海外法Legal Update
第8回 2026年6月に押さえておくべき海外法の最新動向
国際取引・海外進出
シリーズ一覧全8件
本稿では、2026年2⽉から2026年4⽉にかけて当事務所から紹介した、世界各国オフィスのクライアントアラートのうち、特に企業法務担当者のみなさまにおいて押さえておくべき重要なトピックについて、概要を取り上げます。
各トピックの詳細についてはリンクから当事務所のクライアントアラートをご参照ください。なお、情報がアップデートされている可能性もありますので、最新の情報について確認されたい場合や、記事のリンクからアクセスすることができない場合には、当事務所までお問い合わせください(問い合わせ窓口はこちら)。
吉田 武史弁護士、長谷川 匠弁護士、桒原 里枝弁護士、山内 理恵子弁護士、金子 周悟弁護士、佃 浩介弁護士、藤原 総一郎弁護士、河邉 美杉弁護士、村田 優果弁護士、山内 真実弁護士(以上、ベーカー&マッケンジー法律事務所(外国法共同事業))
米国
画期的な最高裁判所の判決によりIEEPA関税は無効と判断
2026年2月20日、米国最高裁判所はLearning Resources, Inc. v. Trump事件において、国際緊急経済権限法(IEEPA)が大統領に関税を課す権限を付与していないとの判決を下しました。本判決により、トランプ大統領がIEEPAに基づいて課した大規模な関税は無効となりました。
本判決を受け、トランプ大統領はIEEPA関税を終了させる大統領令を発出すると同時に、1974年通商法122条に基づき、すべての国からの輸入品に対して10%の追加関税を課す大統領布告を発表しました。
2026年5月現在、米国税関国境警備局(CBP)の統合通関管理・処理システム(CAPE)から、還付を申請できます。
詳細は当事務所の2026年2⽉24⽇付けニューズレターをご参照ください。
米国司法省反トラスト局の内部通報報奨金プログラムによる初の報奨金支給
2026年1月29日、米国司法省反トラスト局と米国郵便公社は、オンライン中古車オークションにおける入札談合に関与した事業者に328万ドルの罰金を科した刑事事件について、その摘発につながる情報を反トラスト局に提供した内部通報者に対し、内部通報者報奨プログラム(Whistleblower Rewards Program)に基づく初の報奨金として100万米ドルを支払ったと発表しました。
反トラスト局は内部通報者報奨プログラムの活用と周知を進めており、リニエンシーに加え、従業員による反トラスト局への直接通報の可能性を踏まえた、実効的なコンプライアンス体制の運用がいっそう重要となっています。
詳細は当事務所の2026年3⽉16⽇付けニューズレターをご参照ください。
ニューヨーク州におけるLLC透明性法の施行
ニューヨーク州におけるLLC透明性法(New York LLC Transparency Act)が、2026年1月1日に施行されました。2025年12月31日、ニューヨーク州務局(NYDOS)によって本法における「報告会社(reporting company)」の定義が明確化され、本法は、米国外で設立され、かつニューヨーク州で事業を行うことを認可された有限責任会社(LLC)のみに適用されることが明らかになりました。
2026年1月1日以前にニューヨーク州で事業を行うことを認可された米国外で設立されたLLCは、2026年12月31日までに、実質的支配者の開示(beneficial ownership disclosure)または、該当する場合には免除証明書(attestation of exemption)を提出する義務があります。
また、2026年1月1日以降に新たにニューヨーク州で事業を行うことを認可された米国外で設立されたLLCについては、NYDOSに事業認可申請を提出した日から30日以内に、実質的支配者の開示書類または免除証明書を提出することが求められます。
詳細は当事務所の2026年3⽉30⽇付けニューズレターをご参照ください。
FinCEN、詐欺・マネーロンダリング・制裁違反に関する新たな内部通報制度を開始
2026年2月13日、米国財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)は、詐欺、マネーロンダリング、制裁違反に関する機密性の高い内部通報を提出するための専用ウェブページを新たに開設しました。
通報内容が取締措置の成功に寄与した場合、通報者に対して金銭的報奨が与えられる可能性があります。本制度の開始は、不正な財務活動に対する財務省による取締りが一段と強化されていることを示すものです。企業においては、違反リスクの早期把握や当局対応を見据え、自社のコンプライアンス体制等を改めて見直すことが求められます。
詳細は当事務所の2026年3⽉5⽇付けニューズレターをご参照ください。
欧州
EU:欧州委員会が外国補助金規則(FSR)に関するガイドラインを公表
欧州委員会は、EU外国補助金規則(FSR : Foreign Subsidies Regulation)に関する初の正式なガイドラインを公表しました(本ガイドライン)。本ガイドラインは、以下の3つの論点に限定して、欧州委員会の考え方を明確化するものです。
- 外国補助金による欧州域内市場の競争の歪曲の有無をどのように判断するのか(公共調達に関する異なる歪曲判断の基準を含む)
- 外国補助金による競争の歪曲と得られる便益をどのように衡量するのか
- 届出基準を下回る取引に対して、どのような場合に届出を要請できるのか
これらの点は、それぞれ、企業結合や公共調達入札の当事者にとって極めて重要な論点となります。
詳細は当事務所の2026年4⽉15⽇付けニューズレターをご参照ください。
英国:英国金融制裁実施局(OFSI)が金融制裁の執行および罰金に関するガイダンスを改定
2026年2月9日、英国金融制裁実施局(OFSI)は、金融制裁違反に関する執行および罰金に関する最新のガイダンスの内容を公表しました。
主な変更点としては、罰金額の計算方法や、任意申告や捜査協力に対する減免率の引下げを含む新たな評価方法の枠組み、新たな和解指針、Early Account Scheme(企業が違反事実の全容を早期報告することで罰金額が減額される制度)の導入、情報開示義務や許可要件違反に係る一定額の罰金等があります。
今回の改定は、英国当局の重視する「効率的で、透明性の高い、成果主義の制裁措置の執行」の姿勢をより広範に取り入れていくことを念頭に置いたものです。
詳細は当事務所の2026年2⽉12⽇付けニューズレターをご参照ください。
英国:制裁違反取締りに関する政策文書を公表
2026年3月10日、英国政府は、制裁違反の取締りを概説した政策文書を公表しました。本文書では、「制裁措置の徹底した執行は、英国政府にとっての優先事項である」と明記されています。
本文書は、「政府各省庁・機関における制裁措置の民事・刑事上の執行に関する情報を一元化する」ものであり、「包括的な執行の原則を提示するとともに、利用可能な執行手段の範囲や、執行において考慮される情状酌量・加重事由について詳述する」ものとされています。
さらに、本文書は、英国金融制裁実施局、英国貿易制裁実施局および運輸省がいずれも「厳格責任」の原則に基づき執行措置を講じることができると強調しています。
これは、当局が取締りを行うにあたり、当事者が違反行為を行っていることを知っていたか、あるいは合理的な理由をもって疑うべきであったことを立証する必要がないということを意味します。
詳細は当事務所の2026年3⽉18⽇付けニューズレターをご参照ください。
ハンガリー:消費者の権利の中小企業への拡大
ハンガリーでは、2025年8月の改正民法施行により、中小企業が自らの事業や専門活動の範囲外で行う取引についても、瑕疵ある履行に関する消費者保護規定の適用が拡大されました。
また、2026年1月からは、中小企業も調停委員会の利用が可能となり、公共サービスの利用や小売での商品購入について、調停委員会手続を申し立てることができるようになりました。
さらに、同年3月からは、一定の耐久消費財に対する法定保証に関する政府令の規定が中小企業にも適用されることになり、保証期間の延長や瑕疵の推定規定など、消費者としての保護が中小企業にも与えられています。
これにより、小売業者を中心に、中小企業との関係で、保証対応、契約内容の見直し、関連資料や苦情対応手続の整備が求められ、製造業者や輸入業者も含めて実務への影響に留意する必要があります。
詳細は当事務所の2026年3⽉30⽇付けニューズレターをご参照ください。
中国
中国商標法改正案(2025年版)の公表
2025年12月27日、中国全国人民代表大会常務委員会は中国商標法改正案を公表し、2026年2月9日までパブリックコメントを募集しました。
本改正案は2023年版草案と比べて簡潔かつ実務に即した内容となっており、商標の出願・審査、権利行使に関する重要な見直しが盛り込まれています。
出願・行政手続の面では、異議申立期間の短縮や「1年分離ルール」の適用範囲見直し、国家知識産権局による審査停止義務の明確化等により、手続の効率化と法的安定性の向上が図られています。
また、未登録周知商標に対するクロスクラスの保護や動的商標の登録可能性が明文化されるほか、悪意ある商標出願や誤認を生じさせる使用への対策も強化されています。一方で、2023年版草案で議論を呼んだ使用声明義務等の規定は削除されました。
権利行使の面では、悪意ある侵害訴訟に対する民事責任の明確化、不使用抗弁やフェアユースの整理により、抑止力と予見可能性が高められています。全体として、本改正案は実務への配慮を強めた内容となっており、今後の立法手続の進展が注目されます。
詳細は当事務所の2026年2⽉16⽇付けニューズレターをご参照ください。
買収資金の銀行融資に関する新たな法律の公布・施行
2025年12月31日、中国国家金融監督管理総局は、商業銀行によるM&Aへの融資に関連する法律である「商業銀行による合併・買収貸付管理弁法」(新法)を公布・施行しました。
新法は、一定の場合の少数持分取得にも貸付利用を拡大するとともに、従来からM&A貸付を利用することが認められていた支配型M&A貸付(借入人(または共同して買収を行う複数の企業)が対象会社の所有権又は支配権を取得するM&Aにおける貸付)についても、自己資金比率を従前の40%から30%に緩和し、貸付期間を最長7年から10年に延長する等、銀行融資の柔軟性を高めました。
一方、既存融資のリファイナンス目的でのM&A貸付の利用を禁止し、高レバレッジのM&Aの金融リスクの管理を強化しています。そのため、新法は大規模なM&Aを促進させつつ、リスク管理も拡充する内容となったといえます。
詳細は当事務所の2026年2⽉26⽇付けニューズレターをご参照ください。
韓国
弁護士依頼者間秘匿特権(ACP)の導入
2026年1月29日、韓国国会は、弁護士と依頼者の間の秘密保持特権(ACP)を法制化する改正案を可決し、弁護士と依頼者に、機密性の高い法的コミュニケーションおよび関連資料を保護する権利を付与しました。
この改正法は、広範な文書提出要求や特権対象資料の活用に対するより強力な保護を提供することで、税務調査、捜査、および不服申立てに大きな影響を与えると予想されます。
ACP制度の下では、依頼者は税務弁護士と機密性の高い税務や規制上の問題について自由に協議できると同時に、それらのコミュニケーションの機密性が保たれ、押収や開示から保護されます。これは、捜査および司法手続全般にわたる納税者の防御権の保護において、大きな転換点となるものです。
詳細は当事務所の2026年2⽉13日付けニューズレターをご参照ください。
シンガポール
保険科学庁(HSA)が医薬品等の製品欠陥報告・リコールガイダンスを更新
シンガポール保健科学庁(HSA)は、2026年1月28日、治療用製品(TP)および細胞・組織・遺伝子治療製品(CTGTP)に関する製品欠陥報告・リコール手続の更新版ガイダンス(Version 3)を公表しました。
更新されたガイダンスでは、リコールおよび報告対象欠陥の範囲が明確化され、リコールの定義から製品の欠陥に起因しない期限切れ製品の回収や調査目的での少量回収を除外しています。また、ガイダンスでは「調査およびリスク評価」のセクションが、調査の構成要素、リスク評価における検討事項、調査報告書に含めるべき内容および流通・供給情報に関する具体的ガイダンスを含む形で拡充されました。
また、HSAは、消費者レベルのリコールについては、リコールの開始を決定した後、直ちにHSAに通知することを義務付けている点にも留意が必要です。
詳細は当事務所の2026年2⽉27日付けニューズレターをご参照ください。
サイバーセキュリティ・ライセンス制度の改正
シンガポール・サイバーセキュリティ庁(CSA)は、サイバーセキュリティ・ライセンス制度改正に関する意見公募を終了し、その結論を公表しました。
改正内容には、現在は任意である重要情報インフラ(CII)事業者等に対するサイバー・トラストマーク認証の義務化、ライセンス有効期間の2年から5年への延長および届出手続の簡素化が含まれ、2027年末までに施行される予定です。
これらの改正は、改正サイバーセキュリティ法の2025年10月の施行に続くものであり、本制度の適用を受ける企業は、自社の認証状況およびライセンス手続を見直す必要があります。
また、政府は、独自開発の脅威検知ツールをCII事業者向けに段階的に導入する方針であり、すでに一部のCIIシステムにおいて導入が開始されています。
詳細は当事務所の2026年3⽉31日付けニューズレターをご参照ください。
保健省および保健科学庁(HSA)が医療分野におけるAIガイドライン改訂版の公表
シンガポール保健省(MOH)およびシンガポール保健科学庁(HSA)は、2026年3月10日、医療分野におけるAIガイドラインの改訂版(AIHGle 2.0)を公表しました。
同ガイドラインでは、2021年に発行された以前のガイドラインを踏まえつつ、
- 医療AIの開発者、医療機関および医療従事者それぞれの責任を明確化することによる説明責任の強化
- 十分な情報に基づく意思決定のための透明性に関するガイダンスを通じた信頼性の向上
- リスク評価およびリスク低減
などのAIの展開に関するガイドラインの更新が含まれています。
AI開発者、医療機関および医療従事者は、AIHGle 2.0に定められた原則を熟知し、推奨されるベストプラクティスに準拠する必要があり、自組織のAIツール、ガバナンス体制、内部プロセスを、こうした業界のベストプラクティスに照らして積極的に見直すことが推奨されます。
なお、AIHGle 2.0は、HASの医療機器としてのソフトウェア(SaMD)に関する規制ガイドラインを補完するものであるため、当該ガイドラインも併せて遵守する必要があることに留意が必要です。
詳細は当事務所の2026年3⽉31日付けニューズレターをご参照ください。
ベトナム
ベトナム知的財産法の大幅改正(2025年IP法)に関する概要
2025年12月10日、ベトナム国会は知的財産法の改正法を可決し、同法は2026年4月1日に施行されました。
本改正は、知的財産保護の近代化、産業財産権手続の迅速化およびデジタル環境に対応した執行体制の整備を目的とするものです。主な内容として、商標・意匠・特許の審査期間の短縮や迅速審査制度の導入が図られたほか、AI学習等におけるデータ利用ルールの明確化、デジタル領域を含む意匠保護の拡張が挙げられます。
また、インターネットサービスプロバイダーの責任範囲は、従来の受動的対応から能動的な侵害防止義務へと転換され、裁判所および行政機関によるオンライン侵害への対応権限の拡充や損害賠償額の引上げ等を通じて、権利行使・執行の実効性も強化されました。
本改正は、デジタル時代に適合した知的財産制度の整備を通じ、権利保護の確実性向上および手続の効率化に資するものであり、投資環境の改善やイノベーション促進に寄与するものとして注目されています。
詳細は当事務所の2026年3⽉16日付けニューズレターをご参照ください。
国際金融センター(IFC)における専門裁判所に関する法律の施行
2025年12月11日、ベトナム国会は国際金融センター(IFC)に特化した裁判所制度を創設する法律を制定し、同法は2026年1月1日に施行されました。
本制度はホーチミンおよびダナンにおける紛争解決の高度化を目的とし、公共の秩序および国益に関しない場合において、IFC関係者を含む投資・商事紛争等について専属管轄を認めるものです。
特徴として、外国人裁判官の参加、英語による審理・判決、特別手続規則の導入等が挙げられます。公共の秩序を害しない範囲で契約の準拠法として外国法を選択することも一定程度で認められ、出訴期間は最長6年とされます。
さらに、電子裁判システムや独自の強制執行制度も整備され、外国投資家の信頼を高める制度改革となっています。他方で、「公共の秩序」の解釈や特別手続規則の詳細の今後の明確化が注目されます。
詳細は当事務所の2026年3⽉9日付けニューズレターをご参照ください。
タイ
タイ中央銀行、外国所得の国内還元基準緩和を含む外国為替規制の緩和を実施
2026年1月27日、タイの外国為替管理法に基づく規制が緩和されました。当該規制緩和により、タイ居住者が同国外で受領した外国源泉資金に係るタイ国内への本国送金義務の発生基準となる金額が、1取引当たり100万米ドル(相当額)から1,000万米ドル(相当額)に引き上げられました。
また、タイ居住者が投資証券取得の目的で海外へ送金する場合、従来はタイ中央銀行の定める形式に基づき投資の意向通知を行い承認を得る必要がありましたが、今般の規制緩和により当該承認は不要となりました。
今後は、タイ外国為替管理規制についての理解およびこれを遵守する旨を示す宣誓書を提出することで足りることになります。
詳細は当事務所の2026年2⽉18日付けニューズレターをご参照ください。
企業向けAI規制の動向
タイにおけるAI規制の枠組みは現在進化の途上にあります。タイでは、包括的な国家AIフレームワークの策定が進められており、今後数年以内の法制度化が見込まれています。
当該フレームワークでは、リスクベースの考え方を採用し、高リスクAIの提供者および利用者に対する義務、個人の権利、ならびに今後設立予定のAIガバナンスセンターによる監督が導入される予定です。
これと並行して、司法手続、消費者保護、金融サービスといった分野においては、分野別の規制もすでに複数整備されています。
また、倫理的かつ責任あるAI利用に関する期待を示す、法的拘束力を有しないガイドラインも多数存在しています。さらに最近では、 AI法の基本原則案が公表され、現在パブリックコメント手続に付されています。
このような状況のもと、企業は複層的(ハイブリッド)な規制環境に直面しており、今後いっそう厳格化が見込まれる透明性および説明責任への対応に備えるとともに、現行法に基づく法的リスクを低減する観点からも、社内ポリシーの整備、対外的文書の見直し、ならびに適切な文書化を通じて、AIガバナンスを積極的に強化していくことが求められます。
詳細は当事務所の2026年3⽉9日付けニューズレターをご参照ください。
フィリピン:企業結合届出基準の引上げ
2026年3月1日、フィリピン競争委員会(PCC)は、M&A取引に係る事前届出義務の基準額を引き上げました。
具体的には、「当事者規模要件」は85億ペソから91億ペソへ、「取引規模要件」は35億ペソから38億ペソへ増額されました。新基準は同日以降の取引に適用され、それ以前に提出された届出や審査中の案件には影響しません。
改定後は、両要件を満たす取引についてPCCへの届出が義務付けられ、承認取得または待機期間満了まで取引実行は禁止されます。
取引類型ごとに要件の適用方法は異なり、株式取得や資産取得、ジョイントベンチャーいずれの場合でも、フィリピンにおける資産価値や売上高が基準を超えるかが判断要素となり、特に株式取得においては、議決権または利益持分が一定割合を超える場合に届出対象となる点も重要です。
詳細は当事務所の2026年3⽉6日付けニューズレターをご参照ください。
オーストラリア:サイバーセキュリティ不備に関する注目すべき罰金判決
オーストラリア連邦裁判所は、オーストラリア証券投資委員会(ASIC)がFIIG Securities Limited(FIIG)に対して提起した訴訟において、FIIGに対し、制裁金250万豪ドルおよび訴訟費用50万豪ドルの支払を命じました(Australian Securities and Investments Commission v FIIG Securities Limited [2026] FCA 92)。
裁判所は、2019年3月から2023年6月までの期間におけるFIIGのサイバーセキュリティ上の不備が、オーストラリア金融サービス・ライセンス(本ライセンス)に基づく一般的義務に違反すると判断しました。
また、FIIGのサイバーセキュリティ上の不備により、2023年5月に開始されたサイバー攻撃で約385GBのデータが侵害され、約18,000人の顧客に影響が及んだと認定されました。
本件は、本ライセンスの一般的義務違反に基づき、サイバーセキュリティ上の不備に対して民事制裁金が科された初めての事例であり、ASICがサイバーリスク管理に対する監視を強化していることを示すものです。
また、ライセンス保有者には、事業の性質や保有情報の規模・機微性等に応じて適切なリスク管理体制およびサイバーセキュリティ対策を整備し、十分な人的・技術的・財務的資源を投入することが求められること、これらを怠れば義務違反として制裁の対象となり得ることが示されています。
詳細は当事務所の2026年3⽉30日付けニューズレターをご参照ください。

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