セクシュアル・マイノリティである社員に対する相談窓口の設置方法

人事労務
寺原 真希子弁護士 弁護士法人東京表参道法律事務所

 セクシュアル・マイノリティである社員にとって働きやすい職場づくりのために、個別的な相談に対応する窓口を設けたいと思っています。どのように進めればよいでしょうか。

 まず、相談担当社員にしっかりと研修を行い、守秘義務の遵守を徹底させることが必要です。そのうえで、相談窓口を設けたことを周知することになります。守秘義務を負担する外部の支援団体や法律事務所に相談担当業務を委嘱することも一考に値するでしょう。

解説

目次

  1. 相談窓口の意義
  2. 相談窓口の実際の運用方法
  3. 相談窓口担当社員の研修
  4. 外部機関の利用

相談窓口の意義

 セクシュアル・マイノリティに対して必ずしも十分な理解があるとは限らない職場環境で就業することにより、社員がメンタルヘルスの問題を抱えていることがあると思われます。また、そこまでの状況にない社員においても、会社側の対応や職場環境について不安や不満を有していることも考えられます。

 こうした社員らの意向確認、職場環境の改善および各社員の権利擁護という見地からは、会社においてセクシュアル・マイノリティである社員のための相談窓口を設けることが、積極的に検討されるべきでしょう。このような相談窓口を設けること自体が、セクシュアル・マイノリティに対する会社の姿勢を示すこととなり、セクシュアル・マイノリティである社員らに対しての間接的なサポートとなる効果も期待できます。

相談窓口の実際の運用方法

 相談窓口における実際の相談業務については、直接面談する方法もあり得るでしょうが、そのような相談方法に抵抗を感じる社員もいると思われるので、たとえば個人の携帯電話からの受電や、フリーメールといった匿名の形式による相談受け付けも検討するとよいでしょう。

 また、いうまでもなく、社員側に周知がなされなければ利用されることもありませんから、社内の掲示板やイントラネットその他のツールを用いて周知することになります。

相談窓口担当社員の研修

 せっかく相談窓口を設けてみても、相談担当社員の不適切な発言によって相談者である社員を傷つけてしまったり、相談の目的をまったく達成できないような対応しかできなかったりすると、逆効果ともなりえます。また、相談担当社員が相談をした社員の性的指向や性自認に関する悩みを不用意に口外したりすれば、情報流出という最悪の事態ともなりかねません。

 したがって、相談を担当する社員については、セクシュアル・マイノリティの基礎知識や取り扱う情報の機密性に関して十分な研修を実施することが必要です。その中では、特に個人情報にあたる特定の社員の性的指向や性自認について、社内外を問わず絶対に口外しないこと(上司への報告においても匿名を用いる等すること)、また、具体的な情報の記載された文書を机上に放置したり社外に持ち出したりしないことを徹底させることが肝要です。

外部機関の利用

 社内に相談窓口を設けることは大変に意義があることですが、社内において自らの性的指向や性自認についてカミングアウトしていない社員にとっては、社内の誰かに対して悩みを吐露することは難しいことが少なくないと思われます。この見地からは、守秘義務を負担する外部の支援団体や法律事務所への相談担当業務の委嘱も検討するとよいでしょう。

ケーススタディ 職場のLGBT 場面で学ぶ正しい理解と適切な対応

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