外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)に関する用語の意味と判定方法

税務
八重樫 巧 辻・本郷 税理士法人

 外国にある子会社の所得を日本の親会社の所得に合算して課税する制度があるそうですが、制度の概要を教えてください。

 外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)とは、外国子会社を利用した租税回避を抑制するために、外国子会社等の実質的活動のない事業から得られる一定の条件に該当する外国子会社の所得を、日本親会社の所得とみなして合算し、日本で課税する制度です。

 ただし、外国子会社等の租税負担割合が一定の割合の場合には、本税制の適用が免除されます。

解説

目次

  1. 外国子会社合算税制の仕組みと用語
  2. 合算課税の判定方法
  3. 特定外国関係会社

外国子会社合算税制の仕組みと用語

 外国子会社合算税制の仕組みを図解すると次のようになります。

外国子会社合算税制の仕組み

 上記図中にある、用語の意味は次のとおりとなります。

  • 居住者:国内に住所を有し、または現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人(租税特別措置法2条1項1の2号、所得税法2条3号)
  • 内国法人:国内に本店または主たる事務所を有する法人(租税特別措置法2条2号、所得税法2条6号)
  • 外国関係会社:居住者・内国法人等が合計で50%超を直接および間接的に保有または実質的に支配している法人(租税特別措置法66条の6第2項1号)

 外国子会社合算税制とは、外国子会社を利用した租税回避を抑制するために、一定の条件に該当する外国子会社の所得を、日本の親会社の所得とみなして合算し、日本で課税する制度です。

合算課税の判定方法

 外国関係会社がその所在する外国において真に実体を持った経済活動を行っているかどうかによって、日本の親会社の租税回避行為にあたるかどうかを判断し、その所得を日本の親会社の所得に合算するかどうかを判定します。

 その判定基準として、次の4つの経済活動基準が掲げられています(租税特別措置法66条の6第2項3号)。

  • A 事業基準:その外国関係会社が行っている事業が株式の保有、工業所有権等の提供または船舶・航空機の貸付けを主たる事業とするものでないこと(ただし、株式の保有を主たる事業とする一定の統括会社、裸用船契約でない船舶・航空機の貸付けは除かれています)
  • B 実体基準:本店所在地国に主たる事業に必要な事務所、店舗、工場等の固定的施設を有すること
  • C 管理支配基準:本店所在地国において主たる事業の管理、支配および運営を自ら行っていること
  • D 非関連者基準および所在地国基準:
    1. 非関連者基準:卸売、銀行、信託、金融商品取引、保険、水運、航空運送のいずれかの事業を主として関連者(50%超出資会社等)以外の者と行っていること
    2. 所在地国基準:上記の①の対象業種以外のいずれかの事業を主として本店所在地国で行っていること

 4つの基準のいずれかを満たさない外国関係会社を対象外国関係会社といい、租税負担割合、つまりその実際負担税率が20%未満であれば、会社単位の合算課税が行われます(租税特別措置法66条の6第5項2号)。

 4つの基準のすべてを満たす場合で、その外国関係会社の租税負担割合、つまりその実際負担税率が20%未満であれば、会社単位の合算ではなく、受動的所得のみの合算課税が行われます(租税特別措置法66条の6第6項)。

 したがって、本店所在地国での租税負担の割合が20%以上であれば合算課税は行われません。

 受動的所得とは一定の資産性の所得のことを指し、保有割合10%未満の株式の配当所得や譲渡にかかる所得、債券償還差益、債券譲渡所得、工業所有権等の使用量に係る所得等のことをいいます(租税特別措置法66条の6第6項1号〜11号)。

特定外国関係会社

 会社単位の合算課税に該当するか否かの判断基準として、経済活動基準によって判定する以外に、特定外国関係会社の基準があり、該当する場合は会社単位での合算課税の対象となります。上記の図では「ペーパーカンパニー/事実上のキャッシュボックス/ブラックリスト国所在のもの」とされているものです。それぞれの意味は下記のとおりとなります(租税特別措置法66条の6第2項2号)。

  • ペーパーカンパニー:活動の実体がない外国関係会社 経済活動基準のB 実体基準、C 管理支配基準に該当することを明らかにする書類の提出を税務当局から求められた場合にその書類等の提出がない場合は実体基準、管理支配基準に該当しないもの、すなわちペーパーカンパニーと推定されます。
  • 事実上のキャッシュボックス:総資産の額に対する一定の受動的所得の割合が30%を超える外国関係会社
  • ブラックリスト国所在のもの:情報交換に関する国際的な取組みへの協力が著しく不十分な国等に所在する外国関係会社

 ただし、この類型に該当する場合であっても、租税負担割合が30%以上である場合には合算課税の適用除外とされています(租税特別措置法66条の6第5項1号)。日本の法人税率が約30%なので租税負担割合が30%以上の外国に子会社を置くことは通常あり得ません。

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