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AIは法務の仕事を奪うのか? 契約業務におけるAIの到達点と導入時の4つのフローPR Legal Innovation Conference 〜法務のDX〜で角田望氏が講演

法務部

目次

  1. 現在のAIの到達点
  2. AIが法務の力を拡張し、企業成長への一層の貢献を実現
  3. AI導入時の4つの検討フロー
  4. 「LegalForce」ユーザーの93%が契約書レビュー時間の削減効果を、80%が品質向上効果を実感
  5. AIを有効活用し、グローバルでも引けを取らない法務体制の構築を

AI技術の発展により、さまざまなサービスや製品が近年続々と登場しています。もちろん、法務業界も例外ではありません。

一方、「AIが法務の仕事を奪ってしまうのでは」という危機感や不安を耳にすることもしばしばあります。実際にAIをはじめとするテクノロジーが法務の業務を代替することは可能なのでしょうか。

2020年11月4日にBUSINESS LAWYERSが開催したオンラインイベント「Legal Innovation Conference 〜法務のDX〜」では、LegalForce 代表取締役CEO/弁護士 角田望氏が「AI活用で進化する契約業務~契約業務におけるAIの到達点~」と題して講演。法務におけるAI・リーガルテック活用の現状や、導入時の検討フローについて解説しました。

現在のAIの到達点

米国IBMのコグニティブコンピューティング技術「IBM Watson」が日本市場での展開をスタートした2015年。当時、米国の法律事務所幹部を対象に行われた調査 1 では、回答者の47%が「パラリーガルは5〜10年の間にIBM Watsonに取って代わられる」、35%が「1年目のアソシエイトは5〜10年の間にIBM Watsonに取って代わられる」と回答しています。

出典:Altman Weil「2015 Law Firms in Transition : An Altman Weil Flash Survey」

出典:Altman Weil「2015 Law Firms in Transition : An Altman Weil Flash Survey」(角田氏講演資料より)

そこから5年経過し、AIはいまどういう水準にあるのでしょうか。今年7月、米国の非営利団体OpenAIが開発する「GPT-3」という言語モデルのAPIが一般に公開され、高精度で自然な文章を作ることができるツールとして大きな反響を呼びました。

こうした現状について角田氏は「文章生成や分類などといった個別のタスクを実行するAI技術は飛躍的に進歩している」と解説しました。一方で、「依然としてコンピュータは知性を有していない」とも指摘。「大量のデータがあればもっともらしい文章を生成することはできるが、知識・知性を有していないために、意味的な正しさを検証することはできない」と、現在のAI、とりわけ自然言語処理技術の到達点について説明しました。

株式会社LegalForce 代表取締役CEO /弁護士 角田望氏

株式会社LegalForce 代表取締役CEO/弁護士 角田望氏

AIが法務の力を拡張し、企業成長への一層の貢献を実現

このように現状のAIは、知性を備えるところまでは至っていませんが、適用分野や業務によっては大きな効力を発揮します。それでは法務の領域ではどうでしょうか。角田氏は、米国法曹協会(ABA)によるアンケート調査結果 2 を紹介しながら、法務における米国企業のAI導入状況について説明しました。

同調査のレポートによると、現在、法的な実務でAIを導入・使用していると回答したのはわずか7%。23%はAI導入に興味がないと答えています。このように、意外にもAIが浸透していない理由としては、米国で普及しているAIサービスは、費用が高い割に期待される成果が生みだされていないという背景があるようです。他方、所属弁護士が100名を超える大手ローファームでの導入率は17%にのぼっており、資金力のある組織から導入が進んでいるという状況も伺えます。

「現時点のAIは人を代替する水準には至っていないが、自然言語処理の技術は進歩しており、AIは今後、ソフトウェアとして業務に浸透していくだろう。法務の視点からいえば、法務業務を補助する、あるいは拡張するものとして普及していくと考えている。今後5年くらいかけてAIやリーガルテックの導入が進むだろう」(角田氏)

さらに角田氏は、AIの強みと弱みを理解することが、AIによる法務の変化を考える出発点となるとしたうえで、「情報の抽出・分類・定型文の生成などはAIの強みだが、意味を理解しなかったり知識を持たなかったりすることは弱みといえる。契約書からの情報抽出や、情報整理、データベース化はAIに任せられるが、それらの整合性を踏まえた意思決定や交渉などは人が手掛ける必要がある」と、法務でのAIの適用方針について解説。その効果について、次のように語りました。

「AIを活用することで、単純作業の代替による既存業務の効率化や、契約書のリスク制御の徹底をはじめ、人による業務の品質向上などが期待できる。それにより、法務の力を拡張し、より企業成長へ貢献していくことができるだろう」(角田氏)

AI導入時の4つの検討フロー

続いて、実際にAIを導入する際の検討フローが紹介されました。まず角田氏は「AIやリーガルテックはあくまで手段。導入が目的になってはならない」と、AI活用の大前提について念を押します。

AI導入の一番初めのステップはAI活用の目的を明確化にすることです。目的を定めるうえで重要となるのが、「既存業務の生産性をいかに上げるか」という視点です。特に契約業務においては、AIは生産性向上の手段と位置付け、「品質」と「スピード」の双方をいかに上げていくかという発想が求められます。

AIの導入目的が明確になったら、次にやるべきことは現状の業務フローの分析と課題の洗い出しです。角田氏は契約業務のフローごとに考えられる品質・スピード面の課題について、下図のとおり例示しました。

AI導入の手順と、各工程における課題例(角田氏講演資料より)

AI導入の手順と、各工程における課題例(角田氏講演資料より)

こうした自社の業務フローや課題が洗い出せたら、それに適したテクノロジーについて、その効果や導入・運用コスト等を検討し、具体的なサービス・製品を選定していきます。

導入後は、PDCAを回しながら運用していくことが重要です。特に、自社でAIを開発した場合には、「メンテナンスや精度向上を行うリソースがない」「AIに学習させるデータが足りない」などといった状況に陥らないよう注意が必要です。またSaaSであれば、低い運用コストで継続的にPDCAを回していくことが可能といえます。

「LegalForce」ユーザーの93%が契約書レビュー時間の削減効果を、80%が品質向上効果を実感

角田氏が代表を務めるLegalForceでは「進化し続ける法務インフラ」「ともに成長を目指す、パートナー」「AI製品のネックである運用コストを最小化」をサービスコンセプトに、AI契約書レビュー支援ソフトウェア「LegalForce」と、クラウド契約書管理システム「Marshall」β版を提供しています。

弁護士とエンジニアが共同で開発するLegalForceは、京都大学との共同研究による最先端のAI技術が取り入れられているほか、企業法務に精通した法律事務所が提供するコンテンツを搭載していることが特徴です。組織の規模を問わず多くの企業や法律事務所が活用しており、2019年4月に正式版がリリースされてから約1年半の9月時点で500社以上が導入に至っています。

「2020年4月にLegalForceのユーザーに対して行ったアンケートでは、93%のユーザーが契約書レビュー時間の削減効果を、80%のユーザーがレビュー業務の品質向上効果を実感していることがわかった。また、削減効果があったと回答したユーザーは、平均約30%の業務時間削減を達成している」(角田氏)

さらに、今年8月にはMarshallのβ版がリリースされました。同サービスは、締結した契約書のPDFデータをアップロードするだけで、契約締結日や当事者名などの契約書情報が自動で抽出され、検索可能なデータベースを作成するというものです。現在は、オープンβ版として無償提供されています。

AIを有効活用し、グローバルでも引けを取らない法務体制の構築を

ここまでの講演の内容を踏まえ、角田氏は「AIは法務の仕事を奪うのか?」という問いに、改めて「No」という結論を示しました。またAIはあくまでツールであり、強みと弱みを理解したうえで有効活用することが重要であることを強調。「AIの利用で先進的なイメージのある米国でも活用は始まったばかり。日本でも上手くAIを取り入れていくことで、グローバルでも引けを取らない法務の体制をつくれるのではないか。当社もテクノロジーという側面からそこに貢献していきたい」と語り、講演を締めくくりました。

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