社債権者集会の開催・決議や認可の省略を認める令和元年の会社法改正

コーポレート・M&A

 私は会社の発行した社債を保有していますが、社債権者集会が便利になったと聞きました。どのように改善されたのでしょうか。

 改正会社法において、社債権者集会の決議により、社債の元利金を減免できることが規定されました。当該改正により、社債権者全員の同意がなくても、また、法的倒産手続によらなくても、社債の元利金を減免する対応が可能となりました。
 また、同改正においては、社債権者全員の同意がある場合には、社債権者集会決議を省略できることおよび裁判所の認可が不要であることも規定されました。これにより、社債権者全員の同意がある場合には、社債権者集会の開催および裁判所の認可取得のために要する手間・時間・費用を軽減することが可能になりました。

解説

目次

  1. 元利金の減免
  2. 社債権者集会決議および裁判所の認可の省略

※凡例

  • 改正会社法:会社法の一部を改正する法律(令和元年12月11日法律第70号)に基づく改正後の会社法
  • 旧会社法:会社法の一部を改正する法律(令和元年12月11日法律第70号)に基づく改正前の会社法
  • 改正会社法施行規則:会社法施行規則等の一部を改正する省令(令和2年11月27日法務省令第52号)に基づく改正後の会社法施行規則

元利金の減免

 旧会社法においては、解釈として、社債権者集会の決議により社債の元利金を減免できるかについて、同法706条1項1号の「和解」に含まれるとして、これを認める見解が有力でしたが、これを否定する見解もありました。
 今回、会社法706条1項1号が「当該社債の全部についてするその支払の猶予、その債務若しくはその債務の不履行によって生じた責任の免除又は和解」と改正され、これにより、社債の元利金の減免について、全社債権者の同意がないときまたは法的倒産手続によるとき以外の場合(例:私的債務整理の場合)であっても、社債権者集会の決議により可能であることが明らかになりました。

社債権者集会決議および裁判所の認可の省略

 社債権者全員の同意がある場合には、社債権者集会の開催・決議や裁判所の認可取得によって社債権者保護を図る必要はないと考えられますが、旧会社法には、社債権者集会の開催・決議や認可の省略を認める規定はありませんでした。また、会社法の解釈としても、社債権者全員の同意がある場合においても社債権者集会の決議が必要か、さらには、社債権者全員の同意がある場合まで裁判所の認可が必要かについて、これらを必要とする見解がありました。
 今回、会社法改正により、社債発行会社等が社債権者集会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案について社債権者の全員が書面または電磁的記録により同意したときは、当該提案を可決する旨の社債権者集会の決議があったとみなす旨が規定されました(同法735条の2第1項)。また、この場合には、裁判所の認可は不要とされました。

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