株主総会議事録の記載例(計算書類・剰余金・資本金・準備金)

コーポレート・M&A

 株主総会において計算書類の承認、剰余金の配当、資本金・準備金の額の減少を決議した場合、株主総会議事録には、どのように記載すればよいでしょうか。また、資本金および資本準備金を取り崩して欠損の填補に充てる場合についてはどうですか。

 株主総会議事録には、最低限、各議案ごとに、実際に株主総会で決議した事項について記載することになります。特に、会社法では、各議案で決議すべき事項が定められていますので、それらの決議事項については、漏れなく記載するよう注意する必要があります。
 資本金および資本準備金を取り崩して欠損の填補に充てる場合には、①資本金の額の減少、②資本準備金の額の減少、③剰余金の処分の3つの決議が必要となりますが、これらは一連の決議として、同一の議案で付議されることが一般的です。

解説

目次

  1. 計算書類の承認と株主総会議事録の記載例
  2. 剰余金の配当と株主総会議事録の記載例
  3. 資本金の額の減少と株主総会議事録の記載例
  4. 準備金の額の減少と株主総会議事録の記載例
  5. 欠損填補を目的とした資本金および資本準備金の額の減少

計算書類の承認と株主総会議事録の記載例

 各事業年度に係る計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本変動計算書および個別注記表)は、株主総会への報告で足りる場合を除き、定時株主総会において承認を得る必要があります(会社法438条2項)。これは臨時計算書類についても同様です(会社法441条4項)。そのため、議事録には、この計算書類の承認を決議した旨を記載すれば足ります。実務上は、どの計算書類について承認したのかが分かるように、計算書類が含まれた招集通知を議事録に添付することが一般的です。  

記載例
第〇号議案 計算書類承認の件
 議長から、第〇期計算書類につき、別添の「第〇期定時株主総会招集ご通知」の〇頁から〇頁に基づいてその内容を説明し、本議案を議場に諮ったところ、出席株主の議決権の過半数の賛成が得られたため、原案どおり承認可決された。

剰余金の配当と株主総会議事録の記載例

 剰余金の配当(金銭による配当)を行う場合には、中間配当の場合や会社法459条1項4号の定款の定めにより取締役会決議で行われる場合を除き、株主総会決議により、以下の事項を決議する必要があります(会社法454条1項)。そのため、議事録には、これらの決議事項を記載することになります。

  • 配当財産の種類および帳簿価額の総額
  • 株主に対する配当財産の割当てに関する事項
  • 効力発生日
記載例
第〇号議案 剰余金配当の件
 議長から、株主の皆様への利益還元を重視し、継続的かつ安定的な配当を基本としつつ、会社を取り巻く環境についても勘案し、当期の期末配当を、当社普通株式1株当たり金〇円、総額金〇円、剰余金の配当が効力を生じる日を〇年〇月〇日としたい旨を説明し、本議案を議場に諮ったところ、出席株主の議決権の過半数の賛成があったため、原案どおり承認可決された。

資本金の額の減少と株主総会議事録の記載例

 資本金の額を減少する場合には、原則として、株主総会決議により、以下の事項を定める必要があります(会社法447条1項)。そのため、株主総会議事録には、これらの決議事項を記載することになります。なお、欠損填補の目的で定時株主総会において決議する場合は普通決議(会社法309条1項)で足りますが(下記5参照)、そうでない場合には特別決議(会社法309条2項)が必要ですので、可決要件の記載には注意が必要です。

  • 減少する資本金の額
  • 減少する資本金の額を準備金に組み入れる場合はその旨および額
  • 効力発生日
記載例
第〇号議案 資本金の額の減少の件
 議長から、機動的かつ安定的な株主還元策を実施できるようにするため、別添の「第〇期定時株主総会招集ご通知」の〇頁から〇頁に記載のとおり、資本金の額を〇〇〇〇円減少し、同額をその他資本剰余金に振り替えたい旨、及び、その効力発生日を〇年〇月〇日としたい旨を説明し、本議案を議場に諮ったところ、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が得られたため、原案どおり承認可決された。

準備金の額の減少と株主総会議事録の記載例

 準備金の額を減少する場合には、原則として、株主総会決議により、以下の事項を定める必要があります(会社法448条1項)。そのため、株主総会議事録には、これらの決議事項を記載することになります。

  • 減少する準備金の額
  • 減少する準備金の額を資本金に組み入れる場合はその旨および額
  • 効力発生日
記載例
第〇号議案 資本準備金の額の減少の件
 議長から、機動的かつ安定的な株主還元策を実施できるようにするため、別添の「第〇期定時株主総会招集ご通知」の〇頁から〇頁に記載のとおり、資本準備金の額を〇〇〇〇円減少し、同額をその他資本剰余金に振り替えたい旨、及び、その効力発生日を〇年〇月〇日としたい旨を説明し、本議案を議場に諮ったところ、出席株主の議決権の過半数の賛成が得られたため、原案どおり承認可決された。

欠損填補を目的とした資本金および資本準備金の額の減少

 資本金の額の減少は、上記のとおり原則として株主総会での特別決議が必要ですが、欠損填補を目的として定時株主総会で決議する場合には、普通決議で行うことができます。そのため、資本金の額を減少して欠損填補に充てる場合には、定時株主総会において決議することが通常です。
 また、資本金と資本準備金の双方を欠損の填補に充てる場合には、資本金の額の減少と資本準備金の額の減少について、それぞれ同時に決議することになります。

 さらに、欠損填補は、具体的には、資本金や資本準備金の額の減少後に増加したその他資本剰余金を繰越利益剰余金に振り替えることにより行いますが、これは剰余金の処分(会社法452条)に該当するため、同時にかかる剰余金の処分についても決議が必要となります。
 ただし、上記の一連の決議は、いずれも普通決議で足り、欠損填補を目的とした一連の決議として、同一の議案で付議されることが一般的です。

記載例
第〇号議案 資本金および資本準備金の額の減少ならびに剰余金の処分の件
 議長から、繰越損失を解消し、早期に財務体質の強化を図るため、別添の「第〇期定時株主総会招集ご通知」の〇頁から〇頁に記載のとおり、資本金の額を〇〇〇〇円、資本準備金の額を〇〇〇〇円、それぞれ減少し、いずれも効力発生日を〇年〇月〇日とするとともに、これらの効力発生を条件として、これらの全額を欠損填補に充てる剰余金の処分を行いたい旨を説明し、本議案を議場に諮ったところ、出席株主の議決権の過半数の賛成が得られたため、原案どおり承認可決された。

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