ビジネスで役立てる「契約書作成・管理の極意」PR

取引・契約・債権回収
服部 誠弁護士 阿部・井窪・片山法律事務所 青木 祐一 株式会社ワンビシアーカイブズ・アーキビスト

目次

  1. 専門家が語る「契約書管理の極意」 

契約書の作成や管理の実務は企業活動において欠かせないものです。しかし、初心者はもちろん、ある程度経験があっても、自社の契約書式の見直しや非定型的な契約書業務においては、形式・内容ともに十分なものになっているのか、不安に思ってしまうことがあるのではないでしょうか。

そこで、企業の法務・総務・人事担当者、営業・契約担当者、弁護士など契約書実務に携わる方に向けて、「契約書作成・管理の極意」と題し、契約書の作成から管理までの注意すべき点を解説するセミナーが2月23日、東京・虎ノ門タワーズオフィスにて開催されました。セミナーには定員60名を大幅に超える申し込みがあり、注目度の高さがうかがえます。本稿では、セミナーの様子を一部お届けしたいと思います。

弁護士が解説する「契約書作成実務の勘所」

セミナーの前半では、「契約書作成実務の勘所-企業間の業務委託契約を中心に-」と題して、阿部・井窪・片山法律事務所のパートナー弁護士である服部誠弁護士による基調講演が行われました。

契約書の役割について服部弁護士は、「契約内容の認識が双方でずれていたときやトラブルがあったとき、損害賠償請求したいと思ったとき、あるいは契約解消したいときに、解決するための指針になるもの」であると説明します。

通常、契約の際には、どちらかがはじめにファーストドラフトを提示します。しかし、相手方から提示される内容は当然、相手方に有利なものになっているため、思わぬ落とし穴があると服部弁護士は指摘します。一方、自社で作成する場合は、ひな形を活用しつつも、修正すべき点はないか、作り直すべきか、よく見極めることが重要であるとします。

続いて、服部弁護士は契約の前提となる法律知識について解説しました。契約に関する法律の規定は、「任意規定」と「強行規定」の2種類に分類することができます。任意規定とは、法令の規定のうち当事者がそれに反する意思表示をすれば適用されないものです。一方で、強行規定は、第三者の利害関係や公の秩序、善良の風俗に影響がないようにするための規定で、当事者の合意があっても排除することができません。

契約の規定は、「契約自由の原則」により、原則として法律の規定よりも優先されますが、強行規定に違反する契約は無効となります。また、契約に取り決めがない場合や損害賠償請求の規定がない場合などには任意規定が適用されます。したがって契約においては、任意規定と異なる規定、あるいは任意規定で決められていないような規定を定めておく必要があります

任意規定と強行規定の関係
  • 任意規定:当事者の合意があると排除できる法律の規定
  • 強行規定:当事者の合意では排除できない法律の規定
  • 原則:契約>法律(私的自治→契約自由の原則)
  • 例外:強行法規(公序良俗、弱者(労働者、消費者、下請業者等)保護に関する法律、業法等)
  • 契約に取り決めがない場合:任意規定の適用
  • 適用される順番:強行法規>契約>任意規定

今回の基調講演では、特に業務委託契約に着目して話が進められました。業務委託契約とは、企業が行う業務を外部の第三者に委託する場合に用いる契約で、委任、請負ないしそのハイブリッドであるという法的性格を持ちます。服部弁護士は、まず委任と請負との違いを押さえておく必要があるとしたうえで、2020年4月より施行される民法改正による契約書作成実務への影響点についても解説しました。

改正民法では業務委託契約と関係しうる項目がいくつかあります。しかし、改正事項はいずれも任意規定であるため、契約書で定めておけば法改正の影響は小さいといいます。ひとつ確認しておきたいのが、売買や請負の瑕疵担保責任制度の改正です。売主・請負人の担保責任について、「瑕疵」が「契約不適合」という概念に改められます。したがって、従来の契約書では「瑕疵または数量不足」と表現されていた内容を「種類、品質または数量に関して本契約の内容に適合しないもの」と文言を書き換えたほうが法律の内容に即した契約になるとの指摘がありました。

セミナーではこの後、契約書作成においてチェックしなければならないポイントについて、業務委託契約のひな形を参考として具体的にみていきました。服部弁護士は、契約書作成で重要なことは「想像力」であるとしたうえで、「個別具体の取引において、将来もし揉めるとするならばどんなところで揉めるのか、どんなところは守ってもらわないと困るのか、ということを想像することが大切です。また、相手方との交渉場面において、相手の真意、対案を汲んだうえで、どういうところに落とし所があるか、折衷案を想像することも大事です」と語りました。

阿部・井窪・片山法律事務所 服部誠弁護士

阿部・井窪・片山法律事務所 服部誠弁護士

専門家が語る「契約書管理の極意」 

続いて、セミナーの主催者である株式会社ワンビシアーカイブズのアーキビスト(記録情報管理の専門職)である青木祐一氏が、「契約書管理の極意-企業における契約書管理の重要性とそのあり方-」をテーマに、講演を行いました。ワンビシアーカイブズは、契約書を含めた書類やデータなど、企業内情報の保管・管理・集配・抹消サービスを行う専門企業です。青木氏は、実際にアーキビストとして契約書の管理をサービスとして提供する立場から、契約書管理の極意について解説しました。

契約書の管理において、有効な契約書と失効した契約書が混在してしまっているケースはよくあります。また、営業拠点ごとに管理方法が異なっていたり、原本とコピーが別々に管理されていたりなど、適切な管理ができていない企業は案外多いのではないでしょうか。しかし、契約書管理がきちんとできていないと、コンプライアンス上の問題があるだけでなく、正しい情報に基づいた営業活動ができません。

しかしながら、保管・更新期限の管理の煩雑さや電子化にかかるコスト、保管場所の不足、紛失のリスクなどが課題としてあり、適切かつ効率的な契約書管理を自社で行うことはハードルが高いといえます。青木氏は、これらの課題を解決するポイントとして、管理番号や検索キーの設定、更新・保管期限の一元管理、管理担当者の設置、アクセス権限の設定、日常業務に原本を用いないことなどをあげました。

実際に、ワンビシアーカイブズでも過去に契約書管理の課題を抱えていましたが、すべての契約書を電子化し、システム登録して管理することで課題を解消し、効率的な契約書管理が行えるようになったそうです。法務だけでなく、経理、営業、総務まですべての部署に効果があったと振り返ります。

ワンビシアーカイブス社の契約書管理・運用フロー

ワンビシアーカイブス社の契約書管理・運用フロー

一方で、先ほど述べたように現実的には、契約書の管理すべてを自社できちんと行うことは非常に大変です。青木氏は、書類のライフサイクルを、「発生」「利用」「保管」「処分」「(永久)保存」の5つのフェーズに分けたうえで、後半の「保管」「処分」「保存」のフェーズはアウトソーシングが可能であると話します。ワンビシアーカイブズではこれら書類のライフサイクルのフェーズに対して、契約書原本の保管に加え、すべての電子化とシステム管理を併せたサービスを提供しています。電子化により、必要なときにはPDFで契約書を確認することができるようになります。

しかし、電子化には少なからずコストがかかります。また紙での保存義務が定められている書類もあることから、すべての書類を電子化した際の運用の難しさがあります。実際に、すべての書類を電子化したとしても、その約8割はほぼ利用されていないというデータもあります。そこでワンビシアーカイブズでは、保管しているファイルや書類のなかから必要なものを指定することで、指定の書類のみを電子化してPDFで閲覧できるようにするサービスも提供しています。こちらは、必要な時に必要な書類のみを電子化するので、すべてを電子化するのに比べて低コストであることが特徴です。実際にこのサービスを導入した大手不動産企業では、契約書管理における業務効率の改善と大幅なコスト削減を実現しているといいます。

さらにワンビシアーカイブズでは、1箱から書類を預けることができ、見たい書類を指定することで見たい書類をPDFで閲覧できるようになる「書庫探」というサービスも展開しています。1箱90円/月(税別)という保管コストの安さとPDFで書類を閲覧できる利便性を併せ持つことが特徴で、会社の規模によらず利用することができます。

青木氏は、ここであげたワンビシアーカイブズのサービスに共通する点として「社内から書類がなくなることで、自分で探す必要がなくなるうえ、原本を動かさずにPDFで確認でき、契約情報を一元管理できるという点」であると説明します。そして、「外部のサービスをうまく利用しながら戦略的な契約書管理をしてほしいと思います」と会場の参加者へメッセージを送りました。

ワンビシアーカイブズ アーキビスト 青木祐一氏

ワンビシアーカイブズ アーキビスト 青木祐一氏
株式会社ワンビシアーカイブズ
本社所在地:東京都港区虎ノ門4-1-28(虎ノ門タワーズ オフィス)
設立:1966年4月1日
資本金:40億円
売上高:約213億円(2016年度)
代表者:代表取締役社長 田淵秀明
従業員数:788名(2017年3月31日現在)

ワンビシアーカイブズ企業サイト
文書管理お役立ちブログ

(取材、構成:BUSINESS LAWYERS編集部)

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