2019年1月施行の中国越境EC制度における課税の取扱い
国際取引・海外進出中国向け越境ECの新制度における課税の取扱いの詳細について教えてください。
2019年1月1日施行の新制度のもとでは、従来の、一定の金額枠内において、適用される輸入関税の税率を0%、増値税および消費税は70%とする課税減免の対象とする取扱いを継続しています。加えて、当該課税減免の金額枠については、従来の「1回の取引金額2,000元以内、かつ、個人の年間取引金額合計2万元以内」から、「1回の取引金額5,000元以内、かつ、個人の年間取引金額合計2万6,000元以内」に拡大されました。
解説
- 中国向け越境ECの仕組み(保税区モデル・直送モデル)
- 2019年1月施行の中国越境EC制度の特徴
- 2019年1月施行の中国越境EC制度の適用要件
- 2019年1月施行の中国越境EC制度における課税の取扱い(当記事)
- 2019年1月施行の中国越境EC制度における輸入手続
- 2019年1月施行の中国越境EC制度で国外企業が負う義務
越境EC税制の概要
2016年4月の越境EC税制導入後、越境EC商品は、一般貨物と同様に、輸入関税、輸入増値税および消費税の適用対象としつつ、一定の金額の枠内で、輸入関税の税率を0%、増値税および消費税は70%として総合課税を行う課税減免の対象とされていました。
新制度では、当該課税減免の金額枠が、従来の「1回の取引金額2,000元以内、かつ、個人の年間取引金額合計2万元以内」から、「1回の取引金額5,000元以内、かつ、個人の年間取引金額合計2万6,000元以内」に拡大されました(2019年2月現在1元=約16円。年間取引額は暦年計算)。
なお、上記金額枠を超えた場合は、一般貨物と同様の輸入関税、輸入増値税および消費税が適用されることになります。また、当該税金については、越境ECプラットフォームの運営会社等において源泉徴収されることになります。
一般個人輸入との比較
上記に対し、新制度の越境EC税制の対象とならない越境ECやその他一般の個人使用目的の物品には「行郵税」という税金のみが課税されることになります(購入額1,000元・税額50元以内の場合につき免税対象。行郵税の税率は2018年9月に変更されています)。
代表的な商品について、越境EC税制と行郵税の税率を比較すると下表のとおりとなります。商品や取引金額にもよりますが、一般に、越境EC税制の課税減免の適用を受けられる範囲では、越境EC税制のほうが有利といえます。
取引 | 新制度適用対象の越境EC (対象地域外の保税区モデルを含む) |
新制度適用対象外の越境EC その他個人輸入 |
---|---|---|
課税関係 | 越境EC税制(※課税減免適用範囲内) 総合税率(関税:0%、増値税・消費税:通常の70%) |
行郵税 (※購入額1,000元・税額50元以内は免税) |
飲料・食品・日用品等 | 11.2%(16%・0%×0.7) ワイン類20.2%(16%・10%×0.7) |
15% |
服飾品 | 11.2%(16%・0%×0.7) アクセサリー(貴金属または宝石等) 20.2%(16%・10%×0.7) |
25% アクセサリー(貴金属または宝石等)50% |
家電 | 11.2%(16%・0%×0.7) | 15%または25% |
化粧品 | 11.2%(16%・0%×0.7) 一部の高額化粧品25.5%(16%・15%×0.7) |
高級化粧品50% |

森・濱田松本法律事務所 東京オフィス
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