【セミナーレポート】監査等委員会制度のポイントと議事録作成の実務と実践

コーポレート・M&A

 上場企業にとって、新たなガバナンス体制として注目されている「監査等委員会設置会社」。本年度も多くの会社が「監査等委員会設置会社」への移行を表明していますが、監査等委員会の運営等は手探りの部分も見られます。 そのような中、7月1日(金)にレクシスネクシス・ジャパンでは司法書士の鈴木龍介氏を講師に迎え、「監査等委員会制度のポイントと議事録作成の実務と実践」と題したセミナーを開催しました。

セミナーの概要

 本セミナーでは、すでに「監査等委員会設置会社」に移行した企業だけでなく、今後、移行する企業も対象に含めて、監査等委員会議事録の作成を念頭に置きつつ、制度のアウトラインから実務上のポイントまでコンパクトに解説が行われました。

司法書士ならではの視点

 「監査等委員会」制度創設の背景と経緯、現状というアウトラインの解説から、制度、議事録作成、各議案のポイントと記載例に至るまで、実践的な内容について丁寧に解説されました。
 セミナーの特徴としては、講師が実際に上場会社の社外取締役(監査等委員)であり、かつ、司法書士であるという事があげられます。議事録作成後の登記実務まで視野に入れ、制度設計から検討できた事は非常に貴重な機会といえます。

 また、教材にも特徴が見られました。講師作成のレジュメに加え、書籍『議事録作成の実務と実践』(レクシスネクシス・ジャパン)を用いて行われたのですが、本書は①実務指針となる根拠の明示、②商業登記申請への対応、③英文記載例も掲載、という3つの特徴を備えており、セミナーで得た知識を実務に落とし込むための最良のツールと言えそうです。

ホワイトボードも活用し、熱い講演が行われた

セミナーの魅力

 「今後の導入にあたって、疑義が生じた際に立法の背景を見極めること、紛争があった際には経緯を知ることが有用」と制度創設の背景に立ち返る重要性に触れたことが印象的でした。

 監査等委員会制度に限らず、社内に新しい制度を導入し、運用のフェーズに入った場合、立法時の考え方にまで立ち返る機会は少ないのではないでしょうか。

 また、実際の議事録作成のポイントについては、ひな形を自社に適合させるために社内で議論する重要性が語られました。 このように、制度の根本に立ち返ること、議事録の形だけを整えても意味がないことについて、実務を知り尽くした講師から対面で語られたことこそが本セミナーの最大の魅力だったのかもしれません。

おわりに

 会場に集まった参加者は、皆熱心にメモを取り、大きくうなずく場面も見られ、「外形を整えるだけではなく、真にガバナンスが効いた制度を作りたい」という決意のようなものが感じられました。2時間という講演時間でしたが、終わりまで熱気が冷めることなく一気に駆け抜けて終了しました。

議事録作成の実務と実践

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