SEO対策にかかる広告主及び事業者の留意点とは

知的財産権・エンタメ
松尾 剛行弁護士 桃尾・松尾・難波法律事務所

 SEOについては、何に留意すべきですか?

 SEOについては、広告主の協力義務、報酬等の契約条件の設定等が問題となります。なお、検索エンジンの規約を遵守することが前提です。

解説

 SEOはSearch Engine Optimizationの略であり、検索エンジンにおける表示の最適化を意味する。SEOには、サイトの質を上げることで求めるユーザに届きやすくするものから、検索エンジンの「裏をかく」方法まで様々なものがあるところ、検索エンジンと「いたちごっこ」をするような方法をとって検索エンジンの規約に違反した場合には、いわゆるGoogle八分(Googleの検索結果から、表示されないこと)になるリスクがあることに留意が必要である。

 SEOについては既にいくつかの裁判例が存在するが、重要なのは、広告主側の協力義務である。すなわち、SEO業務の一部は、広告業者のノウハウで行うことができるものの、業務の内容等の広告主の協力も必要である。東京地判平成29.4 .27(平27(ワ)28193)(東京高判平成29.10.10(平29(ネ)2484)が是認)は、SEO業者が既に一定の準備等の活動を行っていたにもかかわらず、広告主が必要な情報等を提供しなかったため具体的な案件の紹介に結びつく営業活動まで進めることができず、十分な成果を上げることができなかった場合、広告主はSEO業者に対し、既払金の返還を求めることはできないとした。

 また、SEO業者自身が不正を行うことはともかく、ユーザが一定程度不適切な行為をすることは(SEO業者と広告主との関係では)止むを得ないと解された裁判例(東京地判平成30.1 .22(平28(ワ)12246))にも注目が必要である。この事案においては、アプリのダウンロード数を増やすための施策としてポイントを配布したところ、同一ユーザが複数回ポイントを獲得していた。東京地裁は、SEO契約上、リワードを目的とするユーザが機械的にIPアドレスを変更するなどして、二重、三重にポイントの獲得を目的とする行為まで明確に排除されているとはいえず、そのような意味での機械的操作自体は許容されているものと解さざるを得ないとした。もちろん、合理的な不正対応をすべきではあるが、ユーザの中に一定数不正を行う者が含まれることはやむを得ない部分がある。ただし、予防法務としてはそのような不正の可能性をしっかり説明しておくべきであったと思われる。

 その他SEO契約の錯誤無効が否定されたもの(東京地判平成28.2 .10(平26(ワ)13657・平27(ワ)14897))や珍しいものとしては、SEOに関する返金を認める調停に代わる決定がある(津地四日市支決平成29.6 .19(判例集未搭載))。なお、東京地判平成24.1.30(判例集未搭載)等の他の裁判例にも留意が必要である。

©松尾剛行 本記事は、松尾剛行著「広告法律相談125問」(日本加除出版、2019年)の内容を転載したものです。
広告法律相談125問
  • 参考文献
  • 広告法律相談125問
  • 著者:松尾剛行
  • 定価:本体 2,700円+税
  • 出版社:日本加除出版
  • 発売年月:2019年7月

この実務Q&Aを見ている人はこちらも見ています

無料会員登録で
リサーチ業務を効率化

1分で登録完了

無料で会員登録する