調査結果から読み解く法務部門の対応優先事項と、テクノロジーによる業務効率化例PR 「リーガルテック・リーガルリサーチのグローバル・スタンダード最新動向2021」開催レポート

法務部

目次

  1. 法務部門へのアンケート結果と、近年主流の5つのリーガルテック分野
  2. リサーチ業務を効率化するオンラインデータベース活用法
  3. リーガルオペレーションをワンストップで一元管理

新型コロナウイルス感染症による影響が長期化するなか、テレワーク環境の構築は企業の法務・コンプライアンス部門においても急務となっています。時間と場所にとらわれない働き方を実現するには、リーガルテックの導入による生産性向上や効率的なリーガルリサーチの実現に向けたデジタル環境の整備が欠かせません。

2021年4月22日に開催されたオンラインセミナー「リーガルテック・リーガルリサーチのグローバル・スタンダード最新動向2021」では、当該分野で知見を持つトムソン・ロイター株式会社 法律 x テクノロジー部門の3名が、最新の調査結果を交えた各社の法務部門における対応優先事項や、リーガルテック分野の動向、世界で先行しているリーガルオペレーションの一元管理法などについて紹介しました。

法務部門へのアンケート結果と、近年主流の5つのリーガルテック分野

初めに登壇したトムソン・ロイター株式会社 法律 x テクノロジー部門 事業開発マネージャー 福島毅氏は、同社が2020年秋に世界223社の法務部門に対して実施したアンケート調査のレポート「Legal Department Operations Index 2020」の結果を紹介しました。

トムソン・ロイター株式会社 法律 x テクノロジー部門 事業開発マネージャー 福島毅氏

トムソン・ロイター株式会社 法律 x テクノロジー部門 事業開発マネージャー 福島毅氏

注目すべき法務部門の傾向としては、まず、企業の売上規模を問わず、法的アドバイスの業務量や法務案件数が増加していることがあげられます。それに伴い、法務担当者や社内弁護士の人数、利用する法律事務所の合計数も横ばいから増加傾向となっています。結果として、社外弁護士費用や法務部門全体の予算も横ばいから増加傾向にあることが、アンケートにより明らかになりました。


法務部門では法的アドバイスに関する業務量が増加しており、社内弁護士の人数や社外弁護士費用なども増加傾向にある

法務部門では法的アドバイスに関する業務量が増加しており、社内弁護士の人数や社外弁護士費用なども増加傾向にある

法務部門における対応優先事項については、「社外弁護士費用の管理」とする回答の割合が一番高くなっています。「経営につながることからも、法務経費の使い方や管理をしっかり行っていくことが重要」と福島氏は指摘します。


企業法務部門における対応優先事項

企業法務部門における対応優先事項

さらに約40%の企業は、「より多くの業務を社内に移行」していくことについて、対応の優先度が高いと回答しています。この結果について福島氏は、「各企業でビジネスが多様化してきているなか、事業を理解している社内の法務担当者が法務業務を行うことで、リーガルサービスの質の向上・弁護士費用のコスト削減を実現し、法務予算を社内研修や人材育成、外部からの新しい人材獲得に割り当てたい、という意図があるのではないか」と分析します。

こうした状況を受けて、eディスカバリや契約書のレビュー・管理、ひな形の作成、リーガルサーチなど、それほど複雑性の高くない法務業務の効率化に向けたリーガルテックツールを提供するサービスプロバイダが近年、国内でも増加してきています。

アンケートでも、「リーガルサービス提供と法務アドバイスの実務における効率性向上」「テクノロジー活用によるワークフロー・手作業の業務プロセスの簡易化」といった法務業務の生産性に関する事項の注目度が高くなっています。

リーガルテック導入による生産性の維持・向上は、リモートワークが普及するコロナ下においても重要なテーマです。近年、企業法務で使われているリーガルテックは、主に以下の5つの分野が主流であると福島氏は説明します。

  1. 経費管理(eビリング)/ 支出・案件管理
  2. 契約書管理
  3. リーガルリサーチ
  4. 案件管理
  5. 訴訟ホールド

「1. 経費管理(eビリング)/ 支出・案件管理」に関して、特に海外も含め複数の法律事務所との取引がある場合、紙の請求書をベースとした業務は、書類の管理が複雑になるだけでなく、リモートワークへの対応も困難になります。
福島氏は、依頼先の法律事務所にも同じシステムを利用してもらうことで、そうした課題が解消され、双方の業務効率化が実現できると説明。さらに、案件の内容や依頼先の法律事務所、依頼金額などのデータが蓄積されていくことで、連携先の法律事務所を選択する際の判断に活用できるとともに、社内での説明のしやすさや、透明性の確保にもつながることを紹介しました。

「2. 契約書管理」の領域では、契約書の作成から、ワークフロー管理、文書保存、承認等まで、契約書のライフサイクルマネジメントをカバーできるリーガルテックツールが、近年、国内でも多くのベンダーにより提供されています。
また、NDAや代理店契約などの標準的な契約書については、テンプレートを用意しておき、各事業部で自由に作成する会社もありますが、その場合、どのような契約書が、いつ、誰によって作られているのかがわからなくなる可能性があります。こうした課題について、たとえばトムソン・ロイター株式会社が提供するリーガルオペレーション効率化ツール「HighQ」では、テンプレートに設定された必要項目に入力するだけで、事業部の担当者が自身で契約書を作成でき、またそうした契約書を一元管理する機能を提供しています。

また、「3. リーガルリサーチ」については、法務担当者の業務内容が拡大するなか、効率性が求められるようになってきています。規制対応や法改正などに関する法務情報が簡単に調べられるような、データベースとしてのリーガルテック(リーガルコンテンツ)に注目が集まっています。

「4. 案件管理」は、英語で "Matter Management" と表現されますが、この領域に特化した仕組みやツールは、現状ではまだ多くありません。社内の他部門が利用するツールを案件管理に活用している企業もあります。

案件管理のシステムを利用していない場合、法務担当者には他部門からの質問がさまざまな経路から集中してしまう懸念があります。法務業務に即した機能を持つ案件管理システムを導入することによって、法務部門で一元的な管理が行えるようになり、他部門とのやり取りの効率化につながります。

「5. 訴訟ホールド」については、セキュアな環境での文書管理の仕組みが求められます。チャットのような形式で特定の関係者のみが文書に関するやり取りを行い、その履歴を残すことができるツールは、今後の主流になっていく可能性があると考えていることを福島氏は語りました。

リサーチ業務を効率化するオンラインデータベース活用法

続いて、トムソン・ロイター株式会社 法律 x テクノロジー部門 リーガルコンテンツ&リサーチスペシャリスト 石田さやか氏は、コロナ禍も背景とした、リーガルリサーチやナレッジシェアリングにおけるシステムの活用法などについて講演しました。

トムソン・ロイター株式会社 法律 x テクノロジー部門 リーガルコンテンツ&リサーチスペシャリスト 石田さやか氏

トムソン・ロイター株式会社 法律 x テクノロジー部門 リーガルコンテンツ&リサーチスペシャリスト 石田さやか氏

仕事の質を維持しながら生産性を高めることは、企業法務が抱える大きな課題です。石田氏は、企業からの生の声として「リサーチ業務に膨大な時間を費やしており、本来時間をかけるべき業務に時間をかけることができない」「社外弁護士の業務を緊要・複雑なものに限定して支出を削減したい」「平準化が難しい社内知識の底上げを図り、リーガルサービスの質の向上を実現したい」「テレワーク下でも効果的なナレッジシェアリングを可能にしたい」といった要望があると紹介します。

こうした課題や要望に対し、トムソン・ロイターでは、リーガルリサーチに関するツールとして、約135カ国の法情報をカバーするデータベース「Practical Law」を提供しています。英文契約書のひな形や、契約に関するガイダンスや解説などをまとめた「プラクティスノート」、リスクや抜け漏れを防止する「チェックリスト」、世界各国の法情報を入手できる「リーガルアップデート」など、さまざまなコンテンツが収録されています。現在、世界でおよそ16万人のユーザーを有しており、国内では100を超える企業・法律事務所が導入しています。

Practical Lawに収録されている契約書のひな形は、13,000件を超え、規約や法的なレターのひな形も備えています。条項ごとでの検索も可能で、サンプル条文に対する解説も充実しているため、取引先から提示された契約書のチェック、修正案の作成、交渉材料の調査、海外企業との各種契約書作成、新たな訴訟・紛争への準備などに有効です。

その他にも、M&Aや投資案件を始めとするプロジェクトに必要な情報・チェックリスト・契約書を時系列ごとにまとめたツールキット、法的アセスメントに利用できるツール、法改正の動向を収集できるカレンダーツールなど、さまざまなコンテンツを収録しています。

Practical Lawを導入しているユーザーのなかで好評なのが、「ASK」機能です。ASKは、約500名のPractical Law編集専属弁護士チームによるサポートを受けられるもので、Practical Law内のコンテンツに関して、不明点や活用方法、要望などを問い合わせることができます。回答は、法律事務所もしくは企業内法務において最低5年以上の実務経験を積んだ弁護士が行います。

Practical Lawが備える主な機能と特徴

Practical Lawが備える主な機能と特徴

Practical Lawには、コンテンツの内容や情報をユーザー内で共有できる機能もあります。石田氏は「クライアント様により活用方法は多岐にわたるが、共通して言えるのは、Practical Lawの利用は法務部門の知識の底上げに役立つということ。ぜひ自社に最適な運用の参考にしていただきたい」と呼びかけました。

リーガルオペレーションをワンストップで一元管理

トムソン・ロイター株式会社 法律 x テクノロジー部門 ソリューションコンサルタント トレイシー・グリーンウッド氏は、同社が提供する「HighQ」について、デモンストレーションを交えながら紹介しました。

トムソン・ロイター株式会社 法律 x テクノロジー部門 ソリューションコンサルタント  トレイシー・グリーンウッド氏

トムソン・ロイター株式会社 法律 x テクノロジー部門 ソリューションコンサルタント トレイシー・グリーンウッド氏

グリーンウッド氏はHighQについて、「契約書のバージョン管理から、ワークフローの自動化、コラボレーション、契約マネジメント、ナレッジマネジメントまで、法律業務をワンストップで一元管理できるツール」であると説明します。

契約書作成においては、ドラフトのバージョン管理の煩雑さが課題となりますが、HighQでは、誰がいつ修正したかなどのアクションが容易に確認できるようになっているほか、契約書のバージョンごとの内容比較なども可能です。

タイムゾーンや勤務場所に関係なく、チームメンバーがリアルタイムで情報共有やフィードバックが行えることも、HighQ導入のメリットです。従来では対面でなければ難しかった業務や、国をまたいだプロジェクトチームでの業務などについて、リモートワーク下でも円滑なコラボレーションを実現します。

積み上げたナレッジが人に依存してしまいがちな法務業務ですが、HighQ上にはさまざまなやり取りや知見がデータとして蓄積されていくため、効率的なナレッジマネジメントを行うことが可能です。また、ダッシュボード機能では、契約書の種類や担当者名、アサインされているタスクの状況など、HighQ上の情報やデータをわかりやすく可視化できるため、法務や経営の意思決定にも役立ちます。

「HighQ」のソリューション概要

「HighQ」のソリューション概要

さらに、グリーンウッド氏は、HighQを電子署名サービスと連携することにより、契約ライフサイクルに必要な機能すべてを1つのプラットフォーム上で行うことができる旨を紹介。またHighQの実際の環境を用いた各機能のデモンストレーションを行い、講演を結びました。

リーガルオペレーションの効率化を行うことで、法務担当者は本来時間をかけるべき業務に専念できるようになります。各講演内容も参考に、まずは対応する優先事項を定めたうえで、テクノロジーの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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