妻が産休・育休を取った場合、夫は育休を取れるか

人事労務

 男性社員から育児休業の申出がありました。聞いてみると、配偶者がすでに育児休業中だが大変そうなので、それを手助けするために自分も育児休業を取りたいということでした。配偶者が育児休業中なのですから、休業を認めなくてもよいようにも思うのですが、やはり休業を認めなければならないでしょうか。

 配偶者が育児休業中であることは、育児休業申出を拒絶する理由とはならないため、育児・介護休業法に従った休業の付与が必要となります。

解説

目次

  1. 育児・介護休業法の平成21年改正
  2. 再度の育児休業の取得
  3. パパ・ママ育休プラス
  4. おわりに

育児・介護休業法の平成21年改正

 かつては、育児・介護休業法上、労使協定を締結することにより、配偶者が専業主婦(夫)や育児休業中である場合などに労働者からの育児休業の申出を拒むことができることとなっていました。しかし、平成21年改正法によりこの制度は廃止されました。したがいまして、現行法においては、配偶者が育児休業中であることを理由として労働者の育児休業の申出を拒むことはできません

 さらに、男性による育児休業取得の促進のための各種制度が設けられていますので、以下概要を確認します(なお、制度自体は性別を問わず適用されるものです)。

再度の育児休業の取得

 育児休業の回数は、原則として1人の子につき1回です(再度の取得には、配偶者の死亡など特別な事情が必要です)。しかし、最初の育児休業が子の出生後8週間以内の期間にされた場合(開始しかつ終了することが必要です)には、特別な事情がなくても、再度同じ子について育児休業を取得することが可能です(育児・介護休業法5条2項)。
 共働きのケースを想定しますと、出産後の女性労働者は、原則として8週間の産後休業を取得できます。その間に男性労働者が育児休業を取得した場合には、その後再度育児休業が取得できるのです。

 【図1】は、この育児休業の再度の取得のイメージです。

【図1】

育児休業の再度の取得

パパ・ママ育休プラス

 また、配偶者の育児休業との組合せにより、育児休業を取得できる子の上限年齢が1歳から1歳2か月に延長されます(育児・介護休業法9条の2「パパ・ママ育休プラス」)。

  1. 本人の配偶者が、子の1歳到達日(=1歳の誕生日の前日)以前において育児休業を取得していること
  2. 本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
  3. 本人の育児休業開始予定日が、配偶者の取得している育児休業の初日以降であること

 【図2】は、上記で紹介した育児休業の再度の取得とパパ・ママ育休プラスを組み合わせた育児休業取得のイメージです。

【図2】

育児休業の再度の取得とパパ・ママ育休プラスを組み合わせた育児休業取得

 【図2】では、妻の育児休業開始時においてすでに夫が初回の育児休業を取得しているため、パパ・ママ育休プラスにより妻は育児休業を1歳2か月まで取得できます。ただし、パパ・ママ育休プラス適用下での育児休業の取得可能期間は、出生日以後の産前・産後休業を含み最長で1年間とされていますので、上記の例での妻の育児休業の1歳到達後の取得可能期間には限りがあります。

 さらに、【図2】では、夫の再度の育児休業開始時において妻が育児休業を取得しているため、夫は育児休業を1歳2か月まで取得できます。取得可能期間が1年間である制限については妻の場合と同じです。

おわりに

 平成21年の育児・介護休業法改正の背景の一つとして、「勤労者世帯の過半数が共働き世代となっているなかで、女性だけでなく男性も子育てができ、親子で過ごす時間を持つことの環境づくりが求められている」ことがあげられています(厚生労働省 「改正育児・介護休業法のあらまし」より)。育児休業制度は改正により複雑なものとなってきていますが、使用者には、法律の規定を正確に理解のうえ、制度を構築・運用することが求められます。

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