法人税とはどんな税金なのか
税務法人税とはどのような税金なのでしょうか。
法人税とは、株式会社などの法人が事業年度(通常は1年間)において稼いだ利益(所得)に対して課税される国税です。つまり、法人の利益(所得)を基準として法人に課される税金であり、広い意味での所得税の一種です。 個人の所得に対して課される税金を所得税といい、法人の利益(所得)に対して課される税金を法人税というわけです。
解説
会社の利益にかかる税金が法人税である
法人とは、個人以外で、法律で人格を与えられた存在です。法律が定める範囲内で1人の人間のように扱われ、会社名で契約をしたり、預金や借入れができるように、権利・義務の主体となることができます。
法人税法上の法人は大きく分けると、内国法人(日本に本店等がある法人)と外国法人(外国に本店等がある法人)に分けられます。内国法人は、公共法人、公益法人等、協同組合等、人格のない社団等、普通法人の5つに分類されます。外国法人は、普通法人、人格のない社団等の2つに分類されます。株式会社や合同会社は普通法人に分類されます。
ここで、内国法人における、法人税法上の各種法人について説明しておきましょう。
- 公共法人
法人税法別表第一第1号に掲げる法人をいいます。地方公共団体、日本放送協会などが該当します。 - 公益法人等
法人税法別表第二第1号に掲げる法人をいいます。宗教法人、学校法人などが該当します。 - 協同組合等
法人税法別表第三に掲げる法人をいいます。農業協同組合、信用金庫などが該当します。 - 人格のない社団等
法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいいます。PTA、同窓会などが該当します。 - 普通法人
上記①から④以外の法人をいいます。株式会社、医療法人などが該当します。
「利益」も「所得」も内容的には同じ
法人税は、所得税や消費税と同様に国に納める税金(国税)で、株式会社など会社の「利益」にかかる税金です。
法人の利益とは、個人でいう所得税法上の「所得」にあたります。
法人税法上の法人
「利益」は収益から費用を差し引いて求めます。所得税法上の「所得」も収入金額から必要経費を差し引いて求めますので、「利益」も所得税法上の「所得」も内容的には同じです。法人税も基本的には会社の「利益」に対して課税されますが、正しくは、この「利益」に一定の法人税法上の調整を加えて、法人税の課税対象となる「所得」を求め、この「所得」に法人税が課税されることになっています。詳細については「法人税の所得はどのように計算するのか」で説明することとし、ここでは、法人税は「利益」に対して課税されるということにしておきます。
したがって、欠損会社(赤字会社)には法人税はかかりません。
ただし、消費税と法人住民税は欠損会社であっても課税されます。消費税は法人の所得とは無関係の税金ですので、消費税の計算方法に従って算出した税額を納税しなければなりません。
一方、法人住民税については、欠損会社であっても、均等割といわれる定額部分が課税されます。これは、社会への参加費用のようなものです。定額部分は、資本金と従業員数によって金額が違います。東京都の場合、資本金1000万円以下で従業員が50人以下の法人の定額部分は年間7万円となっています。これらの地方税は法人税を課税のベースにするためです。
なお、事業税については資本金1億円以下の法人で法人の所得を課税標準とする欠損会社は、同様に課税されません。
また、法人は、その種類によって、a 納税義務の有無、b 課税対象となる所得の範囲、c 課税時の税率が異なります。内国法人・外国法人に共通する内容でくくると、以下のようになります。前掲の図を参照しながら理解してください。
- 公共法人の場合は、納税義務がありません。
- 公益法人等の場合は、所得のうち収益事業からなる所得に対してのみ法人税がかかります。さらに、低税率での課税となります。
- 協同組合等は、すべての所得に対して共同組合等に適用される税率で法人税がかかります。さらに、低税率での課税となります。
- 人格のない社団等は、所得のうち収益事業からなる所得に対してのみ法人税がかかります。
- 普通法人の場合は、すべての所得に対して普通税率での課税となります。
法人税は会社が申告書を提出して納める
法人税は、納税義務者である法人が自ら計算を行い、申告と納税を行います。
法人は、株式会社の場合、企業会計原則等の会計基準に基づいて決算を行い、貸借対照表や損益計算書などの決算書を作成して、株主総会において承認を受けます。この損益計算書に記載されている当期利益をもとに、法人税の課税対象となる利益(所得金額)と法人税額を計算して、法人税の申告書等を作成します。法人税の申告書の提出期限は、事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。納税も事業年度終了の日の翌日から2か月以内に行います。
申告期限

- 参考文献
- 事業者必携 消費税率10%引き上げに対応! 入門図解 会社の税金【法人税・消費税】しくみと手続き
- 監修:武田 守
- 定価:本体 1,900円+税
- 出版社:三修社
- 発売年月:2019年5月

武田公認会計士事務所