対内直接投資等に関する令和8年外為法改正の概要と実務ポイント
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目次
対内直接投資等に関して、外為法の一部を改正する法律案が2026年3月17日に閣議決定され、第221回特別国会における同年5月29日の参議院本会議にて賛成多数で可決成立しました(以下「本改正法」といいます)。本改正法は、同年6月5日に公布され、一部(日本版CFIUSの創設に関する条項)は同日付で施行されました。それ以外の条項については、公布の日から1年以内に施行される予定です。
今回の改正は、対内直接投資等の促進が重要な政策課題である一方、国際情勢の複雑化や安全保障の経済分野への急速な拡大を背景に、国の安全等を損なうおそれがある対内直接投資等に適切に対応するため行われるものです。改正項目は、①「行為時事前届出」および「指定業種の範囲の限定」、②リスク軽減措置に関する手続の法定・措置命令等の新設、③間接取得規制の導入、④外国政府等の支配・影響下にある居住者に対する「みなし規定」の適用範囲の拡張、⑤非指定業種への投資に対する措置命令等の新設、⑥日本版CFIUSの創設等、の大きく6つです。
本記事では、本改正法のポイントと実務に与える影響について解説します。
外為法の定める対内直接投資審査制度とは
外国為替及び外国貿易法(外為法)は、貿易や資本取引、為替取引など対外取引全般を規律する法律であり、対内直接投資審査制度はその一部として、外国投資家による我が国企業への経営関与を目的とする取引または行為を規制するものです。この制度は、国の安全等を損なうおそれがある外国投資家による投資を事前に把握し、必要に応じて是正を求めるための仕組みです(外為法27条以下)。
具体的には、外国投資家が、防衛・エネルギー・通信等の「指定業種」を営む会社の株式等を一定割合(上場会社の場合は原則として1%、非上場会社の場合は閾値なし)以上取得する場合等に、あらかじめ財務大臣等への事前届出が義務づけられています(なお、一定の基準を遵守して免除制度を利用する場合、非コア業種については事前届出が免除、コア業種については上場企業の場合は取得比率が10%以上となるとき、非上場会社の場合は閾値なしで事前届出が必要となります)。事前届出の審査において、国の安全等を害するおそれがあると認められれば、投資の中止勧告・命令等がなされることがあります。
事前届出には、外国投資家が株式等を新たに取得する際に必要となる「取得時事前届出」と、株式等の新規取得を伴わない役員選任への同意や事業の譲渡・廃止の提案等の行為を行う際に必要となる「行為時事前届出」の2種類があります。
こうした届出義務は、株式譲渡やTOBによる買収に限らず、資本業務提携や合弁会社の設立、さらには既存株主による役員選任への同意など、幅広い場面で問題となり得ます。買収対象会社や提携先が指定業種を営む場合、または自社・取引先が外国投資家に該当する場合には、届出とその審査期間(原則届出受理日から30日。なお、2週間に短縮可能なことがあります)が取引スケジュールに影響するため、実務上の留意が必要です。
改正の概要
改正の背景・経緯、目的
2019年外為法改正時 1 に、新法施行後5年を経過した時点で見直しを実施する規定(外為法附則6条)が盛り込まれたことを受け、同改正後の対内直接投資等に関する課題の解決に向けて、2025年9月末より関税・外国為替等審議会 外国為替等分科会での議論が開始されました。
当該議論においては、主に以下の6つの問題点が取り上げられました。
- 事前届出数の増加
- リスク軽減措置の位置づけ
- 最終親会社等の変更など支配権変更に対する規制手段
- 外国政府等の支配・影響下にある居住者の存在
- 非指定業種への投資による国の安全に係るリスク
- 執行体制等の強化の必要性
上記の6つの課題に対応するため、本改正法案に向けて2026年1月7日、関税・外国為替等審議会は「対内直接投資審査制度等のあり方について」を答申し、改正前の外為法下の対内直接投資審査制度の課題および改正の必要性を明らかにしました。
その後、同年3月17日に本改正法の法案が閣議決定により国会に提出され、同年5月29日に参議院で本改正法が可決成立し、同年6月5日に公布されました。
| 法律名 | 資料 | 施行日など |
|---|---|---|
| 外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律(令和8年法律第30号) | 法案提出日:2026年3月17日 成立日:2026年5月29日 公布日:2026年6月5日 施行予定日: (一部)2026年6月5日 (それ以外)2026年6月5日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日 |
今般の改正は、「投資促進と経済安全保障の確保の両立」の考えがベースとなっており、法令・制度自体の明確化・透明性および予見可能性の向上、事後モニタリングの強化、リスクベースでの対応を図るものです。
影響する企業・ビジネス
上記のような背景から、本改正法は、間接取得規制や日本版CFIUSの導入など、諸外国の対内直接投資制度の潮流と歩調を合わせる内容となっており、日本で事業・投資等を実施・検討している外国企業・金融機関等や、外国企業等と協業・出資の受入等をする日本企業への大きな影響が想定されます。
たとえば、間接取得規制の導入により、直接の出資者だけでなくその親会社等のグループ構造まで確認する必要が生じるほか、リスク軽減措置に関する手続の法定化により、事前届出の提出時における外国投資家側の対応コストの増加が見込まれます。日本企業側にとっても、資本提携や合弁事業の相手方が外国投資家に該当するかどうかの見極めと、それに伴う届出・審査スケジュールへの目配りがいっそう重要になります。
改正内容
本改正法は、上記の①から⑥の課題への対応策をその内容としており、それぞれのポイント、本改正法の条文および影響度は下表のとおりです(以下、改正後の条文を「新◯条」と記載します)。
| 課題 | 改正ポイント | 改正内容 | 本改正法の条文 | 影響度 |
|---|---|---|---|---|
| ① 事前届出数の増加 | 行為時事前届出および指定業種の範囲の限定 | 1. 株主の行為における役員選任に係る同意のうち、(i)再任に係るもので(ii)特段の事情の変更がない場合を事前届出の対象から除外 |
(政省令・告示対応事項) |
◎ |
2. 情報通信技術関連業種のうち、サイバーセキュリティ対策の観点から真に必要と認められるものに事前届出対象を限定 |
||||
② リスク軽減措置の位置づけ |
リスク軽減措置に関する手続の法定・措置命令等の新設 | 1. 届出書の記載項目にリスク軽減措置を追加し、外国投資家が当該措置を講じる必要がある場合の必要的記載事項とすること |
新27条1項、28条1項 | 〇 |
2. 審査中のリスク軽減措置の追加・修正に係る届出制度の導入 |
新27条の3第1項、28条の3第1項 | |||
3. 財務大臣および事業所管大臣による勧告・命令の対象に特定のリスク軽減措置を講じる旨の規定の追加 |
新27条5項・10項、27条の4第2項、28条5項・7項、28条の4第2項 | |||
4. リスク軽減措置を事後的に変更する届出制度の導入 |
新27条の4第1項、28条の4第1項ほか | |||
5. 外国投資家がリスク軽減措置を講じていない場合に取得した株式等の処分等を命ずる規定の創設 |
新29条1項・5項・6項 | |||
6. リスク軽減措置の類型や具体例を記載したガイドライン等の策定 |
− | |||
③ 最終親会社等の変更など支配権変更に対する規制手段 |
最終親会社等の変更を事由とする対内直接投資等の範囲の拡大(間接取得規制の導入) | 1.(i)間接取得者による直接保有法人等の議決権の新規取得(議決権が50%以上となる取得)行為 (ii)間接取得者の関係者が直接保有法人等またはその親会社等の役員の過半数を占める行為 (iii)その他これらに類する行為を対内直接投資等の定義への追加 |
(i)新26条2項9号 (ii)10号 (iii)(政令対応事項) |
◎ |
2. 間接取得者に対する命令のみでは国の安全等に係るリスクに対応できない場合に直接保有法人等に対して措置命令等を講ずることのできる規定の創設 |
新29条9項 | |||
④外国政府等の支配・影響下にある居住者の存在 |
当該居住者に対する「みなし規定」の適用範囲の拡張 | 1. 非居住者等の支配・影響下において、実質的に一体となって投資を行っていると認められる場合の居住者を外国投資家とみなすこと |
新27条14項、27条の2第7項、28条9項、28条の2第7項 | △ |
2. 上記1.に該当する外国投資家による投資のうち、高リスク投資家 ※ の支配・影響下にあるものを事前届出の対象化 |
||||
3. 外国金融機関および一般投資家に対して一定の報告の義務化 |
新29条の2第13項、55条の5第3項 | |||
⑤非指定業種への投資による国の安全に係るリスク |
非指定業種への投資に対する措置命令等の新設 | 1. 高リスク投資家による非指定業種への投資について、一定の場合に報告を求めることができるとすること |
新29条の2第1項 | △ |
2. 上記1.の報告に基づき、当該投資が国の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きいと認められる場合にリスク軽減措置や株式の処分等の必要な措置の勧告・命令をできる旨の規定の創設 |
同条2項・6項 | |||
3. 上記2.に該当する場合で、かつ、緊急に措置をとる必要があると認められる場合に(上記の勧告なくして)措置命令を講じられる旨の規定の創設 |
同条9項 | |||
⑦執行体制等の強化の必要性 |
日本版CFIUSの創設、2028年度目途導入の新システム | 1. 対日外国投資委員会(日本版CFIUS)の創設をはじめとする安全保障関連部局等との連携 |
新69条の4(施行済み) | 〇 |
| 2. 事後モニタリングの強化 | − | |||
| 3. デジタル技術の活用 | − | |||
4. 外国投資家や発行会社等に向けた情報発信 |
− |
※ 後記6で定義
施行スケジュール
本改正法は、2026年6月5日に公布され、一部(日本版CFIUSの創設に関する条項)は同日付で施行されました。それ以外の条項については、公布の日から1年以内に施行される予定です。
今後、対内直接投資等に対する規制の詳細が確定し、政省令等として制定・施行される予定です。本改正法に伴う政省令等案に対するパブリックコメントの受付締切は2026年8月2日となっており、その動向には引き続き注意が必要です 2。
行為時事前届出および指定業種の範囲の限定
2019年外為法改正によって、役員選任の同意をはじめとする株主の行為が事前届出の対象となり、届出件数は増加傾向にあります。2024年度の行為別事前届出件数は2,903件(改正前の件数の約5倍)でした。また、同改正時において、電子デバイス・集積回路製造業、記録メディア(半導体メモリメディア等)製造業、ソフトウェア業、情報処理・サービス業、インターネット利用サポート業といった情報通信技術関連が指定業種に追加された結果、現在では事前届出件数の過半数を当該業種が占める状況となっています 3。
当該事前届出数の増加を解消するため、本改正法に伴い整備される政省令等において「行為時事前届出」および「指定業種の範囲の限定」が予定されており、その概要は関税・外国為替等審議会 外国為替等分科会で以下のとおり整理されています 4。
- 行為時事前届出の範囲の限定
一部例外的な場合を除いて、事前届出を経て就任した役員等の重任については原則として事前届出の対象外とする。
・例外的な場合:事前届出免除制度が利用できない場合、当初就任時の事前届出の内容から事情変更がある場合(役員等の所在国・国籍や兼職先等に変更があった場合、発行会社やその子会社が営む指定業種に変更があった場合、届出者の所在国・国籍や指定業種に属する事業への関与方針について変更があった場合等)
- 指定業種の範囲の限定
サイバーセキュリティ対策をはじめとする安全保障等の観点から指定業種の対象を限定列挙し、その他は非指定業種とする 5。
・コア業種:現状維持
・非コア業種:①経済安保推進法で規定される重要なインフラ・物資等に関係するもの、②大量の個人情報や企業の営業秘密として管理される技術情報等を取り扱うためのもの等を限定列挙
- その他の緩和措置
以下の場合には、原則として事前届出の対象外とする。
・日本企業の100%海外子会社による投資:実質的に日本企業グループ内の組織再編行為にすぎない場合
・外国投資家が議決権の50%以上を保有する日本企業 6 による自己株式の取得:反射的な変動が限定的な場合(議決権が反射的に増加することになる既存株主が非外国投資家/発行会社の親会社等のみの場合)
・特定上場会社等 7 またはその直接の子会社:孫会社以下
リスク軽減措置に関する手続の法定・措置命令等の新設
発行会社(投資先の日本企業)の事業が所轄省庁において特に機微性が高いと判断される場合、実務上、届出事項に関する詳細説明や追加資料の提出を求める質問票が送付されることが少なくありません。また、所轄省庁が当該取引に関し「国の安全等に係るリスクが払拭されていない」と判断した場合、届出書において遵守事項(リスク軽減措置)の誓約が事実上クリアランスの条件となることもあります。
本改正法では、これまであくまで実務慣行として行ってきた当該措置を明文化することになりました。具体的には、届出時点で「国の安全等に係るリスクがある」場合は、「事業目的」、「取得価額」、「取得の時期」など同様に事前届出において「リスク軽減措置」を記載する必要が生じます(新27条1項等)。
審査期間(通常30日間。延長された場合は4か月)中にリスク軽減措置に対する追加や修正の届出を行うことも可能ですが(新27条の3第1項等)、審査期間に対する予見可能性を担保する観点から、その期間終了間際に追加・修正の届出がなされた場合には審査期間が14日間延長されます(新27条の3第2項等)。一方で、審査期間の最終日が修正届出の受理日から起算して14日を経過する日よりも前でない限りは、期間の延長なくリスク軽減措置を含めた形でクリアランスを取得することができるため、従前よりもクリアランスまでの短縮化が期待できます。
事前届出の審査期間

その他、リスク軽減措置に関する勧告・命令等の措置や事後的な変更のための事前届出制度が導入されます。
最終親会社等の変更を事由とする対内直接投資等の範囲の拡大(間接取得規制の導入)
事前届出を行った外国投資家(直接保有法人等)が、後に別の外国投資家(間接取得者)に買収されるといった支配権の変更が生じた場合(下図参照)に備え、本改正法により新たに間接取得規制が導入されることとなりました。
間接取得者が及ぼす影響

これまでは直接的なクロスボーダー取引(すなわち、典型的には日本の発行会社の直接的な株主の変動を伴う取引)のみを対象としていたため、こうしたリスクを十分にカバーできていませんでした。今回の改正は、発行会社を間接的な株式取得で支配する場合も審査対象としているアメリカやイギリスなどの制度を参照し、足並みをそろえた形となります。
「直接保有法人等」とは、概ね、日本企業の株式や議決権等を直接的に所有・保有する外国法人等であると定義されています(新26条5項)。
「買収等」には、以下の行為が含まれます。
(i) 直接保有法人等A(またはAの親会社)の議決権を50%以上取得する行為(同条2項9号)
(ii)間接取得者Cの関係者が直接保有法人等Aの役員の過半数を占める行為(同項10号)
(iii)その他これらに類する行為(政令で規定 8)
また、日本企業Bの株式・議決権取得の閾値については、日本企業Bが非上場企業の場合は閾値なし(新26条2項9号、10号各イ)、上場企業の場合は、間接取得者C、直接保有法人等Aおよびこれらの密接関係者が1%以上を保有する場合とされています(同項9号、10号各ロ・ハ)。
今後、政令にて事前届出の対象や間接取得者Cによる直接保有法人等Aの議決権取得の合算範囲などが規定され、その対象範囲が明確になる予定です。
実務上は、従来グローバルM&A等で不要とされていた間接取得者の行為が事前届出の対象となり得るため、特に外国企業等への注意喚起・意識改革が必要となってきます。
外国政府等の支配・影響下にある居住者に対する「みなし規定」の適用範囲の拡張
従来の外為法では、居住者外国投資家や外国投資家の計算において対内直接投資を行う場合を「みなし外国投資家」として規制することで法の潜脱を防止していたところ、これらの基準に該当しない国内投資家の中にも、国家安全保障上のリスクを内包する者が一定程度存在することが懸念されていました。
こうしたリスクのある者を規制の対象とするため、下図のとおり、一定の要件を満たす者については新たに「みなし外国投資家」に含めたうえで、外国政府等の事前届出免除制度の利用ができない、リスクが高い非居住者等(以下「高リスク投資家」といいます)の支配・影響下にある居住者が行う投資を事前届出の対象とすることが予定されています。
外国政府等の⽀配・影響下にある投資の捕捉

契約等に基づく指示や特別の関係、事前届出の対象については政令において規定(具体化)されます。
規制対象が限定的になる可能性が高いことから実務上への影響はさほど大きくないと考えられる一方、ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)などの外国政府系投資家や中国の投資家など外国政府等に対して情報収集協力義務を負う高リスク投資家や、同投資家から出資を受ける上場会社を含めた日本企業は注意が必要となります。
非指定業種への投資に対する措置命令等の新設
従前、非指定業種を営む事業に係る株式取得については、株式・議決権の取得比率が10%以上となる場合に事後報告が義務付けられるにとどまっていました。もっとも、高リスク投資家による非指定業種への投資についても、国の安全に係るリスクが顕在化するおそれが一定程度存在することから、新たに事後介入措置(報告徴求、勧告・命令等の措置命令)が導入されることとなりました。
上記6と同様、高リスク投資家に該当する場合は十分な留意が必要ですが、当局による事後的な報告徴求については一定の制限が設けられており、その期間は対内直接投資等から5年を経過する日までとされています(新29条の2第11項)。また、政令において、報告等の対象自体も株式・議決権の10%以上の取得等に限定される規定が設けられる予定です。
日本版CFIUSの創設、2028年度目途導入の新システム
日本版CFIUSの創設
従来は膨大な事前審査に実務上のリソースが割かれ、事後的なエンフォースメント(法執行)が実施される事案が少ない状況にありました。こうした背景を踏まえ、関係当局間の連携をよりいっそう強化するため、従来の財務大臣および事業所管大臣を中心とした構成から、制度所管官庁の財務省と、安全保障の総合調整役である国家安全保障局(NSS)を共同議長として、外務大臣その他の関係行政機関の関与を認める枠組みが新たに導入されたことは、特に注目に値します(新69条の4)。当該条項については、上記3から7に掲げる他の条項に先立ち、2026年6月5日の公布と同時に施行されました。
当該枠組みは、「対日外国投資委員会(JFIC:Japan Foreign Investment Committee)」という名称で設置されました。具体的な構成は、以下のとおりであり、主たる構成員は局長級(平常事務は課長級で処理)とされています。
対日外国投資委員会の構成

対日外国投資委員会は省庁横断的な執行体制として機能することが期待されており、アメリカのCommittee on Foreign Investment in the United States(CFIUS:対米外国投資委員会)に相当する枠組みとして「日本版CFIUS」と位置づけられています。対日外国投資委員会では、以下の事項に基づいて事案が総合的に判断されます。
(2)外国投資家の属性
(3)外国投資家の投資の態様等
具体的には(1)コア業種に該当する場合、(2)外国政府等との関係がある場合、(3)取得する議決権の割合が大きい場合などが取り扱われることが想定されます。
当該条項の施行から間もない2026年6月29日、第1回対日外国投資委員会が開催されました 9。対内直接投資等に係る個別事案を取り扱う性質上、原則として会議や議事録等は非公開となっていますが、今後の実務にどのような影響をもたらすか注目されます。
政府は、昨今、経済安全保障の確保の観点から取締りを強化しており、2026年4月23日には、前日付でアジア系の投資ファンドであるMBKパートナーズによる株式会社牧野フライス製作所 10 の完全子会社化に係る買収計画に中止勧告(外為法27条5項)が行われたことが公表されました。当該中止勧告は2008年のJパワー案件以来18年ぶりであり、日本版CFIUSの導入に伴い、アメリカやその他の諸外国と同様に、審査・エンフォースメントが厳格化される可能性があります。
2028年度目途導入の新システム
このほか、届出書類等のオンライン提出を推進する観点から、事前届出書や事後報告書等の提出に係る新システムが2028年度を目途に導入される予定であり、蓄積された情報を活用した効率的な分析や事後モニタリングの強化が図られる見込みです。
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役員への就任および指定業種に属する事業の譲渡・廃止に係る行為時事前届出が創設され、上場会社の取得時事前届出の閾値の10%から1%への引下げおよび事前届出免除制度の導入がなされました。 ↩︎
-
内容が確定した段階で、政省令等の改正内容を踏まえた確報版をご案内予定です。 ↩︎
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財務省「外為法・投資審査制度 アニュアルレポート 年次報告書(2025年度)」25〜26頁 ↩︎
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財務省国際局「関税・外国為替等審議会 外国為替等分科会 配布資料② 対内直接投資審査制度について」(2026年6月10日) ↩︎
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索道業やペット飼育業の非指定業種化が予定されています。なお、重要情報・情報の保全等や他法令との整合性確保の観点から、指定業種の追加が予定されていますが、この点はすでに指定業種に係る事業を営んでいる企業が多いため、届出件数への大きな影響はないものと考えられています。具体的には、「技術」に着目したコア業種の追加、経済安保推進法の特定重要物資に指定された物資に係る製造業および電気・ガスの小売業者(大規模なものに限る)のコア業種の追加ならびに「重要供給確保医薬品」(医療法)に係る製造業の指定業種の追加が予定されています。 ↩︎
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外為法26条3号に基づき外国投資家とみなされる居住者外国投資家のことをいいます。 ↩︎
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居住者外国投資家(注6参照)のうち、個々の外国法人等の議決権保有割合がいずれも10%未満の上場会社等のことをいいます。 ↩︎
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直接保有法人等Aの事業活動を支配する目的をもって議決権行使等権限を50%以上取得する行為、Aに係る共同議決権行使(議決権の50%以上)に同意する行為、Aの黄金株を取得する行為、(Aが特定組合類似団体である場合)Aの業務執行組合員の過半数を占める行為などが政令で規定される予定です。 ↩︎
-
財務省「対内直接投資審査制度について」令和8年6月29日開催 資料、議事録 ↩︎
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同社が「世界有数の工作機械を製造する企業であって、我が国防衛装備品の製造事業者にも広く利用されていること」などの事情が考慮されて、中止勧告に至ったとされています(財務省「片山財務大臣兼内閣府特命担当大臣記者会見の概要(令和8年4月23日(木曜日))」。 ↩︎
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