フレックスタイム制とは?テレワークで導入する際のポイントとデメリット、フレキシブルタイム・コアタイムを活用して上手に運用するには

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 当社の女性従業員は子育て中のお母さんが多く、保育園の送迎を考えて、フレックスタイムを導入してほしいという要望がありました。また、新型コロナウィルス感染症対策で、テレワークの導入を検討しており、フレックスタイムを入れるといいのでは?と従業員から要望が出ています。しかし、フレックスとなると、皆がバラバラの時間に出勤してくるので、会議などの調整がむずかしいのでは?と懸念しています。上手く運用するにはどうしたらよいでしょうか?

 フレックスタイム制は、始業・終業の時刻を労働者が自分で決定できる制度です。しかし、始業・終業時刻を制限なく認めると、全員そろっての会議が難しい場合や、昼夜逆転の勤務をする従業員が出ないとも限りません。そのため、フレキシブルタイムやコアタイムなどを導入して、運用上混乱が生じないようにするのが一般的です。

解説

目次

  1. フレックスタイム制とは・導入のポイント・デメリット
    1. フレックスタイム制とは
    2. フレックスタイム制を導入するには
    3. フレックスタイム制のデメリット
  2. フレックスタイム制を上手に運用するために知っておきたい、フレキシブルタイムとコアタイム
    1. フレキシブルタイムとは
    2. コアタイムとは
  3. おわりに

フレックスタイム制とは・導入のポイント・デメリット

フレックスタイム制とは

 「フレックスタイム制」とは、労働者が1か月などの一定の期間の中で、決められた時間数を労働することを条件に、各日の始業、終業時刻を自分で決めることができる制度です(労働基準法32条の3)。

 たとえば、ある月に1か月間の合計で160時間勤務すると定められていたら、ある日は1日6時間、ある日は1日10時間といった形で労働時間を自分で決定し、合計で160時間になるように調整することができる制度です。
 フレックスタイム制では、清算期間 1 を平均して1週間の法定労働時間を超えない範囲であれば、1週または1日の法定労働時間を超えて労働させることができます。また、始業・終業時刻を自由に決められるので、仕事とプライベートの両立を図る上で、労働者にとって便利な制度といえます。

 また、新型コロナウィルス感染症対策のため、時差出勤やテレワークなどを検討する際も、フレックスタイムを導入する企業が増えています。始業終業の時刻を労働者が自由に決められるフレックスタイム制を導入することで、生産性が高まり、従業員がより働きやすい環境にもなると注目されています。

労働基準法
第32条の3 使用者は、就業規則その他これに準ずるものにより、その労働者に係る始業及び終業の時刻をその労働者の決定に委ねることとした労働者については、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、その協定で第2号の清算期間として定められた期間を平均し1週間当たりの労働時間が第32条第1項の労働時間を超えない範囲内において、同条の規定にかかわらず、1週間において同項の労働時間又は1日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができる。

1 この項の規定による労働時間により労働させることができることとされる労働者の範囲

2 清算期間(その期間を平均し1週間当たりの労働時間が第32条第1項の労働時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、3箇月以内の期間に限るものとする。以下この条及び次条において同じ。)

3 清算期間における総労働時間

4 その他厚生労働省令で定める事項

② 清算期間が1箇月を超えるものである場合における前項の規定の適用については、同項各号列記以外の部分中「労働時間を超えない」とあるのは「労働時間を超えず、かつ、当該清算期間をその開始の日以後1箇月ごとに区分した各期間(最後に1箇月未満の期間を生じたときは、当該期間。以下この項において同じ。)ごとに当該各期間を平均し1週間当たりの労働時間が50時間を超えない」と、「同項」とあるのは「同条第1項」とする。

③ 1週間の所定労働日数が5日の労働者について第1項の規定により労働させる場合における同項の規定の適用については、同項各号列記以外の部分(前項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)中「第32条第1項の労働時間」とあるのは「第32条第1項の労働時間(当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、労働時間の限度について、当該清算期間における所定労働日数を同条第2項の労働時間に乗じて得た時間とする旨を定めたときは、当該清算期間における日数を7で除して得た数をもつてその時間を除して得た時間)」と、「同項」とあるのは「同条第1項」とする。

④ 前条第2項の規定は、第1項各号に掲げる事項を定めた協定について準用する。ただし、清算期間が1箇月以内のものであるときは、この限りでない。

フレックスタイム制を導入するには

 フレックスタイム制を導入するには一定の手続きが必要です。まずは、就業規則その他これに準ずるものに「始業・終業時刻を各労働者の決定にゆだねる」ことを定める必要があります。さらに、労使協定により、次の事項を定めます。

  1. フレックスタイム制により労働させることができる労働者の範囲
  2. 清算期間
  3. 清算期間における総労働時間
  4. 標準となる1日の労働時間の長さ
  5. コアタイムを定める場合には、その時間帯の開始・終了の時刻
  6. フレキシブルタイムを定める場合には、その時間帯の開始・終了の時刻

フレックスタイム制のデメリット

 始業・終業の時刻を労働者が選べるという点では、メリットが多いフレックスタイム制ですが、運用するうえで、不都合が生じる可能性もあるので注意が必要です。
 たとえば、チーム全員が参加する会議を開こうと思っても、始業・終業時刻を労働者が選べる以上、会社が「○時に出社するように」という命令ができません。
 また、極端なケースだと、夕方遅くに出勤し、夜中に勤務するという人が現れないとも限りません。その場合、安全管理の問題なども発生してきます。そのような問題に対処するために、一般的には「フレキシブルタイム」および「コアタイム」を設けます。

フレックスタイム制を上手に運用するために知っておきたい、フレキシブルタイムとコアタイム

 フレックスタイム制には、上記のようなデメリットがあるので、フレキシブルタイムやコアタイムといった制度をあわせて活用することにより、よりうまく運用する方法が考えられます。

フレキシブルタイムとは

 「フレキシブルタイム」とは、労働者がその選択により労働することができる時間帯のことです。
 たとえば、始業時のフレキシブルタイムを6:00~10:00と定めた場合、労働者はその範囲内で始業時刻を選択する必要があります。フレキシブルタイムを設定することによって、夕方遅くから出勤するといった事を防ぐことができます。

コアタイムとは

 「コアタイム」とは、労働者が労働しなければならない時間帯のことです。コアタイムを10:00~15:00と定めた場合、その時間帯は必ず労働することが義務付けられるので、会議など、メンバー全員が参加する必要のある業務をこの時間帯に設定することが可能です。  

コアタイムの基本モデル

おわりに

 子育て中の親などにとっては、仕事とプライベートの予定を両立しやすいフレックスタイム制はとても便利な制度といえます。
 しかし、職種などによっては、バラバラの時間帯に出勤してくることで業務が滞ったりするケースもあります。また、テレワークでフレックスタイムを導入している場合は、ついつい時間管理がルーズになったり、逆に、上司の目が届きにくいため、長時間労働に気づかないケースなども発生します。
 テレワークでフレックスタイムを導入する場合などは、勤怠管理をデジタル化するなどして、労働時間の見える化を図ることが重要です。企業の実態に合わせて、フレックスタイム制の導入が適しているかどうかをよく検討しましょう。


  1. 清算期間:その期間を平均し1週間あたりの労働時間が法定労働時間を超えない範囲において労働させる期間をいい、1か月以内の期間に限るもの ↩︎

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