契約プレイブックのAI活用 作成・利用・実装の実践ポイント 作業フロー、プロンプト例などを交えて解説

取引・契約・債権回収
野口 祐子弁護士 ARX法律事務所 本間 隆浩弁護士 ARX法律事務所

目次

  1. AIの発展による契約プレイブック活用の可能性の拡大
  2. AIを活用した契約プレイブックの「作成」
    1. 「作成」の進め方
    2. 実務上のポイント
    3. プロンプトの例
  3. AIを活用した契約プレイブックの「利用」
    1. 「利用」の進め方
    2. 実務上のポイント
    3. プロンプトの例
  4. AIを活用した契約プレイブックの「実装」
    1. 「実装」の進め方:「都度参照」から「プロセスへの組込み」へ
    2. 実務上のポイント
  5. 今後の展望:「作業」から「ソリューション」へ
    1. AI契約レビューのモジュール活用の2つのアプローチ
    2. 契約検討体制の再設計
    3. 法務部門の役割の変化:「法務作業の提供者」から「法務ソリューションの設計者」へ

 契約プレイブックとは、秘密保持契約や販売契約といった特定の契約類型について、自社の原則的な契約条件、交渉で許容できる譲歩の限度(中間的な譲歩ラインやボトムライン)、検討時の考慮要素等のルールを明文化し、組織全体で統一的に適用・運用できるようにしたマニュアルのことをいいます。

 昨今、AI契約レビューサービスをはじめとする法務特化型のAIサービスの進化は目覚ましく、これらを利用することでより高いクオリティを実現しやすくなっています。これに加えて、ClaudeやChatGPT、Gemini、Copilotといった汎用AIサービス(特定の業務分野に特化せず、幅広い用途に利用できる生成AIサービス)の性能の向上により、法務特化型サービスを導入する予算やリソースがない場合でも、一定の工夫をして汎用AIサービスを活用することで、十分なメリットを享受できる環境が整ってきています。

 そこで、本稿では、特に汎用AIサービスが現実的な選択肢となる場合を念頭に、AIを活用した契約プレイブックの「作成」「利用」「実装」の具体的な方法と実務上のポイント、今後の展望についてご紹介します。

 契約プレイブックの意義、基本的な作成方法や運用のポイントについては、下記の記事で詳しく解説していますので、そちらをご参照ください。本稿では、これらの基本的な内容は所与の前提として、その先のステップである「AIの活用」に焦点を当てていきます。

AIの発展による契約プレイブック活用の可能性の拡大

 2026年に入り、汎用AIサービスの性能向上により、AIによる契約プレイブック活用の可能性の拡大がいよいよ現実的になりつつあります。
 具体的には、契約プレイブックの導入にあたっての「作成」「利用」「実装」の各フェーズにおける従来の課題が、AIの活用によりいずれも解決しやすくなりました。

契約プレイブックの各フェーズにおけるAI活用の効果

フェーズ 従来の課題 AIにより期待できる支援・効果
作成 過去事例等から自社の基準や考え方を整理し、プレイブックとして文書化するのに多大な時間と労力を要する AIが過去事例等を効率的に分析し、基準や考慮要素の抽出・文書化を支援
利用 実際の契約書とプレイブックの内容を手作業で対比し、当てはめの結果を整理するのに時間を要する AIが短時間で契約書とプレイブックの内容の対比・当てはめの結果の整理を支援
実装 契約検討の過程で、担当者が都度プレイブックにアクセスして参照する必要があり、参照漏れやタイミングの遅れ等プロセスが不安定 モジュール(後述4-1参照)として設計することで、AIによるプレイブックに基づく検討を検討プロセスの一部に自動的に組み込み、参照漏れや手順のばらつきを抑制

 なお、契約書は機密情報の塊であり、それは契約交渉に関する関係資料も同様です。AIへ入力した情報がAIの学習に利用されない設定・プラン(法人向けプラン等)の使用に加え、社内のAI利用に関するポリシーの遵守、文書管理ツールや契約管理ツールとの安全な接続を含めたシステム・セキュリティの確認、その他AI利用に関する一般的な注意事項に配慮することは 1、本稿で解説する契約プレイブックに関するAI活用の前提となります。

AIを活用した契約プレイブックの「作成」

「作成」の進め方

 契約プレイブックの作成に多大な時間と労力を要することは、従来、導入の最大のハードルの1つでした。AIの活用により、このハードルは大きく下がっています。

 大要以下のような流れで、AIを活用して契約プレイブックを作成することができます。

AIを活用した契約プレイブック作成の流れ

AIを活用した契約プレイブック作成の流れ

実務上のポイント

 上記ステップ①〜⑤の詳細と実務上のポイントについて、以下で詳しく説明していきます。

ステップ①:基礎情報の準備

 まず、AIによるプレイブック作成の基礎情報として、自社のひな形や過去に締結した同一類型の契約書(先例)に加え、交渉時の修正履歴・コメント、社内の協議・承認記録等、自社の「基準」や「考え方」が表れている素材を集めます。

 AIに過去の契約を参照させる場合でも、締結済み契約の条文からは、「なぜその条件で譲歩したのか」という背景やコンテクスト(文脈・経緯)までは読み取れません。特に、戦略的に重要な顧客に対して例外的に大幅な譲歩をした契約等が参照対象に含まれていると、例外的な先例に影響されて、実態からずれた基準が導かれてしまうおそれがあります。
 対応としては、例外的な先例を参照対象に含めないことが基本です。先例は網羅的に大量に集めることよりも、標準的なケースを代表する適切な先例を厳選することが重要です(契約の類型や性質等にもよりますが、最初は10~15件程度でも出発点としては十分に意味のある分析が可能です)。
 あるいは、標準的なケースの先例群と、例外的なケース(通常以上のリスクを許容してもビジネスを重視する戦略的顧客やプロジェクト等)の先例群とを分けて、例外的なケースは標準的なケースをもとにしたプレイブックの別紙のような位置づけで整理する対応も考えられます。

 なお、外国訴訟・当局対応が想定される契約等については、秘匿特権の維持の観点から、関係資料のAIへの投入の態様や当該国の資格を持った弁護士の関与などを個別に検討する必要があり、要件を満たせない場合には、疑義を避けるため当該契約自体を先例から除外する判断もあり得ます。

ステップ②:AIによる分析を通じた基準や考慮要素の抽出

 次に、集めた基礎情報をAIに読み込ませ、支払条件や品質保証期間といった規定項目ごとに、各契約の規定内容を比較・分析させ、自社の基準や考え方(原則的な条件、譲歩の内容と譲歩に際して考慮・影響している関係事情の傾向等)を抽出させます。
 なお、契約内容が複雑だったり、基礎情報が大量にある場合等には、AIの処理能力の制約や適切な作業指示の難しさ等から、AIに1ステップで作業させても、十分なクオリティの分析や抽出ができない場合があります。そのような場合には、まずは単純にひな形や先例の規定内容の一覧表をAIに作成させてから、当該一覧表に基づく分析・抽出を行わせたり(ステップの分割)、特定の規定項目ごとに分析・抽出を行わせる(項目の分割)等の進め方が有効です。

 また、生成AIには、事実と異なる内容をもっともらしく出力してしまう「ハルシネーション」のリスクが常にあります。AIが「◯◯契約の第◯条を根拠とする」と説明しているにもかかわらず、実際には当該規定がない場合もあり得ます。そのため、一覧表の作成に加えて、分析・抽出結果に関するアウトプットの中で根拠となった契約や条項を明示するよう、AIへの作業の指示文(プロンプト)において明示的に要求し、人間による根拠の確認を容易にしておくことが有用です(後述2-3のプロンプト例をご参照ください)。

 規定内容の一覧表の作成は、後述するステップ④の人間によるレビュー・調整の際の参照資料として役立ちますし、特定の規定項目ごとの分析・抽出は、補償条件や上限等の重要な規定項目について具体的な規定文言まで検討しプレイブックに規定する場合には、より有効なアプローチとなり得ます。
 さらに、抽出した基準や考慮要素に関して、AIに、取引規模や顧客区分が近いにもかかわらず譲歩の程度が大きく異なる契約、関係資料の記載と締結された内容が一致しない契約、譲歩の理由が資料から読み取れない契約等の、「統一的な基準で説明できない点」や「矛盾するように見える点」を質問の形で列挙させる工程を挟むことも有効です。これらの点を先に検討しておくことで、AIがもっともらしい一般論や推測でプレイブック案を作成してしまい、後から人間が大幅に作り直す手間を減らすことができるだけでなく、これらの質問への回答を通じて、締結済み契約の条文だけからは読み取れない「なぜその条件で譲歩したのか」という背景を明らかにし、自社の基準を決定するための重要な要素を整理することが可能になります。

ステップ③:AIによるプレイブック形式への文書化

 AIに基礎情報の分析・抽出の結果をプレイブックの形式で出力させる場合、「プレイブックの形式に整理して出力して」というような概括的な指示でも「それらしい」成果物が作成できますが、あらかじめプレイブックの形式を指定することが、効率と品質の両面で重要です。

 具体的には、規定項目を適切な順序で列挙させ、項目ごとに「原則的な条件」「中間譲歩ライン」「ボトムライン」の3段階で整理させるとともに、譲歩にあたっての考慮要素や必要な承認手続(関係部門・役職等)を付記させる形が実務的です 2。
 また、重要な規定項目については、詳細な規定文言まで含めることも考えられます。

販売契約のレビュー・交渉の方針の規定例(抜粋・簡略版) ※各社の実態に応じて要調整

規定項目 原則的条件 中間譲歩
ライン
ボトム
ライン
譲歩の考慮要素 譲歩の承認手続
支払条件 インボイス発行から30日以内 インボイス発行から45日以内 インボイス発行から60日以内
  • 顧客または取引の重要性(中間:高い、ボトム:特に高い)
  • 支払サイト延長に関する顧客の信用懸念無し(中間・ボトム共通)
  • 支払サイト延長に伴う財務的影響を許容可能(中間・ボトム共通)
中間譲歩ライン:
  • 財務部長承認
ボトムライン:
  • 財務本部長承認
品質保証期間 引渡しから6か月 引渡しから1年 引渡しから1年6か月
  • 顧客または取引の重要性(中間:高い、ボトム:特に高い)
  • 対象製品の特性に鑑みた品質問題のリスク(中間:リスクを実務上軽減またはコントロール可能、ボトム:既存の汎用品のみ)
  • 補償上限額の規定等による契約上のリスクの限定(中間・ボトム共通)
中間譲歩ライン:
  • 事業部門(製品所管)および品質保証部門担当部長承認
ボトムライン:
  • 事業部門(製品所管)および品質保証部門本部長承認
補償上限額 前年度の顧客への対象製品販売額の20%を上限

※参照すべき前年度販売がない初年度は適切な固定額(◯億円等)を上限に設定可能

前年度の対象製品販売額の50%を上限

※参照すべき前年度販売がない初年度は適切な固定額(◯億円等)を上限に設定可能

前年度の対象製品販売額の100%を上限

※参照すべき前年度販売がない初年度は適切な固定額(◯億円等)を上限に設定可能

  • 顧客または取引の重要性(中間:高い、ボトム:特に高い)
  • 補償上限に比して対象製品の利益率が十分に高い(中間・ボトム共通)
  • 対象製品の特性に鑑みた品質問題のリスクを実務上軽減またはコントロール可能(中間・ボトム共通)
  • 補償上限の引上げを適用する補償類型を知的財産権侵害等の特定の範囲に限定(中間・ボトム共通)
中間譲歩ライン:
  • 事業部門(製品所管)および品質保証部門担当部長承認
ボトムライン:
  • 事業部門(製品所管)および品質保証部門本部長承認

出所:関連記事「契約プレイブックとは?導入メリット、具体例、作り方・運用のポイント」記載の例をAI活用向けに調整


 なお、個別の規定項目の譲歩(たとえば、「品質保証期間を◯年にする」等)にあたっての承認手続は、取引自体や契約全体に関する社内稟議とは次元が異なるため、契約プレイブックの作成前には明確なルールが存在しない場合も多いと考えられます。そのような場合は、確認や承認が必要となる関係部門や役職のレベルと、承認を取るプロセスの案について、職務権限・分掌規程や、各項目の性質や関係資料内のやり取り等の情報に基づく一応の推論とともにAIに提案させておき、次のステップ④の法務部門によるレビューに際して実質的な検討を行う形が現実的となります。

 内容面に加え、AIによるレビューに適したプレイブックとするためには、従来の人間のみが利用する叙述的なプレイブックとは異なり、形式面においてできる限り、記載の構造化、条件分岐の明確化、曖昧な記載の回避(具体化・数値化)等を徹底して作成する必要があります。数値化が難しい条項についても、考慮要素を優先順位の高い順に列挙するなどの工夫が考えられます。

ステップ④:人間によるレビュー・調整

 AIのアウトプットはあくまで叩き台です。AIが作成したプレイブックの案について、法務部門の担当者自身でレビューを行い、内容について調整・追記等を行う必要があります。また、ボトムラインを逸脱する場合の取扱い・対応等についても、このタイミングで追記することが考えられます。場合によっては、例外的な契約書をAIを使って追加で分析し、追記に役立てることも有益です。

 法務部門によるプレイブック案のレビューには、基準や考慮要素の調整・追記等のほか、譲歩に際しての関係部門への確認・承認手続の追記等が含まれます。レビューにあたっては、ステップ②で述べたように、参照対象とした先例における各項目の規定内容の一覧表をAIに作成させておくと、基準や考慮要素の妥当性を検証しやすくなり有用です。

ステップ⑤:試行・検証

 以上のステップにより完成したプレイブックを、実際の契約案件やあらかじめ合格ラインを設定したテスト契約に試験的に適用し、使い勝手や過不足を検証します。そして、検証結果を踏まえて、プレイブックの記載ぶりや内容について調整を行い完成となります。
 なお、プレイブックに基づくレビューのアウトプットは入力する情報やプロンプトによって大きく異なり得るため、後述4-2(1)の実装にあたっての試行の際に、モジュールの設計やプロンプトと併せて最終的な調整を行う形になります。

プロンプトの例

 AIへの指示文は「プロンプト」と呼ばれます。

 以上の内容を踏まえた契約プレイブックの作成フェーズにおけるプロンプトの一例は以下のとおりです。
 なお、本稿でご紹介するプロンプトはあくまでも例であり、紙幅の都合上、ハイレベルなものになっています。実際にプレイブックを作成するにあたっては、中間譲歩ライン・ボトムラインや考慮要素の分析・抽出に際して参照・注目すべき情報の具体化等、さらに詳細なプロンプトにしたり、さらに人間によるレビューの箇所を増やす等の工夫が必要です(前述2-2をご参照ください)。また、実際の契約や関係資料の内容や状況、使用する汎用AIサービスやWord等のアプリケーションとの連携その他の使用環境等に応じて、個別に検討が必要になります。

プロンプト例:プレイブックのドラフト作成

#役割
あなたは当社法務部門の契約担当エキスパートです。


#目的
当社の販売契約の契約条件や交渉の方針と基準等を整理したプレイブックを作成するため、[AIサービスがアクセス可能な保存先を記載] に保存した当社の販売契約ひな形1件と、過去に締結した販売契約10件と各契約の関係資料を分析し、以下の作業を行ってください。
【契約・資料に番号を振っておくと対照作業が楽になる】


#作業
##ステップ1:

- 支払条件、品質保証期間、補償上限、知的財産権の取扱い、管轄と準拠法等の主要項目を抽出する。

【人間がアウトプットの内容が適切・正確か確認し、修正が必要なら指示する(以降各ステップにつき同様)】


##ステップ2:
ステップ1で抽出した主要項目ごとに、ひな形と各契約の規定内容を一覧表に整理する。

- 契約書が長い場合には、項目ごとに中間成果物を保存し、全項目の処理後に統合する。

- 以上の作業が完了した段階で、ひな形の内容/各契約の内容のバリエーションをひな形から内容が近い順に並べ、バリエーションごとに合意した契約の数と番号を記入した一覧表をWord文書で出力する。


##ステップ3:
ステップ2の一覧表と関係資料の分析に基づき、プレイブックの作成に進む前に、以下に該当する点を抽出し、確認事項の一覧として私に質問する。すべての回答を受けたうえでステップ4に進む。

- 同種の条件・事情であるにもかかわらず、譲歩の有無や程度が異なり、統一的な基準で説明できない点

- 関係資料間、または関係資料と締結済み契約の内容との間で矛盾するように見える点

- 譲歩の理由や背景が資料から読み取れず、推測によらなければ基準化できない点

各質問には、該当する契約の番号・条文・関係資料を示し、考えられる解釈の選択肢があれば併記する。

##ステップ4:
ステップ1から3の各契約と関係資料の内容の分析に基づき、当社が売主となる販売契約の検討用のプレイブックを、「規定項目/原則的条件/中間譲歩ライン(最初に譲るべきライン)/ボトムライン(これ以上は譲れないライン)/譲歩の考慮要素/譲歩の承認手続」の6列の表形式のWord文書で出力する。


**ステップ2の遵守条件・要求事項**

(1) 「規定項目」ごとに、ひな形の規定内容を「原則的条件」としたうえで、過去契約における譲歩の内容や傾向・背景を踏まえて、「中間譲歩ライン」と「ボトムライン」の案を項目ごとに提示する。

(2) 補償上限と知的財産権 [その他重要と考える条項を必要に応じて追加] の取扱いについては、具体的な規定文言の案も提示する。

(3) 各「規定項目」について、「譲歩の考慮要素」と「譲歩の承認手続」の列の中に、関係資料の内容を踏まえ、「中間譲歩ライン」と「ボトムライン」それぞれへの譲歩の判断にあたり考慮すべき要素および必要な承認手続(確認・承認が必要な関係部門と役職のレベルと承認を得るプロセス)の案を記載する。

(4) 文書内には、各記載内容の理由とその根拠となった契約の番号と条文・関係資料を必ず明記する。

AIを活用した契約プレイブックの「利用」

「利用」の進め方

 従来は、個別の契約書の検討に際して、担当者が契約書のドラフトとプレイブックの内容を手作業で見比べ、当てはめの結果を整理していました。AIを活用することで、短時間のうちに契約書のドラフトをプレイブックの内容と対照し、①該当条項の特定、②プレイブックとの整合性の判定、③修正の選択肢や必要な対応を整理させることができます。

 AIのアウトプットの形式には、大きく次の2つがあります。

一覧表形式 規定項目ごとに、対照結果と修正の選択肢・対応案を整理したリストとして出力させる。
  • どこまでの自動化を求めるかにもよるが、この一覧表だけでも、担当者による検討や依頼部門との議論の土台として十分に利用価値がある。
修正案文形式 契約書のドラフト文書内に、具体的な修正案(修正文言)として提示させる。
  • 使用するAIサービスおよび利用環境がWordやGoogleドキュメントへの直接作業に対応していることが前提。
  • 安定したアウトプットを得るためには、プレイブック側に具体的な条項案まで規定しておくことが望ましい。

実務上のポイント

(1)考慮要素の精緻化とAIからの「逆質問」

 プレイブックに基づき、AIが適切な選択肢(原則的な条件を維持すべきか、中間譲歩ライン、さらにはボトムラインまで譲歩してよいか)を提示できるためには、その前提となる契約の背景やコンテクスト(文脈・経緯)に関する情報が必要となります。
 そこで、①プレイブックの中に、譲歩に際しての重要な考慮要素(取引規模、顧客の信用度・重要性、対象製品の特性等)をできるだけ明確かつ具体的に規定しておくとともに、②AIに対して、実際のレビューの場面で適切な判断に必要な考慮要素に関する情報が不足している場合には、確認の質問をするように指示しておくことが望ましいといえます。ユーザーがAIからの質問に答える形で必要な情報を追加でインプットすることで、プレイブックに基づくより正確な検討結果を得ることができます。

(2)背景資料をインプットするアプローチ

 最初から、背景・コンテクストに関する情報として、関係するメールや社内外の会議の議事録、提案資料等を提供するアプローチもあります。
 ただし、この場合も、AIがこれらの関係資料の内容を適切に考慮できるよう、AIによる背景資料の考慮に際しての基本的なルール(担当者レベルの資料よりも経営会議の資料を優先する、時系列で日時の新しいものを古いものに優先する等の優先度(重みづけ)に関するルールや、関係資料間で矛盾する点は指摘する等の正確性確保のためのルール)をあらかじめプロンプト等で明確化することが重要です(ルールを記憶または文書化しておくと効率的です)。
 また、雑多な資料を大量に与えると、かえって分析の精度が落ちる場合もある点には注意が必要です。

(3)最終判断は人間が行う

 AIのアウトプットは、あくまで検討の出発点・支援材料です。とりわけ譲歩の可否のような判断を伴う事項については、必要な承認手続を履践することに加え、担当者がアウトプットの内容を検証し、最終判断を行うプロセスを確保することが重要です。

プロンプトの例

 以上の内容を踏まえたプレイブックの利用フェーズにおける、契約レビューのプロンプトの一例は以下のとおりです。

プロンプト例:プレイブックに基づく契約レビュー

#役割
あなたは当社法務部門の契約担当エキスパートです。


#目的
添付の当社が売主となる販売契約書ドラフトを、当社の「販売契約プレイブック」( [AIサービスがアクセス可能な保存先を記載] )と対照してレビューします。


#作業
##ステップ1:
以下の検討手順に従い、ドラフトをプレイブックと対照してレビューした結果を、下記の手順に従い「規定項目/該当条項の抽出/整合性判定/修正の選択肢の提案/必要な承認手続」の表形式のWord文書で出力してください。また、プレイブックの対象外となる重要論点がある場合は、同じWord文書内で指摘してください。


**検討手順**

(1) プレイブックの規定項目ごとに、ドラフトの該当条項を特定し、プレイブックとの整合性を「原則的条件内/原則外・中間譲歩ライン内/中間外・ボトムライン内/ボトムライン超過/ドラフト内に該当規定なし/情報欠落等により判定不能」のいずれかで判定する。

(2) 原則的条件外となる各規定項目について、関係資料の内容を踏まえ、修正の選択肢(原則的条件への修正案または原則的条件からの譲歩案)と、譲歩する場合にプレイブック上必要となる社内承認手続を提示する。

(3) 各規定項目に関する整合性判定・修正の選択肢・必要な承認手続については、理由と根拠資料を具体的に明示する。


**ステップ1の遵守条件・要求事項**
(a) レビューにあたっては、併せて添付した関係資料の内容も考慮する。

(b) レビューに必要となる基本情報や考慮要素に関する情報が不十分な場合は、回答を確定して出力する前に、必要な情報や関係資料の有無を私に質問する。

(c) 関係資料の考慮にあたっては、最終確定版かドラフト版か、資料の性質・作成目的、関係者のレベル(経営会議・執行役員・部門長・担当者の順)、作成日時・時系列(原則として新しい資料と古い資料の内容が異なる場合は新しい資料を優先)等の要素に基づき重みづけを行う。関係資料について、解決できない矛盾や疑義がある場合は私に質問する。

(d) レビュー結果を出力する前に、プレイブック上のすべての規定項目について判定を行ったか、上記(a)(b)(c)の要求に従い関係資料の検討・考慮を行ったか、該当条項や根拠の引用内容に誤りはないか、各規定項目に関する内容の間に矛盾はないかについて再確認を行う。

 【人間がアウトプットの内容が適切・正確か確認し、修正が必要なら指示する(ステップ2も同様)】


##ステップ2:
私がドラフトの修正を指示した場合は、指示した規定項目について、ステップ1のレビューの結果に基づいて契約書ドラフト内に修正案を直接追記してください。修正は変更履歴をオンにして作業してください。また、私の最終判断において参考となるよう、関連するプレイブックの基準、考慮した関連資料の内容、重みづけが変わると判断が変わり得るような基本情報や考慮要素などを出典とともに整理してコメントに追加してください。

 なお、このプロンプトはあくまでも例であり、紙幅の都合上、ハイレベルなものになっています。実際にAIを利用してプレイブックに基づく契約レビューを行うにあたっては、具体的な根拠のない推測・補完の禁止や、判読不能資料・部分の明示等、精度・安全性確保のための要求の追加を含め、より詳細にプロンプトを構成し、また、適宜ステップや検討項目を分割する等の工夫が必要です。また、実際の契約や関係資料の内容や状況、使用する汎用AIサービスや他のアプリケーション(電子メールや文書管理ソフト等)との連携その他の使用環境等に応じて、個別に調整が必要になります。

AIを活用した契約プレイブックの「実装」

「実装」の進め方:「都度参照」から「プロセスへの組込み」へ

 プレイブックを作成し、AIでの利用方法を確立しても、担当者がその都度プレイブックのファイルを探し、プロンプトを一から書いて指示する、という運用のままでは、参照漏れや品質のバラつきが生じ得ます。これは、従来の(AIを使わない)プレイブック運用と同種の課題です。
 そこで、主要な汎用AIサービスが提供するカスタマイズ機能を利用して、「契約プレイブックに基づく契約検討」を一定のモジュール(部品)としてパッケージ化し、法務部門内(さらには事業部門)で共有することが有効です。これにより、誰が実行しても一定の手順と品質に沿った検討が再現される形で、契約書の検討プロセスを標準化することができます。

(1)モジュールとは:Skillとエージェント

 本稿でいう「モジュール」は、特定の作業の手順・指示、参照資料、出力形式等を1つにまとめ、同種の作業を同じ方法で再現できるようにしたものです。主要な汎用AIサービスでは、こうしたパッケージ化の方法として、主に「Skill(スキル)」と「エージェント」の2つが提供されています。

 Skillは、汎用のAIに作業マニュアル一式を渡しておき、該当する作業のときにそれを参照させる仕組みです。たとえば、プレイブックを参照しながら一定の方法で契約書をレビューする手順をSkillにしておけば、ユーザーが名前を指定して呼び出すほか、契約書のレビューを依頼した際にAIが自動的にそのSkillを使用します。Skillは通常のチャットでも利用できますが、複数の契約書をプレイブックに照らして検討し、修正版を作成するといった一連の作業をまとめて任せる場合には、エージェント型の作業環境(ChatGPTの「ChatGPT Work」、Claudeの「Cowork」、Microsoft 365 Copilotの「Copilot Cowork」等)で実行するのが適しています。

 これに対しエージェントは、手順や参照資料をあらかじめ組み込んだ専用のアシスタントを作成し、それ自体を独立した呼び出し先として組織内で共有するものです(ChatGPTの「ワークスペース・エージェント」、Microsoft 365 CopilotのAgent Builder等、Google WorkspaceのWorkspace Studio等)。
 個々の担当者が案件に応じて指示を調整しながら使う場合にはSkillが、多数の担当者に同一のレビュー環境を提供して管理者が一元的に管理したい場合や、契約書の受領をきっかけに自動でレビューを行わせたい場合にはエージェントが適しています。

 なお、利用可能な機能やパッケージ化の範囲、外部アプリケーションとの接続や実際に編集作業ができる文書の種類、複数ステップの自動実行の可否、各作業にかかる課金の有無や条件等は、サービスやプランによって異なります。また、機能の内容や名称も今後変化していくことが予想されます。

(2)モジュールに組み込むべき要素

 モジュール(Skill)に組み込むべき要素は、おおむね下表とおりです。

 具体的には、プレイブックに基づく契約レビューに必要な参照資料(下表の設計要素②)と、実施すべき作業手順やアウトプットの条件等(設計要素③~⑥。基本的には3-3で述べたプロンプト例の内容)を1つのSkillとしてまとめ、適切な名称を付して保存・共有します。担当者は、チャット画面でそのSkillを呼び出したうえで、「添付の販売契約書ドラフトについて、添付の関係資料を考慮してレビューして」といった起動プロンプトを入力します(設計要素①)。これにより、Skillに定めた手順と基準に沿った検討が実行されます。Skillの説明文に適用場面を明記しておくと、依頼内容に応じてAIが自動的に該当するSkillを選んで使う仕組みもあります。ただし、契約レビューのように適用すべき基準が決まっている作業では、契約類型の取り違えを避けるため、明示的に呼び出す運用が安全といえます。
 Skillの指示内容も、必要な要素を指定してAIにドラフトを作成させ、試行錯誤しながら更新していくことが可能です(主要な汎用AIサービスには、対話形式でSkillの作成を支援する機能も用意されています)。この場合も、いきなりSkillを作成させるのではなく、まずAIに、作成に必要な情報のうち不足しているものを質問の形で列挙させ、それに回答してからドラフトさせると、手戻りが少なくなります。

 エージェントの場合も、汎用AIサービスの作成支援機能を利用しながら、これと似たようなイメージで作成することが可能です。

モジュール(Skill)の設計要素概要

設計要素 内容の例
① ユーザーによる起動プロンプト 起動プロンプト:「添付の販売契約書ドラフトについて、添付の交渉や社内検討に関する関係資料を考慮してレビューして」等

※当初のインプットすべき情報(契約書ドラフト、関係資料(交渉資料、社内検討資料等))もプロンプト内で明確化

② 参照すべき資料 契約プレイブック(および契約プレイブックで指定するモデル条文等)
③ 実施すべき作業手順 契約書ドラフトおよび関係資料の分析 → プレイブックとの対照 → 整合性の判定 → 修正の選択肢および必要な承認手続の提示
④ 要求すべき追加情報 レビューに必要となる基本情報や、関係資料(交渉資料、社内検討資料等)。また、取引規模、顧客区分、対象製品の特性等、選択肢の判断に必要な考慮要素に関する情報
⑤ アウトプットの形式 規定項目ごとの検討結果一覧表、加えて修正案文の契約書ドラフトへの変更履歴つきでの入力
⑥ 特に遵守すべき条件・要求事項 プレイブック適用対象外の場合の指摘、関係資料の重みづけの遵守、解決できない矛盾や疑義がある場合の指摘、判断理由・根拠資料の明示、判読不能資料・部分の明示、推測・補完の禁止、自主チェックの実施、作業ログの作成保存等

実務上のポイント

(1)試行と調整を繰り返す

 プレイブックの規定形式や内容、プロンプトやモジュールにおけるAIへの指示内容や条件設定等により、実際のアウトプットは大きく異なり得ます。最初から完璧を目指すのではなく、実際の契約書でテストし、アウトプットのずれを確認したらプロンプトやプレイブックの記載、さらにはSkillでの指示を調整するというサイクルを繰り返すことで、より最適なアウトプットを得ることができるようになります。
 これらの調整に際しては、課題や変更したい内容を特定して、まずAIに改善案を提案させる進め方も効果的です。

(2)最初の1類型にリソースを集中する

 一度、ある契約類型についてプレイブックとAIモジュールの「型」を完成させれば、その構成やノウハウは他の契約類型にも横展開して活用できます。逆にいえば、最初の類型の設計が最も試行錯誤が必要です。
 契約件数・定型化の程度・重要度といった要素 3 を考慮し、秘密保持契約のように件数が多く定型的で効果の出やすい類型から着手したり、リスクの低い契約類型から実験的に着手することをお勧めします。

(3)AIによるプレイブックとモジュールのアップデート

 プレイブックは、一度作成して終わりではなく、定期的な見直し・改善が不可欠です(この点、関連記事もご参照ください)。
 プレイブックにAIを活用するにあたっては、先例的価値のある新規の契約を追加の基礎情報としてストックしておき(または契約管理システムと連携して新規契約が基礎情報に追加されるようにしておき)、適切なタイミングでこれらの新規契約に基づいてAIに契約プレイブックの更新案を提案させ、法務部門による確認後、モジュールにも自動同期または所定の更新手続により反映されるような仕組みを設計しておくことが有効です。
 また、使用するAIサービスのモデルや仕様の更新等の際にも、アウトプットの品質や挙動が変わり得るため、プレイブックやモジュールの再テストが必要となります。

今後の展望:「作業」から「ソリューション」へ

AI契約レビューのモジュール活用の2つのアプローチ

 契約プレイブックに基づくAI契約レビューのモジュールは、法務部門内のみで活用することもできますし、事業部門に開放することもできます。

(1)法務部門内のみで活用する

 契約にまつわるあらゆるリスクを法務部門が一元的に管理する観点から、あくまでもすべての契約レビューを法務部門が実施するというアプローチがあり得ます。
 すべての案件を法務が直接検討・承認するという意味で、いわば「法務インザループ」のアプローチです(これは、AI分野の「ヒューマン・イン・ザ・ループ」4 の考え方に対応します)。

(2)事業部門に開放する

 他方で、法務リソースの重要案件への集中や、リードタイムの短縮によるビジネスのスピードアップ等の観点から、仮に契約内容の一部に問題があったとしてもリスクは限定的と考えられる契約類型については、原則として事業部門自身による当該モジュールに基づく契約検討・判断を認めるアプローチが、企業の意思決定として正当化される場合もあり得ます。法務部門は個別案件の検討プロセスには直接関与せず、プロセスの設計・検証・監視によってリスクをコントロールするという意味で、いわば「法務オンザループ」のアプローチです(AI分野の「ヒューマン・オン・ザ・ループ」5 の考え方に対応します)。

 ただし、この場合においても、事業部門にAIによる契約検討を自由に認めるのではなく、法務部門が設計し運用するモジュールの利用をAIによる契約検討の必須条件とするとともに、リスクが高まり得る一定の場合や疑義がある場合には法務部門へのエスカレーションを義務づけることで、法務部門が適切なリスク管理を行うことが必要となります。そのため、モジュールにさらに、法務部門に問い合わせる場合の判断基準を盛り込み、AIによってその判断を統一化することが必要です。事業部門の担当者がAIによる検討結果を検証し最終的な判断を行うことで、「ヒューマン・イン・ザ・ループ」の原則を維持することも重要です。

 その他、上記の考慮に加えて、事業部門による恣意的なプロセスでの利用や誤用(そもそも適用対象外の契約類型にモジュールを使ってしまう等)を防ぐ仕掛けとして、次のような対応が考えられます。

  • 契約の署名・締結権限の管理:電子署名のアカウントを法務部門が管理する等により、所定のプロセスを経ない契約締結を防止する。
  • 契約類型判定のサポート:当該契約がどの類型に該当し、どのモジュール・プレイブックを使うべきかのチェックポイントを整理し、当該チェックポイントに基づく判定自体をAIがサポートするモジュールを併せて提供する。
  • 利用状況のモニタリング・監査と運用の改善(エスカレーション基準・ガイダンス等):利用ログ(入力・出力ファイル、プロンプト、実行日時・実行者等)の記録・モニタリングや、定期的なサンプルによる監査を行う。モニタリングや監査の結果に基づき、法務部門へのエスカレーション基準の精緻化や事業部門へのガイダンス等により運用を継続的に改善する。

契約検討体制の再設計

 各社ごとの事業や契約の特徴、リスクに対するアプローチ、法務部門のリソースや事業部門のリテラシー等に応じて、AI活用の程度や態様は変わり得るものであり、絶対的な正解はありません。
 ただ、従来の「法務部門の検討を要する契約」と「不要な契約」(たとえば、重要性もリスクも低い少額の日常的なオフィス備品の購買契約やホテル・航空券の契約等)という区分に、「法務部門が提供するAIモジュールを利用した事業部門による検討」という新たな選択肢が、複数のバリエーションとともに加わったことはたしかです。

リスク・重要性に応じた契約検討体制の再設計(簡略化した参考例)

リスク・重要性 従来のアプローチ AI時代のアプローチ
高〜中 法務部門で検討 法務部門で検討(AIを活用)
中〜低 法務部門で検討 事業部門で検討(法務部門が設計・管理するAIモジュールを使用)+法務部門に進捗共有・必要に応じ法務部門がサポート

※法務部門の管理下で従来のアプローチを迅速・柔軟化

低 事業部門で検討 事業部門で検討(法務部門が設計・管理するAIモジュールを使用)

※従来のアプローチの品質・信頼性改善(法務部門のサポート強化)

法務部門の役割の変化:「法務作業の提供者」から「法務ソリューションの設計者」へ

 AIの進歩により、従来は専門家が担ってきた業務への専門外の従業者による「越境」が進んでいる状況にあり、今後もその傾向は続くと予想されます。契約実務も例外とは考えづらく、法務の知見がAIを介して事業部門に広く届く、いわば「法務の民主化」が進むと予想されます。
 そのような中で、法務部門も、個々の契約を検討する「法務作業の提供者」から、契約検討の基準とプロセスを設計しその品質を管理する「法務ソリューションの設計者」へと進化していく時期が来ているといえるかもしれません。契約プレイブックとAIの組み合わせは、その第一歩として、多くの法務部門にとって現実的かつ効果の大きい取組みといえるでしょう 6。


  1. なお、契約書や相手方の受領資料のAIへの入力が秘密保持契約上の「第三者への開示」の禁止への違反に当たるかという議論もありますが、当該AIサービスが、入力情報がAIの学習に利用されず、提供事業者が契約上の守秘義務を負う法人向けのサービスであれば、クラウドストレージの利用等の場合と同様に整理できる場合も多いと考えられます。ただし、AIへの入力を明示的に制限する特約が設けられている場合等、実際の契約に応じた確認・検討が必要となり得ます。 ↩︎

  2. 具体的な規定項目や譲歩にあたっての考慮要素等に関しては、関連記事「契約プレイブックとは?導入メリット、具体例、作り方・運用のポイント」をご参照ください。 ↩︎

  3. 考慮要素に関しては、関連記事「契約プレイブックとは?導入メリット、具体例、作り方・運用のポイント」をご参照ください。 ↩︎

  4. 「ヒューマン・イン・ザ・ループ」とは、AIが提示した判断や生成結果について、人間の確認・承認を経なければ後続の処理に進めないように設計された運用方式です。AIはあくまで検討材料を用意する役割にとどまり、最終的な採否の判断は常に人間側に留保されます。 ↩︎

  5. 「ヒューマン・オン・ザ・ループ」とは、AI自身が一連の処理を自律的に進めていく一方で、人間がその進行状況を随時把握でき、問題を検知した場合には介入・是正できるようにした運用方式です。個々の判断ごとに人間の承認を待たずに処理が進められる点で、「ヒューマン・イン・ザ・ループ」と異なります。 ↩︎

  6. 契約レビューへのAI活用の促進にあたっての1つの留意点として、一部の契約レビュー・修正作業が若手法務部員の契約レビュースキルの訓練を兼ねていたような場合には、契約プレイブックとAIを組み合わせたレビューに切り替えたことにより、若手の契約修正の判断力を鍛える場が少なくなる可能性もあります。若手の経験値や判断力を育てるためには、プレイブックの策定のプロセス自体を属人化されていた暗黙知の言語化・組織知化の機会として活用するほか、AIを使って節約できた時間で、若手と先輩部員が一緒に案件を議論したり、先輩の判断過程を言語化して共有するなどの意識的なプロセスを業務フローに組み込むことを検討することも考えられます。 ↩︎

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