Airbnb流、事業を前に進める法務の力 リードカウンセル渡部 友一郎氏に聞く

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渡部 友一郎弁護士

目次

  1. 小学生からブレずに描いた弁護士への夢
  2. チャンスを求めて外資系法律事務所へ
  3. DeNAで変化した弁護士の意識 「渡部先生」から「渡部さん」に
  4. Airbnbで学んだ秘密の鍵 案件をEnableするのが法務
  5. NOで事業を殺さない法務に 自分の姿勢は誰かが見ていてくれる
  6. 起業家のアイディアをEnableする弁護士、法務担当者を増やす夢

コロナ前の時価評価額を回復する一時10兆円での米国ナスダック上場が大きな話題となったAirbnb。誰もがビジネスになるのは不可能と思っていた「見ず知らずの他人を家に泊める/見ず知らずの他人の家に泊まる」ビジネスモデルが飛躍した背景には法務の力があった。

同社日本法人の法務を支えているのは渡部 友一郎氏。外資系法律事務所、国内大手ゲーム会社を経て約5年半前の2015年からAirbnbに在籍している。

ALB Japan Law Awards三冠、最年少かつ日本人初のベストインハウスロイヤー2度受賞という輝かしい受賞歴の持ち主だが、「先生」と呼ばれることを好まず、「渡部さんと呼んでください」と話す気さくな人柄が印象的な人物だ。

企業内で法務が価値を発揮する鍵はどこにあるのだろうか。2020年9月、Airbnbのリードカウンセルに就任した直後の渡部氏に、自身のキャリア、仕事観、そして法務部門が事業を前に進める秘訣を聞いた。

小学生からブレずに描いた弁護士への夢

弁護士を志したきっかけを教えてください。

小学校5年生のとき、京都に住んでいた祖父が大阪の弁護士事務所に連れて行ってくれました。ドアの隙間から見えた白い洋服をお召しになった女性の泣いている姿。応接室で涙を浮かべて先生に感謝の気持ちを伝えていた光景が今でも目に焼き付いています。

田舎の小学校の文集には「将来の夢は弱い者を助ける弁護士」と書いていました。弁護士なんて私も同級生も地元で見たことなかったので「それなに?」と同級生に聞かれていました。

強烈な原体験だったのですね。進学をされるなかで、その思いは強くなったのでしょうか。

私の出身地である鳥取県は、山陰地方と呼ばれるように日本海側の厳しい気候もあり、良くも悪くも、保守的な考えが根強い風土でした。革新よりも伝統や慣習を守ることが重視される環境でしたので、中学・高校時代は県外の良い法学部に進学して弁護士になる、という思いしかありませんでした。

弁護士になってからのイメージはどのように描いていましたか。

大学に入るまでは「弱い人を助ける弁護士」、どちらかというと町の弁護士事務所をイメージしていたのですが、西村あさひ法律事務所に入所したゼミの先輩から企業法務の世界や、仕事ぶりを聞き、企業にも弱い面があると気づきました。その時からビジネスローを真剣に勉強したいと考えました。

そして2008年に司法試験に合格されます。

周りは皆、すごく喜んでいました。私が大好きだった祖父母は合格前に他界してしまったので、喜ぶ顔が見たかったですね…。

ご自身としても念願の合格だったのではないでしょうか。

司法試験に合格したとき、おそらく多くの合格者同様、「自分は特別」という気持ちも少しありました。ところが、和光駅の前で、司法研修所へ向かうバスに並ぶ、福袋を買いに延々と並ぶかのような長蛇の列を見たとき、「大勢の中の1人なんだ」と感じたことを覚えています。

東大のロースクールに進学した時から法律事務所のピュアなリーガルワークだと、彼/彼女らが日本一だろうなと思う人たちもいて、自分にしかできないことは何か、よく考えていました。お恥ずかしながら、鳥取には当時、河合・代ゼミ・駿台が1つもなく、司法試験予備校がはじめてまともに通った塾でしたので…。

Airbnbリードカウンセル、日本法務本部長 渡部 友一郎

Airbnbリードカウンセル、日本法務本部長 渡部 友一郎弁護士

チャンスを求めて外資系法律事務所へ

卒業後はフレッシュフィールズブルックハウスデリンガー法律事務所(FBD)に入所されます。

ロースクール2年生の冬学期、アメリカ西海岸系のオメルベニー・アンド・マイヤーズ(OMM)という事務所のウィンタークラークに参加しました。オープンな気質と楽しそうに仕事をされている姿に驚きました。四大法律事務所と迷いましたが、FBDには憧れの先生がおり、外資系は人数も少なかったので良いチャンスだと思ったのです。

どのような意味でのチャンスでしょうか。

当時の自分には弁護士としての「優秀さ」「卓越さ」しか物差しがありませんでした。四大法律事務所よりも人数の少ない外資系法律事務所のほうが伸びしろがある、学ぶ機会があるかもと仮説をもっていました。

先を行く他の同期弁護士と比較して、早く追いつき、1ミリでも前に進んでいたかったのだと思います。競争がすべての司法試験の「弊害」から抜け切れていませんでした。

法律事務所で仕事を始めてからはいかがでしたか。

本当に学ばせてもらいました。頭が上がりません。高いお金を払って一流のサービスを求めてくるお客様を知り、その要求に応えられる仕事の仕方を身につけることができました。

また、FBDの「世界の同期」と交流すると、明確な夢があることに驚きました。たとえば、FBDで働いて将来は児童労働をなくす仕事をするとか、香港の同期が「私は、ロンドン本社でパートナーになる」など、このときから「世界の中での自分」を意識しはじめました。

ただ、苦しい時もありました。四大に入った同期弁護士と食事に行って「入所してから2時より前には寝ていない」と聞いてすごいと思ったり、「新聞記事で大きく取り上げられたM&Aに関わった」などと聞いて焦ったりしていました。お恥ずかしいです。

DeNAで変化した弁護士の意識 「渡部先生」から「渡部さん」に

2年ほどお勤めされた後、DeNAにインハウスロイヤーとして移られます。どのような心境の変化がありましたか。

外資系の事務所では日本法と外国法の両方をアドバイスできることに魅力を感じたのですが、日本法弁護士として提供できるサービスの限界も学びました。

また、外部法律事務所のアソシエイト弁護士だと依頼された案件の依頼「後」まで関われません。すごく大変なM&Aに関わって、カウンターパートの方と「終わったら飲みにいきましょう」と話をしても、先方がPMIで忙しくなったら約束は叶わないですし、苦労して海外の市場へ上場した案件でも、その後の通常業務には携われません。寂しさや、もどかしさもありました。

自分で最後までやり切りたい、もっと案件に深く入り込みたいという思いからインハウスを選ばれたのですね。

おっしゃる通りです!インハウスに入ってからは、外資法律事務所で学んだ五つ星の法的サービスを提供する、という気概がありました。質も早さも「見てろよ~!」みたいな気持ちです。振り返ると、まだまだ荒削りで、事業部や法務部の周り方々のご支援で磨かれたと感謝しています。

私のインハウス・企業法務の基礎は、すべて、古巣にあります。

環境や給与などの面から、事務所からインハウスに移ることに対するネガティブな意見を聞くこともあります。迷いはありませんでしたか。

「その会社を助けたい」という気持ちや、事業に興味がないのにインハウスになっても夢のようには面白くないはずです。これは弁護士に限らずどの職種でも同じだと思います。

給与は確かに1/2にいかずとも60%代にガクンと減りました、これがリアルだと思います。私は、この減額分は「留学費」を支払っていると考えていました。ここでしか得られない学びを得ているんだと。

給与は将来回復できても、20代・30代前半の学びは将来二度と買えません。

DeNAには、どのような気持ちを持って移られたのでしょうか。

当時、海外で勝利を収めている日本のネット企業はなく、米国のアプリランキングには日本のゲームは全然載っていませんでした。それでも、DeNAの経営陣は「ゲームの世界でグローバルナンバーワンになるんだ」と大きな夢を持っていて強く共感しました。世界で伸るか反るかの勝負を助けたい、という気持ちでした。

実際に移られてみてどうでしたか?

エンジニア、グラフィックデザイナー、プランナー、ローカライゼーション、経理、税務などそれぞれの世界のプロフェッショナルと出会い考えが変わりました。

法律事務所に所属していた時は「優秀かどうか」しか物差しがありませんでした。たとえば「現役で合格して、○○法律事務所に入った人」など。私達の中には、「優秀さ」という単一の物差しを大切にしている人もいます(それが悪いことではありません)。でも、それは外から見ると、DeNA時代の私の中では、どうでもいい誤差だと改めて気づきました。

たとえば、エンジニアの世界にもおそらく物差しがあるのでしょうが、HTMLが初心者レベルでいじれる程度しか知識のない「外」の世界の私からすると、「自分の思った通りコードがかけるなんて凄すぎる」という風にしか見えないわけです。

そこからいわゆる弁護士渡部先生の単一物差しを壊し、どう付加価値を付けるかという意識に切り替わりました。本当はもっと早く気づかないといけないことだし、お恥ずかしいです。

そのような気づきを得て、法務における弁護士資格の必要性をどう考えていますか?

少なくとも私の尊敬・学ぶ「師」として資格は無関係です。私が尊敬している方はいろいろな分野にいらっしゃいます。ある国内伝統企業のゼネラルカウンセルをされている方も師の1人です。

仕事がうまくいかなくて悩んでいたとき、「SurveyMonkeyを使って、クライアントから自分のサービスを評価してもらい、フィードバックを得たらどうか」と助言していただきました。DeNA時代は1人でクライアントにサーベイを送って、どうサービスを改善したらもっと助けられるかを毎月研究していました。

どのような悩みを抱いていたのでしょうか。

DeNAに入った直後は、まだ「弁護士、弁護士」していました。法務を変えたい、もっと良いサービスを提供したいという思いを今のようにはうまく形にできず、ポジションも平社員でしたので、チーム全体をどう高めるかという点にまで昇華できませんでした。

インハウス弁護士の方から、法務部での不協和が生じて苦しいという話を聞くこともありますが、どうアドバイスされますか。

状況は人によって異なると思いますが、まずは成果を着実に出していくなかで、弁護士資格の有無に関係なく「◯◯さんは良い仕事をしているよね」と評価してもらえることが大きいと思います。私も似たような道を通って参りました。

当時はまだ資格に頼っていました。

今は「良いリーガルサービスを提供してくれる渡部友一郎さん」と思ってもらえることが一番うれしいです。

たとえば、Airbnbの社内コミュニケーションで「弁護士」って名乗るのは周りを笑ってほぐしたり、はげますときぐらいです。

Airbnbリードカウンセル、日本法務本部長 渡部 友一郎

Airbnbで学んだ秘密の鍵 案件をEnableするのが法務

2015年にAirbnbに移られます。きっかけは何だったのでしょうか。

Airbnbに入ったら、秘密の鍵が学べると思いました。外から見たらシェアリングエコノミーが広がっていることはわかるけど、中でやっていることはすりガラスみたいな感じで見えない。でも何かすごいことが起きている。工場に潜入する感じですね。

移ろう、という気持ちは強かったのですか。

DeNAで試行錯誤していたことが実り始めて、良い感じで皆とコラボしている、面白い時期だったので転職は全く考えてはいませんでした。

それでもAirbnbを選ばれた。

かなり悩みましたし、部のお世話になった方とも何度も相談しました。最後は、DeNA法務部卒業生として、胸を張っていただけるような仕事をして参ります!と旅立ちました。

Airbnbの入社面接では、当時、合計で8ラウンド×1〜2人くらい面接することになっていたのですが、出てくる人出てくる人が抜群に優秀で、優しく、例外なくすごく人間味があり面白かったのです。

面接に入ると「早速、ディスカッションをしたい。日本だと、今、プランA、B、Cを考えている。どれが良い?」みたいな感じで始まって、こんなことが毎日できたら面白いな、と。

本当に誰も考えていなかった、他人の家に泊まるサービスを可能にすることにすごく惹かれました。当時日本企業が得意としていたタイムマシン経営との違いも、ますます中の法務が何をやっているのか学び尽くしてやるという気持ちにさせました。

2017年にシニアカウンセル、2020年の9月にはリードカウンセルに就任されました。

日本人がリードカウンセルになったことは、大きなマイルストーンだと思います。

外資企業は、役職に応じた細かいジョブディスクリプションが決められていて、今の法務の場合、年齢や在籍期間を考慮しないことも明確に書かれています。10年勤続しても「ご苦労様」的に昇進できるわけではないのです。

日本の会社と異なり、いわゆるジョブ型であり、リードカウンセルになれる要件が明確です。要件を1つでもクリアできなければ情実でなれません。つまり、誰に対してもチャンスがあり、また、平等です。

私は、仕事を通じて足りないものを埋める努力をずっと怠りませんでした。上司には、オープンに、今の自分と次のポジションで足りないものは何か、それを埋めるためにはどうしたらよいかを聞き、足りないものを埋める工夫をしてきたと思っています。

シニアカウンセル、リードカウンセルのジョブディスクリプションについて伺えますか。

シニアカウンセルと普通のカウンセルの違いは一言で言うと「案件を前に転がしていけるかどうか」です。

Airbnbに入社した当初、求められた意見に対して日本法におけるアイディアを出していました。すると、上司に「プロジェクトの分析はしているけれど、前に進んでいない」と指摘を受けました。「案件を前に進めていくこと、Enableする(可能にする)のが法務だ」と言われたのです。

日本企業の考えとはだいぶ異なる印象です。

Airbnbの初代ゼネラルカウンセル、ベリンダ・ジョンソンが、韓国を訪問したとき、私も日本からかけつけました(注:入社時、Northeast Asiaすなわち日本と韓国を1人受け持っていました)。

ベリンダが、「リーガルの決定1つで、会社が成長するか、死ぬかが決まるのよ。毎日の私達の判断が「grow or die」に直結するの」と教えてくれたのを今でも忘れていません。

事業部の方の発言ならわかりますけど、法務の一番偉い人に「growできるようにチャンスをもぎ取れ。しっかり考えろ」と言われ、ハンマーで頭を叩かれたような感覚でしたね。

外資のなかでも、法務にそのような役割を求めるのは例外的なのでしょうか。

イノベーションが求められるインターネット業界においては、案件を前に進めるマインドがないと残念ながら価値を認めてもらいにくいです。米国では、著名な企業で組織のトップに近いポジションの方でも、高いストックオプションを得てスタートアップに1人で飛び込むこともあります。

事業を立ち上げ、世界を変えていくときに、ただ専門知識を振りかざして「NO」を連発する人に高い価値を付けないのだと思います。

シニアカウンセルとリードカウンセルのジョブディスクリプションの違いについても教えてください。

ビジネスをEnableする大きさです。リードカウンセルには来た案件を進めるだけでなく、事業計画を実現する法務戦略の立案と遂行が求められます。

渡部さんがリードカウンセルに選ばれたポイントはどこにあると考えていますか。

難しいご質問です。私の計画では、リードカウンセルになるまでは2020年以降最低3年かかると思っていたからです。

1つ鍵となったのは、Enableした案件の与えたビジネスへのポジティブな貢献度があると思います。

これも独力で達成したものでは決してありませんが、日本では、世界ではじめて国のレベルで民泊を適法化する法律(住宅宿泊事業法)が2017年に成立し、2018年以降に、物件に適法性が求められることとなりました。

ホスティングをする方に対して提供するプラットフォームは、UI・UXを含めて世界各国で同じにしたいのですが、日本の法律が求める適法性を確認する大規模かつ体系的なプロセス(プロダクト自体とオペレーションの双方での立案が不可欠です)は、法律と同じく世界初だったのです。

そこで、我々は日本の法令に適合するためのプロダクトとオペレーションを、米国やアジアの同僚を次々と巻き込んで形にしていきました。このプロセスによって、Airbnbが日本で扱っている物件の99%以上が適法となりました。

プロジェクトの期間や進め方について教えてください。

新法ができるとわかった頃から準備をしていました。

法的に必要なことやビジネスインパクトを整理し、開発チーム探しとコスト分析も実施したうえで、経営陣の承認を得て、開発に至るまでグローバルでチームを運用したのです。

法律の内容、要件を伝えてあとは事業部で考えてください、で終わってしまうと案件を前に転がせていないですね。シニアカウンセルになると、要件をベースにプロダクトのアイディアを出し、事業部と相談しながら一緒に作ります。今回はその規模がとても大きかった。

弁護士のスキルとは、別物ですね。

そうです。だから「渡部先生」と言われると、逆に懐かしいというか、「春の熊くらい好きだよ」の表現に似たくすぐったい感じがします(笑)。

Airbnbにいて「私が(主語が “I”)」で達成したことはありません、全部「私達(“We”)」だと言うのが実感です。

若いインハウスロイヤーの方が、私によく相談にきてくださいます。仕事が面白くない、どうでもいい契約書ばかり見ている、年次が上がらないとこの仕事はできないと言われる、事業を助けている気がしない・・・。

会社の社風は気概では変えられませんが、事業をEnablesさせる目線を持っていると楽しいですし、そのために必要なスキルやナレッジはAirbnbで働くことで理解できました。私はこの経験を陳腐化させたいのです。

事業をEnablesさせるスキルを磨き持っていれば、社内・社外問わず、必ず必要とされ、光があたる瞬間が来ます。

たとえば、人数も能力も同等であるが、事業をEnableできない法務部AとEnableできる法務部Bが社内に2つあって選択できれば、お客様は後者法務部Bを選ぶからです。

NOで事業を殺さない法務に 自分の姿勢は誰かが見ていてくれる

渡部さんが仕事をするうえで心がけていることについて教えてください。

DeNAに在籍していた時、どう考えても難しい案件に対してほぼ「NO」の意見を出したことがあります。

紆余曲折の末、ピンポイントの解決策が見つかってサービスをローンチしたのですが、去年100億円のバリューがつきました。自分の判断が将来100億円の価値を生む事業の種を守っている、「NOで事業を殺さない法務」であろう、と日々心がけています。

条件付きでも、法務が「YES」と言うのは怖いし、ギリギリまで考えないといけません。

「法務リスクがあります、できません」と言っていれば新しいリスクも生じず、仕事として成立します。「NO」と言うのが一番楽です。でも、それなら弁護士や法務部員は必要ないですよね。

とはいえ、事業を前に転がすことを法務に求める組織も少ない印象があります。

もちろん、部署の雰囲気は簡単には変えられません。ただ、自分の仕事の仕方には関係ないはずです。周りに影響される必要はないし、結果的に誰かが止めろと言うなら、それで良いじゃないかという割り切りも必要です。

安易に「NO」と言う空気に染まると抜け出せません。事業を前に動かそうとしている自分のことを誰かが見ていてくれるはずです。

その姿勢が輝かしい受賞歴にもつながったのでしょうか。ALB Japan Law Awards では3年連続受賞されています。

2018年に個人、チームで受賞したのですが腰が抜けるほど驚きました。3年連続の受賞は身に余る光栄ですし、最優秀を2度受賞したのは日本人初と事務局の方が教えて下さいました。良い仲間と良い仕事ができ、周りに見ていただける機会が増えていると思います。本当に幸運です。

渡部氏の受賞歴

2018年 In-House Lawyer of the Year 2018(最年少受賞)
Most Innovative In-House Team of the Year 2018
2019年 Technology, Media and Telecommunications In-House Team of the Year 2019
2020年 In-House Lawyer of the Year 2020(2度目の受賞は日本人初)

受賞されてどのようなお気持ちですか?

身に余る光栄です。また、多くの方に見えるところ見えないところで支えていただいて、受賞もひとえに、これらの皆様のおかげです。本当に心から感謝しています。

ただ、私の中では受賞がゴールではなく、いろいろな先輩から教えていただいたことを若い方々へ早く広く共有するのがゴールです。法務の仕事がうまくいくためのマインドやセオリーを見える化し、良い方向に変えたいですね。成長意欲があり、共感して下さるがいれば何でも秘訣を公開します。

2020年にはこれまで参加されていなかった若い法律事務所や若い先生向けにガイドを執筆し、その先生方がノミネートされたときには自分ごとのように嬉しかったです。

トロフィー

起業家のアイディアをEnableする弁護士、法務担当者を増やす夢

グローバルでは日本企業の法務はどう評価されていますか。

かなり高い評価を受けている例もあります。Airbnb米国本社のリーガル部門のトップは、日本のとある伝統企業と米国企業のジョイントベンチャーで働いたことがあるため、日本の法務の方はすごく真面目かつ優秀で、語学もすごく頑張っていると評価していました。

一方で、海外と比較して日本企業の法務の弱さを指摘する声も見られます。

日本のデジタル産業でトヨタのような会社が出てこなかった理由を考えていました。

法務がすべてをEnableしたのか? Airbnbが生まれる前、仮に同じアイディアを相談された時、日本の弁護士事務所・法務は「こういう条件ならできます」とアドバイスできたのか?

常にこの問いが原点にあります。

それができれば、日本の法務は海外と同じように強いと思います。それができないのであれば、何らかのギャップ・秘密があるはずです。

ギャップはありそうですね。今後も、その問いを続けていくのでしょうか。

起業家のアイディアをEnableする弁護士、法務担当者を増やすことが私の夢です。Airbnbで学んだことを日本の法曹や法務・コミュニティに還元していきます。

自分がやってきたことを礎にして、誰かがさらに発展、成功されたら、うれしいですよね。「どうぞ先に行ってください」という感じです。自分は一番前にいるより、誰かの渡る橋をこっそり手作りしていたいです。

汗をかいて一緒に事業価値をつくっていく人たちの層が厚くなれば面白くなると思います。

もちろん、私にも沢山の欠点や盲点(ブラインドスポット)がありますし、得意能力を発揮できるのは皆様が整えてくださった限定的な場面ばかりです。だからこそ、常に謙虚さをもって、誰かを助け、その方の夢を実現する過程で、良いものが生まれ、日本の法務は螺旋状に高く・強くなっていくのではないでしょうか。

皆が同じようなキャリアでなくて良いのです。若い人たちが憧れる弁護士、法務、仕事の仕方も考えてキャリアを提供していきたいです。私がお役に立てることがあれば、できる限りサポートしたいです。

Airbnbリードカウンセル、日本法務本部長 渡部 友一郎

書籍発刊のお知らせ

渡部 友一郎氏の著作『高速マスター 法律英単語®2100 法律・基礎編』が2021年1月に発刊されました。この機会にぜひご覧ください。

(写真:弘田 充、取材・編集:BUSINESS LAWYERS 編集部)

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