法律英語に特化した単語帳『法律英単語®2100』発刊、ねらいと活用のポイントを著者に聞く

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渡部 友一郎弁護士

目次

  1. 待望の法律英語の単語帳 手垢で真っ黒にしてほしい
  2. 英語で考えて英語で書かなければ外国人には伝わらない

英文契約書のドラフトやレビュー、外国人弁護士への案件依頼など、法務の仕事をするうえで英語は必須の知識と言えます。

一方で、法律英語を学習する適切な方法はまだ確立していません。Airbnbリードカウンセルの渡部 友一郎氏は自身の経験から法律英語に特化した単語帳の必要性を感じ、『高速マスター 法律英単語®2100 法律・基礎編』を上梓しました。

同書は法律書籍・雑誌の月額定額制閲覧サービス「BUSINESS LAWYERS LIBRARY」に先行配信され、月間ランキング1位を獲得した実績を持つコンテンツです。

私たち全員が「あったらいいな」と思うものを形にしただけで私は皆様の夢のサポーターにすぎません、という渡部氏に紙書籍発刊のねらいと活用のポイントを聞きました。

待望の法律英語の単語帳 手垢で真っ黒にしてほしい

外資系の法律事務所で勤務されていて、現在も外資企業にお勤めです。もともと英語は得意でしたか?

いいえ。フレッシュフィールズブルックハウスデリンガー法律事務所へ入所したときは驚きました。ご家族が外交官の方や、海外に5年、10年住んでいたような方が普通にいるのです。私は鳥取出身。外国に住んだことも留学の経験もなく、義務教育と英会話学校で学んだ程度です。

外資系で仕事をしておりますが、英語が母国語の同僚と比較すると、今でも英語ができるとは到底思えないですし、「あと少し」の差がとてつもなく大きく、日々勉強しています。

英語に苦労した経験もありながら『法律英単語®2100』を上梓されました。学習法をどう確立していったのでしょうか。

私だけではなく、多くの方が不思議に感じているのではないでしょうか。

つまり、TOEICやTOEFL、大学受験でも英語の勉強方法は確立していて、一番大切なのは語彙力です。

ところが、法律英語では語彙力を身につける単語帳がありません。そのためか、TOEIC、TOEFL、大学受験と当たり前にやっている勉強方法をなぜか法律英語では急に皆がやり方を変えてしまいます。

10年前に司法修習生となったとき、書店を巡って探したのですが、辞書はあれど、法律の英単語帳はありませんでした。今でもベストな書籍は発行されていません。

結果、法律英語の初学者は英文契約書の基礎について解説された書籍を買うことになるのですが、「英文契約」用であって、英語学習用に作られていないので、語彙を増やすことには適していません。TOEICやTOEFLと比べると険しい学習環境です。

法律英語特有の課題を解決するために執筆されたのですね。執筆時に意識されたことはありますか。

まず、私はあくまで「皆様の夢のサポーター」でしかなく、著者自身は空気のように、「あったらいいいな」を形にすることに集中しました。

10年前に法律事務所に入所したときから、自分で語彙を貯めて単語帳をつくっていたのですが、使いやすいもの、訳の出所がわかるものを作りたいと考えていました。そこで、法務省「法令用語日英標準対訳辞書」に準拠しました。

法務省の訳に対して様々な意見もありますが、まずそのレベルをしっかり押さえていくことが大切と考えました。

読者に活用してほしいイメージを教えてください。

「グルグル回す」ですね。大学受験・TOEIC・TOEFLの戦略と同じです。まず語彙力を身につけるために単語を頭に入れること。

たとえば仕事をしていて「監査役」というワードがパッと英語で出てこなかったら、大きなロスになります。本書の役割は基礎トレです。まずはここに掲載されているレベルまで全員で一緒にパワーアップしたい。身につけることができれば苦痛がだいぶ減ります。手垢で真っ黒にしてほしいですね。

ご愛読いただいたBUSINESS LAWYERS LIBRARY配信版からさらにパワーアップした点として、日本加除出版様のアイデアで、充実した日英の索引を追加できました。これにより、朝『法律英単語®2100』で確かに見たけど昼間の業務で出会ったが忘れてしまった単語をすぐに見つけられ、記憶を強化できます。

Airbnbリードカウンセル、日本法務本部長 渡部 友一郎

Airbnbリードカウンセル、日本法務本部長 渡部 友一郎弁護士

英語で考えて英語で書かなければ外国人には伝わらない

英語学習でつまずいたり、英語で失敗したりしたことはありますか。

私含めて若い弁護士や法務部員に共通していると思いますが、法律英語を学ぶためになぜか英会話学校に通い出すのです。当然、法律英語は身に付きません。他に選択肢がないので、多くの方があまり合理的ではない選択をしています。

今はどのように英語を学習取されていますか?

贅沢な環境なのですが、社内文書や仕事の9割以上が英語なので、毎日が英語学習みたいなものです。

1つだけ、今でもずっと実践していることがあります。フレッシュフィールズブルックハウスデリンガー法律事務所の最も古参のパートナーであった、木南直樹先生に「渡部くんは日本語を英語に直しているだけ。英語で考えて英語で書いていないから、外国人にはわからないんだよ」と助言をいただきました。

当時、お恥ずかしながら、まったく意味がわかりませんでしたが、経験を積み、外資企業に移った今はわかります。たとえば、日本の法律事務所から英語の意見書が出てきたとき、外国人の上司にそのまま見せてもわからないよな、と思うポイントがあるのです。木南先生のお言葉の真髄がようやく、5%くらいわかってきました。5%ですが…。

普段英語に接することが少ない方が、英語で考えて英語で書くことを実践していく秘訣はありますか。

司法試験や資格試験と同じです。たとえば、司法試験や法学検定を受けたことのある方が、いきなり大学生に「法学検定の2級を取りたいです」と言われたら「まず3級、4級から取りなさい」と言いますよね。

外資系法務部では客観的に足りないが就職のブロッカーにはならないというラインという肌感覚ですが、英語を仕事で使うのであれば「TOEIC900点」は目安となる第一歩目のスタートラインです。業務で必要な会話などを身につけていくことは次の段階です。

さらに、私のイメージではカリフォルニア州弁護士の勉強などを始めると、法律英語や、専門的な言い方などの能力がぐっと上がってくると思います。

法律英語の学習に取り組む、読者へのメッセージをお願いします。

『法律英単語®2100』は、私がずっと埋めたかった、法律英語学習を妨げていた「谷」に橋をかけるものと思っております。もちろん、個人で細々とつくったものですので、至らないところもあると考えていますが、語彙力が英語学習の王道ということを、法律英語でも強調したいです。

私自身の仕事に共通することなのですが、何かある分野で第一人者になりたいとかいう気持ちがあまりなく、谷に橋をかけて、皆様が大勢その橋をつかってくださればそれで幸せという性格の人間です。

これからも法律の英語学習における大小の谷を見つけては、橋を架ける作業を1人で続けていると思いますので、英語学習のブロッカーになることや、改善できることがあれば是非、個人の英語学習だけではなく、社会の「谷」を一緒に減らしていければと思います。

私は主役でなく、『法律英単語®2100』を手にとって挑戦を続ける読者の方こそ、この本の主役なのです。理想とする基礎の力を『法律英単語®2100』で手に入れてくださることを強く願っています。

Airbnbリードカウンセル、日本法務本部長 渡部 友一郎

(写真:弘田 充、取材・編集:BUSINESS LAWYERS 編集部)

高速マスター 法律英単語 2100 法律・基礎編

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