振替休日の手順

人事労務
冨川 諒弁護士 弁護士法人中央総合法律事務所

 当社は、来月、業務上の理由により、従業員に休日出勤してもらう必要があると考えていますが、その代わり、今月、休日振替を行おうと考えています。休日振替を行うにあたり、何か注意すべき点はあるのでしょうか。

 休日振替を行うためには、労働者の個別的同意を得るか、または労働協約もしくは就業規則上、業務の必要により就業規則で定める休日を他の日に振り替えることができるという規定が存在し、その規定に従って休日振替を行う必要があります。休日振替を行った場合、本来の休日における労働は労働日の労働となるので、原則として36協定の締結および休日割増賃金を支払う必要はありません。ただし、労働日となった休日における労働が、当該週において40時間を超えて時間外労働となった場合には、36協定の締結および割増賃金の支払が必要となります。

解説

目次

  1. 休日振替とは
  2. 休日振替の要件
  3. 休日割増賃金について
  4. 代休について
  5. おわりに

休日振替とは

 休日振替とは、あらかじめ振替休日の日を指定した上で特定の休日を労働日とすることをいいます。一般に、休日振替というのは、このように事前に休日を振り替えることをいいます。
 このようないわゆる休日振替とは異なり、事後的に休日を振り替える、すなわち、休日労働をさせた後に代休日を与えるというものがあります(広い意味での休日振替に整理することができますが、本稿では、事前の振替のみを休日振替といいます)。これは、休日そのものの変更を伴わないため、労働基準法上の扱いが休日振替とは大きく異なります。

休日振替の要件

 休日振替は、労働契約上特定されている休日を他の日に変更すること、すなわち労働契約の内容の変更にほかなりません。したがって、休日振替を行うためには、労働者の個別的同意を得ることが必要となります。他方、労働者の個別的同意がない場合であっても、労働協約や就業規則上、業務の必要により就業規則で定める休日を他の日に振り替えることができるという規定が存在し、その規定に従って休日振替が行われた場合も、有効な休日振替となります。
 さらに、休日振替を行うためには、休日振替を行った後の状態が、労働基準法35条に定められた1週1日の休日(就業規則に起算日の定めを置いて4週4休変形週休制をとっている場合にはそれに従った休日)の要件を満たしていることも必要とされます。

休日割増賃金について

 休日振替は、上記要件を満たすかぎり、本来の休日における労働は労働日の労働となりますので、労働日となった休日における労働について36協定を締結したり休日割増賃金を支払う必要はありません。ただし、労働日となった休日における労働が、当該週において40時間を超えて時間外労働となった場合には、36協定の締結および割増賃金の支払が必要となります(労働基準法36条、37条)。

代休について

 休日労働をさせた後に代休日を与える場合は、休日振替と異なり、休日の変更がなされたものではありませんので、36協定の締結および休日割増賃金の支払が必要となります。
 もっとも、この場合には、代休日を与えることは労働基準法上要求されておらず、代休日を与えるとしても、その定め方については週休制の要件(労働基準法35条)は適用されません

おわりに

 休日振替は、業務の実態に合わせて休日と労働日を入れ替えることにより、休日割増賃金の支払を削減することができるといったメリットがあります。しかしながら、休日振替を行うためには一定の要件を満たす必要があり、いつでも休日振替を行うことができるというものではありません。また、休日労働をさせた後に代休日を与えた場合には、休日振替とは異なり、休日労働に対して休日割増賃金の支払が必要となります。休日振替を行うにあたっては、休日振替の要件および概念にご注意下さい。

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