海外法Legal Update

第7回 2026年2月に押さえておくべき海外法の最新動向

国際取引・海外進出
ベーカー&マッケンジー法律事務所(外国法共同事業)

目次

  1. 米国
    1. 司法省タスクフォース、バイ・アメリカン法を執行し、原産地偽装による関税逃れを追及
    2. 商務省産業安全保障局(BIS)、新たな ‟Affiliates Rule” を公表/1年間の施行延期を発表
  2. 欧州
    1. 英国:種類株式発行会社、IPOおよび自社株買いに関するコードの改正
    2. EU:「Lookalikes(ルックアライク)やDupes(デュープス)の急増」
    3. EU:2026年にE コマースにおける150ユーロ未満の少額免税措置が終了
    4. ウクライナ:外国直接投資審査制度を導入する新しい法案
  3. ロシア:米国、英国がロシア制裁を強化
  4. ベトナム
    1. 包括的なAIガバナンスの枠組みのためのAI法草案を発表
    2. 個人データ保護(PDP)法の施行
    3. 戦略的貿易管理に関する新政令の施行
  5. その他東南アジア
    1. フィリピン:エネルギー省がエネルギー分野におけるカーボンクレジットの生成・管理・モニタリングのガイドラインを発表
    2. インドネシア:新しい輸入フレームワークが輸入業者により高い透明性を提供
    3. タイ:労働保護法改正により育児および乳児ケア休暇を導入
    4. タイ:競争法規制当局による支配的地位の判断基準に関する改正
    5. シンガポール:職場公平法の制定
    6. シンガポール:サイバーセキュリティ改正法の主要規定が施行
  6. 東アジア
    1. 台湾:サイバーセキュリティマネジメント法の改正
    2. 台湾:個人情報保護法の改正
    3. 台湾:職場いじめ防止および建設業の安全強化を中心とする労働安全衛生法の改正
    4. 中国:中華人民共和国商標法–改正草案の最新動向
    5. 香港:香港終審法院、中国本土所在文書のクロスボーダー開示手続の筋道を明確化(要請書による方法)
  7. 南アフリカ:競争委員会が少数株主保護に関するガイドライン案を公表

 本稿では、2025年11⽉から2026年1⽉にかけて当事務所から紹介した、世界各国オフィスのクライアントアラートのうち、特に企業法務担当者のみなさまにおいて押さえておくべき重要なトピックについて、概要を取り上げます。

 各トピックの詳細についてはリンクから当事務所のクライアントアラートをご参照ください。なお、情報がアップデートされている可能性もありますので、最新の情報について確認されたい場合や、記事のリンクからアクセスすることができない場合には、当事務所までお問い合わせください(問い合わせ窓口はこちら)。

編集担当

吉田 武史弁護士、長谷川 匠弁護士、桒原 里枝弁護士、山内 理恵子弁護士、金子 周悟弁護士、佃 浩介弁護士、藤原 総一郎弁護士、河邉 美杉弁護士、村田 優果弁護士、山内 真実弁護士(以上、ベーカー&マッケンジー法律事務所(外国法共同事業))

米国

司法省タスクフォース、バイ・アメリカン法を執行し、原産地偽装による関税逃れを追及

 米国司法省は、貿易詐欺タスクフォースを通じて、バイ・アメリカン法および貿易協定法の遵守を偽装する企業への取締りを一段と強化しています。特に、反トラスト局の調達談合対策チーム(PCSF)が、複数の連邦機関と連携して進める取り組みは、米国政府が貿易・調達詐欺の摘発に本腰を入れていることを示してもいます。

 2025年8月、米国連邦大陪審は、中国製フォークリフトを米国製と偽って政府に販売したとして、2社および経営幹部3名を起訴しました。被告らは原産地証明書を偽造し、「メイド・イン・チャイナ」の表示を隠す一方、輸入価格を意図的に低く申告して関税を逃れ、結果として計100万ドル超の関税・手数料を不正に免れたとされています。この事件は、原産地偽装や関税逃れといった不正スキームに対し、司法省が厳格な姿勢で取り締まることを改めて示すものとなりました。

 米国司法省が政府調達詐欺や関税逃れを排除することを引き続き優先していることから、特に防衛、製造、インフラ等を含む業界の請負業者は、バイ・アメリカン、貿易協定法、その他の連邦貿易・関税法の遵守に関する継続的な精査に備えるべきといえます。

 詳細は当事務所の2025年11⽉27⽇付けニューズレターをご参照ください。

商務省産業安全保障局(BIS)、新たな ‟Affiliates Rule” を公表/1年間の施行延期を発表

 2025年9月29日、米国商務省産業安全保障局(BIS)は、輸出管理規制の適用対象となる米国輸出管理規則(EAR)のエンティティリスト(Entity List)等の輸出管理リストに掲載された事業体(掲載事業体)の範囲を拡大する「関連事業体ルール」(Affiliates Rule)を発表しました。

 本ルールは、掲載事業体が50%以上を保有する米国外の事業体(外国関連事業体)について、当該事業体がリスト未掲載であっても米国輸出管理規則(EAR)を適用するというものであり、従来は法的に別個とされていた子会社・関連会社にも、掲載事業体と同一の輸出許可要件や審査基準等を課す点で、輸出管理規制を大幅に拡張するものです。ただし、BISは同年11月、米中間の通商交渉等の影響を踏まえ、施行を1年間延期するとしました。

 Affiliates Ruleの規制内容には外国直接製品規則(FDP)も含まれ、また、複数の掲載事業体が共同で50%以上を保有する場合には最も厳しい規制が適用される「最も厳しい制限の原則」が採用されることとなります。輸出者には、取引相手となる外国事業体の保有構造を把握する積極的な責任が生じることから、コンプライアンスの一環として、デューデリジェンスの実施を検討すべきであると考えられます。

 詳細は当事務所の2025年12⽉15⽇付けニューズレターをご参照ください。

欧州

英国:種類株式発行会社、IPOおよび自社株買いに関するコードの改正

 英国の上場会社等の買収取引を監督する独立機関であるテイクオーバー・パネルは、パブリック・コンサルテーション(PCP 2025/1)を踏まえ、種類株式発行会社に関するテイクオーバー・コード改正についての声明(RS 2025/1)を公表しました。

 本声明では、IPOおよび自己株買いに関する規則改正にも言及されており、これらの改正は2026年2月4日に施行されました。また、同日、IPOおよびRule 9の免除に関する新たな文書が公表され、現行の関連ガイダンスに代わるとされています。

 詳細は当事務所の2025年12⽉25⽇付けニューズレターをご参照ください。

EU:「Lookalikes(ルックアライク)やDupes(デュープス)の急増」

 欧州では、ロゴや商標を直接コピーせず、有名ブランドの見た目や外観の雰囲気、全体構成を模倣するLookalikes(ルックアライク)やDupes(デュープス)が急増し、長年ブランドオーナーにとって大きな課題となっています。SNS・電子商取引の発展や低価格代替品への需要、物価上昇がその増加を後押しし、模倣品が拡散しやすい悪循環が生じている状況です。さらに、模倣品の製造者ではなく、インフルエンサーが両者の関連性を示すことで拡散が加速する点も厄介な点です。

 こうした状況を受け、EUでは意匠制度改革が進み、複数のロカルノ分類に単一出願が可能になるなど、意匠による保護の重要性が高まっています。フランスでは不正競争・パラサイト行為を基軸とした救済、スペインでは商標・意匠・著作権・不正競争法を組み合わせた積極的な保護、ドイツでは「模倣の自由」を前提としつつ不正競争法が主要手段となっています。

 各国の制度を踏まえた多層的な戦略と、デザイン段階からの保護体制構築が不可欠といえます。

 詳細は当事務所の2025年11⽉27⽇付けニューズレターをご参照ください。

EU:2026年にE コマースにおける150ユーロ未満の少額免税措置が終了

 2025年11月13日、欧州委員会はEU加盟国以外からオンラインで購入された150ユーロ未満の貨物に適用されている関税免除措置(低額貨物免税)を廃止することを決定しました。

 本廃止は、過少申告や詐欺的な関税申告等を可能にする制度上の不備に対処し、越境Eコマース取引においてより公平で透明な制度を構築することを目的とした改革の一環として行われるものです。具体的には、現行の関税免除措置については、EU域外の販売者に競争上有利に働き、EUの規制に適合しない製品の摘発を難しくしているとの批判がありました。

 本廃止の施行後は、EUに輸入されるすべての貨物が、その価格を問わず、関税の対象となります。企業としては、関税免除措置の廃止を踏まえ、価格設定やコンプライアンス体制を見直す必要があります。本廃止は2026年11月に施行予定であり、取扱手数料や少額貨物に対する簡易手続の詳細は2026年前半に公表される見込みです。

 詳細は当事務所の2026年1⽉29⽇付けニューズレターをご参照ください。

ウクライナ:外国直接投資審査制度を導入する新しい法案

 2025年9月、ウクライナ議会に法案No.14062「外国直接投資の審査に関する法律」が提出されました。本法案は、重要インフラなど国家安全保障関連分野への特定の外国直接投資(FDI)について、EU規制に沿った制度整備の一環として義務的な届出および審査手続を導入するものです。

 審査はウクライナ外国直接投資審査委員会が行い、承認、条件付き承認または拒否が決定されます。また、FDI審査が企業結合審査に先行するため、クリアランス取得までの期間が延長される可能性があり、対象分野では慎重な事前検討が求められます。

 詳細は当事務所の2025年11⽉27⽇付けニューズレターをご参照ください。

ロシア:米国、英国がロシア制裁を強化

 2025年10月以降、EU・米国・英国はウクライナ情勢を受け、対ロシア制裁を一斉に強化しました。
 米国は10月22日、Open Joint Stock Company Rosneft Oil Company(ロスネフチ)とPublic Joint- Stock Company Oil Lukoil (ルクオイル)という、ロシア最大手の石油企業2社をSDNリスト( Specially Designated Nationals and Blocked Persons List)に追加し、資産凍結などの厳しい措置を発動しました。

 続いてEUは23日に第19次制裁パッケージを採択し、ロシア産液化天然ガスの購入・輸入・移転の全面禁止、電子部品や軍用規格の金属などを対象とする輸出規制の拡大、AI・量子・高性能コンピューティングサービスの提供禁止など、制裁枠組みを大幅に拡充しました。また、第三国経由の制裁回避を防ぐため、関連金融機関への取引禁止措置や、ロシア経済特区における合弁事業への参画などの一定の行為の禁止も導入されています。

 英国もロスネフチ、ルクオイル、Nayara Energy(ロスネフチが49%出資のインドの製油企業)などを新たに制裁対象に加え、一部取引の縮小や継続を期間限定で認める一般ライセンスを発行しました。

 米国とEUによる今回の措置はいずれもロシアのエネルギー産業を標的にしたものであるといえ、英国がロシアのエネルギー産業関連の複数の事業体を制裁対象者として指定した動きに追随するものといえます。

 詳細は当事務所の2025年12⽉15⽇付けニューズレターをご参照ください。

ベトナム

包括的なAIガバナンスの枠組みのためのAI法草案を発表

 ベトナム政府は、人工知能の包括的なガバナンス枠組みを構築するための「AI法」草案を公表し、2025年10月20日まで意見募集を行いました。

 本草案は、AIの開発および利用に関する基本原則を定め、公平性・非差別性、透明性・説明可能性、セキュリティ・安全性の確保を目的としています。

 特に、AIシステムをリスクに応じて分類し、高リスクAIについては厳格な監督を義務付ける内容となっています。また、AI開設者、提供者、導入者、利用者など、AIシステムに対する実際の役割に応じて異なる責任を負うこととしています。さらに、国内外企業による研究開発を推進するために、金銭的な支援を定めています。

 違反した場合には罰金やAIシステムの一時的または恒久的な使用禁止等の措置が適用される可能性があり、企業のコンプライアンス体制の強化が不可欠であるといえます。

 詳細は当事務所の2025年11⽉付けニューズレターをご参照ください。

個人データ保護(PDP)法の施行

 2026年1月1日、ベトナムで個人データ保護(PDP)法が施行されました。既存のPDP政令の枠組みを発展させ、GDPRに類似する体系を導入しつつ、国家安全保障などの独自の要素を組み込むものです。具体的には、本法の適用範囲や越境移転の要件、違反時の報告義務などを定めます。多国籍企業にも大きな影響を及ぼすものであり、詳細を定める政令も注目されます。

 詳細は当事務所の2025年11⽉付けニューズレターをご参照ください。

戦略的貿易管理に関する新政令の施行

 2025年10月10日、ベトナム政府は戦略的貿易管理に関する政令を公布し、同日に施行しました。同政令は大量破壊兵器、通常兵器およびデュアルユース品(軍民両用品)を含む戦略的貿易品の輸出、再輸出のための一時輸入、積み替え、通過および越境移転を包括的に規制するものです。

 同政令は、デュアルユース品について、ライセンス取得の対象となる包括的な品目カタログの新設、内部コンプライアンスプログラム認証企業向けの二段階ライセンス制度の導入のほか、年次報告、5年間の記録保存および疑わしい取引の当局への通知義務などの企業の義務等を定めています。

 虚偽申告やライセンス要件の不遵守、不拡散規制や国家安全保障政策の変更に対する違反がある場合には、ライセンスが取り消される可能性があります。同政令の施行日から6か月以内に、国家単一窓口を通じたオンライン申請システムが設置される予定となっています。

 詳細は当事務所の2025年11月付けニューズレターをご参照ください。

その他東南アジア

フィリピン:エネルギー省がエネルギー分野におけるカーボンクレジットの生成・管理・モニタリングのガイドラインを発表

 2025年10月、フィリピンのエネルギー省(DOE)は、カーボンクレジットの生成・管理・モニタリングに関する一般ガイドラインを発表しました。

 本ガイドラインは、エネルギー分野で生成されるカーボンクレジット証書(CCC)に関する政策枠組みを定めるものであり、温室効果ガスまたはエネルギー消費量の大幅な削減によりCCCの生成が可能であるプロジェクトやプログラムを挙げ、CCCの所有権、使用および移転の仕組みを定めるものです。CCCの生成対象となる活動の例には、石炭火力発電所の早期廃止、再生可能エネルギーシステムの導入および拡張、EVへの移行、技術革新やプロセス最適化によるエネルギー使用量および排出量の削減等が含まれます。

 CCCは国際コンプライアンス市場、国内コンプライアンス市場またはDOEが認定する排出量取引制度、ならびにボランタリー市場で取引が可能となっています。DOEはガイドラインの適切な実施のため、タスクフォース(TFECC)を設置し、ガイドラインに示された活動を監督します。

 詳細は当事務所の2025年11⽉付けニューズレターをご参照ください。

インドネシア:新しい輸入フレームワークが輸入業者により高い透明性を提供

 2025年10月22日、インドネシア貿易省が輸入政策に関する規則を改正する貿易大臣規則第37号(2025年)を公表しました。

 本改正は、輸入に関する手続を明確化するものであり、輸入業者が輸入者識別番号(API)として使用する事業者識別番号(NIB)についてAPIの種類の変更やAPIの取消に関するルールを定めたほか、特定製品の輸入に必要となる指定機関が船積み前に積み荷を検査して発行するサーベイヤーレポートの記載事項の追加や、一定の製品の投資関連目的の輸入について輸入規制の対象外とする措置の終了が行われました。

 同規則は11月5日から施行されていますが、一定の経過措置が設けられています。

 詳細は当事務所の2025年12⽉付けニューズレターをご参照ください。

タイ:労働保護法改正により育児および乳児ケア休暇を導入

 タイでは、2025年11月7日に労働保護法(Labour Protection Act B.E.2541)の第9次改正法が官報に公布され、2025年12月7日に施行されました。

 本改正により、雇用主は新たな休暇制度に対応するため、就業規則、従業員ハンドブックおよび関連する人事ポリシーを見直す必要があります。主な改正点として、産前産後休暇は一度の妊娠ごとに120日へ延長され、そのうち60日間は全額賃金の支払い義務があります。

 さらに、乳児が合併症または障害のリスクを伴う疾病に罹患した場合、医師の診断書を提出することで、女性従業員は産休後に最大15日間の乳児ケア休暇を取得でき、期間中は通常賃金の50%以上の支払いが義務付けられます。

 加えて、配偶者が出産した従業員には、出産後90日以内に最大15日間の有給育児休暇が認められ、雇用主は全額賃金を支払う義務があります。

 企業には速やかに本改正に対応することが求められます。

 詳細は当事務所の2025年12⽉付けニューズレターをご参照ください。

タイ:競争法規制当局による支配的地位の判断基準に関する改正

 タイ競争委員会(TCCT)は、新たな支配的地位の基準に係る告示を発出し、2025年12月17日に発効しました。本告示は、TCCTが2020年に発出した従来の告示に代わるものです。新告示の下では、市場シェアが20%未満の事業者は、原則として支配的地位を有すると判断されなくなりました。

 新基準では、以下の場合に、支配的地位を有しているとみなされます。新基準は、支配的地位の濫用規制および企業結合規制双方に適用されることとなります。

  1. 前事業年度において、関連市場における売上高が10億バーツ(THB 1 billion)以上である場合、および
  2. 前事業年度において、

    (a)当該市場における市場シェアが50%以上である場合または

    (b)当該事業者が上位3事業者のいずれかであり、上位3事業者の合計市場シェアが75%以上で、かつ
    当該事業者自身の市場シェアが20%以上である場合

 詳細は当事務所の2026年1⽉付けニューズレターをご参照ください。

シンガポール:職場公平法の制定

 2025年11月4日、シンガポール国会は、職場公平法(WFA)を可決しました。WFAは、職場における差別の防止と公平な待遇の強化を目的としています。具体的には、差別に関する不法行為の創設や雇用請求審判所の管轄の拡張、濫訴を抑止する仕組みの導入、義務的調停を含む3段階の紛争解決手続の導入などを内容とします。WFAは2部構成であり、2027年に施行される予定です。

 詳細は当事務所の2025年12⽉付けニューズレターをご参照ください。

シンガポール:サイバーセキュリティ改正法の主要規定が施行

 シンガポールでは、2025年10月31日、サイバーセキュリティ改正法の主要規定が施行されました。この改正法の施行により、仮想システムの使用が一般化しはじめてきた現状に合わせて、シンガポールにおける重要サービスの継続的提供に不可欠なコンピューターまたはコンピューターシステム(Critical Information Infrastructure/CII)の定義に「仮想コンピューター」および「仮想コンピューターシステム」が追加されることとなりました。

 また、国外に設置されたコンピューターまたはコンピューターシステムもCIIとして指定できるようになったほか、第三者所有のCIIを利用して重要なサービスを提供している事業者の責任も明記されることとなりました。

 詳細は当事務所の2025年12⽉付けニューズレターをご参照ください。

東アジア

台湾:サイバーセキュリティマネジメント法の改正

 台湾では、2025年9月24日、改正サイバーセキュリティマネジメント法が公布されました。同改正は、サイバー空間における脅威の拡大に対応する世界的な潮流に沿ったものであり、政府と社会のレジリエンスを強化することを目的としています。改正法は、政府機関だけでなくより広範な「特定非公務機関」と呼ばれる非政府機関にも適用されることとなります。

 改正法では、①最高情報セキュリティ責任者(CISO)の任命および専任のサイバーセキュリティ担当者の配置の義務化、②担当省庁に対する調査権限の付与、③国家的なサイバーセキュリティに危害を及ぼす製品の使用制限、④サイバーセキュリティ侵害事象の報告義務違反や法令違反に対する罰則の強化などが内容となっています。

 詳細は当事務所の2025年11⽉付けニューズレターをご参照ください。

台湾:個人情報保護法の改正

 2025年10月17日、立法院は改正個人情報保護法を可決しました。改正により、新たに個人情報保護委員会(PDPC)が設置され、データ侵害が発生した場合、民間企業などの非政府機関はデータ主体への通知義務に加え、個人情報保護委員会への報告義務も負う可能性が生じます。本法は2026年内に施行される予定です。

 詳細は当事務所の2025年11⽉付けニューズレターをご参照ください。

台湾:職場いじめ防止および建設業の安全強化を中心とする労働安全衛生法の改正

 台湾の立法院は、職場いじめ防止および建設業の安全強化を中心とする労働安全衛生法改正を可決しました。同改正では、初めて「職場いじめ(workplace bullying)」が法的に明確に定義されました。企業には、苦情申立て窓口の整備といじめ防止ガイドラインの策定が求められ、苦情申立てがなされた場合にはいじめ調査を実施する義務を負うこととなります。

 また、大型建設工事での安全を確保するために、事業主がプロジェクトの特性に応じた潜在的な危険性の分析と安全計画・図面の策定をすることを義務化し、請負業者はこれに従って予防措置を講じなければなりません。

 同法の改正では、刑事罰と行政罰の双方が引き上げられており、罰金の金額が増額されたことで違反の防止効果が期待されています。

 詳細は当事務所の2026年1⽉付けニューズレターをご参照ください。

中国:中華人民共和国商標法–改正草案の最新動向

 中華人民共和国商標法の改正は2018年に開始され、2025年11月14日に国務院常務会議で草案が原則承認されました。順調に進めば2026年に施行される見込みです。

 改正案の主な内容は、悪意の出願を抑制するための法的根拠の明確化および制裁措置ならびに損害賠償の導入、同一または実質的に同一の商標の再出願禁止、異議申立期間の3か月から2か月への短縮、CNIPAでの不服申立手続の廃止と人民法院での直接争訟への移行です。

 また、オンラインでの商標使用を「使用」として明確化し、電子商取引における無断使用を侵害類型に追加するほか、公正使用の範囲が拡大されます。さらに、周知商標の保護を強化し、未登録商標に対する希釈化防止を含む保護が拡充されます。加えて、行政当局の調査権限を強化し、銀行口座照会等を可能とするほか、悪意の商標訴訟に対する責任および防御費用を含む損害賠償制度が導入されます。

 企業は、改正案を踏まえて商標出願戦略の見直しに備える必要があります。

 詳細は当事務所の2025年12⽉15⽇付けニューズレターをご参照ください。

香港:香港終審法院、中国本土所在文書のクロスボーダー開示手続の筋道を明確化(要請書による方法)

 香港終審法院は、香港訴訟で中国本土に所在する文書を取得するための仕組みを明確化する画期的な判決を下しました。判決では、香港裁判所が当事者のディスカバリー義務の履行を促進するために、本土裁判所に対して要請書(レター・オブ・リクエスト)を発行する広範な権限を有することを確認しました。一方で、申請者は本土裁判所が要請に応じる可能性があることを示す必要があるとしています。

 文書提供には中国法や規制当局の承認が関係する場合があるため、本土所在文書の提供を求める場合には戦略的な計画を立てることが不可欠です。

 詳細は当事務所の2025年12⽉付けニューズレターをご参照ください。

南アフリカ:競争委員会が少数株主保護に関するガイドライン案を公表

 2025年12月4日、南アフリカ競争委員会は、少数株主保護に関するガイドライン案を公表しました。 本ガイドライン案は、少数株主が企業の戦略的意思決定に影響を及ぼし得る場合には、少数持株であっても「支配権」の取得とみなされ、企業結合審査の対象となり得ることを示しています。

 少数株主の支配権が注視される中、取引当事者は株主権の内容を慎重に精査し、競争当局と適切にコミュニケーションを図ることが、審査遅延の回避や取引の確実性確保にいっそう重要となります。

 詳細は当事務所の2026年1⽉付けニューズレターをご参照ください。

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