インドでの会社設立時に制約を受ける外資規制とは
国際取引・海外進出インドの会社の株式を取得する場合の外資規制について教えてください。政府の事前の承認がないと投資できないといった規制はあるでしょうか。また、必ずインド資本との合弁会社としなければならないといった規制はあるでしょうか。
日本の会社が、インドにおいて新規に会社を設立して新株の発行を受けたり、既存株式の譲渡を受けたりする場合には、事業分野によっては、外資規制による制約を受けます。
もっとも、インドではほとんどの事業分野において外資による自由な投資が許されています。例外的に、一部の事業分野においては、政府機関の事前の承認が必要であることもあります。
また、外資の株式保有比率に上限が設定されていることもあり、そのような事業分野の会社への投資においてはインド資本の参加が必要となるため、その限度でインド資本との合弁会社にならざるを得ない場合があります。
解説
外国直接投資規制(FDIポリシー)とは
日本の会社が、インドにおいて新規に会社を設立して新株の発行を受けたり、既存株式の譲渡を受けたりする場合(外国直接投資)には、事業分野によっては、外資規制による制約を受けます。
インドにおける外国直接投資は、「統合版外国直接投資方針(Consolidated FDI Policy)」(以下「FDIポリシー」といいます)と呼ばれる政府通達により規律されています。FDIポリシーは毎年の更新が予定されています。
FDIポリシー上、インドへの外国直接投資については、個別に外国直接投資が規制されている事業分野を除いて、政府の事前の承認なくして最大100%まで外国直接投資を行うことができる旨が規定されています。
外国直接投資が例外的に禁止されている業種
例外的に、外国直接投資が禁止されている業種の例としては、不動産事業、原子力事業などがあります。また、複数ブランド小売事業、既存の製薬会社に対する投資などは政府の事前承認が必要です。
さらに、インド政府が個別に外国直接投資の出資比率に上限を設けたり、上限を超える投資について政府の事前承認が必要とされている場合もあります。このような業種の例としては、保険事業(26%までは承認不要。26%超49%までは承認必要。)や単独ブランド小売事業(49%までは承認不要。49%を超える場合は承認必要。)などが挙げられます。
外資の出資比率について上限が定められている事業分野の会社への投資においては、インド資本の参加が必要となるため、その限度でインド資本との合弁会社にならざるを得ない場合があります。
出資比率以外にも外国直接投資にあたって遵守すべき種々の条件が定められている場合もありますので、投資を予定している事業分野に基づいて個別に検討を行う必要があります。

アンダーソン・毛利・友常 法律事務所 外国法共同事業
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