税額控除とはどのような制度か

税務
武田 守 武田公認会計士事務所

 税額控除とはどのような制度でしょうか。

 納付すべき法人税を計算する際に、法人税の課税所得金額に税率を掛けた法人税額から直接控除するものを税額控除といいます。税額控除には、二重課税を排除する目的から設けられているものや、雇用促進等特定の政策目的から設けられているものがあります。

解説

目次

  1. 所得税額控除の対象となるものとは
  2. 外国税額控除とは
  3. 租税特別措置法による税額控除

所得税額控除の対象となるものとは

 法人が支払いを受ける利子等や配当等について、所得税法の規定により源泉徴収された所得税額は、法人税の前払いとして、法人税額から控除することができます。これを所得税額控除といいます。

税額控除の種類

税額控除の種類

 なお、預貯金の利子、公社債の利子、合同運用信託の収益の分配等にかかる所得税額は、元本の所有期間に応じて利子や分配金が決まるため、全額控除の対象になりますが、剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、投資信託の収益の分配にかかる所得税額は、全額控除対象とはならず、その所得税額のうち元本を所有していた期間に対応する部分の金額だけ控除することができます。ただし、特定目的信託の社債的受益権の収益の分配、公社債等運用投資信託の収益の分配、公社債投資信託の収益の分配にかかる所得税額は全額控除することができます。



所得税額控除

所得税額控除

外国税額控除とは

 日本の法人税法は、内国法人(国内に本店又は主たる事務所をもつ法人)については、その所得の生じた場所が国内であるか国外であるかを問わず、すべての所得の合計額に課税することとしています。

 一方、その所得が生じた場所が国外である場合には、外国でも課税を受けているのが一般的です。そのため、所得の生じた場所が国外である所得については、日本と外国の双方で課税されますので、国際的な二重課税という問題が生じます。このような国際間における二重課税を排除する目的で、外国税額控除が設けられているのです。

 控除できる外国税額には、限度額が設けられています。負担した外国税額のうち、この控除限度額までを、納付すべき法人税から控除できるわけです。なお、税率が一定水準を超えて高率である場合は、その水準を超えている部分については、外国税額控除の対象から除外されます。高率かどうかの目安は35%を超えているかどうかで判定します。

 控除限度額は、控除前の法人税額を基礎に計算します。まず、当期の所得金額のうち国外所得金額の占める割合を算出し、この割合を法人税額に掛けたものが控除限度額です。国外所得金額は、実際には外国で課税されていない所得があれば除外します。つまり、国外所得金額の割合が少なくなるため、控除限度額も少なくなるということです。

 この限度額を超えない範囲内で、外国税額控除が適用されます。

外国税額控除(控除の対象となる外国法人税額)

外国税額控除(控除の対象となる外国法人税額)

租税特別措置法による税額控除

 この他、その時々の投資促進や雇用促進など政策目的のため、租税特別措置法で臨時的に税額控除を設けることがあります。税額控除は、直接納めるべき法人税額から控除できるものですから非常に有利な規定です。税制改正の際には、改正項目の中に税額控除の内容が盛り込まれているかどうか確認しておくことが大切です。

 おもに以下のような税額控除を受けることができる制度があります。

  • 試験研究費の特別控除
  • 経営改善設備の特別控除
  • 雇用者の数が増加した場合の特別控除
  • 復興産業集積区域等において機械等を取得した場合の税額控除
  • 中小企業経営強化税制
  • 中小企業投資促進税制
  • 国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別控除など
©武田守 本記事は、武田守監修「事業者必携 消費税率10%引き上げに対応! 入門図解 会社の税金【法人税・消費税】しくみと手続き」(三修社、2019年)の内容を転載したものです。
事業者必携 消費税率10%引き上げに対応! 入門図解 会社の税金【法人税・消費税】しくみと手続き

この実務Q&Aを見ている人はこちらも見ています

無料会員登録で
リサーチ業務を効率化

1分で登録完了

無料で会員登録する