中堅・中小・ベンチャー企業の成長支援を通して日本のミライをつくりたい 税の知恵で高付加価値経営を実現させる次世代型の税理士集団 税理士法人アイユーコンサルティング

ベンチャー

目次

  1. コロナ禍で明暗が分かれる「動ける企業」「動けない企業」
  2. 原点は、企業ビジネスを一気通貫でサポートしたいという想い
  3. 高付加価値サービスの創造と提供
  4. 弁護士とタッグを組み、「士業はサービス業」を体現する
  5. 税務・財務から裾野を広げた多彩なサービスへ

「経営者が本来の仕事に集中できるよう税務面でサポートを提供する専門家」。税理士に対して、そのようなイメージを持つ人は多いかもしれない。しかし、先行きの見えない経済情勢の中、企業の高付加価値経営実現のため、従来の「枠」を打ち破る多彩なサポートで、中堅・中小・ベンチャー企業の成長支援を積極的に行う新しいタイプの税理士たちがいる。

「アフターコロナを見据えて、今、中小企業やスタートアップが体力をつけなければ、日本の未来は危うい」と語るアイユーコンサルティングの代表社員税理士岩永 悠氏と代表社員税理士出川 裕基氏に、税理士が企業経営に果たすべき新しい役割と、コロナ禍での成長に役立つ税理士知見の活用方法などを聞いた。

コロナ禍で明暗が分かれる「動ける企業」「動けない企業」

新型コロナウイルス感染症の拡大によって、企業にどのような変化が起こっているのでしょうか。

岩永税理士:
多くの企業が業績の落ち込みに直面していますが、そのようななかでも、事業再構築補助金などを申請し、生き残るための行動を起こした企業が少なくありません。これまでは債務超過で借入を受けられなかった企業が、コロナ対策の支援で融資を受けていますし、リスケ中の企業でも融資が下りていることは注目に値します。この追加資金を活用し行動できるか、否か。この差がこれから表れてくると思います。

アイユーコンサルティンググループ 代表取締役社長 税理士法人アイユーコンサルティング 代表社員税理士 岩永 悠氏

アイユーコンサルティンググループ 代表取締役社長
税理士法人アイユーコンサルティング 代表社員税理士 岩永 悠氏

出川税理士:
実際のところ、「動かない」を選択する企業も多くあります。「何かをしなければならない」とわかっていても、「何をすればいいかわからない」「今、資金を使うのが怖い」というマインドです。今はコロナ関連の助成で一定の資金があるため事業継続ができていますが、返済が始まった途端に厳しい状況に追い込まれてしまう企業が増えてくるのではないでしょうか。

資金がある今、事業の基礎体力を作っておかなければならない、といことでしょうか。

岩永税理士:
その通りです。実際に、新型コロナウイルス感染症特別貸付は3年後に返済が始まります。コロナ禍が始まってすでに1年が経ちましたので、残りは2年です。返済開始に備えて経営計画をつくり、行動計画を策定する。今あるお金をどう使うかを考えなければならないのです。

そのような状況のなかで、どのような姿勢で経営者へのサポートを行っていますか。

出川税理士:
私たちは “山岳ガイド” のような役割を自負しています。経営者は、本来は経営戦略や事業計画、理念から逆算して事業を行うべきですが、“結果経営”、“積み上げ経営” に陥ってしまっている企業も多いです。

私たちはまず、「何のためにこの会社が存在するのか」という理念から入り、それを数字に落とし込んでいきます。つまり、数字は理念を実現するためのツールなのです。それを単年度、単月に落としていき、数字を達成するために何ができるか。それは、もしかしたら新規事業の創出かもしれませんし、販売チャネルの拡大かもしれません。あるいは、経営幹部の育成かもしれません。私たちは、理念の実現のためにできることを細部にまでタスクとして落とし込み、ファシリテートしながら管理していきます。

アイユーコンサルティンググループ 代表取締役副社長 税理士法人アイユーコンサルティング 代表社員税理士 出川 裕基氏

アイユーコンサルティンググループ 代表取締役副社長
税理士法人アイユーコンサルティング 代表社員税理士 出川 裕基氏

コロナ禍で厳しい局面に立つ企業への支援内容を聞かせてください。

岩永税理士:
融資や補助金など、企業のためになることであれば、どのようなことでもサポートしています。たとえば、旅館業やバス会社、飲食店など、コロナ禍で大きく傷んだ企業については、顧問料を3か月間無料にさせていただきました。

成長戦略の策定に関しては、本来は別料金をいただくのですが、現在のコロナ禍への対応に関するものについては、ご相談料の中でコンサルティングさせていただいています。

原点は、企業ビジネスを一気通貫でサポートしたいという想い

ところで、お二人はなぜ税理士を志したのでしょうか。

岩永税理士:
私は率直に、経営者になりたかったからです。小学生のときの私の夢は「社長になりたい」でした。しかし、大学生になっても起業できるようなサービスを思いつくことができなかったのです。でも、「知識」を提供する仕事ならできるのではないかと考え、資格について調べてみると、税理士が最も独立しやすい国家資格であることがわかりました。そこで、目指してみることにしたのです。

出川税理士:
私は大学2年のときに「税理士試験を受けてみようよ」と友人から誘われ、受験したところ、大学4年次には3科目合格していたため、自然な流れで税理士になりました。

今の活動の原点となった出来事はありますか。

岩永税理士:
私が最初に勤務したのは、地元である福岡の30名規模の会計事務所です。その次に勤めた事務所では相続・事業承継に特化したサービスを手がけました。

私は「30歳までに独立する」と決めていましたので、29歳で当事務所の前身となる事務所を設立しました。そのとき、相続・事業承継だけでなく、企業のビジネスを一気通貫でサポートできる事務所を作ろうと考えたのです。

出川税理士:
最初に勤めた事務所で10年ほど実務を経験し、自分のスキルに自信を深めることができました。しかしながら、自身の哲学に則り仕事をするためにはトップになるしかないと考え、私も29歳の時に独立を決意しました。

現在の事務所を立ち上げられた経緯はどのようなものだったのでしょうか。

岩永税理士:
平成25年に福岡市で開業して2年ほど経ったとき、懇意にしている地方銀行さんから「うちの近くに事務所を出してくれないか?」という話があり、北九州事務所を立ち上げることになりました。そこで法人化したのが「税理士法人アイユーコンサルティング」です。

出川先生はどういった流れでアイユーコンサルティングに加わったのでしょうか。

出川税理士:
岩永は前職時代、同じ事務所の別拠点のメンバーでしたが、同世代ということもあって懇意にしており、付き合いは10年ほどになります。先ほどお話ししたように、私も29歳で独立の決意をしていましたが、岩永となら1+1が「2」ではなく「3」や「4」に広がるのではないかと思い、平成29年に当事務所に参画しました。

高付加価値サービスの創造と提供

お二人が掲げるビジョンをお聞かせください。

岩永税理士:
「中堅・中小・ベンチャー企業の成長支援を通して日本のミライをつくりたい」という思いが、私たち二人に共通するビジョンです。企業の存続は「成長」と「承継」の繰り返しです。いずれか一方が不足していても企業の存続は叶いません。当事務所はもともと事業承継特化事務所として運営していましたが、成長支援ができてこそ経営者のパートナーたる存在と考えるようになりました。現在日本は大廃業時代を迎えており事業承継が国の課題ではありますが、目下の難題はコロナ禍による経済状況の悪化です。我々は、コロナと向き合う中小企業を経営・財務戦略の観点から支援し、大海原を越えた後の事業承継戦略も併せてサポートできます。さらにその後は後継者のパートナーになる。中堅・中小・ベンチャー企業の“バトン”を繋いでいくことが使命です。

日本経済を支えているのは、間違いなく日本企業の99.7パーセントを占めている中小企業です 1。中小企業が雇用を守り、地域経済を強くしなければ、日本は強くなりません。

しかし、中小企業の多くは同族経営です。そこで、まずは相続や事業承継に特化したサービスを軸に事業を展開しながら、「高付加価値サービスの創造・提供」という理念に合わせて、組織再編やミライサイクル事業(MAS監査)、M&A、スタートアップ支援など、新しいサービスを広げてきました。

中堅・中小・ベンチャーに向けた支援では、どのような特徴がありますか。

出川税理士:
まずは組織再編についてお話しします。これまで大手の税理士法人では、株価対策の組織再編を行うケースがほとんどでした。しかし私たちは、あまりそのポイントにフォーカスしていません。私たちが注力しているのは、今後の成長戦略の一助になるように体制を整えて、組織をより大きくしていく資本体制を構築していくことです。

岩永税理士:
後継者不足に悩んでいる企業でもホールディングス化を行うケースは数多くあります。優秀な人材に子会社の社長に就任してもらったり、子会社の分社化や事業部単位での売却などを通して、成長戦略のための組織再編をサポートしています。

また、コロナ禍を通して日本の労働環境は大きく変わりました。テレワークやモバイルワークが常識となり、改めて雇用の危うさが表面化し、フリーランス時代が近づいてきていると感じます。そのようななかで、組織の一員として働くには意義が必要です。ニューノーマルの働き方や新しい評価基準などを既存の組織に浸透させることが困難な場合には、ホールディングス体制を構築して別組織を考えるなども有意義かもしれません。別のベクトルでは、成長する組織と衰退する組織組織の明暗がはっきりしたとも言えます。つまり、M&Aの活性化につながっています。こうした場合にもホールディングス体制は有効です。売り手も人間ですから、競合他社に自社を売却するのは心情的には嫌なものです。ですが、ホールディングスに売却するのであれば、競合他社も同じ子会社。案外話がまとまるケースも多いのです。

資金調達ではどのようなアドバイスを行っているのでしょうか。

出川税理士:
「カネ」の流れの視える化に始まり、利益・資金繰り計画の立案・実行など、税理士だからこそできる “調達・運用・節税” のバランスの良い財務支援です。

中小企業に対しては借入支援が中心となりますが、日頃からお伝えしているのは “正しい借り方” についてです。経営者の皆さんの多くは「借入を返済するのは当たり前」と考えていますが、建設業や卸売業など仕入れが発生する業種に関しては、返済しなくても良い借入が推奨されているのです。

返済しなくても良い借入とはどのようなものでしょうか。

中小企業の多くは、すべての借入金を約定弁済、つまり毎月返済する手法で調達しています。しかし、経常運転資金と呼ばれる企業運営に常に必要な資金まで約定弁済手法で調達してしまうと、当然、資金ショートすることになり追加の借入が必要になります。企業規模の拡大の都度、同じ状況に陥るため、資金繰りが悪化してしまうのです。

一方、経常運転資金を返済不要の借入、当座貸越や手形貸付の手法で調達すれば、返済は不要です。つまりその分の資金繰りを改善できるのです。もしくは、極端に短い返済期間で調達していた借入金の長期化を金融機関に提案することもあります。利益が出ている会社でも、返済期間が短ければ年間の返済額が過剰なため、当たり前に資金繰りが悪化します。個人に置き換えれば、年収1,000万円の方が5,000万円の住宅ローンを5年で返済しようとすれば、当然資金が足りなくなりますよね。これを、適正期間の35年に延ばしてもらうのです。

気を付けなければならないのは、ただ銀行交渉して返済不要の借入や期間の長期化をお願いすればいいというものではない、ということです。そもそも、企業が利益体質でない場合には、資金余剰があるわけがなく、そのような場合には、併せて企業の体質改善も行う必要があります。大切なことは、「なぜ資金繰りが厳しいのか」に対するボトルネックを発見し、ケースバイケースでソリューションを提案することです。

実のところ、バブル以前はむしろ返済不要の借入がメインだったのですが、最近では金融庁もそちらの借入に戻そうという動きを見せています。それにより毎月返済していた100万円単位の借入を返済しなくて良いわけです。その浮いた資金を将来の事業承継に備えて蓄えておくことも有意義ですし、コロナ禍を乗り切るために新しい事業投資を実行することなど、様々な提案が可能です。

スタートアップ支援も行われていますね。

岩永税理士:
ベンチャーキャピタル出身の公認会計士のスタッフが、資本政策の策定から事業計画の策定、外部投資家との交渉、上場準備など、様々なサポートを行っています。

創業間もないベンチャー企業の場合、「このサービスで日本を変えたい」と大きな夢を持ち、魅力的な「サービス」や「モノ」を創出している経営者の方が少なくありません。しかし、そのような方々が、夢の実現のために必要となる「カネ」や「ヒト」、将来の上場準備などの実務に精通しているケースはほとんどありません。私たちはそのようなベンチャー企業の外部顧問となり、成長のためのトータルサポートを行っています。

具体的に、どのようなスタートアップ企業を支援しているのでしょうか。

岩永税理士:
たとえば、ブロックチェーンを使ったゲームの製作、障がい者雇用に関する全国ネットワークの構築といったケースのほか、最近では、固くて熱がこもる人工芝を、環境にも優しい「熱くならない人工芝」に変える画期的なプロダクトを開発した人工芝メーカーへも支援しています。その製品はプロサッカーのイニエスタ選手(ヴィッセル神戸)のお宅にも納品され話題になりました 2

「熱くならない人工芝」とは、夢のある製品ですね。

岩永税理士:
スーパーゼネコン出身の創業者の方が、一念発起されて開発されたのですが、お一人で事業を展開していくのは大変ですし、広がりも生まれにくいですよね。ですから私たちは「代理店システムを整えて、全国に売っていきましょう」と、弁護士とチームを組んでサポートしている最中です。

世界的に未曾有の経済危機だからこそ、様々なものが変化しています。コロナ禍をきっかけに人のライフスタイルや価値観は大きく変わりました。しかし、変化にはチャンスがつきものです。固定概念や既得権益を壊して、新しい「サービス」や「モノ」の開発をして、世界をより豊かな方向に導いてほしいと願っています。

弁護士とタッグを組み、「士業はサービス業」を体現する

先生方が、弁護士とチームを組む案件としては、どのようなものがありますか。

岩永税理士:
M&Aのデューデリジェンス、相続、再生案件の3つがメインです。普段の顧問業務の一環として組む場合は、やはり「揉めたとき」が多いですね。具体的には、従業員や取引先との紛争です。以前はうやむやなまま終わっていたような問題が、最近では法廷の場で争われるケースが増えてきました。私たちの顧問業務の場面でも、弁護士と協働する領域が多くなったように感じます。

弁護士と関わる機会は少なくないのですね。

岩永税理士:
特にベンチャー企業の案件では多いですね。たとえば、大手企業から提携を持ちかけられて喜んでいたところ、蓋を開けてみれば相手方に一方的に都合の良い契約内容であったなど、気をつけなければならないことは多くあるのです。特に、知財、商標、特許などに関わる部分では、弁護士の知見の有無によって交渉結果に大きな違いが生まれます。

先生方が「一緒に仕事がしやすい」と感じる弁護士とは、どのような弁護士でしょうか。

岩永税理士:
ベンチャーや中小企業の社長が思わず遠慮してしまうような、どしっと構える感じではなく、「○○さん」と名前で呼べるような、親近感があって経営者が気軽に相談できる先生がいいですね。私自身、「士業はサービス業」だと考えていますし、そのような感覚をお持ちの先生であれば、お仕事がしやすいです。

出川税理士:
私はフットワークが軽く、レスポンスの早い方です。弁護士が関わる案件では、弁護士がハブになることが多いのですが、残念ながら、関係者への連絡が行き届いていない、といった理由で案件が滞るケースもあります。一方で、高い調整能力をお持ちの先生と組めた案件では、断然仕事がはかどりますね。

税務・財務から裾野を広げた多彩なサービスへ

最後に今後の展望をお願いします。

岩永税理士:
グループ全体で現在80名ほどの規模になり、税務・財務についてはほぼ、どのような案件にも対応できるようになりました。今後はさらに、税務・財務の周辺領域で事業の枠を広げたサポートを行っていきたいですね。

出川税理士:
たとえば中小企業では、社長や社長の奥様が経理を担当される企業も多いですので、経理面のサポートを事業化することを構想しています。また、社長が総務を兼ねている中小企業の場合には、OA機器のコスト削減といった部分もサービス化できないかと考えています。

中小企業の体質まで理解したコンサルティングを行っていくわけですね。

岩永税理士:
本来、社長がやるべきことは経営とTOP営業です。社長が作業者にならないように、私たちはその手間を省いてあげるような提案をし、成長の助けとなるようなサービスを展開していきたいと考えています。

(文:枚田 貴人、写真:弘田 充、取材・編集:BUSINESS LAWYERS 編集部)


  1. 経済産業省ニュースリリース「中小企業・小規模事業者の数(2016年6月時点)の集計結果を公表します」(2018年11月30日) ↩︎

  2. Yahoo!ニュース「イニエスタ選手も張り替えた「冷却人工芝」、雑草が茂る梅雨が替え時」(2021年5月14日、2021年6月8日最終閲覧) ↩︎

この特集を見ている人はこちらも見ています

無料会員登録で
リサーチ業務を効率化

1分で登録完了

無料で会員登録する