インドの独禁法はどのような規制か

国際取引・海外進出

 インドにおいても独禁法のようなものがあると聞いていますが、どのような内容の法律でしょうか。カルテルや抱き合わせ販売のようなものを規制していますでしょうか。また、実際の取締りは活発でしょうか。

 インドにおいては、日本の独禁法に相当するものとして、競争法(Competition Act, 2002)があります。反競争的協定の禁止、支配的地位の濫用の禁止 、企業結合規制を柱としており、基本設計はEU競争法にならっていると言われています。

 カルテルはもちろん抱き合わせ販売のようなケースも違法とされる場合があります。取締りは活発であり、多額の課徴金が課された事例もあります。

解説

目次

  1. インドの競争法の概要
  2. 主要な規制
    1. 反競争的協定の禁止
    2. 支配的地位の濫用の禁止
    3. 企業結合規制
  3. 取締りの状況

インドの競争法の概要

 インドにおいては、日本の独禁法に相当するものとして、競争法(Competition Act, 2002)が制定されています。反競争的協定の禁止、支配的地位の濫用の禁止 、企業結合規制を柱としており、基本設計はEU競争法にならっていると言われています。同法は、段階的施行を経て、2011年6月に全面的に施行されました。

 競争法に基づいて、インド競争委員会(Competition Commission of India)が設立されており、反競争的行為に対する調査や制裁の決定を行っています。

 インド競争委員会は、日本の独占禁止法における公正取引委員会に近い役割を担っていると考えてよいでしょう。

主要な規制

反競争的協定の禁止

 競争法では、事業者が、インド国内における競争に相当の悪影響(appreciable adverse effect)を及ぼすかまたはそのおそれがある協定を、物品の生産、供給、流通、保管、取得もしくは管理またはサービスの提供に関して締結することはできないとされています。

 典型的には、カルテル入札談合が禁止されています。抱き合わせ販売がこれに該当する場合もあります。

支配的地位の濫用の禁止

 市場において支配的地位を有する事業者が、その支配的地位を濫用することが禁止されています。

企業結合規制

 インド国内の関連市場における競争に対して相当の悪影響を及ぼすかまたはそのおそれがある企業結合に参加することはできません。

 一定の要件に該当する企業結合を行おうとする事業者は、当該企業結合の詳細についてインド競争委員会に対して事前に届出をしなければならず、インド競争委員会の承認を得ない限り、かかる取引を行うことはできません。

取締りの状況

 インド競争委員会による取締りは、活発であると言ってよいでしょう。

 セメント製造業者のカルテル事件では、インド競争委員会は、セメント製造業者の業界団体及び複数のセメント製造業者に対し、カルテル等の行為があったとして、排除措置命令のほか総額約630億ルピーという高額の制裁金を課しました。

 また、自動車製造業者14社による参入妨害事件においては、インド競争委員会は、日系企業を含む自動車製造業者14社 に対し、2002年競争法3条(反競争的協定の禁止)及び4条(支配的地位の濫用)に違反する行為があったとして、排除措置命令のほか総額約254億ルピーという高額の制裁金を課しました。

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