ネイティブアドの広告形式と実施時の注意点
知的財産権・エンタメネイティブアドとは何ですか?
デザイン、内容、フォーマットが、媒体社が編集する記事・コンテンツの形式や提供するサービスの機能と同様でそれらと一体化しており、ユーザの情報利用体験を妨げない広告と定義されています。
解説
最近では、ネイティブアドと言われる広告が注目される。JIIAのJIAA ネイティブアド研究会の「ネイティブ広告の定義と用語解説」(http://www.jiaa.org/download/150318_nativead_words.pdf)によればネイティブ広告は、デザイン、内容、フォーマットが、媒体社が編集する記事・コンテンツの形式や提供するサービスの機能と同様でそれらと一体化しており、ユーザの情報利用体験を妨げない広告と定義されている。
主に、インフィールド広告、レコメンドウィジェット、タイアップ等がある。
インフィールド広告は、ネイティブ広告の一種で、記事・コンテンツと一体感のあるデザイン、フォーマットで設置された誘導枠を指す。媒体内誘導型は、媒体社が提供する記事・コンテンツと一体感のあるデザイン、フォーマットで誘導枠を設置し、媒体社が制作したコンテンツ(例:タイアップ広告等)へ誘導する形式を指す。外部コンテンツ誘導型は、媒体社もしくはプラットフォーマーが提供する記事・コンテンツと一体感のあるデザイン、フォーマットで誘導枠を設置し、媒体社・プラットフォーマー内とは別に設置される外部コンテンツ(例:ランディングページ等)へ誘導する形式を指す。フィード内表示型は、媒体社もしくはプラットフォーマーが提供する記事・コンテンツと一体感のあるデザイン、フォーマットの枠内にコンテンツ(例:動画コンテンツ等)を表示する形式を指す(「ネイティブ広告の定義と用語解説」)。
レコメンドウィジェットはネイティブ広告の一種で、媒体社もしくはプラットフォーマーが提供する記事・コンテンツページ内に「レコメンド枠」(例: “関連コンテンツ”や “recommended by” 等)として表示される誘導枠を指す。レコメンド枠内では、広告と編集記事がレコメンドコンテンツとして同等に扱われる場合もある。
タイアップ広告は媒体社が広告を記事調に制作編集する広告コンテンツを指す。スポンサードコンテンツはコンテンツそのものは媒体社の編集側で制作し、そのコンテンツ及びそれらが掲載されているページなどへ広告主がスポンサードするものである(「ネイティブ広告の定義と用語解説」)。この2つは類似しているが、タイアップは、記事調に広告が作られているのに対し、「スポンサードコンテンツ」はそれ自体は広告ではない。
これらの広告手法が組み合われることも多く、その場合には、例えば、媒体内誘導型インフィールド広告で誘導した先が、タイアップ広告である(インフィールド広告とタイアップ広告の組み合わせ)等という形となる。
このようなネイティブ広告は、確かに、自然にコンテンツの中に溶け込むので、ユーザに広告を見てもらいやすくなる反面、広告だと思わずにクリックしてしまった場合等、ユーザの不信感を招くおそれにも留意が必要である。
ここで、ネイティブ広告に関する推奨規定広告表記・広告主体者の明示、広告審査に関する規定整理(http://www.jiaa.org/download/JIAA_nativead_rule.pdf)は、基本的には、広告である以上、広告であることを表記し、広告主体を明示し、広告の審査を行うべきという考えから、個別の類型に応じた注意点、例えばタイアップなら媒体社と広告主体者の関係がわかるよう両者の名称を明示する等の規定があることから、ネイティブ広告を行う場合には、このようなガイドラインに留意が必要である。

- 参考文献
- 広告法律相談125問
- 著者:松尾剛行
- 定価:本体 2,700円+税
- 出版社:日本加除出版
- 発売年月:2019年7月

桃尾・松尾・難波法律事務所