内部統制システムを整備するために決める項目は
コーポレート・M&A内部統制システムを整備しようと考えているのですが、どのようなことを決めればいいのでしょうか。
内部統制システムの具体的な内容については、会社法施行規則に詳細が定められています。
機関設計によって求められる内容は違いますが、どの機関設計でも求められるのは、以下の5項目です。
① 取締役(執行役)の職務の執行に係る情報の保存・管理に関する体制
② 損失の危険の管理に関する規程その他の体制
③ 取締役(執行役)の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
④ 使用人の職務の執行が法令・定款に適合することを確保するための体制
⑤ 企業集団における業務の適正を確保するための体制
これとは別に、上場会社は、金融商品取引法上、財務報告が法令等に従って適正に作成されるための体制の構築・運用が義務づけられています(金融商品取引法24条の4の4、財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制に関する内閣府令3条)。
解説
目次
基本項目
上記回答のとおり、内部統制システムの基本となる項目は5つですが、取締役会設置会社か否か、監査役設置会社か否かなどによって、追加で決定しなければならない項目があります。
本稿では項目のみを挙げていますので、各項目について、どのようなことを決めるべきなのかについては、「内部統制システムで決めなければならない具体的内容は」をご覧ください。
取締役会非設置会社の内部統制システム
会社法施行規則の規定
取締役会非設置会社の内部統制システムについては、会社法施行規則98条に定められています。
取締役会設置会社と同様、基本的には大きな項目が5つですが、取締役の人数や監査役設置会社か否かによって、追加項目があります。
取締役会設置会社と異なる点
下記3記載の取締役会設置会社と異なる点は、取締役が2人以上の取締役会非設置会社の場合に業務の決定が適正に行われることを確保するための体制が求められる点です。
取締役会設置会社であれば、取締役が必ず3人以上おり(会社法331条5項)、業務執行の決定を取締役会が行うことから(会社法362条2項1号)、さらに業務の決定が適正に行われることを確保するための体制は必要とされないのに対し、取締役が2人以上いるのに取締役会がない会社については、その業務の決定の適正を、体制の整備によって確保させようとしています。
取締役会設置会社の内部統制システム
取締役会設置会社の内部統制システムについては、会社法施行規則100条に定められています。
基本的には大きな項目が5つですが、監査役設置会社か否かによって、追加項目があります。
監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社の内部統制システム
監査等委員会設置会社の内部統制システムについては会社法施行規則110条の4第2項に、指名委員会等設置会社の内部統制システムについては会社法施行規則112条2項に、それぞれ定められています。
内容は、基本となる5項目のみです。
もっとも、監査等委員会設置会社においては、内部統制システムのほか、内部統制システムと呼ぶかは別として、「監査等委員会の職務の執行のため必要なものとして法務省令で定める事項」を決定しなければなりません(会社法399条の13第2項・1項1号ロ)。指名委員会等設置会社においても、同様に、「監査委員会の職務の執行のため必要なものとして法務省令で定める事項」を決定しなければなりません(会社法416条2項・1項1号ロ)。
そして、この「法務省令で定める事項」は、大会社・監査役設置会社が定める内部統制システムの追加項目とほぼ同内容となっています(会社法施行規則110条の4第1項、112条1項)。

弁護士法人プラム綜合法律事務所
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