株主総会議事録の備置義務とは 閲覧・謄写請求権にはどう対応すればよいか

コーポレート・M&A

 株主総会議事録は、いつまで会社に備え置かなければならないのでしょうか。また、株主や債権者から株主総会議事録の閲覧請求や謄写(コピーや写真撮影をすること)の請求がなされた場合に、どのように対応すればよいでしょうか。特に、当社の営業を妨害する目的で閲覧・謄写の請求がなされている可能性がある場合の対応について教えてください。

 株主総会議事録は、本店においては議事録の原本を株主総会の日から10年間、支店においては議事録の写しを株主総会の日から5年間、備え置く必要があります。ただし、電磁的記録をもって作成されている場合は、一定の場合に支店における写しの備置義務が免除されます。
 株主・債権者などの株主総会議事録の閲覧・謄写の請求は、正当な目的がある場合についてのみ認められるため、会社の営業を妨害する目的で請求がなされた場合には、拒否することができると考えられます。ただし、正当の目的がないことの立証責任は会社にあるため、慎重に判断する必要があります。

解説

目次

  1. 株主総会議事録の備置義務
  2. 株主総会議事録の閲覧・謄写請求の原則
  3. 株主総会議事録の閲覧・謄写請求を拒否することができる場合
  4. 株主総会議事録の閲覧・謄写請求にかかる事務手続

株主総会議事録の備置義務

 株主総会議事録については、本店においては議事録の原本を株主総会の日から10年間、支店においては議事録の写しを株主総会の日から5年間、備え置かなければならないとされています(会社法318条2項・3項)。
 ただし、株主総会議事録が電磁的記録をもって作成されている場合であって、支店における閲覧・謄写請求に応じることを可能とするための措置がとられているときは、支店における写しの備え置きが免除されます。具体的には、電磁的記録が支店とは別の場所(本店など)にある場合であっても、支店のパソコンからダウンロードするなどして支店から閲覧・謄写することができる場合などです(会社法318条3項ただし書き、会社法施行規則227条2号)。

 なお、株主総会議事録の備置義務に違反した場合には、過料(100万円以下)の制裁の可能性があります(会社法976条8号)。

本店 支店(ただし、上記の例外あり)
備え置くもの 原本 写し
期間 10年間 5年間

株主総会議事録の閲覧・謄写請求の原則

 株主および債権者は、会社の営業時間内はいつでも、株主総会議事録の閲覧・謄写の請求をすることができます(会社法318条4項)。また、親会社社員は、その権利を行使するために必要があるときは、裁判所の許可を得て、株主総会議事録の閲覧・謄写の請求をすることができます(会社法318条5項)。
 このように株主・債権者からの株主総会議事録の閲覧・謄写請求については、法文上、営業時間内であること以外に特段制約がなく広く認められています(この点は、取締役会議事録などの場合と異なります)。したがって、営業時間内になされた株主・債権者からの閲覧・謄写請求については、基本的に応じる必要があります。もっとも、次に述べるように、一定の場合には拒否することも可能と考えられます。

株主総会議事録の閲覧・謄写請求を拒否することができる場合

 株主・債権者などに株主総会議事録の閲覧・謄写の請求が認められているのは、株主・債権者の利益を保護するためだけでなく、会社の機関である株主総会を監視することによって、間接的に会社の利益を保護するためという目的もあります。そのため、このような趣旨に合致するような正当な目的がある場合についてのみ閲覧・謄写の請求が認められると考えられています。
 したがって、たとえば会社の営業を妨害する目的で閲覧・謄写請求がなされた場合には、権利の濫用として、これを拒否することができると考えられます。裁判例でも、株主による株主総会議事録等の閲覧・謄写請求につき、その目的を逸脱して権利の濫用に該当するとされた事例があります(東京地裁昭和49年10月1日判決・判時772号91頁)。

 ただし、注意が必要なのは、会社が閲覧・謄写請求を拒否するには、会社の側で、正当の目的がないことを立証する必要がある点です。
 また、正当の理由がなく閲覧・謄写請求を拒絶した場合には、過料(100万円以下)の対象となります(会社法976条4号)。
 したがって、株主などからの閲覧・謄写の請求が営業妨害目的である可能性がある場合であっても、慎重に判断する必要があります。

株主総会議事録の閲覧・謄写請求を拒否することができる場合

株主総会議事録の閲覧・謄写請求にかかる事務手続

 株主や債権者から閲覧・謄写請求があった場合、実務上は、会社所定の閲覧・謄写請求書に、住所、氏名や請求目的などを記載してもらうことが一般的であると考えられます。閲覧・謄写請求書の様式については法律上定められているものではありませんが、後述の記載例を1つのサンプルとしてご参照ください。
 閲覧・謄写の請求は、本人だけでなく代理人によっても行うことができるとされています。その場合には、本人と代理人の両方について本人確認を行うことになります。

 なお、上場会社については、株券電子化の下、株主が議事録の閲覧・謄写請求をするには、まずは証券会社等を通じて振替機関に個別株主通知の申請をする必要があります。そして、振替機関から発行会社宛に個別株主通知がなされてから4週間以内に、閲覧・謄写の請求を行う必要があります(社債、株式等の振替に関する法律154条2項、同施行令40条)。

 また、株主などから株主総会議事録のコピーの交付を求められた場合に、会社はこれに応じる法的な義務はありません。法律上、株主などに謄写請求権として認められているのは、あくまで株主など自身が謄写をする権利であって、会社にコピーを交付させることまで認めているものではないからです。ただし、会社側の手続上の便宜から、会社が任意の判断で申請者に対してコピーを交付することは可能であり、その場合、申請者に実費相当額を請求することも考えられます。

【閲覧・謄写請求書のサンプル】

閲覧・謄写請求書のサンプル

(※)本書類閲覧・謄写請求書は、株主総会議事録に限らず、他の法定書類の閲覧・謄写請求においても共通に用いられる書式になります。

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