メタバースと法

第2回 メタバースと知的財産法(概要編)

知的財産権・エンタメ
角田 匠吾弁護士 アンダーソン・毛利・友常 法律事務所 外国法共同事業 横川 聡子 アンダーソン・毛利・友常 法律事務所 外国法共同事業 市川 英彦 弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所

目次

  1. はじめに~メタバースにおける知的財産の重要性~
  2. メタバースにおけるコンテンツ・デザインの保護
    1. 意匠権による保護
    2. 著作権による保護
  3. メタバースにおける商標・ブランドの保護
    1. 商標権による保護
    2. 不正競争防止法による保護
  4. メタバースにおける技術の保護
    1. メタバースの要素技術と特許
    2. メタバースに関する特許権利化のポイント

 インターネット上に構築され、多くのユーザーが同時に参加し、多様な経済活動やコミュニケーションの場となる「メタバース」。近年、世界中で注目を浴び、メタバースをめぐる法的な議論も活発化し始めています。本連載は、メタバースに関して生じ得る各種の法的論点を、様々な法分野の観点から多角的・横断的に検討することを目的としています。
 第2回では代表的な知的財産に着目し、メタバースを巡ってどのような法的問題や保護のあり方が考えられるのかを概観します。

はじめに~メタバースにおける知的財産の重要性~

 本連載の第1回「メタバースの全体像と今後求められる法整備」で概観したとおり、メタバースでは、様々な魅力的なコンテンツの提供(デジタルアートの展示、アバターによるパフォーマンス等)や、メタバース内等で使用できるデジタルプロダクト(デジタルファッション等)の販売等の経済活動が行われることが想定されます。このような経済活動の基盤となるのは、コンテンツやブランド等の様々な知的財産です。
 メタバースにおいては、仮想世界と現実世界の垣根のない体験(たとえば「バーチャル渋谷」など)が志向されることも多く、両世界を跨った知的財産の利用の機会も増大していくことが予想されます。たとえば、①現実世界の建築物のデザインをメタバースで再現する場合や、反対に、②メタバース内で用いるために作成されたデジタルプロダクト(たとえば、アバターが着用するファッションアイテム)のデザインについて、同様のデザインの現実の商品を製造販売する場合などが考えられます。
 このように、仮想世界と現実世界の垣根を超えた知的財産の創作と利用の機会が加速していく中で、メタバースでの事業を行おうとする企業や、そうでなくとも現実世界で重要なコンテンツやブランド等の知的財産を保有している企業は、メタバースを巡って生じ得る知的財産の法的問題を整理した上で、他社との紛争を予防しつつ、自社の知的財産を効果的に保護するための戦略を検討しておくことが重要です。
 そこで、第2回「メタバースと知的財産法」では、代表的な知的財産(コンテンツ・デザイン、ブランド、技術)に着目して、メタバースを巡ってどのような法的問題や保護のあり方が考えられるのかのポイントを設例とともに概観します。次回以降、各論編として、知的財産の種類ごとに、メタバースを巡る法的問題や保護のあり方について更に深堀りして解説します。
 なお、メタバースにおいては、国境を越えて様々な国の企業・個人が参加することも想定されることから、具体的な法的問題の性質等に応じて外国の法令が適用される可能性があります(この点については、次回以降の各論編で解説します)が、以下では、日本法を前提に概観します。

メタバースにおけるコンテンツ・デザインの保護

 メタバースでは、現実世界と同様に、企業や個人による様々なコンテンツ(デジタルアートや、音楽、パフォーマンス等)の提供や、商品(デジタルプロダクト)の販売等が行われることが想定されます。その際、知的財産に関して典型的に生じ得る問題の1つとして、ある企業や個人が創作したデザインを第三者が無断で利用した商品(デジタルプロダクト)を作成して販売するというものがあります。実際に、たとえば、本連載の第1回でも紹介した「Second Life(セカンドライフ)」というメタバースでは、ベッド(デジタルプロダクト)を作成・販売していた事業者が、複数のセカンドライフのユーザが無断でコピー品を作成・販売したとして、それらユーザに対して販売停止や損害賠償を求めて提訴したという事案があります 1
 ここでは、次のような設例を用いて、上記のようなメタバースを巡るプロダクトデザインの無断利用に対する権利保護のあり方を考えてみます。

帽子メーカーA社は、現実世界で、特徴的なデザインの帽子ブランド「HAAT」を販売し、そのデザインに関して意匠登録を有している。A社は、メタバースでアバターが着用するためのメタバース限定デザインの帽子グッズ「HAAT Metaverse Edition」(デジタルプロダクト)を販売することにした。
ある日、B社が、別のメタバースで、A社に無断で、HAATやHAAT Metaverse Editionと同じデザインの帽子グッズ(デジタルプロダクト)を販売していた。

 プロダクトデザインについては、主に、意匠権または著作権による保護が考えられます(その他、場合によっては不正競争防止法による保護や民法上の不法行為を理由とする保護が問題となる余地もありますが、この点は各論編で解説します)。

意匠権(意匠法) 著作権(著作権法)
保護対象 意匠:物品の形状等、建築物の形状等又は画像であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの(2条1項) 著作物:思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの(2条1項1号)
権利発生 登録により発生(20条1項) 創作と同時に発生(17条2項)
権利内容 業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をすることを独占する権利(23条) 著作権法で定める方法で著作物を利用することを独占する権利(21条~28条)
権利期間 意匠出願日から25年・更新不可(21条1項) 著作者の死後70年(51条2項)
団体名義の場合公表後70年(53条1項)
救済措置 差止請求・損害賠償請求(刑事罰あり) 差止請求・損害賠償請求(刑事罰あり)

意匠権による保護

 上記設例で、A社は、現実世界の帽子「HAAT」のデザインについて有する登録意匠に基づき、これと同一のまたは類似する意匠にかかる帽子(現実世界の帽子)の製造、譲渡等を独占できる権利を有します。しかし、B社による模倣品であるメタバース内の帽子グッズ(デジタルプロダクト)は、現行法上の意匠の対象となり得ず、A社は、B社の模倣行為について意匠権侵害に問うことは困難です。
 なお、現行の意匠法上、物品以外にも、機器の操作の用に供される画像(操作画像)や機器の機能を発揮した結果として表示される画像(表示画像)に限って、画像の意匠登録も可能とされています。しかし、機器とは独立した、画像または映像の内容自体を表現の中心として創作される画像または映像(デジタルプロダクトのデザインのような、いわゆるコンテンツ)は、意匠登録ができません。そのため、A社としては、現実世界の帽子HAATやHAAT Metaverse Editionのデザインについて、画像の意匠として登録することは困難です。
 以上のように、現行の意匠法の下では、自社のプロダクトデザインについて、メタバース内での模倣行為に対して、意匠権による保護を図ることは基本的に困難です。なお、この点は、自民党デジタル社会推進本部NFT政策検討PTが取りまとめた「NFTホワイトペーパー(案)~Web3.0時代を見据えたわが国のNFT戦略~」2 において、意匠権による保護範囲の拡大を含めた法改正の可能性について関係省庁における検討を進めるべきであるとの提言がなされており、今後の法改正の動向も注目されます。

著作権による保護

 仮に、現実世界の帽子HAATや、メタバース内のHAAT Metaverse Edition(帽子のデジタルプロダクト)のデザインが著作物に当たる場合には、B社の行為は著作権侵害に当たります。そのような「著作物」に当たるためには、表現の創作性が必要です。しかし、設例の帽子のような実用品のデザインについては、美術品等と比べて著作物と認められるハードルは高く、実用性・機能性を離れ、独立して美的観賞の対象となり、純粋美術と同視し得る程度の美的創作性を備えていることが必要であると考えられています(いわゆる応用美術理論)3
 そのため、現実世界の帽子であるHAATのデザインについて著作物性が認められるためには一般には高いハードル(実用性・機能性と離れて、純粋美術と同視し得る程度の美的創作性)が存在します。
 他方、メタバース内でのデジタルプロダクトであるHAAT Metaverse Editionのデザインについては、現実世界の実用品のデザインと異なり、現行法上は意匠権として保護できるわけでもないため、応用美術理論は適用されず、表現の創作性があれば著作物性が認められるとも考えられます。
 もっとも、仮に、実用品を模したデジタルプロダクトのデザインについて、容易に著作物性を認めてしまうと、意匠登録の代わりにデジタルプロダクトを作成しておくことで、現実世界における(デジタルプロダクトと)同じデザインの実用品の製造・販売を意匠登録しないまま著作権に基づき禁止できてしまうことになり、妥当ではない場合もあると考えられます。
 そのため、デジタルプロダクトであるHAAT Metaverse Editionのデザインについても、著作物性が認められる現実世界の帽子と同程度の(あるいはそれに準ずる程度の)創作性がない限り、「ありふれた表現」であるなどとして著作物性が否定されるという考え方もあり得るところです。なお、そのような考え方に立った場合でも、たとえば、帽子の表面上にA社オリジナルのキャラクターが描かれているような場合には、そのキャラクターについて著作物性が認められることはあり得ます。
 以上のように、A社は、B社によるメタバース内での模倣グッズの販売に対して、著作権に基づく保護を図る余地はありますが、そのためには実用品である帽子やそのデジタルバージョンのデザインが著作物と認められるためのハードルの高さがネックとなり得ます。そのような実用品デザインの保護をできるだけ図るための現実的な戦略としては、そのデザインをできるだけ(美的観点で)特徴的なものとすることや、デザインの中にキャラクター等の著作物と認められやすい要素を含めるといったことが考えられます。

メタバースにおける商標・ブランドの保護

 メタバースにおいては、商標やブランドを巡っても様々な問題が生じることが想定されます。たとえばメタバースでの第三者による商標・ブランドの無断利用も、メタバースで典型的に生じ得る問題の1つです。実際に、著名な高級ブランドである「エルメス(Hermès)」を代表するハンドバッグ「バーキン(Birkin)」について、デジタルアーティストであるメイソン・ロスチャイルド氏が「バーキン(Birkin)」を毛皮で覆ったデザインのNFTアイテム(下図参照)を「MetaBirkins」と称して販売するという事案も発生しています。エルメスは、ロスチャイルド氏に対し、商標権侵害等を理由に販売停止等を求めて米国連邦地方裁判所に提訴しました 4

出典:OpenSeaのMetaBirkin販売サイト

出典:OpenSeaのMetaBirkin販売サイト

 メタバースでのビジネスを展開しようとする企業にとっては(あるいは、そうでない企業にとっても)、メタバースと商標・ブランドを巡ってどのような法的問題が生じ得るかを想定しつつ、自社商標・ブランドの保護のための戦略を考えていくことが重要です。ここでは、次のような設例を用いて、メタバースを巡る商標・ブランドの保護のあり方を考えてみます。

有名なファッションブランドP社は、現実世界で同社のロゴ「PINE」を付したバッグを販売し、「PINE」のロゴについて「かばん類」(第18類)を指定商品とする登録商標を有している。
他方、あるメタバース内で、Q社が、P社に無断で、「PINE」のロゴを付したバッグ(デジタルプロダクト)を販売している。

 自社のロゴ等を第三者に無断利用された場合、一般には、商標権による保護、または周知・著名な商品等表示に関する不正競争行為の禁止(不競法2条1項1号、2号)による保護が考えられます。

商標権(商標法) 不正競争行為の禁止(不競法)
保護対象 商標:人の知覚によって認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音であって、商品又は役務について使用をするもの(2条1項)
  1. 混同惹起行為(2条1項1号)
    他人の周知な商品等表示と同一又は類似の商品等表示を使用する行為(他人の商品又は営業と混同を生じさせるという要件が必要
  2. 著名表示冒用行為(2条1項2号)
    他人の著名な商品等表示と同一又は類似の商品等表示を使用する行為(他人の商品又は営業と混同を生じさせるという要件は不要
権利発生 登録必要:登録により発生(18条1項)
権利内容 指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利(25条)
権利期間 設定登録日から10年・更新可(19条)
救済措置 差止請求・損害賠償請求(刑事罰もあり) 差止請求・損害賠償請求(刑事罰もあり)

商標権による保護

 商標法上、商標権侵害に当たるためには、商標の同一性・類似性に加え、商品・役務の同一性・類似性が必要です。  そのため、上記設例において、P社が、Q社による「PINE」のロゴの無断利用に対して商標権に基づく差止や損害賠償請求を行うためには、P社が有する登録商標の指定商品「かばん類」(第18類)と、Q社が販売する「バッグ(デジタルプロダクト)」が商品・役務として類似することが必要です。
 一般に、商品・役務の類似性は、用途や需要者等の共通性を考慮し、双方の商品・役務に同一または類似の商標を使用するときに同一営業主が販売・提供する商品・役務と誤認されるおそれがあると認められる関係にあるか否かにより判断されます 5。この点、現実世界の「かばん」(指定商品)と、Q社がメタバースで販売する「バッグ(デジタルプロダクト)」とを比べると、まず用途等が顕著に相違します。また、少なくとも現状において、現実の鞄とメタバース内のバッグ(デジタルプロダクト)が通常同一営業主により販売されるという実態にあるとまではいい難く、商品・役務の類似性が認められるハードルは高いように思われます。
 そこで、自社のロゴ等について、メタバースにおいて商標権により保護するためには、メタバースで想定されるロゴ等の使用態様を踏まえた適切な指定商品・指定役務で商標登録を行っておくことが望まれます。
 たとえば、上記設例の「バッグ(デジタルプロダクト)」に関しては、「オンライン上で使用するバッグを内容とするダウンロード可能なコンピュータプログラム」や「オンライン上で使用するバッグを内容とするダウンロード可能な画像」(第9類)を指定商品としたり、「仮想空間で使用するダウンロードできない仮想のバッグを内容とする映像の提供」を指定役務(第41類)としたりすることが考えられます。
 実際に、近時、このような指定商品・指定役務での商標登録出願を行っている例が見受けられます 6 7

不正競争防止法による保護

 上記設例において、「PINE」のロゴが、P社の商品を示すものとして日本での知名度が高い場合には、不正競争防止法上の周知な商品等表示に当たり得ます。その場合、メタバースでのQ社による「PINE」のロゴを付したバッグ(デジタルプロダクト)の販売について、P社の商品または営業と混同を生じさせるといえれば、不正競争行為(不競法2条1項1号)として禁止することが可能となります 8
 ここでいう「混同」については、需要者が「PINE」のロゴを付したQ社のバッグ(デジタルプロダクト)をP社の商品であると混同する場合(いわゆる狭義の混同)だけでなく、P社と密接な営業上の関係や同一の商品化事業を営むグループに属する関係や 9、何らかの資本関係・提携関係などを有する者の商品であると混同する場合 10(いわゆる広義の混同)も含まれます。上記設例において、「PINE」のロゴの周知性などに鑑みると、メタバースで「PINE」のロゴが付されたバッグ(デジタルプロダクト)をユーザが見たときに、「P社とコラボしたバッグだ!」などと誤信する可能性はあり、P社がQ社に対して不正競争行為を理由とする差止請求等を行える可能性はあると思われます。
 もっとも、上記のように不正競争防止法による保護は受けられるのは、周知・著名なブランドに限られるため、自社のロゴ等を保護するためには、上述したような適切な指定商品・役務による商標登録出願も検討することが望ましいでしょう。

メタバースにおける技術の保護

 メタバースでの様々な経済活動やユーザ体験は、これを実現するための様々な技術に支えられています。これらの技術は、その種類に応じて法的な保護手段が異なりますが、1つには特許による保護が考えられます。実際、VR元年と呼ばれた2016年以降、メタバースの基盤となるVR・AR等のXR技術の特許出願の急激な増加が指摘されており 11、テクノロジーに強みを持つ企業にとっては、自社技術を活かしてメタバースに応用可能な技術開発を行って特許化しておくことで、この領域での競争力強化を図ることも考えられます。

メタバースの要素技術と特許

 メタバースの基盤となる要素技術を、大きくハードウェア関連とソフトウェア関連の技術に分類して例示すると下表のようになります。

ハードウェア関連技術 ソフトウェア関連技術
  • ヘッドマウントディスプレイ、VRゴーグル
  • スマートグラス
  • ウェアラブルデバイス
  • トラッキングデバイス
  • プロジェクションデバイス
  • マッピングデバイス
  • アバター関連技術
  • トラッキング関連技術
  • 画像処理
  • ディスプレイ制御
  • 通信
  • 人工知能

 こうした要素技術に関して実際にどのような特許が取得されるのかについて、一例をみてみましょう。比較的古いものとして、たとえば、Worlds Inc.という米国企業が、「仮想空間でのユーザの対話を可能にするシステムおよび方法」に関して取得した米国特許第7181690号(2000年出願、2007年特許登録)があります(以下「690特許」)。690特許は、ユーザがサーバ経由で取得した他の複数のアバターの位置情報に基づいて、いずれのアバターを表示するかを決定するための制御を可能にすること等を特徴とします。

出典:690特許の公開公報

出典:690特許の公開公報

 Worlds Inc.は、690特許に基づき複数社に対して権利行使を行っており、たとえば、セカンドライフによる特許権侵害を理由に、2019年、リンデン・ラボ社を提訴しました(この訴訟は、2021年に和解に至りました)。
 また、最近のものでは、2021年12月28日、ウォルト・ディズニー・カンパニーの子会社であるディズニー・エンタープライゼス・インクが取得した「仮想世界シミュレーター(Virtual-world simulator)」に関する米国特許第11210843号が話題となりました。この特許は、ヘッドマウントディスプレイ等を使わずに複数のユーザに複数の視点から仮想世界を体験させることを発明の課題とするもので、ディズニーのテーマパーク内に現実世界と仮想世界を融合させたXR空間を作る狙いがあると見られています 12

メタバースに関する特許権利化のポイント

 メタバースでの自社の新たな技術やサービスに関して特許権利化を行うにあたっては、まずは、どのような技術的な特徴について権利化するかを検討することになります。特許として認められるためには、権利化しようとする特徴が新規性・進歩性等の要件をクリアする必要がありますが、自社サービスのちょっとした工夫に見えるポイントであっても、メタバースという新たな領域に特有の技術的な特徴として捉えることで、権利化できる場合もあります。
 特許権利化できそうな技術的な特徴が抽出できれば、次は、これをできるだけ強力な特許として成立させるために、特許出願書類(特許請求の範囲や明細書等)を作成していくことになります。この出願書類の質や充実度が、特許取得の成否や、特許取得後の権利行使等の結果を左右するといっても過言ではありません。
 たとえば、特許権の効力範囲は、出願書類のうちの特許請求の範囲(クレーム)の記載によって画されるため、これをどのように作成するかの戦略が重要となります。特に、メタバースでは、従来にない新たな概念や仕組みが今後も登場することが想定され、それらをクレームで表現する場合の用語の選定等には工夫が要されます。一例を挙げると、「仮想空間」や「仮想効果」といった用語について、少なくとも現時点で、日本語の代表的な辞書(広辞苑等)にはメタバースを想定した明確な定義は見られず、これらをクレームで用いる場合には、明細書中で適切に定義するといった対応が望まれます。


  1. Eros, LLC v. Doe Doc. 3. Case(8:07-cv-01158)」 ↩︎

  2. 平将明 オフィシャルウェブサイト「NFTホワイトペーパー(案)」(2022年3月30日、2022年8月31日最終閲覧) ↩︎

  3. 知的財産高等裁判所 裁判例検索結果 タコの滑り台事件」(2022年8月31日最終閲覧)等 ↩︎

  4. Hermes International et al v. Rothschild (1:22-cv-00384)」 ↩︎

  5. 最高裁判所昭和36年6月27日判決・民集15巻6号1730頁〔橘正宗事件〕 ↩︎

  6. j-platpat 商標照会(2022年8月31日最終閲覧) ↩︎

  7. j-platpat 商標照会(2022年8月31日最終閲覧) ↩︎

  8. なお、「PINE」のロゴが、周知を超えて「著名」である場合、混同が生じなくても不正競争となり得ますが(不競法2条1項2号)、「著名」とは、日本で全国的に知られているような高い知名度を指しますので 、保護対象となるブランドは限られてくると思われます。 ↩︎

  9. 最高裁判所平成10年9月10日判決・集民189号857頁〔スナックシャネル事件〕 ↩︎

  10. 東京地方裁判所平成11年9月20日決定・判時1696号76頁〔iMac事件〕 ↩︎

  11. 野崎篤志「特許から見たXRテクノロジートレンド』(日本弁理士会、2021年)パテント74巻8号15頁以下 ↩︎

  12. NEW STANDARD株式会社 TABI LABO「ディズニーがメタバースの特許取得!しかも現実世界に登場する模様」(2022年2月7日、2022年8月31日最終閲覧) ↩︎

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