中国向け越境ECの仕組み(保税区モデル・直送モデル)
国際取引・海外進出中国向けの越境ECとはどのようなものですか。
越境ECとは、海外からECサイトを通じて国内の消費者に商品を販売する取引であり、特に中国の越境EC市場は近年急速に拡大しています。
中国向けの越境ECには、大きく分けて、①中国国内の保税区に商品を保管しておき、保税区から消費者に商品を発送する方式(保税区モデル)と②中国国外から中国国内の消費者に直接商品を発送する方式(直送モデル)の2つの方式が存在します。
解説
- 中国向け越境ECの仕組み(保税区モデル・直送モデル)(当記事)
- 2019年1月施行の中国越境EC制度の特徴
- 2019年1月施行の中国越境EC制度の適用要件
- 2019年1月施行の中国越境EC制度における課税の取扱い
- 2019年1月施行の中国越境EC制度における輸入手続
- 2019年1月施行の中国越境EC制度で国外企業が負う義務
中国向け越境ECの概要
越境ECとは、海外からECサイトを通じて国内の消費者に商品を販売する取引です。特に近年中国の越境EC市場の成長は著しく、中国国内の消費者における日本製品の高い人気を背景に、日用品や化粧品等を中心に、日本企業による中国向け越境ECでの販売は増加を続けています。2018年4月の経済産業省の報告 1 によれば、日本から中国向けの越境ECの販売額は2021年には約2兆8,500億円(2017年の約1兆3,000億円の約2.2倍)になると試算されています。
中国向け越境ECの仕組み
中国向けの越境ECには、大きく分けて、①中国国内の保税区に商品を保管しておき、保税区から消費者に商品を発送する方式(保税区モデル)と、②中国国外から中国国内の消費者に直接商品を発送する方式(直送モデル)の2つの方式が存在します。
保税区モデル
保税区とは、国内にありながら、海外からの輸入貨物を、関税等の輸入時の税金を課税されない状態(端的に言えば、輸入前の状態)で保管できる区域を意味します。①保税区モデルの場合、保税区での倉庫保管等に一定のコストが掛かるものの、注文から商品受領までのリードタイムを短縮でき、一括運送による輸送コストの低減が期待できるほか、通関手続の安定性も確保できます。保税区モデルは、このような特徴から、安定した販売が見込める人気商品の販売に適しており、日本企業も参加する大手の越境ECプラットフォームサイト等を中心に活用されています。
直送モデル
②直送モデルについては、①保税区モデルのような流通面でのメリットは期待できないものの、保税区での倉庫保管等の費用が掛からないため、小規模な越境ECに向いているといえます。
まとめ
中国向け越境ECの仕組み | メリット | デメリット |
---|---|---|
保税区モデル (中国国内の保税区に商品を保管しておき、保税区から消費者に商品を発送する方式) |
大手の越境ECプラットフォームサイト等を中心に活用 |
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直送モデル (中国国外から中国国内の消費者に直接商品を発送する方式) |
小規模な越境EC向け |
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経済産業省「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)報告書」(2018年4月) ↩︎

森・濱田松本法律事務所 東京オフィス
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