外国人従業員を転職で採用する際の在留手続き

人事労務
佐野 誠 株式会社ACROSEED

 人材紹介業を営む当社は、海外展開を図るために即戦力となるベトナム人社員を中途採用しました。彼はすでに日本での在留資格を所持しており、次回の更新は3年後です。次回の更新時まで特に手続きすることなく、このまま雇用を継続しても問題はないのでしょうか。

 外国人従業員を転職で採用する場合には、外国人が所持する在留資格を確認し、外国人に従事してもらいたい職務内容が在留資格に合致するか否かを確認します。職務内容が在留資格に合致しない場合には、在留資格の変更申請を行います。
 在留期限が近い場合には、更新申請を行います。就労資格証明書を取得しておくと、次回の在留資格更新時の手続きが簡便となり便利です。
 外国人が以前の職場を退職してから3か月以上経過している場合には、在留資格取消し制度に基づき、次回更新時に不許可となる可能性があるため、面接時には必ず以前の職場の退職日を確認しておきましょう。

解説

目次

  1. 在留資格の確認
  2. 在留資格の変更が必要なケース
  3. 在留期間の更新が必要なケース
  4. 在留手続きが不要な場合
  5. 在留資格取消し制度

在留資格の確認

 外国人従業員を採用する場合は、まず、本人が所持する在留資格の確認と併せて、変更、更新などの在留手続きが必要かどうかを確認することになります。日本の在留資格制度では、外国人が日本国内で就労できる職務が限定されているため、採用時には、外国人が持つ在留資格が職務内容に合致するかを十分に確認する必要があります。

 特に工場内での反復的な作業や、接客を中心とするサービス業、厨房や簡単な調理など、審査の際にで「単純労働」と判断されやすい職務は変更申請が不許可になる可能性があるだけでなく、そもそも職務内容が在留資格に該当しないため申請そのものが受理されない、といった例も見られます。そのため、このような確認は必ず採用前に行う必要があります。

 仮に採用後に就労可能な在留資格が取得できない場合でも、雇用契約自体は有効です(「外国人従業員の不法就労の回避と判明時の対応」を参照)。退職をめぐりトラブルとなるケースも見られますので注意してください。

在留資格の変更が必要なケース

 すでに日本で働いている外国人であれば、「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格を所持しているケースが大半です。この場合には、自社で行わせようとする職務内容が「技術・人文知識・国際業務」で定める職務に該当するかどうかを確認します。職務内容が合致しない場合には、他の在留資格への変更申請を行う必要があります。同様に「短期滞在」で来日中の外国人や「留学」で滞在中の外国人留学生を新卒採用した場合にも、「技術・人文知識・国際業務」などへの変更申請が必要となります。

 なお、変更申請には、原則として雇用契約書や採用内定通知書の提出が求められるため、採用決定後でなければ申請ができません。前もってある程度の許可基準を調べておき、許可取得の見込みが高いことを確認したうえで採用決定を出すことが実務上のポイントとなります。

 現在所持する在留資格が就労できないものである場合には、変更申請を行っている最中であっても就労させることはできません。「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格を取得し、「就労可能」と記載された在留カードを所持してから就労することになります。

在留期間の更新が必要なケース

 職務内容が一致する場合でも所持する在留資格の在留期限が近い場合には、更新申請を行います。通常、出入国在留管理庁では在留期限の切れる3か月前から更新の申請を受け付けています。採用した外国人社員の在留期限を確認して、3か月以内に期限が切れる場合には、すぐに手続きが必要となります。

 この場合、ITエンジニアなど職務内容が大きく変わることがない職種などに多く見られますが、前職で在留資格を取得した際の職務内容と今回の申請における職務内容がほぼ同じ場合には、審査は比較的スムーズに進んでいきます。しかし、前職で「翻訳・通訳」で在留資格を取得していた外国人が、「営業」などの異なる職務内容で申請する場合には、実質的に新たな在留資格の取得と同様の審査となります。このような場合には、十分に注意して申請に臨むことが求められます。

在留手続きが不要な場合

 資格変更が不要な場合とは、就労可能な在留資格をすでに取得している外国人を転職で採用し、さらに在留期間が3か月以上残っている場合です。原則としてこの場合には、次回の在留期限が切れる日までは、一切申請をする必要はありません。ただし、これは外国人本人が所持する在留資格が自社での職務内容に合致しており、在留資格更新が許可されることを前提としています。

 このような場合に活用していただきたいのが就労資格証明書の取得です。これは、新たな職場で外国人を雇用した場合、次回の在留資格更新が許可されるかどうかを予め入国管理局で審査してもらう制度です。一度、この就労資格証明書を取得しておけば、次回の在留資格更新時には簡易な手続きで在留資格更新が終了します。この就労資格証明書の申請は義務ではありません。あくまでも任意であり、取得するかどうかは雇用企業の判断次第です。

 就労資格証明書は単に将来の更新申請の可否を知らせるだけでなく、3年後の更新申請時に提出することで、入国管理局では基本的な審査は終了しているものとして扱われますので、比較的簡易かつスムーズに審査が行われます。取得することにデメリットはないため、中途採用の場合には就労資格証明書を取得しておくことをおすすめします。

在留資格取消し制度

 在留資格の変更が不要な場合の注意点として、在留資格取消し制度があります。これは3か月以上にわたり在留資格で定められた活動を行っていない場合、入国管理局がその外国人に与えた在留資格を取り消す制度です(出入国管理及び難民認定法22条の4)。

 すでに就労可能な在留資格を所持する外国人が、以前の職場を辞めてから3か月以上経過している場合には、次回の在留期間更新時に不許可となる可能性が生じます面接時には退職した日付をチェックするとともに、在留資格取消し制度に該当する人物の採用を検討する場合は、事前に入国管理局に相談するなどの手段を講じることが重要です

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