営業現場で使える!英文契約書のポイント

第16回 信用状(L/C)の開設通知と訂正依頼

取引・契約・債権回収
宮田 正樹 一般社団法人GBL研究所 理事

シリーズ一覧全22件

  1. 第1回 英文契約書の基礎知識
  2. 第2回 英文契約書のサンプル・テンプレート:英語で構成する際の用語集
  3. 第3回 国際売買取引のきっかけとなる英文メールの作法
  4. 第4回 取引条件を提示するときの伝え方
  5. 第5回 見積もりの依頼と申し込みの承諾
  6. 第6回 契約締結における留意点
  7. 第7回 売約書(Sales Note)と買約書(Purchase Note)の一般条項(その1)
  8. 第8回 売約書(Sales Note)と買約書(Purchase Note)の一般条項(その2)
  9. 第9回 英文契約書送付時のメールや取り交わしの送付状の例文・ドラフト送付の文章
  10. 第10回 契約締結時に問題となる、印紙税と書式の争い
  11. 第11回 契約条項の変更交渉と変更契約書の締結
  12. 第12回 電子データでの契約締結
  13. 第13回 貿易決済の種類と条項
  14. 第14回 荷為替手形決済の仕組みと為替手形の形式
  15. 第15回 信用状付荷為替決済(L/C決済)の為替手形と開設依頼書
  16. 第16回 信用状(L/C)の開設通知と訂正依頼
  17. 第17回 信用状(L/C)の受領後の船積実務
  18. 第18回 船積みの督促と船荷証券(B/L)未着の場合の対応
  19. 第19回 貿易取引で売主が支払督促を行う場合の英文メール・督促状(Demand Letter)の書き方と法的手続
  20. 第20回 信用状付荷為替決済(L/C決済)のディスクレ
  21. 第21回 英文契約書における商品クレームの通知と応対
  22. 第22回 商品クレームの解決手段として用いる英文の和解契約書例
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目次

  1. L/C開設連絡(通知)
    1. テレックスを活用していた時代の文例
    2. 電子メール時代の文例
  2. 開設されたL/Cへの問合せ
  3. L/Cの開設遅れ
  4. L/Cの訂正依頼(Amend)
    1. 基本的な文例
    2. その他のAmend関連文例

 前回(「第15回 信用状付荷為替決済(L/C決済)の為替手形と開設依頼書」)はL/Cの開設までの実務を紹介しました。今回は、それ以後のやり取りについて取り上げます。

 L/Cを開設した買主は、売主に対してL/Cの明細を連絡します。
 買主からL/C開設の連絡がない場合には、売主はいつ・どのようなL/Cを開設したのか、問合せあるいは督促することになります。

L/C開設連絡(通知)

テレックスを活用していた時代の文例

 「第3回 国際売買取引のきっかけとなる英文メールの作法」の「1 引合段階」や「第5回 見積もりの依頼と申し込みの承諾」の「2−3 承諾の文章例」でも紹介したように、筆者が社会人となり総合商社で貿易取引に携わるようになった1970年初めころから1990年あたりまではテレックス(TELEX)というアナログな通信装置が国際間の通信の最先端手段でした。
 通信速度が遅く回線使用時間でチャージされるため、コストセーブの目的で略語(アブリビエーション:abbreviation)が盛んに使用されていました。

テレックスとは

 筆者らが使用していたのはまさに下記の写真のようなタイプでした。左端にある紙テープ(横1列に最大5個の孔がパンチできるようになっている)が記録媒体で、横1列に空けられた孔の数と配置一つひとつがアルファベットまたは記号を表し、それらの配列により文章が表現されます。まさにアナログな記憶媒体なのです。オフラインで作成した鑽孔テープ(穴あきテープ)をオンラインに接続した機械にかけることにより、通信しました(オンラインでのチャット形式の通信も可能ですが、時間がかかり高くつくという経済的理由で滅多に使用しませんでした)。
 TELEXの伝送速度は50 bpsだったといいますから、今から思うとのんびりしたものです。
 ちなみに、現在のPCのモニター兼プリンター部分が真ん中のロール紙です。

テレックス(TELEX)と鑽孔テープ(穴あきテープ)

左から、テレックスの機械、鑽孔テープ(穴あきテープ)

 当時の「連絡(通知)」と「問合せ」の交信は、ワンパターンで楽ちんでした(文章に思い悩む必要がなかったのです)。

  • 「連絡(通知)」は、“PLS NOTE ・・・”(Please note ・・・)
  • 「問合せ」は、“PLS ADV ・・・”(Please advise ・・・)

 この2本立てで大概のやりとりを済ませていたものです。

 たとえば、L/C開設の通知であれば下記のようになります。

PLS NOTE OPEND OUR L/C ON AUG 25 AS FOLS:
L/C NO. XXXXXXXXXX
AMT: USD100,000.−
OPNING BANK: TOKYO BANK HEAD OFFICE
ADVG BANK : TEXAS BANK HSTN BRANCH
LATEST SHPG DATE: OCT 30,1985
EXPIRY: NOV 15,1985

PLS CFM
(Full Spelling)
Please note that we opened our L/C on August 25, 1985 as follows:
L/C NO. XXXXXXXXXX
Amount: US$100,000. (One Hundred Thousand Dollars)
Opening Bank: TOKYO BANK Head Office
Advising Bank : TEXAS BANK Houston Branch
Latest Shipping Date: October 30,1985
Expiry Date: November 15,1985

Please confirm and advise us upon your receipt.

電子メール時代の文例

 フルスペリングが当然の電子メール時代において “PLS NOTE”(Please note)一本槍では恥ずかしくもありますので、次のようないくつかバリエーションを使うことになります。

  1. Please be informed that ・・・
  2. Please be advised that ・・・
    上記 Please be informed よりも「有無を言わせぬ」という感じがちょっと強いので、ビジネスではこちらのほうがよく使われるようです。
  3. その他
    We are pleased to inform you that ・・・
    This is to inform you that ・・・
We are pleased to inform you that in compliance with the terms agreed upon, we have arranged with the Bank of America, San Francisco to open an irrevocable L/C in your favor amounting to US$205,000.00 for our Order No.1055.

〔訳文〕
当社は、合意した条件に基づき、当社の注文第1055号に対し、貴社を受取人として、総計205,000米ドルの取消不能信用状を開設するよう、アメリカ銀行サンフランシスコ支店に手配したことをご通知申し上げます。

開設されたL/Cへの問合せ

 「問合せ」は、テレックス時代は “PLS ADV ・・・・”一本槍でしたが、以下のように、チャンとした文章で問い合わせることになります。

Please advise [またはinform] us if you have already opened [またはestablished] your L/C against our Sales Note No.GBL202011 in amount of US$200,000.−

 開設されたL/Cの詳細を尋ねる場合には、簡単に書くこともアリですね。

Please advise the details of your L/C covering your O/Nos.2001 to 2011 which should be opened by now.

 開設されたL/Cの詳細を尋ねる場合は、先の開設通知にあるように、少なくとも開設日、開設銀行(Opening Bank)、通知銀行(Advising Bank)、L/C番号、金額(Amount)、最終船積日(Latest Shipping Date)、期限(Expiry Date)については通知してもらう必要があります。

L/Cの開設遅れ

 L/C決済条件で契約した場合に、買主が開設すべきL/Cをなかなか開設しない場合には、売主は当該契約の履行に取り掛かるべきか否か悩ましい状態におかれることになります。

 売主の立場からは、「第13回 貿易決済の種類と条項」の「2−1 L/Cの開設時期」で紹介したように、買主にできるだけ早くL/Cを開設してもらい、商品の製造や仕入の準備に入らないと、納期に間に合わないおそれがあります。かといって、L/Cの開設を待つことなく製造あるいは仕入れると、もしL/Cが開設されなかった場合、在庫を抱える羽目になるおそれがあります。
 その心配がある場合には、契約条項として以下のような文言を加えることにより、L/Cが期限までに開設されなければ契約を解除することができるようにしておきます(当然ながら、L/Cの開設条項において「(L/Cを)◯年◯月◯日までに〔契約締結後◯か月以内に〕開設する」という条項があることを前提とします)。

Prompt establishment of the letter of credit is of the essence of this Agreement and a delay or default in any reason will, at the option of Seller, operate as a material breach of this Agreement.

 下記は、何度も督促したにもかかわらず、一向にL/Cを開設してこない買主に対して、最後通牒を突きつける督促の文例です。

Further to our e-mail of June 20th and July 5th, we have to remind you that the L/C to cover your Order No. 2015 for Injection Machine has not yet reached us.

This contract was originally for June shipment and the goods were specially made to your order. You will readily see the inconvenience and actual losses we are suffering.

We might dispose of the goods and have you make up for the loss but trusting your immediate attention, we wait for the early arrival of the L/C.

Yours faithfully,


〔訳文〕
6月20日および7月5日のEメールに加えて申し上げます。貴社の注文番号2015で注文された射出成型機に対するL/Cを当社はいまだに受け取っていないことを思い出していただきたく存じます。
この契約は本来6月の船積条件のものであり、製品は貴社の特注品です。
当社は本製品を処分し、その損失を貴社に補償してもらうという選択もできるのですが、貴社がただちに対応されると信じ、早急なL/Cの到着をお待ちいたします。

草々

L/Cの訂正依頼(Amend)

基本的な文例

 受け取ったL/Cの内容が契約と異なっていた場合には、売主は買主に対してその訂正を要求することになります。

Subject: Request for L/C Amendment

Dear Mr. Steadman
We received the Letter of Credit for your O/No. 2369 dated April 16th, 2018 for which we thank you.
However, the stipulations on the L/C require shipment to be effected not later than May 15th, 2018, though we have booked this order for June shipment.
Besides, the L/C reads, "the insurance of this shipment will be covered by the buyer and the unit price of US$200.00 per case (total price of US$60,000.00) is on a CFR Tokyo basis."
We would request you, therefore, to arrange for an extension of the validity of the L/C till June 30th and amend your L/C to a CIF basis (instead of “CFR” basis) as stipulated in our correspondent Sales Notes No. 1050.
Your prompt cooperation in this matter would be greatly appreciated.
Best regards,

M. Miyata
Sales Manager
Global Business Ltd.

〔訳文〕
件名:L/Cの訂正(Amend)依頼の件

4月16日付貴社注文番号2369に対するL/Cを受け取りました。ありがとうございます。 しかしながら、当社はこの契約を6月船積条件で受けたにもかかわらず、当該L/Cの記載によると、船積は2018年5月15日までに行わねばならないとあります。
さらに、当該L/Cの記載では「保険は買主負担とし、商品単価は1ケース当たり200米ドル(総額6万米ドル)で建値はCFR東京」となっています。

したがって、当社は貴社に対して、当該L/Cの有効期間を6月30日までに延長し、この契約に対応する当社の売約書(番号1050)に記載していますように「CIF建」(「CFR建」ではない)に訂正するようにお願い申し上げる次第です。
本件に対する貴社の早急なご協力に御礼申し上げます。

敬具

その他のAmend関連文例

(1)ユーザンス付から一覧払い(at sight)への変更依頼とその回答

Request
According to the L/C we received, payment is to be made by a draft at 60 days under an irrevocable L/C, but we want it to be made by a draft at sight as stipulated in your order sheet.

〔訳文〕
当社が受領したL/Cによると、「支払いは取消不能信用状に基づく一覧後60日払いの為替手形による」となっておりますが、貴社の注文書に記載されているように「一覧払いの為替手形による」としていただきたく存じます。
Answer
You may rest assured that we will surely instruct our bankers to amend the L/C in accordance with your request.

〔訳文〕
ご依頼どおりにL/Cを訂正するよう取引銀行に必ず指示しますので、どうぞご安心ください。

(2)期間延長

Due to the waterfront strike now going on, it has become impossible for us to effect shipment within the validity of your L/C which expires on May 31, so we would appreciate it very much if you would kindly extend the latest shipping date and the expiry date for a month.

〔訳文〕
目下進行中の港湾ストライキのため、5月31日に切れる貴社のL/Cの有効期限内に船積みができなくなりましたので、最終船積日と有効期限を1か月間延長していただければ幸甚です。

(3)期間延長(L/Cに船積みすべき本船が指定されている事例)

Re: L/C No. DBKL7340/2018 for Order 1020

Dear Sirs
We have received with thanks the letters of credit covering your Order No. 1020.

Upon examination, however, we have found that the L/C No. DBKL7340/2018 for Order No. 1020, which is to be shipped during this month, expires on November 15th.
On the other hand, the vessel "Global Venture" of Japan Shipping Lines, which the L/C specifies for the shipment, leaves Yokohama on or around the 20th.

So we have no other alternative than asking you to extend the validity and the shipment time of the L/C to the end of November and inform us to that effect by the 10th.

We trust that you will comply with our request, since the shipment agreed upon was "during November" and the goods are ready for shipment.

Yours faithfully,

〔訳文〕
前略
貴社の契約番号1020の信用状を受け取りました。ありがとうございます。
しかしながら、調べたところ、今月中に船積みする契約である契約番号1020のための当該L/C No. DBKL7340/2018が11月15日で期限満了となっています。
一方、当該L/Cで指定されている本船である日本海運の「グローバル・ヴェンチャー」は、横浜港を今月20日頃に出港することになっています。
当社としては、貴社に対し当該L/Cの期限および船積日を11月末まで延長し、延長した旨を10日までにお知らせいただくようお願いするしかありません。
契約した船積期間は「11月中」でありすでに商品は船積みできる状態にありますので、貴社は当社の要求に応じられるものと信じております。

草々

(4)金額の増額

We hereby request you to kindly make the following amendment on your L/C No. DBKL7340/2018 and forward necessary instructions to your bank:
−the amount to be increased by US$5,000.− making a total amount of US$55,000.−.

〔訳文〕
貴社のL/C No. DBKL7340/2018に下記の訂正を加えていただきたく、貴社の銀行にご指示くださいますようお願い申し上げます。
金額を5,000米ドル増額し、総額55,000米ドルとする。
2019年度 GBL国際法務研修基礎セミナー

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【開催期間】2019年10月3日(木)〜2020年2月13日(木)[毎週木曜日19:00~21:00]

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【受講料】 全17回出席する場合は、154,000円(割引価格・税込)
1回あたり:11,000円(税込)

【主催】  一般社団法人GBL研究所

【後援】  レクシスネクシス・ジャパン株式会社/ビジネスロー・ジャーナル(Business Law Journal)


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