2027年消費者契約法改正はどうなる?方向性と対応の優先度・ポイントを弁護士が解説 サブスク規制(解約妨害)、定型約款変更通知、深刻な結果となる契約の解除権等

取引・契約・債権回収
嶋村 直登弁護士 森・濱田松本法律事務所外国法共同事業

目次

  1. 消費者契約法の改正の方向性
  2. サブスク等の継続的契約における解約妨害の禁止
    1. 現状の課題
    2. 改正の方向性
    3. 実務対応のポイント
  3. 定型約款の変更時の通知
    1. 現状の課題
    2. 改正の方向性
    3. 実務対応のポイント
  4. 深刻な結果となる契約の解除権
    1. 現状の課題
    2. 改正の方向性
    3. 実務対応のポイント
  5. 努力義務
    1. サブスク等の自動更新時の通知
    2. サブスク等の合理的な解約手段の提供
    3. サブスク等の契約の解約方法・条件に関する情報提供
    4. サブスク等の利用者の死亡時の対応手順に関する規定
    5. 「解約料」の説明責任の強化
  6. 事業者一般の行動規範・行動原則

 消費者庁は、2026年9月に、消費者契約法の改正の方向性を示す「中間取りまとめ」を公表し、さらに議論をまとめ、2027年の通常国会に同法の改正案を提出する見通しです。


 今回の消費者契約法改正の検討事項は多岐にわたりますが、事業者においては、まず、①サブスク等の継続的契約の解約導線・顧客対応、②定型約款変更時の通知実務、③高額契約・生活基盤に関わる契約における勧誘・審査体制を中心に、今後の法制化の動向を注視する必要があります。このほか、自動更新時の事前通知や解約料に関する情報提供の充実など多くの論点について努力義務を設けることや、事業者一般の行動規範・行動原則を定めることも検討されています。
 また、インターネット上の取引その他特定商取引法上の取引類型に該当する取引については、特定商取引法等の改正動向にも併せて注意が必要です 1。

消費者契約法の改正の方向性

 消費者庁は、2026年9月10日に、サブスク規制などを中心として、消費者契約法の改正の方向性を示す「中間取りまとめ」を公表しました 2。本年10月31日までパブリックコメントが実施され 3、今後、消費者庁は、議論をまとめ、2027年の通常国会に消費者契約法の改正案を提出する予定となっています。

 中間取りまとめの内容を踏まえ、消費者契約法の改正の方向性を大きく分けると、次のとおりとなります。

  1. サブスク等の継続的契約における解約妨害の禁止
  2. 定型約款の変更時の通知
  3. 深刻な結果となる契約の解除権
  4. 努力義務
  5. 事業者一般の行動規範・行動原則

 今回の消費者契約法改正では、当初、多くの論点が検討されていました。しかし、最終的には、法的な拘束力を持つ内容は、①サブスク等の継続契約における解約妨害の禁止、②定型約款の変更時の通知、③深刻な結果となる契約の解除権の3つに絞られ、その他の論点は努力義務・配慮義務にとどまりました。
 したがって、今後の展開を注視する必要はあるものの、事業者は、まずはこの3つの事項に優先的に対応していくべきと考えられます。特に、サブスク(例:クラウドサービス、定期購入)、継続的契約(例:スポーツジム、スクール、賃貸)など、継続的に課金・更新が行われるサービスでは、解約導線や顧客対応の見直しが必要となる可能性があります。他方で、利用規約の修正が必要となる改正事項はないと考えられます。
 ただし、特にインターネット上での取引については、特定商取引法において同時期に改正が予定されており、むしろ、その改正が大きな影響を与えることが想定されることから(後述2-2(3)などもご参照ください)、その動向により大きな注意を払う必要があります。

 上記の方向性①〜⑤について、以下で詳しく説明します。

サブスク等の継続的契約における解約妨害の禁止

現状の課題

 昨今では、サブスクリプションサービス(サブスク)が普及しています。サブスクをはじめとするサービスを利用するにあたり、個人(消費者)がサービス提供者(事業者)と継続的な契約を結ぶケースが多くあります。この消費者契約は自動的に継続されていくため、その継続を止めるためには、消費者は解約の手続を行う必要があります。しかし、解約にあたっては、事業者から妨害を受ける、解約に負担が伴う、解約の条件・方法がわからないといった問題が生じやすいことが指摘されています。

改正の方向性

(1)対象となるサービス・契約

 対象となるサービス・契約は、事業者が物品、権利、サービスその他の消費者契約の目的物を継続的に提供し続ける消費者契約で、サブスク契約が代表例です。
 ここで、サブスクの定義を明確に定めた法律はありませんが、一般的には「定められた料金を定期的に支払うことにより、一定期間、商品やサービスを利用することができるサービスの契約」を指し、今回の改正の議論でも同様に想定されています。
 サブスクには、動画見放題のサービス、クラウドサービスなどのオンラインサービスが含まれますが、規制の対象はサブスク契約に限らず、消費者契約の目的物を継続的に提供し続ける契約であることから、たとえば、年会費制のクレジットカード、口座管理手数料が必要な銀行口座、食品の宅配事業、スポーツジム、習い事、建物の賃貸借契約なども継続的な契約であれば、規制の対象に該当する可能性があります。

 また、今回の規制対象になる契約には、契約期間の定めがないことで、解約までに継続的に課金されるものだけでなく、契約期間の定めはあるものの更新により継続されるものも含まれます。

 他方で、定期払いの生命保険については、支払い自体は定期的に行われるものの、「一定期間、商品やサービスを利用することができるサービス」とは異なるため、対象外となることが想定されます。もっとも、生命保険に付随して提供されるサービスの内容次第では、該当する場合もあると考えられます。

(2)禁止される行為、ペナルティ

 中間取りまとめでは、サブスク等の継続的契約の解約(契約更新を拒絶する行為を含む)について、以下の行為を禁止することが検討されています。

  1. 解約を妨害する以下の行為
    • 消費者が解約をするかどうかについての判断に通常影響を及ぼす事項についての不実告知
    • 将来における変動が不確実な事項についての断定的判断の提供
    • 消費者が解約をしようとしている場所からの退去妨害
    • 消費者が解約をしようとしている場所からの不退去
    • 消費者から解約の申入れを受けることを拒否する行為・不当遅延
    • 上記のほか、健全な商慣習に照らし不当に消費者の解約を妨げる行為・環境設計(下位法令で具体的な行為を規律することを想定)
  2. 解約に関して消費者を欺く行為・威迫して困惑させる行為
  3. 解約によって生じる事業者の債務の履行の不当な拒否・遅延

 事業者がこの規制に違反した場合でも、直接、民事、刑事または行政上のペナルティが課されることにはなっていません。違反行為は、適格消費者団体による差止請求の対象となるにとどまります。
 とはいえそれは、適格消費者団体から差止請求を受けてから初めて対応すればよいというわけではありません。なぜなら、適格消費者団体による差止請求の活動は、適格消費者団体および消費者庁のウェブサイトで公表されるため、一度でも差止請求を受けてしまえば、レピュテーションリスクがあるためです。
 もちろん、適格消費者団体から指摘を受けないとしても、SNSなどで違反を指摘されれば、同様のリスクがあります。

(3)インターネット取引の解約妨害行為に関する注意点

 1で述べたとおり、特にインターネット上の取引については、今後の特定商取引法等の改正動向にも併せて注意が必要です。

 2027年の提出・成立を目指す特定商取引法の改正では、通信販売 4 について、解約妨害を禁止する規制の導入が検討されています。
 その場合、インターネット上の取引に関する解約妨害行為については、特定商取引法の解約妨害(解約の場面におけるダークパターン)の規制対象にもなると考えられます。そして、違反行為は、少なくとも行政処分の対象となる見込みが高いことから、注意が必要です。

実務対応のポイント

 2-2(2)の①に列挙したとおり、サブスク等の解約妨害行為には、多くの類型が規定されています。
 実務に与える影響を考えるにあたって、以下、その内容を個別に検討します。中間取りまとめでは、具体的な例について記載がないことから、まず、想定される具体的な例を筆者において検討して示します。

(1)不実告知

 不実告知については、たとえば、解約を希望するユーザーに対して、違約金が発生しないのに「違約金が発生する可能性がある」と説明したり、事業者のヘルプページにおいて、退会後も再加入が可能なのに「退会したユーザーは原則として再加入できません」と記載したりする行為は問題になると考えられます。
 なお、「不実告知」は、現行の「不実告知」による契約勧誘(消費者契約法4条1項1号)と同様、事業者が客観的に事実と異なる告知をすれば、その主観面(故意・過失)を問わずに成立するものと考えられます。そして、過去の裁判例を踏まえると、意図的な虚偽説明に限らず、わかりづらい広告表示や内容が不正確なカタログについても、不実告知とみられる可能性があります 5。

(2)断定的判断の提供

 次に、将来における変動が不確実な事項についての断定的判断の提供については、たとえば、料金・再契約条件・特典の条件などが明確には決まっていないにもかかわらず、解約を思いとどまらせるために、「今解約すると、来月からの新規加入は必ず2倍の料金になる」、「今退会すると、将来同じ条件では絶対に再契約できない」などの説明をすることが問題になる可能性があります。

(3)退去妨害または不退去

 消費者契約法においても、対面での契約において、事業者が、勧誘場所から消費者が退去することを妨害した場合、または、消費者から勧誘場所から退去するように言われたのに事業者が退去しない場合で、消費者が困惑して契約を締結した場合には、消費者には取消権が認められています(消費者契約法4条3項1号・2号)。
 同様の退去妨害または不退去についての規制が、サブスク等の継続的契約の解約にも導入される可能性があります。

(4)解約申入れの拒否・不当遅延

 解約申入れの拒否については、たとえば、消費者が電話で解約を申し出たときに、消費者はすぐに解約する権利があるにもかかわらず「最低3か月間は継続をお願いしている」と説明して解約を拒否することが考えられます。たとえば、消費者からの申込時には「いつでも電話で解約可」と表示していたのに、電話が混雑していて解約が容易ではない場合、また、「24時間いつでもインターネットで解約可」としていたのに、土日の夜は日常的にシステムメンテナンスを行っていて解約ができなくなった場合なども問題になる可能性があります。

 解約の不当遅延については、消費者が解約を申し出てからも、「一定期間後に解約する」または「担当部署に確認する」と伝えたりして、不当に解約を遅らせる行為が考えられます。

(5)健全な商慣習に照らし不当に消費者の解約を妨げる行為・環境設計

 健全な商慣習に照らし不当に消費者の解約を妨げる行為・環境設計については、下位法令で具体的な行為を規律することになっているため、どのような内容が規定されるのかを注視していく必要があります。
 もっとも、過去の消費者庁の資料 6 によれば、「度を超えた引き留め行為、電話にでない等により連絡が取れない、繰り返しのポップアップ表示・解約とは別の広告の表示等により解約手続に進ませないよう設計されたUI等」が想定されているようであり、いわゆる「ダークパターン」も含まれるようです。

(6)消費者を欺く行為・威迫して困惑させる行為

 欺く行為は、たとえば、解約ボタンを押した消費者に「手続完了」と誤認させる画面を出しながら実際には「解約予約」や「休止」にすぎない場合、解約手続を行い解約確認メールを受信したところ、実は解約を完了させるには追加手続が必要となる場合、または、解約手続の途中で「無料延長を受け取る」ボタンを押すと解約撤回になるにもかかわらずその旨を明確に示さない場合などが考えられます。

 威迫して困惑させる行為については、特定商取引法の特定継続的役務提供取引の解説 7 によると、「威迫」とは、脅迫に至らない程度の人に不安を生ぜしめるような行為を、「困惑させ」とは、困り戸惑わせることをいいます。
 そして、同解説によると、具体的にはどのような行為が該当するかについては、個々の事例について、行為が行われた状況等を総合的に考慮しつつ判断すべきであるとされています。たとえば、事業者が、「手間をとらせたんだから今更クーリング・オフ(中途解約)するなどと言ったらただでは済まさないぞ」「この契約を解除したら後でどうなるか分かってるんだろうな」「残金を支払わないと現住所に住めなくする」などと言い、消費者が不安になった場合が、これに該当すると説明されています。消費者の不安をあおってしつこく説得するような行為は対象になる可能性があります。
 そうすると、たとえば、「解約するなら高額の違約金を直ちに請求する!」「解約するなら訴えてやる!」「解約するなら家族・勤務先に通報する」などと強い調子で告げ、消費者を困惑させて解約を思いとどまらせることは、「威迫して困惑」に該当する可能性が高いと考えられます。
 また、サブスクの中には、「サービスを解約すると、これまでのサービスのデータ(や視聴履歴)が全部消えてしまいます」などと表示する例(ゲームサービス、動画サービス)もあります。こうした表示はユーザーに対する必要な注意喚起であって、いたずらに消費者の不安をあおるような形で表示した場合は別かもしれませんが、通常は「威迫して困惑」と判断されるものではないと考えます。さらに、別の例として、月額制の学習塾や受験予備校が、解約の申し出に対して、「受験が控えている今、受講を取りやめると、受験に失敗してしまうかもしれません」と伝える例もあるかもしれませんが、これも、いたずらに不安をあおるような形でなければ、必要な注意喚起であるため「威迫して困惑」と判断される可能性は低いと考えます。
 いずれにしても、今後のガイドライン等での具体化が待たれるところです。

(7)債務の履行の不当な拒否・遅延

 債務の履行の不当な拒否・遅延の具体例としては、消費者が有効に解約権を行使したことにより、消費者が返金を請求できる権利を有している場合に、返金を拒絶したり、遅延したりするなどの行為が考えられます。

(8)実務への影響のまとめ

 解約を引き留めるために、さまざまな対策を行っている事業者も少なくありません。
 規制の動向を注視し、自社における解約手順を改めて見直したうえで、問題のある行為を禁止する旨を改めて社内に周知したり、法令遵守の体制を確認したりすることが必要になるものと考えられます。

定型約款の変更時の通知

現状の課題

 民法上、定型約款を変更する場合、その変更を「インターネットの利用その他の適切な方法により周知」することが求められています(民法548条の4第2項)。
 しかし、この「周知」は通知と異なるため、消費者に個別に通知しなくても、インターネット上のわかりやすい場所に変更の事実を公表すればよいとも考えられる結果、消費者の知らない間に、契約が不利益に変更されるケースが問題となっています。

改正の方向性

 中間取りまとめでは、事業者が定型約款につき、一定の重要事項についての不利益変更をする場合(例:料金の値上げ、解約条件の厳格化)には、消費者が将来の解約や不更新等をするか否かの判断ができるように、事前に消費者に対して個別の通知を行うよう義務付けることが検討されています。
 ただし、当該通知が困難な場合には、当該消費者の権利利益を保護するための代替措置も認める方向が示されています。

 もっとも、事業者がこの義務に違反した場合に、どのような不利益を受けるのか(例:変更が無効になるのか)、または、適格消費者団体による差止請求の対象になるのかなどは「慎重な検討を要する」とされており、方向性が定まっていない状況となっています。

実務対応のポイント

 インターネット上での取引については、Eメールで定型約款の変更をユーザーに通知する例が多いと思われるため、この影響を受ける事業者は限定的であると思われます。
 もっとも、通知事項、通知時期、送信不能時の代替措置、通知記録の保存等について、実務の見直しが必要となる可能性があります。さらに、事業者が消費者のEメールアドレスを知らない場合に、個別の通知を行うとなれば、郵便または電話で行う必要が出てきますが、昨今の郵便料金の値上げや人件費の高騰を踏まえると、事業者には相当の金銭的負担が発生する可能性があります。
 この点、個別通知が困難な場合には代替措置に依拠することも可能となっているため、この「困難」の要件をどこまで厳格に考えるかが、実務上重要になると考えられます。

 参考までですが、本人通知+困難な場合の代替措置という制度設計自体は、既に個人情報保護法における漏えい等の通知にも採用されているものです(個人情報保護法26条)。そして、個人情報保護委員会等の監督当局は、コストのみを理由として代替措置を利用することには否定的な立場を示しているといわれています。もちろん、個人情報保護法の実務上の取扱いが、消費者契約法にどのような影響を与えるかは不明瞭であるものの、代替措置に依拠できるケースは、個人情報保護法と同様に限定的である可能性がある点には注意が必要です。

深刻な結果となる契約の解除権

現状の課題

 現行の消費者契約法では、事業者が消費者を誤認させたり、困惑させたりするなどして契約を締結した場合には、消費者に契約の取消権を認めています(消費者契約法4条)。しかし、それだけでは、多様な「消費者の脆弱性」に対応することに限界があるのではないかという点が議論されています。

改正の方向性

 中間取りまとめでは、①消費者が深刻な結果となる内容の契約を締結した場合で、かつ、②事業者が①の事実を知っていた場合に、消費者に解除権を認めることが検討されています。そして、以下のような深刻な結果となる内容の契約について、どのような内容・類型の契約が対象となるかについては、今後、要件の明確化を図ることになっています。

深刻な結果が生じる可能性が高い場面の例
認知症の可能性のある高齢者が生活のために蓄えた財産の多くを失う契約をする場合や住まいを失う契約をする場合等の、「消費者の脆弱性」によるリスクのうち消費者に深刻な結果が生じる特に問題性の高い場面

 なお、事業者において消費者側の事情を積極的に調査することを求めるものではないことに加え、事業者が不当な情報収集を行わないようにすることはいうまでもないとされています。

実務対応のポイント

 現時点では、具体的にどのような内容の契約が解除の対象になるのかは明確になっていないため、その内容を引き続き注視していく必要があります。

 もっとも、事業者が、消費者にとって深刻な結果を招くような事態になることを知りながら契約を行うことは、現行法下においても望ましい事業活動とはいえないため、既に行われていない場合が多いと思われます。
 また、不特定多数に画一的に提供されるオンラインサービスでは、通常、事業者が個別の消費者の事情を認識しにくいため、対象となる場面は限定されると考えられます。ただし、申込時の申告、個別相談、カスタマーサポート等を通じて事業者が消費者の具体的事情を認識している場合には、別途検討が必要になる可能性があります。
 そこで、今後の議論の展開を注視しつつ、必要に応じて、禁止される勧誘行為として、社内に周知し、法令遵守の体制を確認するなどの対応が求められると考えられます。

努力義務

 また、中間取りまとめでは、次のとおり、多くの努力義務の規定を設けることが検討されています。

サブスク等の自動更新時の通知

 サブスク等が自動更新(消費者から更新前の一定の期間内に解約または更新しない旨の申出がなされない場合に、消費者からの特段の行動を要することなく契約が更新されること)になっている場合、消費者が更新拒絶の申出を忘れるなどして、本来希望しない契約の更新が行われてしまうというトラブルが生じています。

 そこで、中間取りまとめでは、消費者契約の自動更新に際し、消費者が更新しない旨の申出をする機会を確保するため、事業者に対して、あらかじめ消費者に対し、更新をしない旨の申出の時期および方法、更新後の契約期間等の情報を通知するよう努力義務を設けることが検討されています。

サブスク等の合理的な解約手段の提供

 中間取りまとめでは、事業者に対して、消費者がサブスク等を解約(更新拒絶を含む)する権利があるときには、合理的な解約方法を提供するよう努力義務を設けることが検討されています。

サブスク等の契約の解約方法・条件に関する情報提供

 現行法では、事業者は、契約の解約方法・条件に関する情報については、契約の締結について勧誘をする場面や消費者の求めがある場面においても提供するよう努力義務が課されています(消費者契約法3条1項2号・4号)。

 中間取りまとめでは、これらの場面に限らず、サブスク等の契約を継続する期間を通して、事業者に対して、契約の解約に関する情報を提供するよう努力義務を設けることが検討されています。

サブスク等の利用者の死亡時の対応手順に関する規定

 中間取りまとめでは、サブスク等の契約について、利用者が死亡した後、その相続人から問合せ等があった場合に円滑に対応できるよう、事業者に対して、あらかじめ対応手順を整備し、周知しておくよう努力義務を設けることが検討されています。

「解約料」の説明責任の強化

 中間取りまとめに先立って、解約料のあり方については多くの議論がなされていましたが、最終的には、解約料についてより充実した情報提供を行うよう努力義務を設ける方向となりました。
 具体的には、事業者に対して、消費者契約の締結について勧誘をするに際しては、次の努力義務を課すことが検討されています。

  1. 消費者契約の解除に伴う損害賠償の額の予定または違約金の額・支払時期等が異なる複数の選択肢がある場合には、当該複数の選択肢についての情報を提供すること。
  2. 事業者が「解約料」の算定根拠(消費者契約法9条2項、12条の4)の説明をする場合には、契約の締結および履行のために通常要する費用以外のものが含まれる場合にはその旨を、参考とした業界等の考え方がある場合にはその旨を説明すること。

事業者一般の行動規範・行動原則

 中間取りまとめでは、事業者一般の行動規範・行動原則として、次の配慮を行うよう求めることが検討されています。

  1. 消費者が、契約を締結するか否かについて適切な判断ができるよう配慮すること。
  2. 消費者が、契約の締結により消費者またはその家族等の生活を著しく悪化させることがないように配慮すること。

 もっとも、こうした配慮規定は、行動規範・行動原則であるため、違反した場合のペナルティ等は規定されていません。


  1. 本稿の意見に係る部分は著者の個人的見解であり、著者の所属する組織の見解を表すものではありません。 ↩︎

  2. 詳細は、消費者庁のウェブサイト「現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会」もご参照ください。 ↩︎

  3. 「現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会 中間取りまとめ」に関する意見公募について ↩︎

  4. 「通信販売」とは、事業者が、郵便、電話、インターネットなどの通信手段を使って契約の申し込みを受け、商品やサービスを販売する等の特定商取引法上の取引類型(電話勧誘販売に該当するものを除きます)をいいます。 ↩︎

  5. 東京高裁平成30年4月18日判決・判時2379号28頁は、広告および従業員の説明について不実告知に基づく取消し(消費者契約法4条1項1号)を認めました。大阪地裁令和3年1月29日判決・裁判所ウェブサイトは、カタログについて不実告知に基づく取消しを認めました。 ↩︎

  6. 第6回現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会ワーキンググループ(2026年3月31日)の「(資料1)説明資料-消費者契約の各過程に関する必要な規律等」(令和8年3月31日) ↩︎

  7. 消費者庁=経済産業省「特定商取引に関する法律・解説(令和7年6月1日時点版)」の313頁。 ↩︎

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