東証「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」(第25回)を開催

コーポレート・M&A

目次

  1. 各事例集の公表
    1. 「資本コストや株価を意識した経営」に関する各事例集
    2. 投資家が評価しているグロース上場企業の取組み事例集 新設
  2. 2026年の方針・取組みについて
    1. 全体方針
    2. 各トピックの方針・取組み

※本記事は、三菱UFJ信託銀行が発行している「証券代行ニュースNo.238」の「特集」の内容を元に編集したものです。


 東証は、1月14日に「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」(第25回)(以下「本会議」)を開催しました。本特集では、フォローアップ会議における議論の状況及び2026年の東証の方針・取組みについて解説します。

各事例集の公表

「資本コストや株価を意識した経営」に関する各事例集

 東証は、「資本コストや株価を意識した経営」にかかる取組みにつき、上場会社が投資家の視点を踏まえて検討・ブラッシュアップするための参考資料として、2025年12月に以下①〜③の事例集を公表しました。

① 課題解決に向けた企業の取組み事例集 新設

 本資料は、上場会社が「資本コストや株価を意識した経営」の取組みを推進するうえで、多くの企業が直面する課題を乗り越えた企業6社にインタビュー行い、取組みプロセスを取りまとめたものです。取組み事例は(ⅰ)社内の意識改革・意識浸透、(ⅱ)資本コストの把握・活用、(ⅲ)中長期的な資本政策の策定、④投資家に評価される情報開示、の4つの主な課題と紐づけて示されています。

② 投資家の視点を踏まえた対応のポイントと事例 アップデート

 2024年に公表された本資料について、延べ400社超の投資家との意見交換のなかで寄せられた最新(2025年)の事例や声を反映し、アップデートされています。

③ 投資家が評価する好事例集(2025版) 新設

 投資家が評価している取組み内容につき、直近(2025年)の事例として33社(プライム21社、スタンダード12社)を掲載、アップデートされました。経営資源の最適配分に向けて、BSマネジメントやキャッシュ・アロケーションの方針を具体的に示す事例や、初回開示後も継続的な課題分析や投資家との対話を通じて取組みをブラッシュアップする事例が増加しています。

【ポイント・事例集の使い方ガイド】

【ポイント・事例集の使い方ガイド】

(出所)本会議資料1別添1

投資家が評価しているグロース上場企業の取組み事例集 新設

 東証は2025年9月よりグロース市場上場会社に対し「高い成長を目指した経営」の実現に向けた対応を依頼しています。本資料は、企業が高い成長に向けた取組みを推進するにあたっての検討材料として、「グロース上場企業に対する投資家の期待」に応えられていると投資家が一定の評価をしている11社の取組み事例を取りまとめたものです。

2026年の方針・取組みについて

全体方針

 本会議で2026年の方針・取組みにかかる議論がなされ、全体の方針は以下の通りとしています。

  • 日本経済全体の成長の観点からは、やはり時価総額の大きいプライム市場における企業価値向上を進めていくことが重要であり、投資家の期待も大きい。
  • 「資本コストや株価を意識した経営」について、開示から実行へフェーズが移っていく中で、企業の取組みや投資家との実効的な対話を加速させるための環境整備やサポートを進めていく
  • 足元ではスタンダード市場の魅力向上やプロマーケットの機能発揮に関する議論にも着手し、特にスタンダード市場の動向に関しては企業・メディア等の注目が集まっており、これらの議論はしっかり進めていく
  • グロース市場改革については、新しい上場維持基準が施行される2030年も見据えながら、IPO・上場後の成長環境の整備を継続的に進めていく

各トピックの方針・取組み

 2−1の全体方針を踏まえ、今後の具体的なトピックとして以下1~6が挙げられ、各トピック毎の方針・取組みが示されています。

1 資本コストや株価を意識した経営の推進(取組みの加速)
  • プライム市場での開示率は9割を超えるものの、実効的な取組みが進んでいる企業と進んでいない企業がみられる⇒開示済み企業における取組みの実行や、投資家との対話を踏まえた取組みのブラッシュアップにより焦点を当てて施策を検討
    ・コーポレートガバナンス・コードの改訂とも連動し、経営資源の「投資等への有効活用」をより推進
    ・ポジティブな変化が見られる企業を、投資家に向けてよりハイライトしていくことを検討
  • 約1割の未開示企業へのアプローチについても検討を進める
  • 企業・投資家双方からお互いの短期志向を懸念する声が多く聞かれることを踏まえ、要請の趣旨などをあらためて企業・投資家の双方に周知していくことを検討
  • 国内外の投資家に対して、改革の進捗を積極的に発信し、アピールを強める 等
2 グロース市場改革の継続(プロマーケットに関する検討含む)
  • 上場維持基準の見直しについては、2025年12月に規則改正が完了し、スタートアップ経営者(グロース上場企業経営者、IPOを目指す経営者)向けの説明を継続
  • 2030年の新しい上場維持基準の適用も見据えながら、積極的に取り組む企業のサポートに継続的に取り組んでいく
    ・2026年2月から、積極的に取組みを進める企業の投資家への見える化(一覧化)をスタート
    ・順次、グロース上場企業にフォーカスしたセミナー、機関投資家との対話イベント等も開催

    ・スタートアップの成長性に着目した新たな指数として、「JPXスタートアップ急成長100指数」を公表(本年3月9日から配信開始)

  • グロース市場上場のメリット創出に関して、積極的に取り組むグロース企業経営者等からの声(課題・施策の要望など)を継続的に集めて検討を進めていく 等
3 スタンダード市場の魅力向上に向けた検討
  • 3つの市場区分においてベースとなる市場であり、多様な企業の受け入れを想定した、市場インフラとして重要なマーケット。こうしたコンセプトは維持していく
  • 上場企業として、スタンダード市場においても、株主・投資者を意識して企業価値向上を目指す視点は、より強調していく 等
4 上場維持基準の改善期間終了に関する投資家への周知等
  • 経過措置終了に伴い、2025年3月から本来の上場維持基準が適用されており、2026年3月以降に順次、改善期間が終了する予定。今後は、まず、株主・投資者に対する周知・注意喚起を徹底していく
  • 上場会社に対しては、基準に適合しない場合のセカンドプランを含め、必要な検討と株主・投資者への説明・開示を求めていく(セカンドプランの開示がない企業に対しては、引き続き個別に状況をヒアリング) 等
5(※) 親子上場等に関する対応(少数株主保護、
グループ経営)
6(※) 非公開化に関するフォローアップ
  • 国内外の機関投資家から、グループ経営等に関する開示の充実に加え、上場制度上の更なる対応を求める声が寄せられている状況下、本会議で今後具体的な検討を進めていく論点として以下が挙げられています。

(出所)本会議資料2及び資料3より三菱UFJ信託銀行が作成
※5,6については、従属上場会社における少数株主保護の在り方等に関する研究会での議論の状況等を、本会議でも継続的に報告

問い合わせ先

三菱UFJ信託銀行
法人コンサルティング部 会社法務グループ
03-6747-0307(代表)

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