2020年企業法務に関するアンケート結果 読者が選ぶ注目トピックス、読んで良かった記事は?
法務部
2020年10月から11月にかけて、BUSINESS LAWYERSは「2020年企業法務に関するアンケート」を実施しました。
新型コロナウイルスの世界的な流行に見舞われた2020年は、テクノロジーを活用したビジネスツールの加速度的な普及もあり、様々な分野でパラダイムがシフトした激動の一年となりました。
120年ぶりの民法改正をはじめ、法務分野においても大きな転換点となった2020年をアンケート結果とともに振り返ります。
実施時期:2020年10月19日〜11月20日
調査対象:BUSINESS LAWYERSの登録会員(有効回答者数 98名)
調査手法:記述/インターネットによるアンケート調査
2020年の最注目トピックスは「民法改正」
「2020年に気になった企業法務の出来事(複数回答可)」への回答は、ご覧の結果となりました。
順位 | トピック | 票 |
---|---|---|
1 | 民法改正 | 81 |
2 | 新型コロナウイルス流行による業務への影響 | 56 |
3 | 法務のDX(デジタル化)・リーガルテックの活用 | 52 |
4 | 契約書の電子化 | 48 |
5 | 改正個人情報保護法の成立 | 38 |
6 | 会社法改正 | 37 |
7 | パワハラ防止法の施行 | 35 |
8 | 著作権法改正 | 16 |
9 | セキュリティ関連事案 | 9 |
10 | 健康増進法改正 | 6 |
その他 | 3 |
法務担当者が最も注目したトピックは、やはり「民法改正」。最多となる81票を集め、120年ぶりの大改正が業務に与えるインパクトの大きさが裏付けられる格好となりました。
2位は「新型コロナウイルス流行による業務への影響」(56票)。これに「法務のDX(デジタル化)・リーガルテックの活用」(52票)、「契約書の電子化」(48票)が続きました。各社がコロナ禍への対応を契機として、法務業務におけるテクノロジー活用に本腰を入れた様子が読み取れます。
さらに、「改正個人情報保護法の成立」(38票)や「会社法改正」(37票)、「パワハラ防止法の施行」(35票)など、実務に大きな影響を与える法改正への関心の高さが際立ちました。
読者が選ぶ、BUSINESS LAWYERSで良かった記事
順位 | タイトル(著者) | 票 |
---|---|---|
1 | 会社法改正の成立と株主総会実務への影響(三谷 革司弁護士) | 42 |
2 | 新型コロナウイルス問題と債務不履行への対応 - 不可抗力の判断ポイントと民法改正の影響(宮本 聡弁護士) |
40 |
3 | 社員・従業員が新型コロナに感染した際の労務対応チェックリスト - 初動から対外的発表まで(岸田 鑑彦弁護士) |
35 |
4 | 個人情報保護法改正の動向と、企業の実務に与える影響に注目を - 情報・セキュリティ分野(影島 広泰弁護士) |
32 |
5 | 【連載】営業現場で使える!英文契約書のポイント(宮田 正樹氏) | 28 |
6 | 同一労働同一賃金の原則にみる賞与の扱い方をめぐる実務対応 - 大阪医科薬科大学事件高裁判決(長瀨 佑志弁護士) |
23 |
7 | 社員・従業員本人や家族の新型コロナ感染疑い 企業が検討・実施すべきポイント - 賃金・補償・予防を中心に(岸田 鑑彦弁護士) |
21 |
8 | 新型コロナ感染症による休業要請と商業施設・オフィスビルの賃貸借契約等の問題点(井上 正範弁護士、黒木 資浩弁護士、猿倉 健司弁護士、山内 大将弁護士) | 17 |
9 | 感染症の流行によるイベントの中止、延期、開催方法の変更を行ううえでの留意点(鈴木 里佳弁護士) | 14 |
10 | 新型コロナウイルス問題により経営難となった企業に対する支援策と債権管理 (宮本 聡弁護士) |
13 |
「2020年にBUSINESS LAWYERSで読んでよかった記事」では、法改正と新型コロナウイルスへの対応をテーマにした記事が上位を占める結果となりました。
トップに輝いたのは、三谷 革司弁護士(桃尾・松尾・難波法律事務所)の「会社法改正の成立と株主総会実務への影響」でした。2019年12月4日に成立した会社法の一部を改正する法律への対応として株主総会実務への影響を的確に説明し、最多の42票を獲得した本記事に回答者からは「会社法改正に関する記事が大変わかりやすく、参考になった」(建設/総務担当)といった声が寄せられました。
僅差の2位は、宮本 聡弁護士(大江橋法律事務所)の「新型コロナウイルス問題と債務不履行への対応 - 不可抗力の判断ポイントと民法改正の影響」(40票)。本記事は、コロナ禍で債務履行が困難になった場合の責任について、改正民法に触れながら解説し、前例のない事態に苦慮する法務担当者の業務をサポートした点が評価されました。
3位には、岸田 鑑彦弁護士(杜若経営法律事務所)の「社員・従業員が新型コロナに感染した際の労務対応チェックリスト– 初動から対外的発表まで」(35票)がランクイン。緊急事態宣言下の5月に公開された本記事は、同じく岸田弁護士が執筆した「社員・従業員本人や家族の新型コロナ感染疑い 企業が検討・実施すべきポイント - 賃金・補償・予防を中心に」(21票/7位)とともに、法務・総務・人事各部門を中心に多数の読者を獲得しました。
4位には、注目が高まる改正個人情報保護法のポイントをわかりやすく整理した、影島 広泰弁護士(牛島総合法律事務所)の「個人情報保護法改正の動向と、企業の実務に与える影響に注目を - 情報・セキュリティ分野」が、5位には、英文契約実務に役立つと評判の宮田 正樹氏の人気連載「営業現場で使える!英文契約書のポイント」が続きました。また、正職員とアルバイト職員の間の賞与に関する待遇差の是非が問われた大阪医科薬科大学事件高裁判決を解説した、長瀨 佑志弁護士(長瀬総合法律事務所)の「同一労働同一賃金の原則にみる賞与の扱い方をめぐる実務対応 - 大阪医科薬科大学事件高裁判決」が6位に入りました。
そのほか、新型コロナへの実務対応に関する解説記事が上位に並び、世界規模のパンデミックが法務実務に与えた影響の大きさを印象付ける結果となりました。
- 井上 正範弁護士、黒木 資浩弁護士、猿倉 健司弁護士、山内 大将弁護士(牛島総合法律事務所)「新型コロナ感染症による休業要請と商業施設・オフィスビルの賃貸借契約等の問題点」
- 鈴木 里佳弁護士(骨董通り法律事務所)「感染症の流行によるイベントの中止、延期、開催方法の変更を行ううえでの留意点」
- 宮本 聡弁護士(大江橋法律事務所)「新型コロナウイルス問題により経営難となった企業に対する支援策と債権管理」
また、アンケートでは、2020年に印象的な活躍をした弁護士とその活動を称える声が多く集まりました。そのなかから、2020年のBUSINESS LAWYERSに登場いただいた3名の弁護士に寄せられたコメントを紹介します。
板倉 陽一郎弁護士(ひかり総合法律事務所)
「個人情報やプライバシーに関する審議会やセミナーで多数の発言と重要な指摘をされた」(情報システム/法務担当)
・「2020年6月成立の個人情報保護法改正の経緯とポイントを板倉弁護士が講演 - 第三者提供に関する新たな規定への対応と、「2種類の仮名加工情報」に着目を」
大井 哲也弁護士(TMI総合法律事務所)
「プライバシーとセキュリティの会社創設など、従来の弁護士の枠にとらわれない積極的な情報提供やコンサル活動をされていた」(情報システム/法務担当)
・「【連載】ウィズコロナ、アフターコロナの法律事務所 第2回 先進的なITツールと対面コミュニケーションを併用、世界「最良」の法律事務所を目指す - TMI総合法律事務所」
・「法的観点とユーザー目線の双方からデータ利活用・セキュリティ対応をサポート - TMIプライバシー&セキュリティコンサルティング」
水野 祐弁護士(シティライツ法律事務所)
「OneNDAのサポートを務められ、展覧会「ルール?展」のディレクターを務められるなど、これまで以上にほかの弁護士にはない活躍をされている」(製造業/人事総務担当)
・「『法のデザイン』が法務業界にもたらしたインパクト」
さいごに
2020年もBUSINESS LAWYERSを訪問いただきありがとうございました。企業法務を取り巻く環境が激変した今年、BUSINESS LAWYERSは記事やセミナーを通じた情報発信に加えて、法律書籍・雑誌の定額閲覧サービス「BUSINESS LAWYERS LIBRARY」やコンプライアンス研修動画サービス「BUSINESS LAWYERS COMPLIANCE - ドラマで身につくコンプライアンス」といったオンラインサービスをリリース。2021年もよりよい情報発信のあり方を模索しながら、これまで以上に企業法務に寄り添う心構えをもって、法務実務に役立つ情報を読者の皆様にお届けしていきます。
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