海外法Legal Update
第1回 2024年9月に押さえておくべき海外法の最新動向
国際取引・海外進出
シリーズ一覧全5件
本稿では、2024年5⽉から7⽉にかけて当事務所から紹介した、世界各国オフィスのクライアントアラートのうち、特に企業法務担当者のみなさまにおいて押さえておくべき重要なトピックについて、概要を取り上げます。
各トピックの詳細についてはリンクから当事務所のクライアントアラートをご参照ください。なお、情報がアップデートされている可能性もありますので、最新の情報について確認されたい場合や、記事のリンクからアクセスすることができない場合には、当事務所までお問い合わせください(問い合わせ窓口はこちら)。
※本連載は約3か月ごとの掲載を予定しています。
吉田 武史弁護士、長谷川 匠弁護士、甲斐 悠子弁護士、桒原 里枝弁護士、金子 周悟弁護士、田中 和美弁護士、藤原 総一郎弁護士、河邉 美杉弁護士、村田 優果弁護士(以上、ベーカー&マッケンジー法律事務所(外国法共同事業))
米国・南米
米国:FTCが競業避止義務条項を禁止する最終規則を発表
米国連邦取引委員会(FTC)は、2024年4月23日、米国全土で雇用主と労働者との間の退職後の競業避止義務条項を禁止する内容の最終規則を発表しました。FTCは、競業避止義務条項は労働者に重大な損害やコストを負担させ、市場の競争条件にも悪影響を及ぼすとし、雇用主が労働者と競業避止義務条項を含む契約を締結したり、特定の競業避止義務条項を強制することは、原則として不公正な競争方法としてFTC法5条に違反するとしています。
本規則により、雇用主は、本規則の発効日以降、原則として労働者に対する既存の競業避止義務を執行することが禁止されます。FTCは、競業避止義務の代替手段となり得るものとして、秘密保持契約(NDA)の活用や賃金や労働条件の改善等をあげたうえで、これらの代替手段によって企業機密の保持や雇用の維持を実現すべきとしています。
なお、本規則は、2024年9月の発効が予定されていたものの、連邦地裁が本規則の発効の差止めを認めたことから、具体的な発効時期は未定となっています。
詳細は当事務所の2024年5月30日付けクライアントアラートをご参照ください。
米国:海外恐喝防止法制定により外国公務員の汚職を追及する権限を拡大
米国において2023年12月14日、米国の国防予算・政策を定める国防授権法の一環として、海外恐喝防止法(FEPA)が制定されました。FEPAは、海外腐敗行為防止法(FCPA)に倣い、米国企業が海外で公正に競争できるようにすることを目的としています。FCPAは、外国公務員に対する賄賂の提供や申出を行った企業または個人を処罰対象としているのに対して、FEPAは、特定の米国企業から賄賂を要求または受領等した外国公務員を処罰対象として刑事責任を課す法律で、最大25万ドルの罰金および15年以下の懲役が科される可能性があります。
国連腐敗防止条約に沿ったこの法律は、腐敗撲滅というバイデン政権の国家安全保障上の優先事項を強化するものです。米国司法省がFEPA違反を調査する際に、FCPA違反も発見する可能性があるため、企業は強力なコンプライアンスプログラムを導入することが重要となります。
詳細は当事務所の2024年1月25日付けクライアントアラートをご参照ください。
アルゼンチン:企業規制に対する新たな枠組み
アルゼンチン国家当局およびブエノスアイレス司法総監察局は、2024年3月より、国内企業およびブエノスアイレスに登記または登記申請中の外国企業に対して適用される規制を変更しました。
アルゼンチンに所在する企業については、最低資本金額の引き上げ、国による監督の対象となる株式会社および監査人などによる監査の対象となる有限会社の資本金額が定められました。また、ブエノスアイレスに所在する企業のうち、国内企業については、会社の存続期間の上限の廃止、コーポレートガバナンス機関におけるジェンダー多様性要件の廃止がなされた一方、外国企業については、特別目的会社(SPV)の制限の撤廃、柔軟な資産保有要件の導入、支店登記としての有効性、支店代表者の保証義務の変更などが定められました。また、簡易型株式会社の運営に課されていた一定の制限を撤廃するために、設立および運営に関する制度に一定の変更がなされました。
詳細は当事務所の2024年6月27日付けクライアントアラートをご参照ください。
EU
企業の持続可能性デューデリジェンスに関する指令(CS3D)の発効
2024年7月25日、EUにおいて、企業の持続可能性デューデリジェンスに関する指令(Directive 2024/1760)(Corporate Sustainability Due Diligence Directive。以下「CS3D」といいます)が発効しました。CS3Dは、人権および環境に関するデューデリジェンスの実施義務と、その実施方法などの報告義務を定めています(企業の規模等に応じて適用開始時期は異なります)。
この指令が適用される企業は、所定の様式による年次報告書(CS3D報告書)をウェブサイトで公表する義務を負います。年次報告書の記載事項は、2027年3月までに欧州委員会により明確化される予定であり、使用言語はEUの公用語のうち少なくとも1つ、または国際ビジネスで一般的な言語(英語など)です。なお、CSRD(企業サステナビリティ報告指令)に基づく報告義務を負う企業は、CS3D報告書を公表する義務を免除されます。
また、CS3Dに基づく義務として、対象企業は気候変動緩和のための移行計画を策定する必要があります。移行計画は、企業のビジネスモデルと戦略が次の①〜③のすべてに適合することを目的としなければならず、④〜⑦をその内容に含む必要があります。
- パリ協定に従い世界平均気温の上昇を1.5℃に制限すること
- EUの目標に従い2050年までに気候変動に伴う温室効果ガス排出量を正味ゼロとすること
- 持続可能な経済への移行
- 期限付き目標の設定
- 目標達成のための主要な行動の説明
- 投資と資金調達の説明と定量化
- 管理・経営・監督機関の役割の説明
目標が未達成の場合には、最善の努力をしたか否かが問われる可能性がありますが、その判断基準は確立されていません。移行計画に関しては、「グリーン転換に向けた消費者のエンパワーメント」に関する指令(Directive 2024/825)において第三者認証も求められ、2027年頃にガイダンスが公表される予定です。CS3DはEU加盟国に対して、CS3D上の義務の遵守を監督する監視当局の指定および国内規制の整備も義務付けています。
監督当局は、企業に対して情報提供の要求やコンプライアンス調査・監査を行う権限のほか、違反者に対して罰金を科し、是正措置を命じる権限を持ちます。罰金は企業の全世界純売上高の5%以上で、連結売上高に基づいて計算されます。また、監督当局による違反企業に対する決定は少なくとも5年間公開されます。さらに、CS3Dは人権や環境侵害に関する企業の民事責任を規定しています。企業は、第三者にデューデリジェンスやリスク管理を委託した場合も免責されません。
今後は、加盟国および監督当局によるCS3D違反に対する執行が強化されることが想定されます。CS3D違反やその疑いは企業のレピュテーションに影響を与える可能性があるため、対象企業はバリューチェーンや調達機能への影響など、効果的なリスク分析が求められます。
詳細は当事務所の2024年5月30日付けクライアントアラートをご参照ください。
強制労働により生産された製品のEU域内での流通、EU域外への輸出を禁止する規則案を承認
2024年3月13日、欧州理事会および欧州議会は、強制労働で生産された製品のEU域内流通および輸出を禁止する規則案に最終合意しました。この規則は、強制労働を用いて製造された製品を排除して強制労働の使用を減少させることや、各国の法律や規制の違いから生じる競争の歪みを取り除くこと等を目的としており、製品の産業分野や原産地に関係なく、製品の製造、収穫、採取、加工などサプライチェーンの各段階に適用されます。
今後、欧州議会での正式な承認手続を経て、2024年秋以降に発効予定です。発効から適用開始までは最長36か月とされているため、企業は2027年半ばから2028年にかけて規則遵守のための準備を行う必要があります。
詳細は当事務所の2024年4月26日付けクライアントアラートをご参照ください。
欧州議会がAI法を採択、2年後に全面適用
2024年3月13日、欧州議会でAI法が採択され、数か月以内に発効する見込みです。AI法は、以下のような用途ごとにAIを分類し、分類に応じて規制内容を変えるリスクベースのアプローチを採用しています。
- 公共の場での顔認証技術の使用などの「容認されない」(したがって禁止される)利用形態
- 雇用関係におけるAIの使用といった、適合性評価やリスク管理の対象となる「高リスク」の利用形態
- チャットボットのような「限定的リスク」の利用形態
- 情報要件や自主行動規範が適用される「最小リスク」の利用形態
AI法は、上記のリスクベースの分類に従って段階的に施行されていく予定です。おそらく2024年後半には、①の形態についての禁止規定が発効し、発効から2年後に全面的な適用開始となる見込みです。
詳細は当事務所の2024年4月15日付けクライアントアラートをご参照ください。
中国
データ越境移転を促進・規制する新規則の施行
2024年3月22日、中国で、データ越境移動促進規範規則(新規則)が施行されました。主なポイントは以下のとおりです。
- 重要データの越境移転にセキュリティアセスメント等の手続要件が課される
- 特定の事由(例:転送中のデータ、契約、人事管理、緊急時、小規模越境データ移転者など)に該当する場合、個人情報の越境移転の手続要件を免除
- 越境データ移転を容易にするために、自由貿易区の当局に、手続要件の適用対象となる越境データ移転のネガティブリストを公表する権限を付与
- 手続要件の適用閾値が引き上げられ、すべての手続要件を免除されるデータ処理者の範囲が拡大
なお、①の要件は、個人情報と重要データの2つのカテゴリーにのみ適用されます。
企業は、新規則に対応するために、データ処理および越境データ移転に関する内部調査を行い、法的要件の遵守を確認する必要があります。
詳細は当事務所の2024年4月1日付けクライアントアラートをご参照ください。
AIによる作品に著作権保護を認める画期的判決
2023年11月、中国で、人工知能(AI)が生成した画像に対する著作権保護を認める画期的な判決が下されました。この判決は、AIが生成した作品も著作権保護の対象となる可能性を示した点で、中国におけるAIと知的財産に関する将来の法環境を左右する意義深い判断といえます。
AIが生成した作品が中国で著作権保護の対象となるかは、ケースバイケースの判断になりますが、この判決は、同種の問題の検討における1つの指針を提供するものです。
詳細は当事務所の2024年4月23日付けクライアントアラートをご参照ください。
改正国家機密保護法の施行
2024年5月1日、中国の改正国家機密保護法が施行されました。この改正法は、2023年に改正された反スパイ法、国家安全保障法、その他の国家安全保障関連の法律や規制とともに、さまざまな側面から国家秘密保護を強化するものです。主な改正内容は以下のとおりです。
- 国家機密保護に関する予算の確保
- 機密情報の分類基準の明確化
- 国家機密保護のための技術や人員の管理の改善・強化
- 国家機密にアクセスする政府機関や企業について機密業務の専任担当者の設置を義務付け
また、改正により、国家機密保護局の調査権限は拡大され、インターネット事業者については、当局への協力も義務付けられます。多くの企業にとって事業運営への影響は限定的ですが、特にハイテク、ヘルスケア、金融業界や国有企業との取引が多い企業等は、国家機密保護に対する意識を高め、データ管理を強化する運用とすることが望ましいといえます。
詳細は当事務所の2024年3月6日付けクライアントアラートをご参照ください。
東南アジア
タイ:マネーロンダリング防止局による顧客デューデリジェンスガイドライン公表
2024年4月、タイのマネーロンダリング防止局は、顧客デューデリジェンスに関する省令において推奨されている実務対応に関し、デジタルアセット、決済サービス、送金代行、保険事業およびその他の指定業種の事業者向けに5つの新たなガイドラインを発行しました。
本ガイドラインでは、マネーロンダリング防止ポリシー、リスク評価、顧客および最終受益者の特定および確認、取引の監視、厳格な顧客管理、第三者への依拠、ならびに取引報告などの規制要件に関する説明および実務的な手引きが示されており、附属書において、商品リスク評価の方法と具体例も各業種ごとに示されています。本ガイドラインは、マネーロンダリング防止局が事業者に対する監査を行う際のマニュアルとして使用されるため、事業者はガイドラインの内容を踏まえた顧客デューデリジェンスのプロセスを構築することが推奨されます。
詳細は当事務所の2024年5月16日付けクライアントアラートをご参照ください。
タイ:取締役等による証券取引に関する新たな報告義務
2024年3月5日、タイ証券取引委員会事務所は、取締役、役員、監査人等による証券およびデリバティブの保有状況の変更の報告に関する通知を発表し、同年3月16日から施行されました。この通知は、証券取引法59条に基づく報告義務を緩和し、重複する報告を最小限に抑えることを目的としており、以下の項目が含まれています。
- 300万バーツ未満の小規模取引に対する報告期限の緩和
- 取締役や役員の配偶者や同居人が同じ上場企業に勤務している場合における、同一の取引を原因とする保有証券の変動について、重複する報告義務の免除
- 強制的な売却によって保有証券に変動がある場合の報告義務の免除
詳細は当事務所の2024年3月15日付けクライアントアラートをご参照ください。
シンガポール:金融管理局が「公正な取引に関するガイドライン」を改訂
シンガポール金融管理局は、2024年5月30日、「公正な取引に関するガイドライン –消費者と公正な取引をする取締役会および上級管理職の責任–」を改訂しました。これにより、本ガイドラインの適用対象は、すべての金融機関が提供するすべての商品およびサービスに拡大されます。
改訂後のガイドラインは、金融機関に対し、ターゲットとなる顧客のニーズと利益に焦点を当てた商品の設計およびガバナンスの実施や、商品・サービスについて顧客が明確・適切・タイムリーに情報を受け取ることを可能とすることなど、5つの「公正な取引の結果(Outcome)」を規定しています。また、ガイドラインには、金融機関の制度に関する要求事項だけでなく、金融商品・サービスのライフサイクル全体に関する要求事項も含まれています。ガイドラインの改訂に伴い、各金融機関は、自社の内部規程や手続が同ガイドラインの要求に準拠しているかという点について確認する必要があります。
詳細は当事務所の2024年6月24日付けクライアントアラートをご参照ください。
シンガポール:オンライン犯罪被害防止法の一部施行
2023年7月5日にシンガポールで成立したオンライン犯罪被害防止法(OCHA)の一部が、2024年2月1日に施行されました。
OCHAは、サイバー犯罪に対処するための措置を導入しており、政府は、同法に基づき、犯罪コンテンツの発信者、オンラインサービスプロバイダー、インターネットサービスプロバイダーに対して、通信停止、無効化、アカウント制限、アクセスブロック、アプリ削除の5種類の指示を出すことができます。特に詐欺や悪意のあるサイバー活動の場合は、指示を出すための要件が他の場合よりも緩和されており、対象となる活動がサイバー犯罪の実行の準備である等と疑うまたは信じるに足る理由のみで指示を出すことができるとされています。
また、政府に指定されたオンラインサービスプロバイダーは、政府と協力して積極的にサイバー犯罪に対処するため一定の措置を講じることが求められる場合があるとされていますが、この点については現時点で未施行です。
詳細は当事務所の2024年3月14日付けクライアントアラートをご参照ください。
マレーシア:2024年改正会社法の施行
2024年4月1日、マレーシアにおいて、2024年改正会社法が施行されました。改正事項としては、会社の実質的所有者(Beneficial Owner)の定義の拡大、実質的所有者の特定および届出の義務化、受益所有者登録簿保持の義務化のほか、会社更生や民事再生などの企業救済制度の見直しなどが含まれます。
今後、会社登記所(Companies Commission of Malaysia)が実質的所有者情報の報告義務の履行に関するガイドラインまたは実務指令を発行することが予想されています。
詳細は当事務所の2024年4月1日付けクライアントアラートをご参照ください。
ミャンマー:2019年特許法の施行
2024年5月31日、ミャンマーの2019年特許法が施行されました。
特許として保護される発明は、新規性、進歩性、産業上の利用可能性という3つの要件を満たす必要があり、単なる発見や科学理論、純粋なコンピュータプログラムなどは保護対象外です。特許の出願権は発明者やその譲受人にあり、職務発明の出願権は原則として雇用主が持ちます。出願には、申請書のほか、発明の詳細や図面等の提出が必要です。
審査は、ミャンマー知的財産局が、国際特許分類(IPC)に従って行います。特許権の有効期間は出願日から20年間で、権利者は無許可使用の禁止、侵害に対する訴訟提起、および実施権付与をすることができます。例外として、非商業的実施、実験や研究目的の実施等の制限はできず、公共の利益や国家防衛などの理由で強制実施権が認められる場合があります。知的財産権に関する紛争は、知的財産庁での審判や知的財産裁判所での訴訟により処理されます。
詳細は当事務所の2024年6月10日付けクライアントアラートをご参照ください。
フィリピン:著作権の法定フェアユースガイドラインを発表
2024年3月4日、フィリピン知的財産庁は、「知的財産法における法定フェアユースに関するガイドライン(Guidelines on Statutory Fair Use in the Intellectual Property Code)」を公表し、著作物の利用において知的財産権を侵害しないための条件を明確化しました。
ガイドラインには、たとえば、私的な朗読や演奏、報道目的の複製、教育機関での録音など、フェアユースが認められる具体例が示されています。著作権者は他者による著作物の利用に対する権利行使の限界を理解し、利用者はガイドラインに従って著作物を使用する必要があります。このガイドラインは、著作権侵害を避けるための重要な指針となります。
詳細は当事務所の2024年3月26日付けクライアントアラートをご参照ください。
オーストラリア
フランチャイズ法の改正予定
2025年4月1日にオーストラリアの現行のフランチャイズ法が自動的に失効することに伴い、2024年後半に同法の改正作業が予定されています。
開示手続およびフランチャイズ開示登記制度については、契約締結前のフランチャイジーへの事前開示が過度に複雑化しているとのフランチャイザーコミュニティの懸念を受け、Key facts sheetの開示文書への統合、既存契約の更新時または新規契約締結時の開示義務の簡素化などが予定されています。
また、フランチャイズ契約については、重大な違反がある場合の解約通知期間の要件が緩和されるほか、契約期間満了前の契約終了に対する補償規定がすべてのフランチャイジーとの関係で必要となります。
フランチャイザーは、フランチャイズ契約締結前のフランチャイジーの評価およびフランチャイジーによる投資に関する記録の作成が義務付けられます。
さらに、フランチャイズ法の適用範囲が拡大され、特定のブランドの車両を販売しないがそれらの整備や修理を認められているディーラーも、フランチャイジーとして同法の対象となります。
詳細は当事務所の2024年5月8日付けクライアントアラートをご参照ください。
公開会社に子会社情報の開示を義務化
オーストラリア政府は、新たな法律を制定し、オーストラリアのすべての公開会社に対し、連結子会社に関する情報の年次財務報告書での開示を義務付けました。新たな開示要件は2023年7月1日以降に開始される会計年度に適用されます。
具体的には、連結財務諸表の作成が会計基準で義務付けられている場合は、連結グループ内の各企業の詳細(名称、法人の形態、(該当する場合は)設立地、税務上の居住地)の開示が義務付けられます。この変更は政府による多国籍企業向けのタックスインテグリティパッケージの一環として行われるもので、公開情報が増えることにより、税務ガバナンスへのアプローチ、積極的な税務計画に対する意思決定等、企業の税務義務に対する見方を変え、企業の行動変容を促すことが期待されています。新法による子会社情報の報告は、国際的な企業税務の透明性の向上に向けた英国などの取組みに沿うものです。
詳細は当事務所の2024年4月2日付けクライアントアラートをご参照ください。
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