育児休業期間中の給与の支払いについて

人事労務

 従業員の育児休業への支援として、育児休業期間中に給与の一部を支給する制度を設ける際に留意すべき点はありますか。また、業務上の必要性や、復帰前の慣らし勤務のため、育児休業期間中の従業員に臨時アルバイトとして就労してもらっているということを聞くことがありますが、留意すべき点はありますか。

 育児休業中の給与支払いについては、①就労がない場合には育児休業給付金の支給調整に留意する必要があり、②就労がある場合にはそもそも労働者の希望あるいは使用者側からの「お願い」による合意ベースでの就労であることや、育児休業給付金のほか社会保険料免除についても留意が必要となります。

解説

目次

  1. 原則は無給でよい
  2. 育児休業期間中の給与支給(就労がない場合)の留意点
  3. 育児休業期間中の給与支給(就労がある場合)の留意点
  4. まとめ

原則は無給でよい

 使用者は、育児休業中の労働者に対する給与支払いを法律上義務付けられていません。したがって、育児休業を無給休業とすることが可能です。この点は育児休業に先行する産前産後休業も同じです。この取扱いについては、疑義がないよう、就業規則上きちんと定めを置いておくことが望ましいでしょう。

育児休業期間中の給与支給(就労がない場合)の留意点

 育児休業中の労働者は、雇用保険からの給付として、育児休業給付金の給付を受けることができます。育児休業給付金の概要は以下のとおりです。

    〔受給資格〕
  • 雇用保険被保険者が育児休業したこと
  • 休業を開始した日前の2年間に雇用保険の被保険者期間(賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上ある月)が12か月以上あること

  • 〔支給期間・頻度〕
  • 子が1歳(一定の要件を満たす場合には1歳2か月または1歳6か月)になるまで
  • 休業開始日から1か月ごとの期間を「支給単位期間」とし、最も頻度の高い場合で支給単位期間ごとに支給される

  • 〔支給額〕
  • 当初180日については、休業1か月につき、休業を開始した日前6か月間に支払われた賃金から算出した賃金月額(「賃金月額」)の67%
  • 当初180日到達後は、休業1か月につき、賃金月額の50%
  • 上限・下限あり

  • 〔支給要件-支給単位期間ごとに判断される〕
  • 休業終了後に職場復帰する予定であること
  • 支給単位期間中継続して被保険者資格を有していること
  • 支給単位期間中の就労日数が10日以下であること、10日を超える場合には就業時間が80時間以下であること
  • 支給単位期間中に支給された賃金の額が、賃金月額の80%未満であること

 ただし、育児休業期間中に事業主から、その育児休業期間を対象とする賃金の支払いを受けた場合で、その賃金額と育児休業給付金の額の合計額が賃金月額の80%以上となるときは、その超過分を減じた額が支給額となります。
 上記のとおり、育児休業給付金の額は支給単位期間ごとに賃金月額の67%(180日経過後は50%)ですので、賃金の額が賃金月額の13%(180日経過後は30%)を超えると、支給額の減額が発生することになります。

〔育児休業給付金の支給額〕
当初180日 賃金月額×67%
180日経過後 賃金月額×50%

〔事業主から賃金が支払われた場合〕
① 賃金が賃金月額の13%(30%)以下 満額支給
② 賃金が賃金月額の13%(30%)超、80%未満 超える分につき減額
③ 賃金が賃金月額の80%以上 支給されない

 育児休業期間中に賃金を支払う場合には、上記の育児休業給付金の支給要件および給付額の調整に留意して金額を設定する必要があります。
 また、賃金支払いにより労働保険料(労災保険料・雇用保険料)が発生し、雇用保険料には従業員負担部分があることにも留意すべきと思われます。社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)については、免除を受けることが可能です。

育児休業期間中の給与支給(就労がある場合)の留意点

 育児休業中の就労については、まず、育児休業中の労働者は使用者に対して労務提供義務を負わないことを念頭に置く必要があります。労務提供義務を負わない以上、使用者が育児休業中の労働者に就労を命ずることはできません。
 しかし、育児休業が子の養育を行う労働者の福祉の増進を図るものであることに照らせば、育児休業中に、労働者と真に合意のうえで臨時のアルバイトとして就労を行うことは許されるべき(アルバイト就労により育児休業は終了せず、また、不利益取扱いには該当しないと考えるべき)と考えます。
 雇用保険法上も、上記のとおり、育児休業給付金の支給要件において、育児休業中における一定限度での就労があり得ることを前提としています。

 この場合、アルバイトとしての給与を支給する必要がありますが、給与支給時の留意点は上記の就労がない場合の留意点と基本的に同一です。
 もっとも、アルバイト就労があった場合に社会保険料の免除を受け続けることができるかについては個別具体的な判断によるものと考えますので、事業所を管轄する年金事務所や健康保険組合に具体的に相談したうえで対応を決定するべきでしょう。

まとめ

 以上のとおり、育児休業中の給与支払いについては、①就労がない場合には育児休業給付金の支給調整に留意する必要があり、②就労がある場合にはそもそも労働者の希望あるいは使用者側からの「お願い」による合意ベースでの就労であることや、育児休業給付金のほか社会保険料免除についても留意が必要となります。

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