を有する国の国民の通常の市民的義務の一部を構成する労務
  • 法廷における有罪判決の結果として個人に課せられた労務。ただし、当該労務が公的機関の監督および管理のもとで行われ、当該個人が私人、企業または団体に雇用され、またはその指揮に服さないことを条件とする。
  • 緊急の場合、すなわち、戦争または災害もしくは災害の恐れのある場合、たとえば、火災、洪水、飢饉、地震、激しい伝染病もしくは流行病、動物、虫類もしくは病虫害の侵入、および一般的に人口の全部または一部の生存または幸福を危険にさらすような場合に要求される、あらゆる労務
  • コミュニティの構成員が当該コミュニティの直接の利益のために行うことにより、当該コミュニティの構成員に課せられた通常の市民の義務とみなすことができる種類の、小規模なコミュニティの労務。ただし、コミュニティの構成員またはその直接の代表者は、当該労務の必要性について意見を求められる権利を有するものとされています。

 上記の強制労働の定義を踏まえ、強制労働への該当事案を発見するための最も典型的なサインとして、以下の11項目(ILOが公表している指標)3 が参考になります 4。個別事案の内容や、下記のどの項目に該当するかにより、いずれか1つのインディケーターの存在のみで強制労働該当性が認定される場合もありますが、複数の要素を総合考慮したうえで認定される場合もあり得ます。

 筆者が実際に、中東やアフリカから欧州に逃れて来た難民認定申請者からヒアリングを行った際も、難民認定申請国にたどり付くまでの経由国で強制労働の被害に遭っているケースがしばしばあり、そのようなケースにおいて、下記の複数の要素が同時に存在する事案は珍しくありません(たとえば、そもそも難民(非正規移民)かつ未成年等という地位の脆弱性が認められ(以下①)、労働場所に閉じ込められ(③④)、雇用主から暴力を受け(⑤)、十分な食事を与えられず動物と一緒に寝かされる(⑩)等)。
 なお、日本国内における外国人技能実習生に関しても、強制労働該当性が認められる事案が存在するため、日本国内のみにしかバリューチェーンを有さない企業も留意が必要です。

  1. 脆弱性の悪用
    上記のとおり、いかなる者も強制労働の対象者になり得ますが、特に脆弱性の高い個人は強制労働の標的にされやすいという実態があります。具体的には、(暴力の対象となりやすい)女性や未成年、(現地語を話せない・現地法の知識がない・また在留資格が様々な権利と結びついている)移民、(職業選択の自由の幅が少ない)貧困層、宗教的・民族的少数者等があげられます。

    労働者の脆弱性が高いというだけでただちに強制労働該当性が認められるわけではありませんが、当該性質を使用者側が搾取の意図を持って利用すると、強制労働が発生します。なお、仕事のみでなく、住居(工場の寮等)や食料も含めて使用者に依存している場合、さらに脆弱性が高まります。

  2. 詐欺
    労働者がある約束を信じて雇用関係に入ったものの、当該約束が果たされない場合で、真実を知らされていれば当該関係に入らなかったであろうケースです。適正な労働条件(賃金・仕事内容・住居等)を約束されて労働を開始したものの、実際には約束された内容と異なる虐待的な労働環境で、逃避する手段も奪われてしまうなどが典型例です。

  3. 移動の制限
    労働者の逃避を防止するために、作業場または移動中において常に移動が制限されている場合(工場を施錠して労働者を閉じ込めたり、警備員やカメラにより労働者の所在が監視されている場合等)が典型例です。労働者の安全を確保するために行われている場合もありますが、合理的理由がなければ強制労働を基礎付ける大きな要素となります。

  4. 孤立
    強制労働の対象者はしばしば外界から隔離されています。自らの居場所すら知らないまま、人間の居住地域から遠く離れた、移動手段も存在しないような場所に隔離されていることもありますが、居住地域の中心部に居ながらも、携帯電話を取り上げられ自由な出入りも禁止される等して外界との接点を遮断されている事案も往々にして存在します。公に登録されていない事業場の場合、法の執行もさらに難しくなります。

  5. 身体的・性的暴力
    労働者を支配下に置くためにドラッグやアルコールの摂取を強要する、当初約束されていた労働内容に加えて使用者やその関係者との性的関係を強要する、そもそも誘拐したうえで強制労働の状況下に置く等があり得ます。いかなる場合にも許容されない行為のため、強制労働を基礎付ける大きな要素となります。

  6. 脅迫
    労働条件に関する不満や仕事を辞める旨を表明した際に、「不法就労について当局に通報する」「賃金や住居を変更する」「(現在は可能である)職場への自由な出入りを禁止する」等、勤務条件を悪化させる旨の脅迫が行われているケースや、労働者の脆弱性を高めるため、恒常的に精神的なハラスメントが行われているケース等があります。各労働者の年齢や、個人的な信条文化的バックグラウンド、社会的経済的ステータス等も考慮して判断することになります。

  7. 身分証明書の保持
    使用者が労働者の個人的な身分証明書またはその他の重要物を占有しており、労働者が自由に使用・アクセスできず、それによって雇用関係を終了させることが妨げられている場合(多くの場合、身分証明書を保有していない場合には、他の仕事の機会を得ることができず、また、生きていくうえで必要なあらゆるサービスを受けることも不可能です)、強制労働を基礎付ける事実になります。

  8. 賃金の差し押さえ
    賃金の支払いの遅れや不定期な支払いの事実自体により、ただちに強制労働が認定されるわけではありませんが、労働者を職場に留めるために意図的に賃金の支払いが遅らされており、雇用終了の自由が事実上労働者に与えられていない場合には強制労働に該当します。

  9. 負債による束縛
    給与の前払い、リクルート業者に支払う費用や(勤務場所に移住するための飛行機代等の)旅費を捻出するためのローン、児童労働の提供を対価として当該児童の親に対して貸し出されるローン、生活費や医療費等の緊急費用のローン等、様々な形態で労働者に対して負債を負わせ、(特に労働者の識字能力が欠けている場合等に)負債の残額の不当な操作や法外な利子の請求によりその額を膨れ上がらせることで、労働者が負債の返済(=労働の提供)から逃れられないようにするといった手段がよく用いられます。

  10. 虐待的な労働環境および生活環境
    著しく劣悪な労働環境や生活環境(たとえば、危険もしくは不衛生な職場、または狭い部屋に何人もの労働者で住むことが強要されており、プライバシーの確保されていない寮等)は、場合によっては、労働者が任意で当該環境を受け入れている場合もあるため、当該事実のみでただちに強制労働該当性が認定されるわけではありません。もっとも、当該事実は、労働者の離職を妨げる効果のある脅迫に事実上繋がる場合があるほか、自発的ではない労働を基礎付ける事実にもなり得ます。

  11. 過剰な時間外労働
    強制労働を強要されている労働者は、国内法や労働協約の定めを超える時間外労働や連続した日数の勤務を義務付けられていることがあります。時間外労働の事実自体が強制労働に該当するものではありませんが、解雇の可能性等、何らかの形での脅迫を受けることによって、法令に違反する過剰な労働を行っている場合には、強制労働を基礎付ける事実として認められます。

各国国内法との関係

 人権デューデリジェンスを行ううえでは、1で解説した国際人権の内容とともに、関連する各国国内法の内容も把握しておく必要があります。筆者の整理では、その理由として主に以下の点があげられます。

  1. 国際人権基準を具体化する国内法がすでに存在する場合、当該国内法の規定を遵守することは、当該国内法に基づく企業の法的義務であること(国際人権条約を批准した国の国内法整備に関する義務については、上記1-1参照)。

  2. 同時に、既存の国内法の内容が国際人権基準によって求められる水準に満たない場合、指導原則に基づき、企業には国際人権基準を満たした対応が求められること。言い換えれば、国際人権基準と国内法との間にギャップが存在する場合には、従来の法務・コンプライアンスチェックでは拾えていない人権リスクが顕著である可能性 5 があるため、優先して対処すべき人権リスクの重点項目を洗い出すうえでも重要となること。

  3. 国際人権基準への違反の有無の判断についても、国内法の基準が1つの目安となる場合があること(たとえば、1-2の表中で強制労働の指標の1つとしてあげた⑪の時間外労働が、各事案において各国国内法の法令で許容されている限度を超えているか否かは、強制労働該当性を判断するための1つの目安となります)。

  4. 人権侵害の構造的な要因に国内法の内容が関わる場合があり、実際の人権リスクの高低、および個別事案での対処方法を分析するにあたっても有用であること(たとえば、コロナ禍における移民の脆弱性のさらなる悪化 6 は、渡航・移動の制限や在留資格を定める出入国関連法令、緊急支援策の範囲を定める関連法令の内容が要因となる側面もあります)。

  5. 指導原則上 7、国際人権の尊重責任を果たそうとすることによって、別の観点での国内法遵守の要請との矛盾関係が生じてしまう場合には、双方の両立を目指した対策の検討が求められていること。

  6. 人権侵害に対する是正(ステップ4)の方法検討の際に、各国国内法上、採るべき手段が規定されている場合があること。

関連法規範を理解したうえでの事実認定

 上記のように、関連する法規範の内容(国際人権基準、およびこれを具体化する国内法があればその内容のいずれも含みます)を理解したうえで、具体的な証拠に基づき、各人の有する個別の人権に対する負の影響(潜在的な影響を含みます)の有無に関する事実認定を行うことが、人権デューデリジェンスのリスク分析(ステップ3)として本来的に必要とされる手順となります。そのため、「第11回 人権デューデリジェンスの実践(その3) - データ収集時におさえておくべき6つの視点と具体的方法、KPI設定のポイント」で解説した、セルフチェックリスト(SAQ)等による確認の効果の限界は、この点から説明することができます(もっとも、同記事でも解説したとおり、リスクの優先順位付けの結果や取組みの進捗度合い等によってSAQが有用な場合もあるため、情報収集の手段は、場面に応じて柔軟に使い分けることが重要です)。

 また、必要な証拠の収集方法には、ライツホルダーからのヒアリング等のほかに、資料のレビューも含まれることを同記事で説明しました。上記で解説した強制労働の禁止に関する具体例としては、雇用契約等の中に強制労働を誘発するような記載がないか否かも確認する必要があることなどがあげられます(1-2の表中であげたように、給料の差し押さえや負債による束縛等が実質的に可能となるような条項がないか等)。
 さらに、本連載において繰り返し強調してきましたが、国や地域・業界ごと等、個別事案によって人権侵害の特質や発生要因には差異があるため、マニュアル的な対応ではなく必要かつ十分な情報収集を行うという観点から、現場の状況に精通しているステークホルダー(労働組合やNGO、国際機関の現地オフィス等)との協議を行うことも重要です。

ステップ3(リスク分析)におけるその他の留意点

 企業が人権への負の影響を分析する際に、当該負の影響の原因となっている自らの企業行動が、別の観点で、人権保障に対するポジティブな貢献をしていることを考慮することはできない点には留意が必要です。たとえば、企業が特定の事業活動を行うことによって他国での人権侵害の要因を作出している場合に、当該事業活動により当該他国での雇用機会を創出していることが理由で、負の影響が相殺されることはありません。指導原則の基本的な考え方は、負の影響(潜在的なものを含みます)に着目した分析・対応を求めるところにあります。


 以上、人権への負の影響の分析方法について、関連法規範である国際人権法の内容や各国国内法の内容を理解したうえで、各対象事案が当該人権に対する負の影響を発生させている(またはさせ得る)ものであるか否かを分析することの重要性について解説しました。「人権デューデリジェンスの実践(その6)」(近日公開)では、当該分析に基づき特定されたリスクへの対処方法を解説します。

ステップ3 (企業が関連し得る人権への負の影響の分析)のポイント
  • 企業が尊重責任を負うべき「国際的に認められた人権」の内容を、個別の人権課題ごとに具体的に理解する。
  • あわせて、関連する各国国内法の規定も確認する。
  • これらの法規範に照らして、ステップ2で収集した証拠に基づき、人権への負の影響を分析する。

  1. 国連「ビジネスと人権に関する指導原則」を指します。 ↩︎

  2. なお、上記②の「労働における基本的原則及び権利に関する国際労働機関(ILO)宣言」に基づく4分野については、中核的労働基準を定める8条約のうち批准していない条約があっても、ILO加盟国は、ILOに加盟しているという事実自体から、これらを尊重・促進および実現する義務を負うこととされています(同宣言2項)。 ↩︎

  3. ILO「ILO Indicators Forced Labour」(2012年10月1日) ↩︎

  4. この11の指標は、米国税関国境保護局による輸入禁止措置の判断においても参考にされているものです。 ↩︎

  5. なお、途上国・新興国においては、仮に国際人権基準に沿った国内法が整備されている場合であっても、実際の執行体制を含む実務が、往々にして国際人権基準を下回っていることがある点には留意が必要です。他方で、これらの国では、国内法の内容自体が明確に国際人権基準に満たない場合も多く、その場合には、デューデリジェンスを行ううえでのレッドフラグ項目の対象にただちになり得ます。たとえば、ILO中核的労働基準の1つである結社の自由について、十分な結社の自由が労働法上認められていない国も未だ多く存在し、当該国で操業を行う企業は、実質的な対応策を検討する必要があります。 ↩︎

  6. コロナ危機による東南アジア・東アジア各国の移民の脆弱性の悪化とその要因について、Human Rights Working Group Indonesiaによるフィールド調査の報告書「Repression and Resilience: COVID-19 Response Measures and Migrant Workers’ Rights in Major East and Southeast Destinations(2020)」(2021年2月28日)参照。 ↩︎

  7. 指導原則23(b) ↩︎

シリーズ一覧全14件

  1. 第1回 サステイナビリティと日本企業の海外進出 〜求められる3つのマインドセット〜
  2. 第2回 「ビジネスと人権」の概要と国際的潮流
  3. 第3回 「ビジネスと人権」に関する日本政府の対応状況と日本企業の取り組み動向
  4. 第4回 ビジネスと人権 - コーポレート・デューデリジェンスおよびコーポレート・アカウンタビリティに関するEUの新指令
  5. 第5回 サステイナビリティと気候変動 – 英国のTCFD情報開示の義務化に関する公表
  6. 第6回 英国現代奴隷法の強化と「現代奴隷」
  7. 第7回 世界の人権デューデリジェンス関連法制総まとめ
  8. 第8回 人権デューデリジェンスの実践(その1) - 人権デューデリジェンス全般に関する留意点と5つのステップ
  9. 第9回 国際人権法の成り立ちと実務への適用 - 水に対する権利を題材に
  10. 第10回 人権デューデリジェンスの実践(その2) - スコーピング(調査範囲確定)の必要性と留意点
  11. 第11回 人権デューデリジェンスの実践(その3) - データ収集時におさえておくべき6つの視点と具体的方法、KPI設定のポイント
  12. 第12回 人権デューデリジェンスの実践(その4) - 類型にもとづくリスク分析と企業に求められる対応
  13. 第13回 人権デューデリジェンスの実践(その5)- 国際人権基準や各国国内法の内容理解に基づく人権への負の影響の分析
  14. 第14回 EUの「コーポレート・サステイナビリティ・デューデリジェンスに関する指令案」の概要と今後の見通し
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