育児介護休業は年休計算でどのような扱いとなるか

人事労務

 育児休業中の従業員に対する年休の付与日が近づいてきたのですが、この従業員は、去年の年休付与日の直後から産休に入り、その後連続して育児休業を取得しているため、この1年間まったく出勤していません。この従業員に対して新たな年休を付与する必要があるでしょうか。また、介護休業の場合はどうですか。

 年休発生の要件は前年度の出勤率が80%以上であることですが、この出勤率の計算に当たり、育児休業・介護休業中の期間(さらに産休の期間)は出勤したものとして取り扱う必要がありますので、年休付与の必要がないと即断しないようにしてください。

解説

目次

  1. 年次有給休暇(年休)の発生要件の概要
  2. 「全労働日」と「出勤日」
  3. 育児休業・介護休業中の年休付与
  4. おわりに

年次有給休暇(年休)の発生要件の概要

 使用者は、①雇入日から起算して6か月間継続勤務し、②全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、10日の年次有給休暇を与えなければなりません(労働基準法39条1項)。
 さらに、その後1年が経過するごとに、以下の日数の年休を与える必要があります。その場合の上記②の出勤率は、付与日の直前の1年間について計算されます(労働基準法39条2項)。

継続勤務年数 0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5以上
付与日数 10 11 12 14 16 18 20

 なお、上記の付与日数はいわゆるフルタイムの正社員を想定したもので、パートタイマー等(週所定労働時間〔=雇用契約上1週間に労働することとされている時間〕が30時間未満の労働者)については、週所定労働日数〔=雇用契約上1週間に労働することとされている日数〕に応じた、より少ない日数の年休の付与で足りることとされています。

 上記の原則的な付与方法では、労働者の雇入日ごとに年休付与日が異なることとなり、使用者にとって管理が煩雑となりますので、1年に1回または2回程度の統一的な年休付与日を設けている企業も少なくないものと思います。以下では、上記の原則的な付与方法をとっていることを前提として説明しますが、統一的な年休付与日を設けていても、育児休業・介護休業の関係では、基本的な考え方は同じです。

「全労働日」と「出勤日」

 上記のとおり、年休の権利が発生するためには、付与日前の1年間(最初の付与日については6か月間)において、以下の要件を満たす必要があります

出勤率(「出勤日」÷「全労働日」) ≧ 0.8

 まず、「全労働日」は、所定労働日〔=雇用契約上労働することとされている日〕を意味します。逆から言い表すと、付与日前の1年間(最初の付与日については6か月間)の日数から、所定休日〔=雇用契約上労働しなくてよいこととされている日〕を除いた日数です。
 ただし、不可抗力や使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日などのように、衡平の観点から出勤日数に算入するのが相当でなく全労働日から除かれるべきものは、全労働日に含まれないものとされています(最高裁平成25年6月6日判決・民集67巻5号1187頁)。

 次に、「出勤日」は、所定労働日〔=雇用契約上労働することとされている日〕のうち、現実に労働した日をいいます。遅刻・早退をした日も出勤日としてカウントされます。
 ただし、現実に労働していない日であっても、育児・介護休業法の定めにより育児休業・介護休業をした期間については、出勤したものとして取り扱うこととされています(労働基準法39条8項)。同項は、この他、業務上の負傷・疾病による療養のために休業した期間や、産前産後の休業期間についても、年休付与の関係では出勤したものとして取り扱わなければならない旨を定めています。出勤したものとして取り扱われる期間は、当然、全労働日にも算入されることとなります。

育児休業・介護休業中の年休付与

 以上からわかるとおり、育児休業中の期間および産前産後の休業期間は有給の付与の関係では出勤したものとして取り扱われますので、質問のケースでは、継続勤務年数に応じた年休を付与する必要があります。介護休業中の従業員についても、有給の付与の関係では出勤したものとして取り扱う点に留意が必要です。

 念のため付け加えますと、年休の取得は、労働義務のある日について行うことが前提となりますので、育児休業・介護休業中の従業員が年休を取得することについては認める必要がないことになります。

おわりに

 労働基準法上定められた最低基準の年休付与は使用者の義務であり、この違反に対しては6か月以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則が定められています(労働基準法119条1号)。適正な年休付与のためにも出勤率を正しく計算することはまさに労働法コンプライアンスの一部といえますので、丁寧な対応が必要となります。

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