株主総会の受付で代理人の審査をどのように行うべきか

コーポレート・M&A

 当社は上場会社です。株主総会の受付において、来場者が、株主の代理人として総会に出席したいと述べています。その者の入場を認めてよいかどうか、どのような方法によって判断すればよいでしょうか。

 来場者が、所定の委任状用紙(会社が株主に送付した委任状用紙)を用いて作成された委任状を提出した場合には、その者を株主の代理人と取り扱うことで問題ありません。また、私製の委任状であっても、別途、議決権行使書面用紙の提出を求める等の方法により、当該委任状の真正を確認できる場合には、株主の代理人と取り扱うことでよいと考えられます。

解説

目次

  1. 代理人による議決権行使の原則
  2. 「代理権を証する書面」とは
  3. 代理人の資格を確認する方法

代理人による議決権行使の原則

 株主は、代理人によってその議決権を行使することができますが、その場合、当該株主または代理人は、代理権を証する書面を会社に提出しなければならないとされています(会社法310条1項)。したがって、株主の代理人と称する者が株主総会の会場受付に来場した場合は、その者から代理権を証する書面の提出を受けて、代理人としての資格を確認する必要があります。

 なお、定款に代理人は株主に限るとの定めがある場合は、その者が株主であるかどうかも併せて確認する必要があります。

代理人による議決権行使の原則

「代理権を証する書面」とは

 ここでいう「代理権を証する書面」とは、株主から議決権行使に関する代理権が授与されたことを証明する書面であり、いわゆる委任状のことです(ただし、法人株主が従業員に議決権行使の代理権を授与する場合の書面は、通常、職務代行通知書と呼ばれます)。

 なお、会社の承諾があれば、代理権を証する書面の提出に代えて、代理権を証する事項を電磁的方法により会社に提供することができるとされています(会社法310条3項)。その場合、会社としては、当該電磁的方法により提供された事項をもって代理人の資格を確認することになります。

代理人の資格を確認する方法

 会社は、株主総会の招集を決定する際に、代理人による議決権行使に関して、代理権や代理人の資格を証明する方法について定めることができます(会社法298条1項5号、会社法施行規則63条5号)。また、あらかじめ定款や株式取扱規則等において、それらの証明方法を定めておくことも問題ないとされています。

 このように、会社があらかじめ代理権や代理人の資格についての証明方法を定めている場合には、その方法にしたがって証明がなされているかどうかを確認することになります。具体的には、以下のような対応が実務上一般的とされています。

① 来場者が会社所定の委任状を提出した場合

 会社が招集通知と同時に委任状の用紙を株主に送付している場合に、来場者がその用紙を用いて作成された委任状を提出した場合には、その者を株主の代理人として扱うことに問題ありません。
 この場合は、株主に送付した委任状の用紙が用いられている以上、真に株主から代理権の授与があったとの事実上の推定が働くからです。

② 来場者が私製の委任状を提出した場合

 それでは、会社が株主に委任状の用紙を送付しておらず、来場者から私製の委任状が提出された場合や、委任状の用紙を送付しているにもかかわらず、それと異なる様式の委任状が提出された場合はどうでしょうか。
 このような場合、上記①の場合のような事実上の推定は働きませんが、当該委任状が真正に作成されたものであることが確認できるのであれば、その者を株主の代理人として認めてよいと考えられます。

 委任状の真正を確認する方法としては、従来、一般的に委任状の印影を株主の届出印と照合するという方法が用いられていましたが、上場会社では、株券電子化に伴い届出印制度が廃止されたため、現在はそのような方法を用いることができません。
 そこで、現在の上場会社の実務では、委任状と併せて議決権行使書用紙を提出することを求め、それによって委任状の真正を確認するという方法が主流となっています。もちろんそれ以外に、印鑑証明書を提出させてその印影と照合するという方法もありますが、当該代理行使が議案の決議結果に影響を及ぼすような特別の場合でない限り、上場会社でそこまで厳密な方法で確認することは多くないようです。

私製委任状の真正についての確認方法の主流

私製委任状の真正についての確認方法の主流

 なお、私製の委任状の場合、その様式や記載の内容が様々ですので、委任状の真正を確認することに加えて、当該株主総会において議決権行使をすることが委任事項の範囲に適切に含まれているかどうかについても確認する必要があります。
 特に、議決権行使の代理権の授与は株主総会ごとにする必要があるため(会社法310条2項)、委任事項としては、「平成○年○月○日開催の株式会社○○○○第○回定時株主総会に出席し、議決権を行使する一切の権限」というように、どの株主総会に関する委任なのかが具体的に特定されている必要があります。

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