経営者、事業承継の選択肢は「M&A」が2割

コーポレート・M&A

目次

  1. 60~70代でM&Aへの抵抗感強く
  2. 「M&Aの提案、受けたことがある」17%

 団塊の世代のすべてが後期高齢者となる2025年の到来に向けて、多くの中小企業において喫緊の課題となっている事業承継。自らの事業を譲ろうとする経営者たちは、どのような手段による「バトンタッチ」を考えているのだろうか。近年、事業承継の選択肢として存在感を高めている「M&A」だが、M&A仲介大手のストライク(M&A Online)が行ったアンケート結果からは、特に高齢の世代にM&Aが浸透していないことがわかった。

【アンケートの概要】
実施期間:11月7~11日
調査手法:インターネット
調査内容:世代別(20代~70代以上)の意識調査
対象:中小企業経営者
有効回答者数:311人

 M&A仲介大手のストライク(M&A Online)が、中小企業の経営者に対して、事業承継の選択肢を聞いたところ、「M&A(合併・買収)が有効」と答えた経営者は2割にとどまった。「廃業」と回答した割合をやや下回り、M&Aによる事業承継が経営者の間でなお一般化しているとはいえない実態が明らかになった。

60~70代でM&Aへの抵抗感強く

 ストライクが全国の中小企業の経営者へインターネットで2019年11月に調査を実施し、311人の有効回答を得た。事業承継の選択肢について有効と考える手段を聞いたところ、「M&A」は20.6%だった。「廃業」(22.8%)をやや下回った。最も多かったのは、子供や配偶者が継ぐ「親族内承継」で49.8%、次いで「従業員による承継」が30.9%だった。

事業承継の選択肢として有効と考える手段(全世代)

事業承継の選択肢として有効と考える手段(全世代)

資料提供:株式会社ストライク

 特に60代~70代以上の世代ではM&Aに対する抵抗感が強いようだ。世代別に回答を見ると、70代以上でM&Aを選んだ割合は4.3%だった。一方で、20代~50代では、いずれも25%を超えていた。

事業承継の手段としてM&Aが有効と考えている回答者の割合(世代別)

事業承継の手段としてM&Aが有効と考えている回答者の割合(世代別)

資料提供:株式会社ストライク

「M&Aの提案、受けたことがある」17%

 M&Aの提案を受けた経営者の割合も低迷している。「M&Aについて提案を受けたことがあるか」との質問には、「ある」と回答した経営者は16.7%にとどまった。

M&Aについて提案された経験の有無(全世代)

M&Aについて提案された経験の有無(全世代)

資料提供:株式会社ストライク

 提案を受けた内容については、買収が57.7%、譲渡が40.4%、合併が36.5%だった。年代別では、20代の経営者で「ある」と答えた経営者は5割、30代では3割に達したが、50代以上の経営者では2割を切っている。

M&Aに関して受けた提案内容

M&Aに関して受けた提案内容

資料提供:株式会社ストライク

M&Aについて提案された経験の有無(世代別)

M&Aについて提案された経験の有無(世代別)

資料提供:株式会社ストライク

 「自社の企業価値について評価したことがあるか」との質問に対しても、「したことがない」と答えた経営者は89.1%にのぼった。「相続税の評価をしたことがあるか」との質問でも80.7%が「したことがない」と回答し、事業承継に悩みつつも、具体的に行動を起こしていない経営者が多い実態が浮き彫りになっている。

自身の会社の企業価値について評価した経験の有無

自身の会社の企業価値について評価した経験の有無

資料提供:株式会社ストライク

 税制改正などによってM&Aを行いやすい環境も整ってきている。特に、経営者の高齢化に伴って事業承継プラン検討されている方にとっては、社外も含めた幅広い選択肢を視野に入れることも有用と言えるだろう。

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