軽減税率とは

税務
武田 守 武田公認会計士事務所

 軽減税率とはどのような制度でしょうか。

 消費税の軽減税率とは、ある一定の商品の売買等を行う場合に、原則的に適用される消費税の税率ではなく、それよりも低い税率(軽減税率)を適用して、商品の購入者が負担する消費税を軽減させるという制度です。たとえば、原則的な消費税率が10%である商品A、軽減税率が8%である商品Bがあったとします。ここで、100円の商品Aを購入したときは、原則どおり10%(税込110円)の消費税が課されることになります。一方、100円の商品Bを購入したときは、8%(税込108円)となり、商品Bでは消費税が2円(2%)分軽減されるということになります。

解説

目次

  1. なぜこのような制度が必要なのか
  2. どんなしくみになっているのか
  3. いつからはじまるのか

なぜこのような制度が必要なのか

 消費税は、基本的に商品を売買するときに発生する税金です。そのため、所得の金額が多い人でも少ない人でも関係なく、同じ商品を同じ値段で購入した場合には、誰もが一律に同額の消費税を負担することになります。ここで、もし消費税の税率が上がった場合には、経済的弱者などの低所得者層に対してもそのまま変更後の高い消費税が課されることになり、個人の生活基盤が揺らぎ、健全な生活ができなくなる可能性があります。税金の重要な機能のひとつとして所得の再分配があり、高所得者層に対しては多くの税金を、低所得者層に対しては少ない税金を課すというのが基本です。しかし、消費税の場合は高所得者にも低所得者にも一律の税率となるため、低所得者層に税負担が大きくなるという「逆進性」といわれる現象が起こってしまいます。

 逆進性とは、たとえば消費税率が一律に上がると、低所得者ほど収入に対する生活必需品の購入費用の割合が高くなるため、高所得者よりも収入に対する税金の負担割合が高くなってしまうことをいいます。 そこで、このような低所得者層などの消費税の負担の増加を少しでも抑えるために、生活必需品を対象とした軽減税率を設ける必要があります。

どんなしくみになっているのか

 軽減税率は8%であるため、消費税の原則的な税率が10%に変更になったとしても、軽減税率の対象となる商品等は、従来の消費税率8%がそのまま据え置かれるということになります。同じ店の中に、消費税率が10%の商品もあれば、一方で軽減税率8%の商品が陳列されているということが起こりえます。

いつからはじまるのか

 2019年10月1日よりスタートします。つまり、消費税率も同年の10月1日より8%から10%へ変更になりますので、税率の変更と同時に実施されます。

 消費税の軽減税率は、日常的に複数の消費税率が併存する制度であり、諸外国では欧州を中心にすでに採用されていますが、日本では初めて導入される制度となります。

©武田守 本記事は、武田守監修「事業者必携 消費税率10%引き上げに対応!
入門図解 会社の税金【法人税・消費税】しくみと手続き」(三修社、2019年)の内容を転載したものです。
事業者必携 消費税率10%引き上げに対応! 入門図解 会社の税金【法人税・消費税】しくみと手続き

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