M&Aをもっと身近に 国内の案件を検索できるデータベースが無料公開
コーポレート・M&A
武田薬品工業による大型買収や、事業承継税制の改正、相続法の改正、活発化するベンチャー企業への投資など、日本企業のM&A(合併・買収)に関心が高まっている。
M&A仲介サービス大手のストライクがリリースした「M&Aデータベース」は、無料でありながら日本企業が関わった国内のM&A件数や具体的な企業名、買収額などを様々な切り口から検索可能なサービスだ。
上場企業の適時開示の数字を集計したデータソースを用いて、四半期別、年別などの期間や住宅・不動産、運輸・倉庫、銀行、保険など50近くの業種別の検索に対応。株式譲渡、株式交換などM&Aのスキーム別に検索もでき、業界のトレンドを容易に把握したいというニーズにも応える。都道府県別にどのような事業が売却・買収されたのか簡易に探すことができるため、地域経済の動向を把握することも可能だ。
シンプルに情報が整理されている点も特徴といえる。画面上部のタブをクリックするだけで、「買収金額」「スキーム別」「業種別」「地域別」のランキングがひと目でわかる。
当記事掲載時(2018年12月時点)の「2018年買収金額トップ10」のランキングを見ると下記のとおりとなっている。
NO. | 公表日 | 対象企業・事業 | 買付者 | 買収金額 |
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1 | 2018/05/08 | Shire plc | 武田薬品工業(株) | 約7兆円 |
2 | 2018/09/11 | Integrated Device Technology, Inc | ルネサスエレクトロニクス(株) | 約7,330億円 |
3 | 2018/01/31 | Xerox Corporation | 富士フイルムホールディング... | 約6,710億円 |
4 | 2018/07/05 | 欧州での産業ガス、炭酸ガス事業、ヘリウム事業. | 大陽日酸(株) | 約6,438億円 |
5 | 2018/10/31 | Colonial First State Asset Management (Australia) Limitedなど 9社 |
三菱UFJ信託銀行(株) | 3,280億円 |
6 | 2018/10/23 | (株)シーズ・ホールディングス | ジョンソン・エンド・ジョンソン | 約2,300億円 |
7 | 2018/03/16 | ドンスコイ・タバック | 日本たばこ産業(株) | 約1,900億円 |
8 | 2018/10/31 | Tokio Millennium Re AG | RenaissanceRe Holdings Ltd. | 1,685億円 |
9 | 2018/08/06 | United Dhaka Tobacco Company Limited |
日本たばこ産業(株) | 約1,645億円 |
10 | 2018/10/26 | クラリオン(株) | エナップ シス エスエーエス | 約1,409億円 |
※ 2018年に適時開示で公表したM&Aを集計。 経営権の移動を伴うM&Aを対象としている。
M&Aには弁護士、投資家、投資銀行、アナリストなど専門的な知識を持ったアドバイザーが関与するが、ストライクでは企業の経営企画部門や投資部門、中堅・中小企業の経営者に関心を深めてもらうことで、M&Aがもっと身近になることを目指している。
今回の開発について、同社は「企業経営者や一般の方々のM&Aの認知度を高めたり、より身近に感じていただくようになることが目的」と語る。
現在公開されているデータは2014年から2018年までのものとなっているが、来春にもデータを拡充し、2009年以降の時系列データが公開できる予定だという。
(取材、構成:BUSINESS LAWYERS編集部)