2026年1月施行の取適法とは?下請法からの改正点を踏まえ解説
取適法(とりてきほう)とは、下請法(下請代金支払遅延等防止法)が改正により名称変更したもので、正式名称は「製造委託等に係る中小事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」です。 取適法は、優越的地位にある委託事業者による中小受託事業者への不当な行為を規制し、委託取引の公正化と中小受...
下請法(下請代金支払遅延等防止法)は、優越的地位にある親事業者による下請事業者への不当な行為を規制し、下請取引の公正化と下請事業者の利益保護を図ることを目的とした法律です。企業の法令遵守が強く叫ばれる中、下請法違反は企業価値を大きく損なう行為とされています。
下請法は2025年改正法により、2026年から「製造委託等に係る中小事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(通称:「取適法(とりてきほう)」)へと名称が変更され、規制内容の追加や規制対象の拡大がなされます。
下請法は、親事業者に対して、4つの義務と11の禁止行為を定めています。
以下では、下請法の適用対象と義務・禁止行為、罰則について解説した実務記事を紹介します。
取適法(とりてきほう)とは、下請法(下請代金支払遅延等防止法)が改正により名称変更したもので、正式名称は「製造委託等に係る中小事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」です。 取適法は、優越的地位にある委託事業者による中小受託事業者への不当な行為を規制し、委託取引の公正化と中小受...
令和7年5月16日、「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」(改正下請法)が国会において可決・成立しました。施行日は令和8年1月1日とされています。法律名は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」へ変更され、「中小受託法」や「取適...
2025年5月16日、「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」(改正下請法)が可決・成立し、2026年1月1日から施行される。 「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(中小受託取引適正化法、通称:取適法)への名称変更をはじめ、企...
日本経済の長年の課題であるデフレからの脱却へ向け、政府は「価格転嫁の円滑化」を強力に推進する。その強い意志の表れともいえるのが、2026年1月1日から施行される改正下請法だ。 しかし、東京大学大学院法学政治学研究科の滝澤 紗矢子教授は、前のめりな政府の姿勢に対して、バランスの取れた冷静な議論が必要と...
目次 製造委託に該当する取引 自家使用物品の製造 製造委託の資本金基準 下請法が適用される取引の場合、親事業者には書面の交付義務、支払期日を定める義務、書類の作成・保存義務、遅延利息の支払義務が課されます。 詳しくは、「親事業者が負う下請法上の義務とは」を参照ください。 製造委託に該...
卸売業者が関与する場合の親事業者と下請事業者 下請法上の「製造委託」 事業者が業として行う販売の目的物たる物品の製造を他の事業者に委託することは、下請法上の「製造委託」(下請法2条1項)に該当します。そのため、食品・飲料の小売業者または卸売業者が、お菓子の製造業者にPB商品の製造を...
下請法の適用対象 下請法は特定の取引にしか適用がなく、具体的には、①取引当事者の資本金および②取引の内容(製造委託、修理委託、情報成果物作成委託または役務提供委託)の2つの側面から下請法の適用対象となる取引を定めています。 すなわち、①資本金と②取引の内容に関する双方の基準を満たす...
目次 下請法が適用される要件 製造委託とは 情報成果物作成委託とは 資本金要件 製造委託の資本金要件 情報成果物作成委託の資本金要件 文章・デザインの作成と印刷とが不可分一体の取引として委託された場合 下請法が適用される要件 下請法はあらゆる取引に適用されるのではなく、①製造...
目次 役務提供委託とは 「役務の提供を有償で行っている」とは 役務提供の「全部または一部を再委託」とは 役務提供委託における資本金要件 労働者派遣法に基づく労働者派遣と下請法の適用の有無 まとめ 役務提供委託とは 下請法の適用の有無は、取引当事者双方の資本金の額と取引内容の2つ...
親事業者の義務 下請法の適用がある取引においては、親事業者には、次の4つの義務が課せられています。 書面の交付義務(下請法3条) 支払期日を定める義務(下請法2条の2) 書類の作成・保存義務(下請法5条) 遅延利息の支払義務(下請法4条の2) 書面の交付義務 上記のうち書面の交付義務...
はじめに 親事業者の立場からすると「下請代金を支払いさえすれば良い」という考えもあるかもしれませんが、下請事業者にとって、下請代金を迅速に払ってもらうことは、自社の資金繰りにも影響する重要な問題です。下請法では、親事業者が下請事業者に支払う下請代金の支払期日について規制を定め、下請事業者の保護を...
下請法の適用 他の事業者に自社のプライベートブランドの商品の製造を委託することは、製造委託にあたると考えられます。よって、委託者と受託者の資本金が一定の関係にある場合には下請法の適用があることになります。具体的には、①委託者(親事業者)が資本金3億円超の法人事業者で、受託者(下請事業者)が資本金...
「買いたたき」とは何か 買いたたきとは、下請事業者の給付の内容と同種または類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めることをいい(下請法4条1項5号)、親事業者が下請事業者と下請代金の額を決定する際に買いたたきを行うと下請法違反となります。 ここにいう「...
2023(令和5)年11月29日、内閣官房および公正取引委員会(以下「公取委」といいます)が連名で「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を公表しました。 同指針は、「発注者として採るべき行動/求められる行動」として6つの行動を掲げています。それらの行動は多岐にわたり、また、経営トッ...
特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(以下「フリーランス法」といいます)が、2024年11月1日に施行されました。 フリーランス法は、特定受託事業者と呼ばれるフリーランスとの間の幅広い取引について、発注者に対し、取引条件の明示、給付の受領日から起算して原則60日以内の報酬支払、買いた...
優越的地位の濫用とは 優越的地位の濫用とは、① 取引の一方の当事者が自己の取引上の地位が相手方に優越していること(優越的地位)を利用して、② 正常な商慣習に照らして不当に、不利益を与える行為(濫用行為)を行うことをいい(独占禁止法2条9項5号)、独占禁止法は、これを「不公正な取引方法」の一類型と...
勝因を分析する独禁法の道標6
実務競争法研究会 監修:東京大学教授 白石忠志 編者:籔内俊輔 弁護士/池田毅 弁護士/秋葉健志 弁護士 本稿は、実務競争法研究会における執筆者の報告内容を基にしています。記事の最後に白石忠志教授のコメントを掲載しています。 同研究会の概要、参加申込についてはホームページをご覧ください。 ...