2019年企業法務に関するアンケート結果 注目トピックス、活躍した弁護士から読んで良かった書籍まで

法務部

目次

  1. 2019年の注目トピックスは民法改正への対応
  2. 2019年に活躍した弁護士は
  3. 読者が選ぶ、BUSINESS LAWYERSで良かった記事
  4. 今年読んでよかった本は「契約書作成の実務と書式(第2版)」が最も多くの票を集めた

2019年11月から12月にかけ、BUSINESS LAWYERSは「2019年企業法務に関するアンケート」を実施しました。

2019年は施行が迫る民法改正、大企業を中心にすでに一部施行された働き方改革関連法をはじめ、法務部門にとって対応が必要なトピックスが複数ありました。また学生の「内定辞退率」データを企業に提供していたリクナビ問題や不祥事事案も目立ち、企業倫理やガバナンスに対する企業の根本的な姿勢が問われた1年であったといえます。

本稿ではアンケート結果をもとに、2019年が法務担当者にとってどのような年だったのかを振り返ります。

2019年の注目トピックスは民法改正への対応

「2019年に気になった企業法務の出来事(自由記述)」への回答は、以下の結果となりました。

内容 回答数
民法改正への対応 21
労働関連法制の改正 10
会社法改正 9
リーガルテックの隆盛 8
リクナビ「内定辞退率」データ提供の問題 5
LIXILグループのトップ人事 4
関西電力、金品受領問題 3
日産におけるガバナンスの問題 3
マネー・ローンダリング対策 3

最も多くの票を集めたトピックスは「民法改正への対応」でした。来年の施行に向け、契約書の見直し、利用規約の改訂などの対応に追われた姿が伺えます。

この他、4月に施行された働き方改革関連法案を含む労働関連法制の改正、秋の臨時国会で成立した改正会社法に注目が集まりました。

また、個人データの扱いについて物議を醸したリクナビ問題、トップの人事をめぐって、海外機関投資家を巻き込み大きな騒動に発展したLIXILの株主総会もランクインしています。

1票ずつの投票となりましたが以下の出来事もあげられました。企業のガバナンスやリスクマネジメントの不備に対する関心は、おさまる気配がありません。

  • 積水ハウスの地面師問題
  • セブンペイ不正使用問題
  • レオパレス21の建築基準法違反事件
  • 吉本興業の闇営業
  • ジャニーズ事務所に対する公正取引委員会の調査

さらに、アスクルの株主総会におけるヤフーとの対立、ブラックストーン・グループによるユニゾHDへのTOB(12月22日に、従業員による買収=EBOを公表)、伊藤忠商事によるデサントへのTOBなど、経営権をめぐる争いが目立った1年となりました。

2019年に活躍した弁護士は

2019年に活躍したと思う弁護士には、山口利昭法律事務所の山口利昭弁護士がもっとも票を集めました(5票)。当サイトではLIXILグループのガバナンス問題について解説記事を執筆いただきました。

中村・角田・松本法律事務所の中村 直人弁護士には4票が投じられました。本年1月にスルガ銀行の第三者委員会報告書を題材として、不正発生の原因と対策についてお話を伺っています。

次いで、西村あさひ法律事務所の石川 智也弁護士、森・濱田松本法律事務所の石綿 学弁護士、のぞみ総合法律事務所の結城 大輔弁護士が同数(2票)で並びました。

石川弁護士は海外のデータ保護法制に関する講演も多数実施。結城弁護士には近年注目を集める「税務コンプライアンス」に関する記事を当サイトで執筆いただいています。

あるべきガバナンスの姿を描き、グローバル化に伴い複雑化する法制度へ対応することが企業に求められています。従来と比べても多様な法的問題へ取り組むため、豊富な経験に裏打ちされた、信頼のおける助言を弁護士に対して求めていることが表れた結果と言えます。

読者が選ぶ、BUSINESS LAWYERSで良かった記事

「2019年にBUSINESS LAWYERSで読んでよかった記事」に関する設問では、注目のトピックスでもあげられた民法改正に関する記事や、学生の「内定辞退率」データを企業に提供していたリクナビ問題に関する記事が選ばれました。

また、法律事務所における翻訳実務経験に基づき解説された「連載 法律事務所パラリーガルの英文契約書翻訳ノート」や、IT系ベンチャー企業での一人法務経験を活かした「連載 ベンチャー企業における一人法務の法務戦略」が選出されています。法的な問題のみならず、著者の経験を活かしたコンテンツに高い評価が集まりました。

さらに、人事評価のエキスパートと現役法務パーソンの意見を集約・分析した「連載 法務パーソンの目標設定」を評価する声も。法務部門の目標設定は難しいと言われがちですが、個人の成長と組織の成果を両立させるためのヒントなどを紹介した本連載には、SNSなどを中心に共感の声が多数寄せられました。

今年読んでよかった本は「契約書作成の実務と書式(第2版)」が最も多くの票を集めた

2019年に読んでよかった本として最も票を集めたのは「契約書作成の実務と書式(第2版)」(阿部・井窪・片山法律事務所、有斐閣)(9票)。「改正民法に基づいた改訂により、考え方の確認ができる」「条項例を参照でき使い勝手がよい」「契約類型が網羅されている安心感がある」といったコメントが寄せられています。

今年発刊された契約を扱う書籍のなかでは、次の書籍を評価する声も見られました。

民法改正に関する書籍のうち、法務省の立案担当者が解釈を示した、「一問一答民法改正」(筒井 健夫・村松 秀樹、商事法務)、「定型約款の実務Q&A」(村松 秀樹・松尾 博憲、商事法務)は、信頼性と読みやすさが高い評価につながっています。

また、多くのメディアで紹介された「こども六法」(山崎 聡一郎、弘文堂)はBUSINESS LAWYERS読者にも好評。ご自身のお子様への教育のみならず、従業員教育に活用したという声も寄せられました。

投票結果のうち、今年発刊された主な書籍は以下のとおりです。
会社法・M&A
IT・情報セキュリティ
危機管理・コンプライアンス
知的財産権
訴訟・争訟
ベンチャー
  • 起業の法務 − 新規ビジネス設計のケースメソッド
    (TMI総合法律事務所・大井 哲也・中山 茂・和藤 誠治・野呂 悠登、商事法務)
    評価の声:起業しなくとも、実務で必要となる現代的な論点が網羅的かつ詳細に書かれていて、非常に役立った。(IT 法務部)
  • スタートアップ投資ガイドブック
    (小川 周哉・竹内 信記・荒井 悦久・彈塚 寛之・松村 英弥・吉田 昌平・金澤 久太・取出 遼、日経BP)
    評価の声:実践に基づく内容を親近感をもってレベルを落とさず、読者が知りたいことを的確に、まるで読み物のように綴られている点が秀逸。(小売業 法務部)
調査内容:「2019年企業法務に関するアンケート」
実施時期:2019年11月13日〜12月6日
調査対象:BUSINESS LAWYERSの登録会員(有効回答者数 99名)
調査手法:記述/インターネットによるアンケート調査

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