定時株主総会で取締役全員が改選された場合、直後の取締役会は誰が招集するのか

コーポレート・M&A

 当社の取締役の任期は1年なので、定時株主総会において取締役の全員が改選されますが、定時株主総会後に取締役会を開催して新代表取締役を選定するために、誰がどのように定時株主総会後の取締役会を招集するのが適当なのでしょうか。

 ①取締役会規則に定めておく方法、②候補者全員から、選任された場合には就任を承諾すること、取締役会を株主総会後直ちに取締役会を開催することの同意を得ておく方法などが考えられます。

解説

目次

  1. 定時株主総会直後の取締役会の招集について
  2. 実務上の処理
    1. 原則 ⇒ 1週間(あるいは定款において短縮した期間)待たなくてはいけない
    2. 期間を短縮する方法

目次

  1. 定時株主総会直後の取締役会の招集について
  2. 実務上の処理
    1. 原則 ⇒ 1週間(あるいは定款において短縮した期間)待たなくてはいけない
    2. 期間を短縮する方法

定時株主総会直後の取締役会の招集について

 取締役会は各取締役が招集するのが会社法上の原則ですが(会社法366条1項本文)、実務上は、代表取締役や取締役社長(または取締役会長)が取締役会を招集する旨、定款や取締役会規則に定め、招集権者を決めておくのが一般的です。

 招集権者が定められている場合はその招集権者が、特に定められていない場合には各取締役が取締役会を招集することになりますが、定時株主総会において、招集権者、あるいは、取締役全員が改選されることがあります(取締役の任期が1年の場合は、必ずこれに該当します)。

 この場合であっても、代表取締役が定時株主総会前に、定時株主総会直後の取締役会の招集通知を発している会社も見受けられますが、法律上有効な招集通知とは言えない可能性があります。

 定時株主総会直後の取締役会について、会社法上適法な招集権者は、以下のように整理されるでしょう。

「代表取締役」を招集権者として定めている場合

 招集権者である代表取締役は定時株主総会終結の時をもって退任し、株主総会で取締役が選任されることになります。したがって、定時株主総会直後は代表取締役がいない状態となります。

 招集権者である代表取締役が改めて取締役として選任された場合には、その元代表取締役が取締役会の招集権を有し(会社法351条1項)、定時株主総会後の取締役会を招集します。

 他方、元代表取締役が取締役に再任されなかった場合には、定時株主総会で選任された各取締役が招集権を有することになります1

「取締役社長(または会長)」を招集権者として定めている場合・招集権者の定めがない場合

 定時株主総会終結の時をもって取締役の任期が満了するので、株主総会で改めて取締役が選任されることになります。

 招集権者だった従前の取締役社長(会長)が定時株主総会において取締役に選任されたとしても、社長(会長)という役職に就任するか否かは、定時株主総会直後の取締役会において決定されるものなので、定時株主総会直後は招集権者がいない状態となります。

 そのため、定款・取締役会規則の定めにかかわらず、会社法の原則どおり、各取締役が取締役会を招集することになります(会社法366条1項本文)。

実務上の処理

原則 ⇒ 1週間(あるいは定款において短縮した期間)待たなくてはいけない

 上記のように、元代表取締役や各取締役が定時株主総会直後の取締役会の招集権を有するとしても、それは、定時株主総会において取締役に選任された後の話です。

 これらの者が定時株主総会直後に取締役会の招集通知を発したとしても、取締役会を開催するには原則として1週間待たざるを得ません。もっとも、多くの会社では、定款により、3日に短縮されています(会社法368条1項)。

期間を短縮する方法

 そこで、適法な手段として、以下のような処理が考えられます2

出席権者(取締役・監査役・(会計参与))全員の同意を得る

 取締役会に出席する権利を有する者全員の同意があれば、取締役会招集手続を省略することができます(会社法368条2項、376条3項)。

 したがって、新たに選任された出席権者全員が同意すれば、直後に取締役会を開催することができます。

 ただし、この方法の場合、誰か一人でも定時株主総会に欠席していれば(あるいは、その後の取締役会が開催される場所に不在であれば)、その同意を得られないので、実際には難しいかもしれません。

取締役会規則に定めておく

 あらかじめ、定時株主総会直後に取締役会を開催すること、その出席義務があることを取締役会規則に定めておき、新たに選任される予定の取締役らにも告知しておきます。この告知は取締役・監査役への就任を条件(停止条件)として行われるものなので、実際に選任されてから効力が発生します。

 これにより、有効な招集通知があったものと考えられます。

事前の同意を得る

 新たに選任される予定の取締役らから、定時株主総会直後の取締役会開催について、定時株主総会前に同意を得ておく方法です。定時株主総会における選任前である以上、直ちには同意の効力は発生しませんが、就任を条件(停止条件)とすることで、定時株主総会において選任されてから同意の効力が発生することになります。

 取締役候補者らについては、突然候補者として名が挙がるわけではなく、その内諾を得てから株主総会に提案されるのが一般的です。そして、その候補者が定時株主総会に出席できない場合には、あらかじめ、株主総会で選任されることを条件として就任を承諾する旨の就任承諾書を取得することもあります。

 これと同様に、定時株主総会直後の取締役会開催にも同意を得ておくことが実務上も十分可能でしょう。

 この方法だと、定時株主総会、その直後の取締役会に出席できない者がいたとしても、取締役会を開催することができるので、最も現実的なのではないかと思います。


  1. 代表取締役の地位は当然に取締役の地位を前提とするものなので、取締役の資格を失い、取締役の権利義務を有さない者は、代表取締役の権利義務を有するとは考えられません。そのため、会社法351条の適用の前提として、退任代表取締役が取締役であることが必要とされています(落合誠一『会社法コンメンタール8 –機関(2)-』27、28頁〔石山卓磨〕(商事法務、平成21年)、東京地裁昭和45年7月23日判決参照)。 ↩︎

  2. 東京弁護士会会社法部『新・取締役会ガイドライン』45頁以下(商事法務、平成23年)参照 ↩︎

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