株主総会の入場受付時の本人確認はどのように行うべきか

コーポレート・M&A

 当社では、株主総会に出席する株主に対しては、本人確認の必要から、事前に送付済みの議決権行使書用紙を持参するようにお願いしています。ところが、株主総会の入場受付で、女性の(外見をした)来場者から、明らかに男性と思われる名前が記載された議決権行使書用紙が提示されました。この場合、どのように対応すべきでしょうか。

 会社としては、来場者が、会社が事前に送付した議決権行使書用紙を持参していれば、同用紙に記載された株主の氏名から推測される性別が外見上の性別と一致しない場合であっても、特段の事情がない限り、それ以上の確認をすることなく入場を認める扱いとすることで問題ないと考えられます。

解説

目次

  1. 株主総会に出席できる資格
  2. 株主資格の確認方法
    1. 会社が送付した書類を持参した場合
    2. 会社が送付した書類を持参しなかった場合
  3. 議決権行使書用紙の株主の氏名から推測される性別が、来場者の外見上の性別と一致しない場合(本事例の場合)

株主総会に出席できる資格

 株主総会に出席できるのは、議決権を有する株主本人か、またはその代理人に限られます。万が一、株主でない者を株主総会に出席させたり、逆に株主であるにもかかわらず入場を拒否して議決権行使の機会を与えなかったりした場合には、当該株主総会の決議取消しの原因にもなりえますので(会社法831条1項1号)、株主資格の確認は慎重に行う必要があります。

株主資格の確認方法

 上場会社の場合、株主総会の当日は、開始時間の直前の時間帯に多数の株主が集中して来場しますので、会場の受付では、短時間の間に多数の来場者の株主資格の確認を行う必要があります。
 そこで、実務上は、株主資格の確認にあたっては、必ずしも厳密な方法で確認しなければならないことはなく、簡易かつ迅速に大量の来場者について確認を行うために合理的な方法であればよいとされています。具体的には、以下のとおりです。

会社が送付した書類を持参した場合

 来場者が会社から株主に宛てて送付した議決権行使書用紙(または委任状用紙)を持参している場合、その来場者は、当該用紙を送付した株主本人であるとの合理的な推定が働きますので、その事実のみをもって株主資格があると認めるという取扱いが一般的とされています。
 そのため、会社が株主に宛てて送付する議決権行使書用紙(または委任状用紙)には、「株主総会に出席する場合にはこの用紙を持参してください。」等の注意書きを記載しておくことが通例です。

 ただし、来場者が議決権行使書用紙や委任状用紙から出席票を切り離し、出席票のみを持参した場合には、すでに議決権行使書による議決権行使や委任状による代理出席がなされている可能性がありますので、当該株主による出席が重複していないかどうかを確認する意味で、来場者に株主の氏名および住所等を申告させて株主名簿の記載と照合するといった確認作業が別途必要となります。

会社が送付した書類を持参しなかった場合

 来場者が議決権行使書用紙や委任状用紙を一切持参しなかったとしても、それだけで一切出席を認めないという対応には問題があります。この場合には、来場者に株主の氏名および住所等を申告させ、株主名簿の記載と照合することにより、株主確認を行うという対応が最も一般的とされています。その際に、併せて身分証明書の提示を求めることも考えられます。
 なお、受付の係員やその他の総会運営担当者が、来場者と面識があり、株主であることを知っている場合には、わざわざ上記のような確認をすることなしに株主と認めてよいことは言うまでもありません。

一般的な株主資格の確認方法

一般的な株主資格の確認方法

議決権行使書用紙の株主の氏名から推測される性別が、来場者の外見上の性別と一致しない場合(本事例の場合)

 本事例のように、来場者が議決権行使書用紙を持参した場合であっても、議決権行使書用紙に記載された株主の氏名から推測される性別が、来場者の外見上の性別と一致しないように見受けられる場合は、どうすればよいでしょうか。

 この場合、氏名や外見から性別を判断することは必ずしも容易ではないこと、また、昨今では、外見上の性別の不一致を問題にすること自体が問題となりうることから、多くの上場会社では、特にそれ以上の確認をすることなく来場者の入場を認めています。このような取扱いは、簡易かつ迅速に大量の来場者の株主資格を確認する上で十分に合理的な方法と考えられます。

 ただし、来場者に明らかに不審な点がある場合には、受付においてそれ以上の確認を行うことが妨げられるわけではありません。特に、株主提案がなされている場合や、あらかじめ株主総会の妨害行為が予想されているなどの特殊な場合には、議決権行使書用紙の確認を行うだけでなく、必要に応じて本人確認の手続(氏名・住所等の申告や身分証明書の提示等による確認)を実施することを検討すべきと考えられます。

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